POWERFUL MOMが行く!
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 人間の身体の器官に「甲状腺(thyroid gland)」があります。甲状腺はのどの部分にある内分泌器官で、全身の細胞に作用して細胞の代謝率を上昇させる働きを持つ「甲状腺ホルモン(thyroid hormone)」などのホルモンを分泌しています。この甲状腺を構成する細胞が癌細胞化したものが「甲状腺癌(thyroid cancer)」です。

 「ヨウ素(iodine)」という元素があります。ヨウ素は甲状腺ホルモンを構成する物質で、人間にとって欠くことのできない元素です。一定量を常に体内に取り込み続けなければなりません。それが行なわれないと、「ヨード欠乏症(iodine deficiency)」によって無力感、皮膚の乾燥、低体温、発汗減少などの多様な症状を見せます。

 「放射線(ionizing radiation)」に曝されることによって「甲状腺癌」を発症することが知られています。ヨウ素には原子核の中に存在する中性子の数で様々な種類があります。その中で、「ヨウ素131」は、海水中に一定量が存在する「ヨウ素127」と異なり、放射線(ベータ線)を出す元素です。

 ヨウ素131は、ウラン235が核分裂を起こした後に生成する物質であることが知られています。福島第一原子力発電所から飛散したと考えられるのがこのヨウ素131です。これが人体に取り込まれると、放射線を出して周辺の細胞を傷つけます。ヨウ素の取り込まれた場所が甲状腺であるために、甲状腺癌を発病することになります。

 ヨウ素131は、ヨウ素127と異なり、安定した元素ではなく、放射線を出しながら他の元素へと変わっていきます。およそ8日で半分の量が他の元素に変わり、ヨウ素131は元の量の2分の1になります。これを「半減期(half-life)」といいます。当然、放出する放射線も半分になります。さらに8日経つと元の量の4分の1になり、24日目には元の量の8分の1になります。

 ヨウ素131が今後は放出されないとすれば、放射線を出すヨウ素131は日が経つにつれて急速に減少していくことになります。放射性物質を原子力発電所のなかに抑え込む努力が功を奏することことを強く望んで止みません。

            (この項 健人のパパ)

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 物質は「原子」でできていますが、原子の中には「中性子」をつかまえて分裂するものがあります。例えば、ウラン235がそれです。ウラン235は中性子をつかまえて分裂するのですが、そのときに中性子を放出します。すると、その「中性子」が別のウラン235を分裂させることになります。これが核分裂の連鎖反応です。

 核分裂ではエネルギーが放出されます。この熱エネルギーを運動エネルギーに、さらに電気エネルギーへと変換し、利用するのが「原子力発電」です。核分裂からエネルギーを取り出すには、核分裂反応を自由に制御できなくてはなりません。核分裂反応の引き金になる中性子を制御することで核分裂反応を制御することになります。

 原子力発電所の多くは、「水」を用いて中性子の速度を減速し、中性子をよく吸収する炭化ホウ素などでできた「制御棒」で中性子の数を減らすことで、核分裂反応を制御しています。ウラン235などでできた「燃料棒」を水中に浸し、その間に制御棒を差し抜きすることで、中性子の制御を行なっています。

 福島第一原子力発電所では、燃料棒の間に制御棒が差し入れられ、核分裂連鎖反応は止まっています。

 原子力発電の厄介なところは、人間などの生命体に強い傷害を与える放射線を出す物質を扱うことです。燃料棒の中の「ウラン235」は核分裂を起こして消費され、セシウム133、ヨウ素135、ストロンチウム90などといった「核分裂生成物」へと変わっていきます。この核分裂生成物も熱エネルギーを出し、また放射線も出しています。これを原子炉という限定された場所で行なうことで、放射線による環境への影響を少ないものにしています。

 福島第一原子力発電所では、地震の被害で燃料棒を浸している水の供給装置への給電が損なわれて新たな水の供給ができず、残っていた水も蒸発で失われたことから、現在は海水を注水して、原子炉の温度を下げる努力と給電の復活の努力が並行して行なわれているようです。

 この作業には放射線の被曝を避けられず、健康被害が出ることが充分に考えられ、志願して作業に従事されている方々への感謝の気持ちは言葉に表せません。

                  (この項 健人のパパ)

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