POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 ミャンマー(ビルマ)は、縦に長い菱形の凧の右下に短い尾がついたような地形をしています。ミャンマーは、東南アジアと南西アジアの接点に位置しており、菱形の左上(北西部の国境)はインドやバングラデシュに、右上(北東部の国境)は中国に、菱形の右下(南東部の国境)はラオスとタイに接しています。

 ミャンマー(ビルマ)は、中国に接するカチン州、シャン州(ラオスとも接する)、タイと接するカヤー州、カイン州(カレン州)、インドに接するチン州、バングラデシュの接するラカイン州、アンダマン海に面するモン州の7つの州(pyi ne、ピーネー、州名は民族名に由来する)と7つの管区(taing detha gyi、タイン・データー・ジー)に行政区画されています。



 シャン州は、ミャンマーの東部中央に位置していて、中国、ラオス、タイの3国に接しています。その面積は、155,800 km²で、ビルマの面積676,600km²の23%ほどにもなり、シャン州はビルマ全土の4分の1ほどの面積を占めるといえます(シャン州の人口は800万人ほどといわれ、ミャンマーの人口約6,000万人の13%ほど)。しかし、シャン州には大きな都市といえば、 ラショー(Lashio、la hri:、人口13万人ほど)、チェントン(Kengtung、kyuing:tum、人口6万人ほど)、そして、州都の「タウンジー(Taunggyi、taung kri:、ミャンマー第4の都市で人口20万人ほど)」くらいしかありません。

 この地域は、1,000mを超える高原が続き、昔からシャン族が支配していました。東京外国語大学のラオス語の講師であった「土橋泰子」さんの著書「ラオス万華鏡」(連合出版、2009年刊)によると、シャン族は、「ビルマでは周辺民族からはシャン族と呼ばれていますが、彼ら自身はタイ族と呼称し、」「その同族は中国南部から東南アジア一帯、インド北部に至る広大な地域に居住しており、この範囲ではむしろ主流民族なの」だそうです。

 ミャンマー(ビルマ)では、このシャン族は、古い調査(1983年)ですが、ミャンマーの総人口の8.5%を占めており(ビルマ族は69%ほど)、ミャンマー人の12人に1人はシャン族ということになります。「シャン族は、ミャンマーにおいては、少数民族ですが、ビルマ文字に似た固有の文字を持っており、この文字はモン族から仏教とともに伝えられたモン文字を基にして作られている」そうです。

 シャン族はビルマ族と同様にその多くが仏教徒であり、「すでに焼畑耕作という移動生活の段階を脱しており、ビルマ族の地方居住者と変わりない生活をしている」といいます。



 「シャン州(Shan State)」が西隣の「マンダレー管区(Mandalay Region)」と接するあたりに、「インレー湖(Inle lake)」という外国人観光客にとって非常に人気の高い湖があります。インレー湖は、南北に長く(雨期には20km以上、乾期では15kmほど)、東西には短い(雨期には12kmほど、乾期では6kmほど)、周囲を山に囲まれて、標高も高く(875m)、季節によっては酷暑の続くミャンマーにあって、高原リゾートとして人気の高い観光地です。



 ミャンマーは熱帯気候で、夏期(2月中旬~5月中旬、ほぼ3か月間)、雨期(5月中旬~10月中旬、5月間)、乾期(10月中旬~2月中旬、4月間、この時期が比較的過ごしやすく観光のベストシーズン)と3つの季節が移り変ります。ヤンゴンの平均気温で言うならば、11月(乾期)に18℃前後であったものが、2月(乾期から夏期へ)には急激に+5℃程度の23℃前後になり、3月(夏期)にはさらに+5℃程度の29℃ほどになり、4月・5月はそのさらに+4℃程度の33℃ほどにもなります。雨期の期間もその温度は徐々に下降する(5月間かけて-5℃程度)にすぎません。雨期の終わりでも28℃ほどあります。乾期に入ると、急激に温度が下がり、18℃前後になります。

 インレー湖の観光の基点となるのは、「ニャウン シュエ(Nyaung Shwe)」という小さな町。町からは運河がインレー湖にボートで15分ほどでつながっています。ニャウンシュエの町はインレー湖の北にあり、車で1時間ほどのところにある「へーホー(Heho)」に空港があります。そのへーホーには飛行機によるアクセスが便利で、「ヤンゴン(Yangon)」から直行便で1時間10分ほど、「マンダレー(Mandaley)」経由で1時間50分ほどです。

 直木賞作家「乃南アサ」の著作「ミャンマー 失われるアジアのふるさと」(文藝春秋、2008年刊)では次のように描かれます。

 「ヤンゴンから1時間ばかり飛んだところにへーホーという町がある。そこから車に乗り換えてニャウンシュエを目指した。アスファルトの道に沿って点在する」「いくつかの小さな集落を通っては山を越えるうち、ある谷に差しかかった。そこには1本の大きな菩提樹が生えており、その木を目印のように三方から延びてきた道が交差している。
 「その三叉路を過ぎて、やがて大きな山を回り込むようにして越えたところに、山間を通る長い鉄橋が見えてくる。眼下には平坦な大地が広がる。この景色をみると、もうニャウンシュエが近いのだと思う。

 ニャウンシュエの町は、インレー湖からは少し離れており、運河でアクセスする必要があり、船着場で「乗り込むのは細長く小さな木製のボートで、モーターこそついているものの、大人が4、5人乗り込んで、さらに大きなトランクを積み込むと、船縁はかなり水面に近いところまで沈んでしまう。」「ボートに縦一列にしつらえられているのは幼稚園にあるような小さな背もたれのついた椅子。腰掛けると視点は本当に水面に近くなり、文字通り自分が水上を走っているような気分になる。



 この記事は、12月25日午前、ミャンマー中部のマンダレーを離陸して東部のヘーホーに向かっていたミャンマーの民間航空会社「バガン航空(Air Bagan)」の旅客機「フォッカー100型機(Fokker-100)」が、空港に迫ったところで、2つあるエンジンのうち1つが爆発し、ヘーホーの空港の手前、およそ3kmの道路に不時着し、両方の主翼が折れるなど、大きく壊れたというニュースを聞いて書き始めました。しかし、ミャンマーについての知識が足りず、調べながら記事を仕上げているうちに、1週間ほどが経ってしまいました。

 旅客機には、乗客・乗員合わせて71人(乗客は63人で、乗員は6人、さらに2人の航空保安官)が乗っていましたが、このうち11歳と見られるビルマ人の男の子1人とツアーガイド1人、地上の道路でバイクに乗っていた住民1人が巻き込まれて、合わせて3人が死亡したということです。ミャンマーでは、民主化に伴い外国からの観光客が急増していて、不時着した旅客機にもインレー湖を訪れようとしていた外国人観光客が51人乗り合わせていたそうです。



