POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 妻がスタイリーという飲み物を買ってきました。私に飲んでみたらと勧めてきます。

妻「そろそろ中性脂肪が気になる歳よね。」
私「チュウセイシボウって?」
妻「特保なのよ。」
私「トクホって?」
妻「スタイリーには中性脂肪を減らすモノグルコシルヘスペリジンが入っているそうよ。」
私「モノ、、、グリコ、、、ペニシリン?」

 会話が成立しませんでした。あまりにも知らないことが多すぎたので、知らない言語を話す外国人に話しかけられたかのようです。妻は栄養士の資格を持っているので、食品に関する知識は豊富です。日々、知識を増やす努力もしています。今度同じような話題で話しかけられたら、会話が成立するように調べることにしました。



 妻の会話に出てきた「トクホ」とは、「特定保健用食品」を短縮したもので、「特保」と書かれるようです。「がんが治る」などと効能をうたって商品を販売すると、医薬品の無許可販売となり、薬事法違反に問われます。2012年7月9日の産経新聞によると、長野県の業者が「がんが治る」などと言って、お茶を販売したため、薬事法違反の疑いで逮捕されました。



 特定保健用食品には、「疾病リスクが低減します」という表示が容認されます。その科学的根拠が医学的・栄養学的に広く認められ確立されているものは、この表示が許されるのです。茶飲料のメーカーとしては最大手の「伊藤園」の「スタイリー(Stylee)」のボトルには、「本品は、中性脂肪を減らす作用のあるモノグルコシルヘスペリジンを含んでおり、中性脂肪が高めの方や脂肪の多い食事を摂りがちな方に適しています。」と表示されています。

 これが容認される「疾病リスク低減表示」なのでしょう。ただし、この表示には制限がつきます。疾病には多くの危険因子があることや十分な運動も必要であることなどを表示し、過剰摂取に十分配慮した表示をつけなければならないのです。そこで、「1日1回1本を目安にお飲みください。多量に摂取することにより、疾病が治癒したり、より健康が増進できるものではありません。」という表記がスタイリーでは追加されます。

 「食後の血中中性脂肪が上昇しにくいまたは身体に脂肪がつきにくい」表示をした食品というジャンルには、例えば、2008年1月21日に「特定保健用食品」との表示を許可された「花王」の「ヘルシア緑茶」や2010年3月19日に許可された「サントリー食品」の「黒烏龍茶OTPP」(OTPPとは、ウーロン茶重合ポリフェノール(Oolong Tea Polymerized Polyphenols)の略称。OTPPはウーロン茶の半発酵過程中にカテキン類が重合して生じるウーロン茶特有のポリフェノールで、リパーゼ阻害活性を有すると考えられている)などがあります。「伊藤園」の「スタイリースパークリング」は、2012年4月17日に許可されています。

 今年(2012年)、特定保健用食品の表示許可を担当する「消費者庁」は、次のような内容の通知を食品会社や製薬会社727社(2012年7月現在)が会員である「公益財団法人 日本健康・栄養食品協会」にします。

 特定保健用食品の表示許可を受けた食品の中には、TVコマーシャルや広告などにおいて、あたかも当該食品を使用すれば、バランスの取れた食生活を考慮しなくてよいと受け取れるような表現が用いられているものがある。これは、偏った食生活を助長するおそれがあり不適切で、特定保健用食品の表示許可制度の趣旨を逸脱する。改善を望みたい。

 問題となったテレビCMは、「笑ゥせぇるすまん」(原作:藤子不二雄A)のキャラクター「喪黒 福造」に「脂肪にドーン」と言わせて、「黒烏龍茶」を摂取していれば脂肪を多く摂っても大丈夫と消費者に思わせてしまう内容のものです。私もこのコマーシャルを見ていて、疑問に思ったものです。必要以上のカロリーを摂取することが健康にいいはずがありません。このCMは、暴飲暴食をする人に免罪符を与えるようなものです。

 サントリー食品の「黒烏龍茶OTPP」は、次のような科学的根拠に基づいて、特定保健用食品の表示許可を得ています。

 (1)血清トリグリセライド値(血清TG値)が100~250mg/dlの成人男女を対象に、OTPP強化烏龍茶とプラセボ飲料を使用し試験を行った。その結果、OTPP強化烏龍茶の摂取により、プラセボ群と比べ高脂肪食摂取後の血清TG値の値が、摂取3時間後、5時間後で有意に抑制された。
 (2)健常成人男女を対象に、OTPP強化烏龍茶とプラセボ飲料を使用し、便中脂肪排泄量に及ぼす影響を検討した。その結果、OTPP強化烏龍茶の摂取により、プラセボ摂取と比較して、便中脂肪排泄量は有意に増加した。