 「パガン航空(Air Bagan)」の「ヤンゴン発、マンダレー経由、へーホー行き」のW9-011便のフォッカー100型機は就航して22年も経っており、また、当日の空港周辺では雪が激しく降っており(霧が出ていたとも)、滑走路の近くの水田に不時着してから火を噴いたという報道もあります。負傷した11名(深刻な状態であるとも言われている。うち4名が外国人(アメリカ人が2人、英国籍の1人、韓国人が1人))は、州都「タウンジー(Taunggyi)」の‘Saosanhtun Hospital’に収容されたといいます。

 「タン・シュエ(Than Shwe)」は、1992年4月23日より、ミャンマー(ビルマ)の軍事政権トップとして独裁的地位にあった人物です。2011年3月30日に国家元首(大統領)の地位を「テイン・セイン(Thein Sein)」に、国軍最高司令官を「ミン・アウン・フライン(Min Aung Hlaing)」に渡しました。「バガン航空(Air Bagan)」のオーナーであるミャンマーで著名な実業家「テーザ(Tay Za)」はタン・シュエと親しく、政商(「トゥー・トレーディング(Htoo Trading Company)」を所有)であるとされ、2007年からアメリカのミャンマー経済制裁が強まると、バガン航空のシンガポール路線の閉鎖を余儀なくされ、今は国際線はチアンマイ(チェンマイ)とプーケットに運行しています。ミャンマーの民主化を阻害する人物とみなされており、アメリカ、EU、カナダ、アーストラリアでは商取引ができず、ビザも発行されません(2011年3月時点)。

 ミャンマーには航空会社が5つあり、バガン航空(Air Bagan、フォッカー機(小型双発ジェット)とATR機(ターボプロップ双発)を保有)、ミャンマー国際航空(Myanmar Airways International、エアバス機)、マンダレー航空(Air Mandalay、ATR機)、ミャンマー航空(Air Myanmar、国営、フォッカー機(ターボプロップ双発と短距離用双発ジェット)とATR機)、ヤンゴン航空(Yangon Airways、ATR機)です。

 民間航空機は飛行耐用年数を50年と計算して設計されているのだそうです。しかし、先進国などの航空会社では20~30年くらいで新しい飛行機に更新しています(JALやANAでは20年、SQでは10年)。中古機は売却されて、発展途上国で旅客機として、あるいは改造されて貨物機として、飛び続けることになります。

 1986年11月30日に初飛行をした「フォッカー 100(Fokker 100)」は、フォッカー社が倒産した1997年に生産が終了し、総生産機体数は283機であったようです。倒産して15年が経ちますが、機体の優れた操作性と安価な運航コストから、フォッカー機はいまだ世界の空を飛び続けています。

 当然のことながら、外国を旅行するということはある程度のリスクを覚悟しなければなりません。しかし、そのリスクを知っているのと知らないのでは行動に雲泥の差が生じます。近いうちにミャンマーへ旅行することを考えているので、政治情勢を含めて、ミャンマーに関する情報を収集中です。

                   (この項 健人のパパ)

  


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 ノロウイルスによる「感染性胃腸炎」の集団発生は、どのようにして起こるのでしょう。「国立感染症研究所」はそのサイトに「従事者衣服からノロウイルスを検出した集団食中毒事例について―長野県」という文書を掲載しています(掲載日2012年4月10日)。この文書を読み込んでみましょう。

 2012年3月8日、諏訪保健所に「岡谷市役所」から「食中毒症状を示す職員が11名いる」旨の連絡があります。続いて、岡谷市立「岡谷病院」からも「病院の職員16名が食中毒症状を示している」旨の連絡がありました。この時点で27名の発症者がいたことになります。諏訪保健所は調査を開始し、急性胃腸炎の発症者は3月6日および7日の昼食に弁当製造業者「500円ショップ亀八」(3月10日から4日間の営業停止の処分を受ける)の弁当を食べた3グループに発生し、54名に及ぶことが判明します。発症は3月7日午後1時30分頃から3月9日午後10 時頃にかけてであり、「嘔吐、下痢、発熱」などの症状を呈していました(発症者のうち、2名が入院)。

 発症曲線は一峰性を示すピークが認められたことから「単一曝露」が疑われ、発症者に共通した食事は弁当製造業者が提供した弁当のみであることが判ります。急性胃腸炎の発症者の症状は、ノロウイルスによる症状と一致しており、環境保全研究所は有症者11名と調理従事者2名の協力を得て、糞便を採取してリアルタイムPCR法によりウイルス検査を実施し、有症者10名と調理従事者1名の便からノロウイルスを検出します。いずれもその遺伝子型は「GⅡ/4」だったようです。その相同性は、99~100%であり、感染源は1つであることが推測されました。

 ノロウイルスが検出された調理従事者は3月6日より「下痢・嘔吐」などの症状を呈していたにもかかわらず、既に弁当の注文を受けていたことから、発症後も調理・製造を続けていたといいます。この調理従事者の意識の低さに驚きます。下痢・嘔吐の症状がある人が調理を続けていたことが信じられません。

 この調理従事者は、調理専用白衣を使用せず、日常的に着用しているスウェットシャツのまま調理行為を行っていたといいます。つまり自宅で使用していたスウェットシャツを着替えずに、営業施設で調理を続けたことになります。自宅も営業施設もトイレは洋式の水洗だったそうです。諏訪保健所は調理従事者の衣服がノロウイルスに汚染されていた可能性を疑い、提出させてウイルス検査を行います。 

 スウェットシャツは、100%ポリエステル製の長袖で、肉眼的には特に糞便等で汚染されている部位は認められなかったそうです。トイレ使用時に最も糞便による汚染が考えられるのは「右の袖口」であり、さらに右袖下と左の袖口なのだそうです。その部分をを中心にノロウイルスの検出を試みたそうです。いろいろな処理を行い、リアルタイムPCR法を実施したところ、いずれの検体からもノロウイルスが検出されたといいます。

 この結果から、「下痢症状」のあった調理従事者がトイレ使用時に糞便で衣服を汚染し、さらに衣服から調理器具、食品を二次汚染して、食中毒を発生させた可能性が高いという結論に達しました。

 洋式トイレでの水様下痢便による被服及び周囲への汚染状況を調べた実験があります。その結果、臀部(お尻)の便座面を覆う全体に、肛門周囲から10~15cmにわたって多数の飛散が確認されたといいます。お尻が汚染されてしまうのです。靴やズボンには飛散が確認されなかったようです。洋式トイレではお尻で蓋をした格好ですから、便座裏側及び便器内側全体に多数の飛散は確認されますが、便器の外側周囲には飛散はなかったようです。

 排便後、肛門を拭き取るときの手の汚染では、トイレットペーパーで覆われていなかった親指の付け根の「拇指球」を中心に、広く汚染を確認したといいます。長袖の袖口にも汚染を確認したそうです。

 和式トイレを使用しての汚染実験では、床や壁面など広範囲に汚染が生じることが確認され、調理従事者の使用するトイレは、汚染の少ない洋式トイレが望ましいということが判ったそうです。和式トイレでは、お尻で便器に蓋をするような格好にならないのでこれは理解できます。

 さらに、水を流すレバー、ドアノブ、手洗い流しのカラン(水栓、蛇口)などトイレ使用者が必ず触れる部分に汚染が生ずることが考えられ、次の使用者の手が汚染される可能性があります。袖口の汚染は調理作業中の食品との接触や、付着物の乾燥に伴うウイルス飛散により、食中毒の原因となる可能性があります。

 調理従事者がトイレを使用する際は、「トイレの外で上着を脱ぎ、長袖の場合は袖口をまくる」、「トイレ専用の履物に履き替える」、「手洗いは石鹸を使用し、拇指球周囲及び手首は特に念入りに行う」ということが必要なようです。栄養士を育成する学部に通い、調理師の資格も持っている妻は、これは常識と考えていて、調理従事者でない私たち家族にも、「石鹸洗いをもっと丁寧に」、「流水でしっかりと洗い流して」などという指導が入ります。

 用便後、便器の中ではノロウイルスを大量に含む飛沫が浮遊している。そこに肛門の汚れを拭き取るために手が入れられる。利き腕(多くは右手)の拇指球や袖口にその飛沫が付着する。そういったことで、ノロウイルスに汚染されるのでしょう。これを防ぐには、この汚染のメカニズムを理解し、袖をまくっておく、用便後には必ず手首を含めて石鹸を使って十分に手洗いをする(ノロウイルスをアルコールで不活化することは不可能なので流水で流し落とすというイメージを持って行う)などのことが必要なのでしょう。

 ノロウイルスによる集団感染を防ぐために、医療従事者や調理従事者のより一層の注意をお願いしたいところです。

 2011年に発生したノロウイルスによる食中毒は、296件。そのうち、魚介類が感染源とされたものは、50件(全体の16.9%、すべて二枚貝による)。複合調理食品が原因であったのは27件。原因不明が29件。感染源が特定の食品でなかったものが182件。そのうち、「食事」が原因とされたものが175件(全体の59.1%という高率)であったそうです。調理従事者の努力で、かなりの食中毒は防げるように思われます。

 12月30日(日)配信の毎日新聞の記事からです。

 京都府南丹保健所は12月29日、南丹市営施設「日吉山の家」で食事をした3~82歳の男女30人が下痢や吐き気などの症状を訴えたと発表した。重症者はおらず全員快方に向かっているという。客2人と同施設の調理担当者6人の便からノロウイルスが検出され、同保健所は食中毒と断定。施設を12月29日から3日間、営業停止処分とした。症状を訴えた客は12月15~23日に同施設で食事をしたという。

 2012年12月27日(木)配信の毎日新聞の記事からです。

 山梨県山梨市の弁当製造業「まもかーる」が運営する山梨県甲斐市の弁当店「るんるんランチ」の弁当が原因のノロウイルスによる集団食中毒で、山梨県は12月27日、患者が1321人に上ったと発表した。嘔吐や下痢などの症状を訴えているが、入院患者はおらず、全員快方に向かっている。
 同店は山梨県内の役所や企業などに1日約3800食を提供。山梨県衛生薬務課によると、12月11日から発症し始め、27日現在で県内407事業所に患者が広がっている。


 山梨県の弁当が原因である食中毒の最新の患者の状況ですが、2012年12月11日(火)午後10時から発症が始まり、12月30日(日)午後1時までの666事業所の3648名の調査結果では、435事業所(発症の確率約65%と高率)に患者が発生し、1,445名が発症した(39.6%。不顕性感染者や感染しない抵抗力のある人がいることが確認できる確率です)ようです。症状は、下痢、吐き気、腹痛、嘔吐で入院患者はいません。食中毒の原因施設として食品衛生法に基づく営業禁止の処分とした「るんるんランチ」は、当該施設における再発防止措置が図られたことを確認したため、2012年12月30日(日)をもって営業禁止の処分が解除されています。

 2012年12月18日(火)配信の毎日新聞の記事です。

 宮崎県宮崎市は12月17日、宮崎市瓜生野のスーパー「しょっぴんぐたうん ウィリー」の弁当を食べた26~84歳の男性18人、女性67人の計85人が下痢や吐き気などの症状を訴えたと発表した。10人からノロウイルスが検出されたため、同店の弁当が原因と断定し、食品衛生法に基づき、スーパーの弁当部門を12月18日から3日間の営業停止処分にした。入院者はなく、全員快方に向かっているという。市保健衛生課によると、85人は12月11日、交流会などで弁当を食べ、12月15日までに発症した。メニューは、野菜のかき揚げや巻きずしなどだった。

(追記) 2013年1月4日(金)配信の時事通信の記事からです。

 東京都は1月4日、港区の東京プリンスホテルのレストラン「ポルト」で食事をした76人が食中毒を発症したと発表した。一時入院した69歳の女性を含めて重症者はおらず、いずれも既に回復しているという。患者や調理従事者の便などからノロウイルスが検出された。ホテル側は12月19日夜から同店の営業を自粛しており、港区は1月4日から3日間の営業停止処分とした。東京都によると、ホテル側が、ビュッフェ料理を食べたツアー客らに嘔吐、下痢などの症状が出ていると保健所に連絡。保健所が調査した結果、12月12~13日に同店で食事した男女の客計76人に同様の症状が出ていたことが分かった。

(追記) 2013年1月4日(金)配信の読売新聞の記事からです。

 東京都は1月4日、仕出し料理店「人形町今半フーズプラント」(江東区)が12月18日に販売した「折詰すき焼き弁当」を食べた男女35人がノロウイルスによる食中毒となり、江東区は1月4日から同店を3日間の営業停止処分とした。

(追記) 2013年1月13日(日)配信の産経新聞の記事からです。

 京都市保健所は1月12日、京都市右京区西院高山寺町の飲食店「串八 西院店」で串カツなどを食べた高校生13人が8日朝から下痢や嘔吐などの食中毒症状を訴え、うち10人からノロウイルスを検出したと発表した。男子生徒(16歳)が念のために入院したが、生徒らはいずれも軽症で、快方に向かっているという。
 京都市保健所によると、13人は京都市内の高校に通う15~16歳の男女。ほかの生徒5人を含む18人で7日夜に同店を利用し、串カツやサラダなどを食べた。調理を担当した従業員2人からもノロウイルスを検出したため、同保健所は同店で提供された食事が原因と判断、12日から3日間の営業停止とした。