 内閣府「食品安全委員会」のページで、面白い文書「「黒烏龍茶」に係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)」を見つけました。食品安全委員会が食品安全基本法に基づき、厚生労働省より「黒烏龍茶」の安全性の審査に係る食品健康影響評価について意見を求められたものに回答したものです。それには、「本食品の摂取に伴う脂肪の吸収阻害は最大で摂取量の7%程度と計算されている。」と書かれています。「黒烏龍茶」が脂溶性ビタミンの吸収を抑制する可能性はないかについて記述した部分にあります。

 「有意に」とは、「最大で7%程度」なのです。日本人の場合、食事中脂肪摂取量は1日40~70gほどだと言います。そのうち便中に排泄されるのは、7%程度のようです。すると、70g摂取した脂肪は5gほどが便中に排泄されます。65gほどは体内に吸収されるのです。ならば、黒烏龍茶を飲用しても65gの93%(100-7=93)である60g程度は、体内に吸収されてしまいます。単純に考えると、摂取する脂肪の93%は体内に残り、黒烏龍茶を飲用していても最少で86%は体内に残ります。現状維持で65gが体内に残るとして、黒烏龍茶を飲用する場合、75.6gまでの脂肪摂取が可能になります。5.6g余分に脂肪を摂取できることになります。食品成分表によると、カルビに用いられる牛ばら肉は、その50%が脂肪であり、焼くことによって脂肪は減りますが、それを考慮に入れないとすると、11g余計に食べていいことになります。脂肪が25%までに減ったとしても、22gほどになります。

 その程度の効果しかないと言うべきか、その程度でも効果があると言うべきか。国民の健康を増進させ、医療費の増加を抑制するには正しい食品に関する知識を「官」と「民」が協力して普及させなければなりません。「特保」に関する知識はある程度、仕入れました。次は「チュウセイシボウ」についてです。話が長くなったので、最後に特定保健用食品の表示許可の審査手続きについて述べて終わりにします。

(1)食品会社などは、消費者庁食品表示課に申請書を提出する。
(2)消費者庁は、消費者委員会新開発食品評価調査会に「安全性および効果」につき、諮問する。
(3)「効果」の判断をした新開発食品評価調査会は「安全性」につき、食品安全委員会新開発食品専門調査会に諮問する。
(4)「新規の関与成分の安全性」を中心に審査した新開発食品専門調査会は、消費者委員会新開発食品調査部会に答申する。
(5)「改めて安全性及び効果の判断」をした新開発食品調査部会は、厚生労働省医薬食品局に答申する。
(6)「医薬品の表示に抵触しないかの確認」をした医薬食品局は、独立行政法人国立健康・栄養研究所に「関与成分量の分析」を依頼する。
(7)消費者庁長官が「特定保健用食品」の表示を許可する。

※(妻「あみ」から) 食物繊維は、人間の消化酵素では消化されない食物中のすべての成分(「難消化性成分」)です。水溶性と不溶性に分類することができ、不溶性食物繊維に分類される「セルロース」は、穀類(外皮に多い)、野菜、豆類に多く含まれ、ヒトの消化液では消化できません。柑橘類、バナナ、人参、キャベツなどには、水溶性のペクチンが含まれ、水溶性食物繊維は食物中の脂質をその中に取り込み排出する作用があると言われています。脂肪分の多い食事を避け、必要量以上の脂質を摂らないのが最善ですが、脂質とともに水溶性繊維を含む食品を摂ることを心がけるのもよいことと思われます。

(参考)「特保って? チュウセイシボウって? モノグルコシルヘスペリジンって?(2)

(参考)特保って? 中性脂肪って? モノグルコシルヘスペリジンって?(3)

(参考)「スタイリースパークリング」という飲み物と「モノグルコシルヘスペリジン」

(参考)禁煙? 運動? モノグルコシルヘスペリジン? そしてフラミンガム心臓研究(1)

(参考)禁煙? 運動? モノグルコシルヘスペリジン? そしてフラミンガム心臓研究(2)

(参考)コレステロールには、悪玉も善玉もなく、人体に欠くことができない物質(1)

(参考)コレステロールには、悪玉も善玉もなく、人体に欠くことができない物質(2)

(参考)家族性高コレステロール血症とHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系薬剤)

            (この項 健人のパパ)

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 多くの学校は、始業と終業を告げる「キンコンカンコーン♪キンコンカンコーン♪」というメロディのチャイムを利用しています。このメロディは「ウェストミンスターの鐘(Westminster Quarters、Westminster Chimes、Cambridge Quarters、Cambridge Chimes)」と呼ばれています。正時は、4つの音節からなり(15分は1音節、30分は2音節、45分は3音節からなる)、30分の時になるメロディ(2音節)に45分の時になるメロディ(3音節)の前2つが付け加わります。

 (音符をクリックすると、メロディが聞けます)