(追記) 2014年1月16日(木)配信の読売新聞からの記事です。

 静岡県浜松市の市立小学校14校で1月16日、児童905人と教職員41人が、下痢や嘔吐などの症状を訴えて休んだ。12校が同日、学校閉鎖の措置を取り、市教委は1月17日まで休校とした。学級閉鎖とした2校は、給食を取りやめた。入院の報告はないという。
 市保健所は食中毒の可能性があるとみて、学校への立ち入り検査や児童の検便を始めた。市によると、16日午後9時現在、児童11人の便からノロウイルスの陽性反応が出た。14校はいずれも給食を自校で調理しており、共通の食材がなかったか調べる。
 同市の市立小104校のうち、東区の9校と中区の4校、南区1校で発症が相次いだ。いずれも市の南東部に位置し、半径10km範囲に集中している。
 市教委によると、東区中野町の中ノ町小学校では、全児童376人のうち約4分の1に当たる96人が欠席した。教職員はトイレや教室のドア、手すりを消毒液で拭き取るなどしたほか、保護者からの問い合わせなどの対応に追われた。


(追記) 2014年1月17日(金)配信の静岡新聞の記事からです。

 浜松市教委と市保健所は1月16日、市立小14校で計905人の児童が嘔吐や下痢などの症状を訴えて欠席し、12校を学校閉鎖にしたと発表した。市が児童17人の便を検査したところ、11人がノロウイルスの陽性反応を示し、「主にノロウイルスが原因の可能性が高い」としている。入院した児童はいないという。

 浜松市教委によると、1月17日まで学校閉鎖するのは東区の中ノ町(児童数376名中、欠席児童23名、欠席割合25.5%)、大瀬(386名、94名、24.4%)、有玉(623名、113名、18.1%)、中郡(欠席割合10.6%)、和田東(7.6%)、笠井(6.8%)、豊西(5.9%)、積志(5.8%)、の8校と、中区の東(368名、77名、20.9%)、鴨江(338名、71名、21.0%)、上島(922名、158名、17.1%)、双葉(12.0%)の4校。南区の白脇と東区の与進の2校は計3クラスを学級閉鎖する措置を取った。一部の学校はインフルエンザが原因の可能性が高いという。教職員41人も同様の症状を訴えて休んでいる。一方で市立の幼稚園や中学、高校からは同じ症状の報告は入っていないという。


(追記) 2014年1月17日(金)配信の静岡新聞の記事からです。

 静岡県浜松市の市立小14校で児童905人が嘔吐や下痢の症状を訴えて欠席した問題で、新たに市立北小(児童数237名中、欠席児童33名、欠席割合13.9%)と元城小、佐藤小(以上同市中区)の3校と、万斛幼稚園、豊西幼稚園(以上同市東区)の2園が17日午前、学校閉鎖することを決めた。これで学校閉鎖、学級閉鎖は計19校・園になり、欠席児童・園児数は合わせて1182人に上った。
 市教委などは同日、原因究明のため、学校閉鎖した学校の立ち入り調査を実施。学校給食を原因としたノロウイルス感染症の可能性があるとみて調べている。市教委は同日、各校の学校閉鎖を月曜日の20日まで延長することも決めた。さらに原因が特定できていないため、学校給食が原因となった可能性を考慮して市内151の小・中・高校と28の幼稚園で20~22日の3日間、給食の提供を取りやめ、弁当を持参させる。


(追記) 2014年1月17日(金)配信の読売新聞の記事からです。

 静岡県浜松市内の多数の小学校で児童らが下痢や嘔吐の症状で集団欠席している問題で、市は1月17日、給食に出されたパンに付着したノロウイルスが原因の集団食中毒と断定した。給食のパンは市内の同じパン工場で製造されており、工場内からノロウイルスが検出された。市はこの工場を経営する同市東区の製パン会社「宝福(ほうふく)」を営業禁止とした。

 市によると、同様の症状による集団欠席が出ている小学校は、17日には3校増えて計17校となった。欠席児童も16日より155人増えて計1060人。そのうち小1男児(7)は15日夜から入院している。15校が学校閉鎖となり、2校が学級閉鎖となった。

 市は、児童や教職員の健康被害の広がりを受け、集団欠席が出ている各校の給食を調査。共通する食材の中で、提供前に加熱処理していない食パンや牛乳、果物などのうち、発症者が共通して食べていたのが食パンであることが判明した。1月16日にこの食パンを製造した工場に立ち入り検査を行ったところ、従業員用女子トイレのドアノブからノロウイルスが検出された。


(追記) 2014年1月18日(土)配信の毎日新聞の記事からです。

 静岡県浜松市の小学校で起きたノロウイルスによる集団食中毒で、原因となった給食用の食パンを製造していた「宝福」は1月18日、今月13日以降に製造された一般用の食パンや菓子パンなどの自主回収を始めた。144種8477点に上り、商品は愛知、岡山、静岡、山梨の4県のスーパーなどに出荷されているという。

 回収対象の商品名は「ホットドック」「メロンサンド」など他社製品と区別しにくいものが多いが、製造者名として包装に親会社の「ヤタロー」と記されている。4県以外の出荷状況は確認中。宝福は送料着払いで返品を呼びかけており、後日、商品代金を返金する。

 一方、市保健所は18日、職員を派遣し、改めて衛生管理や清掃状況などが徹底されていたか確認した。保健所や同社によると、給食パンが製造された13日夜は23人の従業員が働いていた。このうち検査の終わった9人の便からノロウイルスは検出されていないという。検出場所は当初、工場の女子トイレの「ドアノブ」としていたが、18日に「スリッパ」と訂正した。
 パンは個別包装されず、市内60の小学校に複数個まとめて配達されていたといい、工場内で付着したウイルスが拡散した可能性がある。


(追記) 2014年1月19日(日)配信の産経新聞の記事からです。

 静岡県浜松市の小学校児童らが給食パンでノロウイルスによる集団食中毒を起こした問題で、市保健所は1月19日、パンを製造した菓子製造業「宝福」の従業員16人を検便検査した結果、3人の女性従業員から「ノロウイルスGⅡ」が検出されたと発表した。これまでの調査では、同社工場の女子トイレの共用スリッパからウイルスが検出されたが、従業員から検出されたのは初めて。

 市保健所によると、3人はスライスされた食パンを手にとって検品し、配送用のトレーに箱詰めする作業を担当。市保健所の担当者は「検品作業の際にパンにウイルスが付着した疑いが強い」と話しており、手袋の交換頻度など作業時の衛生管理に問題がなかったかを調査する。

 感染源となった食パンが製造された13日には、男性10人と女性13人の計23人の従業員がパンの製造ラインで勤務していたが、嘔吐や下痢などの症状を訴える体調不良者はいなかった。市保健所は残る7人についても、早期に検便検査を行う方針。学校から回収したパンなどの食材についても検査を実施しているが、1月19日現在でウイルスは検出されていない。


(追記) 2014年1月19日(日)配信の毎日新聞からの記事からです。

 浜松市は1月19日、多数の児童が欠席した(児童数623名中、欠席児童113名、欠席割合18.1%)市立有玉小学校の給食室からノロウイルスが検出されたと明らかにした。集団食中毒の原因ウイルスとは遺伝子群が異なるといい、安全管理の不徹底について謝罪した。

(追記) 2014年1月20日(月)配信の静岡新聞の記事からです。

 静岡県浜松市の集団食中毒問題で原因となった食パンを製造した菓子製造業者の従業員3人からノロウイルスが検出されたことを受け、1月19日会見した市保健所は不十分な手洗いが集団感染につながった可能性が高いとの見方を示した。20日に同社で全従業員を対象にした衛生講習会を開き、手洗いの徹底を重点的に指導する。

 ウイルスが検出された従業員は、焼き上がった食パンを切り分けて検品し、容器に移してビニールで包装する工程を担っていた。市は「ウイルスの特性を考えると、人間の手を介した感染の可能性が高い」と指摘。指輪を外し、石けんを泡立てて何分もこするなど手洗いには細心の注意が必要だとし、今回は「(従業員が)用を足した後、正しい洗い方をしていない手で手袋を付けた可能性がある」と述べた。

 工場はウイルスが検出された女子トイレから製造ライン内に入場する際、手を消毒しないと自動ドアが開かない設備があるという。18、19日に工場への立ち入り検査を行った市保健所生活衛生課の松原雅博広域監視グループ長は「衛生的な意識は高い施設」とみる。菓子製造業者の親会社取締役は「(陽性反応があった)3人について、どのような感染経路が考えられるのか作業内容の調査を進める」と話した。


(追記) 2014年1月21日(火)配信の静岡新聞の記事からです。

 静岡県浜松市の市立小で提供された給食パンでノロウイルスの集団食中毒が発生した問題で、浜松市が1月20日に給食用食パンからノロウイルスが検出されたと発表したことを受けて、原因の食パンを製造した菓子製造業者(同市東区)の親会社取締役が21日午前、記者会見し、「一層、感染ルートがはっきりした。あらためておわびする」と謝罪した。

 会見では感染対策や制服管理など、衛生管理の態勢強化も表明した。従業員の靴についた菌やウイルスを除去するクリーナーや発熱の有無を確認する赤外線体温計を導入する。市保健所は20日までに、同社納入の食パンのほか、製造過程で検品作業を担当した女性従業員4人からノロウイルスを検出している。本社工場の女子トイレの共用スリッパからも検出した。


(追記) 2014年1月26日(日)配信の読売新聞の記事からです。

 広島市立中学校10校で1月24日に生徒303人と教職員21人が感染性胃腸炎の疑いで欠席・欠勤し、臨時休校となった問題で、市保健所は25日、発症した生徒・教職員17人の便からノロウイルスが検出されたと発表した。いずれも弁当製造会社「日米クック」(本社・大阪市北区)の広島東部センター(広島市安芸区)で22日に調理・提供された給食を食べており、市保健所はこの給食が原因の集団食中毒と断定。同社に対し、同センターの無期限の営業禁止を命じた。市は、25日になって新たに生徒4人が症状を訴えていることも明らかにした。

 発表によると、市保健所が発熱や嘔吐、下痢などの症状が出た生徒15人と教職員3人の便を市衛生研究所で検査したところ、生徒1人を除いてノロウイルスの陽性反応が出た。同センターの従業員34人の便、給食に出されたのと同じ食品218点などの検体についても検査を進めている。


(追記) 2014年1月27日(月)配信の読売新聞の記事からです。

 広島市立中学校10校で300人を長える生徒らが腹痛や下痢を訴えたノロウイルスによる集団食中毒で、市保健所は1月27日、原因の給食を調理・提供した弁当製造会社・日米クック(本社・大阪市)の広島東部センター(広島市安芸区)の男性従業員1人の便からノロウイルスが検出されたと発表した。

 男性従業員はプラスチック製コンテナ(縦40センチ、横60センチ、高さ10センチ)に入れられた給食の容器の数を確認し、コンテナのふたをして発送担当者に渡す作業をしていた。手袋を着用するなどの規則はなく、素手だったという。

 市保健所は集団食中毒との関連を調べる。市保健所などの発表では、同センターの従業員35人が感染源と見られる22日の給食に関わり、市保健所は全員の便を検査。男性従業員を除く34人は陰性で、ノロウイルスは検出されなかった。


                   (この項 健人のパパ)

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 宮崎県などによると、日南市南郷町東町の「医療法人春光会東病院」で2012年12月12日から22日にかけて、入院患者30人と職員14人の合わせて44人が「感染性胃腸炎」の症状(嘔吐や発熱など)を訴えました。病院が簡易検査を行ったところ、症状を訴えた44人のうち、5人からノロウイルスの感染を示す陽性反応が出たといいます。



 デンカ生研株式会社は、体外診断用医薬品のノロウイルス抗原キット「クイックナビ‐ノロ2」(2012年12月3日発売開始)を製造販売しています(大塚製薬株式会社も販売)。クイックナビ-ノロ2は、イムノクロマト法を用いて、糞便中(自然に排泄された{排泄便」のほか、直腸から採取した「直腸便」も診断できる)のノロウイルス抗原を迅速かつ特異的に検出する測定キットです。このキットは、2012年4月1日より保険点数が新規適用になり、実施料が150点で判断料144点となっています。



1.糞便(「検体」)を採取して、直ちに検体浮遊液(キットに付属する)に浮遊させる。
2.検体を浮遊させた液(「試料」)をテストデバイスの滴加穴よりテストストリップのサンプルパッドに滴加する。
3.試料は毛細管現象によりコンジュゲートパッドへ移動する。
4.抗NV-GⅠ及び抗NV-GⅡモノクローナル抗体(マウス)A及びB結合ラテックスが溶解し,試料中にノロウイルスが存在すれば、NV抗原と免疫複合体を形成する。
5.ノロウイルスが存在してできた免疫複合体はテストストリップのニトロセルロースメンブレン内を毛細管現象により移動し,テストライン上に固定化された抗NV-GⅠ又は抗NV-GⅡモノクローナル抗体(マウス)に特異的に捕捉され,青色のラインを呈する。
6.このラインの有無を目視で確認し,試料中のNV抗原の有無を判定する。
7.反応に関与しなかった余剰の抗NV-GⅠ及び抗NV-GⅡモノクローナル抗体(マウス)A又はB結合ラテックスはコントロールラインに固定化された抗マウス免疫グロブリン(Igs)抗体(ウサギ)に捕捉され,青色のラインを呈する。これはテストストリップ上で反応が正常に進んだことを示す。



(参考) 「息子の発熱と「イムノクロマト法」と「迅速診断キット」の原理と…

 ノロウイルスは、GenogroupI(GI),GenogroupⅡ(GⅡ)の二つの遺伝子グループに分類され、さらに、GIには14種の、GⅡには17種の遺伝子型(genotype)があることが知られています。そこで例えば、genogroupⅡ genotype4であれば、GⅡ/4 と表されます。福岡県内で2004年10月から2007年3月までに検出されたノロウイルスの遺伝子型を決定したところ、GⅡ/4は、ノロウイルスの162件中124件になり、76.5%という高率であったといいます。

 2012年第36週(9月3~9日)から第50週(12月10~16日)までに、ノロウイルスGⅡによる感染性胃腸炎は、26都道府県から550件(詳細な遺伝子型が確定した142件では、GⅡ/4が116件(81.7%)、GⅡ/6が6件、GⅡ/13が5件、GⅡ/2、GⅡ/3、GⅡ/7が各1件、ノロウイルスGIが4県から12件(うち、GI/3が2件)報告されているといいます。

 国立感染症研究所の「ノロウイルスGⅡ/4の新しい変異株の遺伝子解析と全国における検出状況」というページによると、2012年10月に、新潟県長岡保健所管内の2つの福祉施設で、今シーズン(2012/2013)初の感染性胃腸炎の集団発生があったといいます(「新潟県内の食中毒発生状況(平成24年)」では確認できず。新潟県上越市では、2012年12月1日、学校給食で提供された餅菓子から、7校の小中学校にまたがる大規模なノロウイルス食中毒が発生した(患者数445名) )。

 この2事例の患者から、遺伝子型GⅡ/4のノロウイルスが検出され、系統樹解析の結果、このGⅡ/4株は従来のGⅡ/4変異株とも異なる、新しいGⅡ/4変異株(「GⅡ/4 2012変異株」と仮称されている)であることが判明したといいます。遺伝子解析の結果、この新潟県の初発事例由来の12-1242株(1210-151-O-1242/O30/We/NO)は、2012年3月にオーストラリアで検出されたSydney/NSW0514/2012/AU(JX459908)と最も近縁であるといいます。

 アメリカ合衆国西部の山岳地域にあるワイオミング州(State of Wyoming、人口57万6千人ほど。鳥取県の人口が58万2千人ほど)のキャスパー(Casper、人口5万5千人ほど)で、2012年12月の中ごろ、‘buffet and grill’で知られる‘Golden Corral’で食事をした客の167名がノロウイルスによる感染性胃腸炎を発症したといいます。

12月22日(土)配信の毎日新聞の記事からです。

 遺伝子が変異した新型のノロウイルスによる食中毒や感染性胃腸炎が全国各地で流行している。この変異型ウイルスはこれまで東海3県では確認されていなかったが、愛知県で発生した食中毒患者の一部からこの変異型ウイルスが検出されていたことが分かった。ウイルスの解析を行った愛知県衛生研究所は、10月ごろ県内に侵入したとみている。ノロウイルスは遺伝子の配列によって種類が分別される。愛知県で検出された変異型は、2006年に全国的に大流行したウイルスの遺伝子が変異したもの。同じ変異型は国内では10月に新潟県で初めて確認されて以来、北海道や東京、大阪などに広がっている。

 2012年12月24日配信の産経新聞の記事からです。

 ノロウイルスは、日本だけでなく世界各国で猛威を振るっている。厚生労働省などによると、米国や中国のほか欧州諸国などでも感染が報告されている。流行の背景には、ウイルスの遺伝子が変異した新種の出現も指摘される。ノロウイルスにはワクチンなどの予防法がなく治療も対症療法に限られることから、抵抗力の弱い高齢者や子供がいる施設では感染をいかに拡大させないかがカギとなる。

 12月23日(日)配信の毎日新聞の記事からです。

 宮崎県日南市の「医療法人春光会東病院」で6人が死亡したノロウイルスによる院内集団感染。県は「病院の衛生管理が感染拡大の一因」と指摘した。一方、病院側は23日、「申し訳ない」と陳謝しながらも「一医療機関では財政的に不可能」と開き直った。

 県や病院によると、看護師らが使う感染予防対策用の医療用エプロンについて、保健所は1回使う度に廃棄するよう指導したが、病院は「品薄で入手が困難だった」として、汚れがひどいもの以外は一日中使っていた。また、看護師らが手袋を取った後にエプロンを触ることもあり、県は「汚物処理に不手際があったのが一つの原因」と指摘した。


 ノロウイルスによる集団感染を個人で防ぐことはほとんど不可能です。医療従事者や調理従事者に感染予防の一層の努力をしてもらうしかないのです。高齢者や子どもたちを守るためによろしくお願いします。



 データによると、ノロウイルスの検出数は、2012年第46週(11月12~18日)にピークをつけて減少していることから、流行は徐々に終息に向かっているようには見えます。

(追記) 2012年12月29日(土)配信の朝日新聞の記事からです。

 神奈川県横浜市緑区の療養型医療施設「横浜田園都市病院」(375床)で、入院患者72人と職員27人の計99人が12月25日から感染性胃腸炎を発症し、このうち患者4人が死亡した。患者2人の便からノロウイルスが検出されたといい、横浜市はノロウイルスによる集団感染とみて調査している。横浜市によると、亡くなった患者は80~97歳の男性2人と女性2人。26日から29日にかけ死亡したという。

(追記) 2012年12月31日(月)配信の産経新聞の記事からです。

 神奈川県横浜市緑区の療養型医療施設「横浜田園都市病院」で患者4人が死亡したノロウイルスの集団感染で、横浜市は12月31日、発症者が112人に増えたと発表した。横浜市によると、12月30日午前9時までに発症した入院患者77人と職員28人の計105人に加え、12月31日午前9時までに新たに患者5人と職員2人が発症した。発症した患者5人は、2、3階の医療病棟に入院していたという。

 ノロウイルスに感染すると発症するまでには24時間から48時間ある(「潜伏期間」)といいます。発症すると、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などを訴え、これらの「急性胃腸炎」の症状が1~2日続いた後、治癒します。ノロウイルスに感染した人の糞便や吐物には大量のウイルスが排出され、その処理が適切でない場合、さらなる感染を惹き起こします。ノロウイルスは少ないウイルス量で感染するので、ごくわずかな糞便や吐物がいずれかに付着して残ると、塵芥を生じ、その塵芥から経口感染することになります(「空気感染、飛沫感染、塵芥感染」)。

(追記) 2012年12月31日(月)配信のNHKのニュースからです。

 群馬県前橋市によりますと、前橋市樋越町にある高齢の視覚障害者が住む福祉施設「養護盲老人ホーム明光園」で、12月25日から31日にかけて、70代から90代の入所者16人と職員2人の合わせて18人が、下痢や嘔吐などの症状を訴えました。このうち、入所していた90代の女性が病院に入院しましたが、吐いたものが気管に入って肺炎を起こし、12月29日に死亡したということです。病院が検査をしたところ、この女性からノロウイルスの感染を示す陽性反応が出たということで、前橋市はノロウイルスによる集団感染とみて調べています。

 感染性胃腸炎による高齢者の死亡の多くは、この誤嚥性肺炎(嚥下性肺炎、aspiration pneumonia)が直接の死因になることが多い。食べ物や異物を気管内に飲み込んでしまう「誤嚥(ごえん、pulmonary aspiration、肺の吸引)」で、咳をする能力が低下していると異物を気管内から排出することができず、肺で炎症が生じます。

(参考) 「ノロウイルスによる「感染性胃腸炎」の集団発生を防ぐには、何をすれば、、、

(参考) 「猛威を振るう「ノロウイルスによる感染性胃腸炎」に対抗する手段はあるか。

(追記) 2014年04月28日の毎日新聞の記事からです。

 東京都は4月28日、「ザ・キャピトルホテル東急」(千代田区永田町)の大宴会場を4月19日に利用した20~60歳代の男女64人が下痢や発熱などの症状を訴え、このうち28人の便からノロウイルスが検出されたと発表した。全員快方に向かっているという。調査した千代田区は食中毒と断定し、大宴会場の調理場などを4月28日から4日間の営業停止処分とした。
 都によると、患者はいずれも同区内の建材販売会社の社員。同社は4月19日午後3~6時、大宴会場で立食パーティーを開き、社員約470人が参加していた。調理員1人からもノロウイルスが検出されたことなどから、調理員経由で食材にウイルスが付着した可能性が高いという。


                (この項 健人のパパ) 

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 国立感染症研究所は、2012年第48週(11月26日~12月2日)の感染症発生動向調査の「感染症週報」で次のように述べています。

 「感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第42週以降増加が続いており、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では鹿児島県(37.42)、宮崎県(34.72)、福井県(33.59)、大分県(28.67)が多い。

 感染症発生動向調査は、医療機関の協力のもとに、感染症に関する情報の収集と分析を行い、地域における感染症の流行状況を把握し、予防に役立てることを目的としています。全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により「小児科定点」(約3,000か所)、「インフルエンザ(小児科・内科)定点」(約5,000か所)、「眼科定点」(約600か所)、「基幹定点」(約500かカ所)に分かれています。



 ノロウイルスによる感染性胃腸炎は、全国の約3,000か所の小児科定点から報告され、「定点当たり報告数」というのは、「定点医療機関数」を分母とし、「報告数」を分子とします。鹿児島県での定点当たり報告数の「37.42」というのは、1つの定点医療機関での1週間での発症患者数がおよそ37人だったということになり、1日あたり5人強が受診した医療機関で感染性胃腸炎と診断されていることになります。

 全国平均では、2012年第48週の定点当たり報告数は「18.00」ですから、1つの定点医療機関で1日におよそ2.6人が「感染性胃腸炎です」と言われているわけです。最近10年間でみると、もっとも流行したのは2006年で、そのときの第48週の定点当たり報告数はおよそ22人だったといい、そのときに次ぐ勢いのようです。

 1968年11月、アメリカ合衆国オハイオ州ノーウォーク(Norwalk)のブロンソン小学校(Bronson Elementary School)において、急性胃腸炎(acute gastroenteritis)が集団発生します。急性胃腸炎患者の糞便から検出されたウイルス様のものには「ノーウォーク・エージェント(Norwalk agent)」と名づけられます。1972年に、保存されていた糞便サンプルが電子顕微鏡で観察され、ウイルスであることが確認されると、「ノーウォーク・ウイルス(Norwalk virus)」と呼ばれるようになります。

 アメリカで、クルーズ船でのノーウォーク・ウイルスによる急性胃腸炎が多発すると、注目されるようになり、「ノロウイルス(norovirus、Nor(walk)+o+virus)」と短縮して呼ばれるようになります。この名称は、2002年に、国際ウイルス分類委員会(International Committee on Taxonomy of Viruses)により承認されます。

 アメリカでは、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎を「冬季嘔吐症(winter vomiting disease、ノロウイルスは外界では1ヶ月近く生存すると言われ、この生存期間が低温になるとさらに伸びることから、冬場に流行が起こる。広島県地域保健対策協議会のサイトによれば、ノロウイルスは、下界で乾燥した状態で、20℃での生存期間が3~4週間であるのに対し、4℃では8週間程度生存するとされている)」、「ウイルス性胃腸炎(viral gastroenteritis)」、「急性非細菌性胃腸炎(acute nonbacterial gastroenteritis)」、「胃腸風邪(stomach flu)」などとも呼んでいます。 
 
 感染性胃腸炎は、嘔吐や下痢が主な症状である、細菌やウイルスなどによる感染症です。冬季に流行する感染性胃腸炎の原因はノロウイルス、ロタウイルス等のウイルスが中心で、中でもノロウイルスは感染力が強く、集団感染や食中毒を引き起こすことがあります。ヒトからヒトへ接触感染(患者の便、嘔吐物)するほか、ウイルスに汚染された食品を食べることでも感染します。

 12月15日(土)配信のカナロコの記事からです。

 神奈川県は12月15日、茅ケ崎市幸町の飲食店で料理を食べた17人が、下痢や腹痛などを訴える食中毒が起きたと発表した。県食品衛生課は原因を調べているが、17人に共通するのは同店で食べたコース料理で、患者からノロウイルスが検出されたことから、同料理が原因の食中毒と断定。また、大和市南林間2丁目の飲食店で料理を食べた11人も、15日までに食中毒の症状を訴え、患者からノロウイルスが検出された。

 12月16日(日)配信の毎日新聞の記事からです。

 山梨市の弁当製造業「まもかーる」が運営する「るんるんランチ」(甲斐市)の仕出し弁当による集団食中毒で、県は12月15日、原因物質をノロウイルスと断定したと発表した。患者数は同日現在で97事業所319人に上り、さらに増える可能性がある。

 12月17日(月)配信の毎日新聞の記事からです。

 弁当製造会社「ダイヤス食品」の広島支社が製造した給食弁当が原因とみられる集団食中毒があり、広島市保健所によると12月16日夕方までに1381人が下痢や嘔吐などを発症した。重症者はいないが、患者11人と従業員1人の便からノロウイルスを検出。同支社は10、11日に各約4700食を配達しており、ノロウイルスを原因とした集団食中毒では過去最多に迫る可能性がある。 厚生労働省によると、1000人超の集団食中毒は今年初めて。ノロウイルスによる集団食中毒では、2006年に奈良県で製造した仕出し弁当を食べた1734人の発症が最多という。

 12月18日(火)配信の産経新聞の記事からです。

 大東市龍間の「わかくさ竜間リハビリテーション病院」でノロウイルスに感染した女性患者(88)ら2人が死亡したことについて、同病院は12月17日、同日現在で61人の患者と21人の職員に下痢や嘔吐などの発症があると発表した。同病院によると、発症者は計6病棟で確認され、患者21人の便からノロウイルスが検出された。

 12月19日(水)配信のANNの記事です。

 大分県竹田市の総合病院で、入院していた80代の男性患者がノロウイルスに感染して死亡しました。患者が死亡した竹田市の大久保病院によりますと、16日深夜から嘔吐や下痢の症状があり、ノロウイルスが検出され、18日早朝に亡くなったということです。病院では12日以降、看護師2人を含む9人が嘔吐や下痢を訴え、うち6人からウイルスを検出。

 この記事は数日前から書き始めたのですが、次々と集団感染や食中毒の報告が増えていきます。

 ノロウイルスが感染する部位は小腸粘膜です。細菌のように毒素を分泌するわけではなく、十二指腸付近の小腸上皮細胞を脱落させることで、突発的な激しい吐き気や嘔吐、下痢、腹痛などを引き起こします。胃の膨満感やもたれ感が前記の症状に先行する場合もあるといいます。これらの症状は長くて3日程度で収まり、後遺症が残ることもないといいます。ただし、免疫力の低下した老人や乳幼児では長引くこともあるようです。

 ノロウイルスの感染経路の一つは、ノロウイルスに感染した人が、十分に手洗いを行わずウイルスが手についたまま調理をすると、食品が汚染され、その食品を食べた人が感染するというものです。集団食中毒になることがあります。食品の汚染は、調理者による場合だけではありません。人の糞便中のノロウイルスが、下水を経て川から海へ運ばれ、二枚貝の内臓に蓄積され、それを、十分に加熱しないで食べる(ノロウイルスはカリシウイルス科に分類され、その科のウイルスでの実験では、60℃では30分の加熱でも不活化(体内での増殖を阻止)されないが、70℃では5分間、煮沸では1分以内に不活化されるという)と感染することになります。感染経路の二つめです。これも集団食中毒になることがあります。

 提供された食品でノロウイルスに感染することを防ぐことは不可能に近い。外食をするな、出された弁当を食べるな、病院施設などでの食事をとるな、ということは言えないのです。調理従事者にノロウイルスに対する知識を十分に持ってもらって、注意してもらうしかないのです。個人的に対処するには、食品は十分に加熱することしかないようなのです。



 ごく少量(10~100個程度)で人に感染する(インフルエンザウイルスでは1000~3000個くらい必要)能力を持つノロウイルスの感染経路で問題になるのは、ノロウイルスを含む糞便や嘔吐物を処理した後、手についたウイルスや、不適切な処理で残ったウイルスが、口から取り込まれて、感染する場合です。

 ノロウイルスは、直径が30~38nm(ナノメートル、1nmは100万分の1mm)ほどです。嘔吐物の拭き取りと消毒が徹底されていない場合は、嘔吐物が乾燥して飛沫となって拡散し感染が拡大することもありえます。2006年12月中旬、東京都豊島区のホテルの宴会場の利用客らが嘔吐や下痢などの症状を訴え、池袋保健所がノロウイルスが原因と確定した出来事がありました。

 感染性胃腸炎の発症者(12月2日~10日の利用客372名)のうち300人が12月2日と3日の利用客(残りの72人はホテルの従業員)で、ほとんどが12月2日と3日に、3階と25階の宴会場を利用していた(372名のうち361名が3階と25階の宴会出席者)といいます。池袋保健所は、2日にホテルの3階と25階で嘔吐した客がおり(25階において嘔吐した利用客を介助したホテル従業員からノロウイルスが検出されている)、その際にノロウイルスが絨毯に付着し、利用者らが絨毯を歩いた際などに空気中に浮遊し、経口感染につながった可能性もあると推定しました。

 換気の悪い室内や利用者の通行が多い通路などでは、嘔吐時に発生したウイルスを含む飛沫が嘔吐場所に留まっっていることがあるといいます。また、嘔吐物が乾燥した後でも、その上を人が歩くと乾燥粒子が舞い上がり、手や足に付着し、口に入っていきます。自分が歩いている絨毯やカーペットからノロウイルスを含んだ乾燥した粒子が舞い上がっているなどということを私たちは知ることができません。この粒子が口に入るのを防ぐには、外出時にはいつもマスクをしていることが必要でしょう。

 手指についたウイルスを除去するためには、石鹸類を使い、泡を立ててよく洗い、水でよく洗い流す方法が、一番効果があるといいます。アルコール消毒の効果はなく、とにかく流水で洗い流すことなのだそうです。ノロウイルスは、細菌に比べ、大きさが30分の1~100分の1で、手の皺に深く入り込むので、より丁寧な手洗いが求められます。ハンドソープによる揉み洗い10秒に流水すすぎ15秒を行い、それを2回繰り返すと、ウイルス量は0.002%になるという実験結果があります。

  また、新たなノロウイルスによる感染性胃腸炎の集団発生のニュースが報道されています。

 12月20日(木)配信の毎日新聞の記事からです。

 呉市保健所は12月19日、海上自衛隊潜水艦教育訓練隊の男性隊員ら48人(19~51歳)が、17~18日にかけて嘔吐や腹痛を発症したと発表した。うち5人からノロウイルスを検出し、集団食中毒の疑いで調べている。

(追記) 2012年12月23日配信の毎日新聞の記事からです。
 
 国立感染症研究所によると、今年は下痢や嘔吐を起こす感染性胃腸炎の患者が多発している。全国の小児科で実施している定点調査(12月3~9日、49週)では、1定点あたりの患者報告数が19.62人。同時期では過去10年間で2006年に次いで多い。原因の大半がノロウイルスという。今回は新型が出現したことで、免疫を持っていない人が多いことも流行の背景にあるとみられている。

(追記) 2013年1月5日配信の共同通信の記事です。

 山形県は1月5日、山形県南陽市赤湯温泉の丹泉ホテルで食事をした10~80代の男女19人が下痢や腹痛の食中毒症状を訴え、うち5人からノロウイルスを検出したと発表した。いずれも軽症で快方に向かっているという。山形県によると、19人は昨年12月31日から今年1月1日にかけてホテルで刺し身などの提供を受けた。調理担当の従業員からもノロウイルスを検出したため、食事が原因と判断した。山形県はホテルの飲食部門を1月5日から3日間の営業停止処分とした。

(追記) 2014年5月8日の千葉県健康福祉部の報道発表資料からです。

4月28日
 市川保健所に同ホテル
(ディズニーシーの「ホテルミラコスタ」)から、4月26日に利用した2グループから、嘔吐・下痢を発症した者が複数発生しているとの連絡があった。
4月29日
 同保健所が、当該施設の調査を実施し、施設の利用状況を確認するとともに、施設関係者に対し、消毒方法等の衛生指導を実施した。
5月7日
 これまでに、26日に利用した8グループのうち、4グループの325名中106名が下痢・嘔吐等の症状を呈しており、発症者62名の便を検査したところ、52名からノロウイルスが検出された。また、宴会料理を喫食していないホテル職員25名が同様の症状を呈しており、検査を行った10名中9名からノロウイルスが検出された。なお、調理従事者については、ノロウイルスは検出されなかった。
 保健所では、現時点では同ホテルで調理、提供された食事を原因とする食中毒ではなく、ノロウイルスによる集団感染事例と判断している。保健所では、引き続き調査を実施しているが、重症者はなく、患者は、発症後数日で快方に向かっている。


                  (この項 健人のパパ)

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