 製品化されている時報装置の多くには、「ウェストミンスターの鐘」のメロディは入っています。例えば、セイコータイムシステム株式会社の時報装置「セイコーベルタイマーQBT-30」(標準価格\58,800)では、時報メロディが10曲入っており、その報時用メロディは「ウェストミンスターの鐘(40秒)、エーデルワイス(42秒)、小さな恋のメロディ(43秒)、チム・チム・チェリー(40秒)、ビビディ・バビディ・ブー(30秒)、夕焼け小焼け(40秒)、家路(45秒)、別れの曲(45秒)、美女と野獣(44秒)、ア・ホール・ニュー・ワールド(41秒)です。

 夏休みに入り、学校から解放された我が子「健人」は自由を謳歌し、昼ごろに起き出し我々の帰宅する夕刻までゲーム三昧です。それではいけないと、私が休みの時は強制的に英語の授業です。中学2年生なのですが、2年の教科書は終わってしまったので、きょうから3年生の英語の教科書に入ることになります。SUNSHINE 3のPROGRAM 1は「学校のチャイムはどんな音ですか。(How Does Your School Chime Sound?)」でした。

 その内容は、日本の多くの学校で毎日聞かれるチャイムのメロディは、ロンドンのあの有名な時計、ビッグベンのチャイムのメロディであり(The chime heard every day at many schools in Japan is that of Big Ben, the famous clock in London.)、このチャイムは、日本の中学校の先生とその友人の技術者によって、60年ほど前に作られたというのです(About sixty years ago this school chime was made by a Japanese junior high school teacher and his friend, a mechanic.)。

 教える前にいつも軽く読んでおくのですが、その内容にまたも好奇心が暴走し、授業を先に延ばし、ネットをあれこれと検索です。SUNSHINE 2のReview Reading 2の“Red Nose Day”を読んだときもそうでした。

(参考) 英国の「レッド・ノーズ・デイ(RED NOSE DAY)」と日本テレビの「24時間テレビ」

 ケンブリッジ大学に所属する「グレート・セント・メアリー教会(Great St Mary's、GSM)」の鐘のメロディは、ビックベンのメロディと同じであり、こちらが元祖だと言われています。15分おきに鳴らされることから、「クオーター(Quarters)」と呼ばれ、その鐘の音は「ケンブリッジ・クォーター(Cambridge Quarters)」と呼ばれていたのだそうです。

 現在、英国議会が議事堂として使用している「ウェストミンスター宮殿(the Palace of Westminster)」には、時計塔「エリザベス・タワー(Elizabeth Tower)」(エリザベス2世の在位60周年(The Diamond Jubilee of Queen Elizabeth Ⅱ、2012年)を記念して改称されるまでは、「クロック・タワー (Clock Tower)」と呼ばれていた。高さは96.3m)があります。

 1834年10月16日に建物内の加熱したストーブから発生した火災は、ウェストミンスター宮殿の大半を焼失させます。再建には、ゴシック様式のデザインが採用され、貴族院議事堂は1847年に、庶民院議事堂は1852年に完成し、1860年には建物の主要部分が完成をみます。時計塔の完成は1859年5月31日であり、7月11日には初めて鐘が鳴らされます。そのときに採用された鐘のメロディは、「ケンブリッジ・クォーター」。やがてこのメロディは、「ウエストミンスター・クォーター(Westminster Quarters)」と呼ばれるようになってしまいます。「ウェストミンスターの鐘」の誕生(?)です。

 1929年東京都に生まれ、東京大学文学部哲学科を卒業した「井上尚美(いのうえしょうび)」(1970~1988:東京学芸大学(講師・助教授・教授)、1988~:創価大学(教授・名誉教授))さんは、1952年から(1958年まで)東京都大田区立大森第四中学校の国語教師となります。大森第四中学校では、授業開始などの合図にベルを使っていました。しかし、そのベルがよく故障したことから、代わりのものを作ることにします。校長からけたたましいベルは使わないようにと指示されたことから、メロディーがあっておしゃれなロンドンの「ウエストミンスターの鐘」のメロディを採用することになります。

 製作を依頼したのは、従兄弟で技術者の「加藤一雄」さん。ラジオの時報装置を初めて作ったNHK技師「加藤倉吉」氏のお子さんだそうです。日比谷線「神谷町駅」下車(3番出口)、徒歩8分のところにある「NHK放送博物館」(東京都港区愛宕2-1-1)の3階展示フロア、「正確な時を伝える」というコーナーでは、「加藤倉吉」氏の業績を知ることができるようです。

 ――ちょっと横道――1929年、加藤倉吉氏は時報担当の技師であり、北村政治郎(ジャズクラリネット奏者「北村英治」氏の父)技術部長から自動時報装置の開発を命じられます。「自動的に時報を送出する、精度±10分の1秒の装置」という課題を与えられ、1932年に開発を成し遂げます(1933年1月1日から自動時報装置を使った時報の放送を開始)。――横道終わり――

 これを、SUNSHINE 3では次のように述べます。
 About sixty years ago, a junior high school teacher wanted to make a new school bell. Until then school bells went whooo... Some students remembered the air-raid warnings when they heard the sound. So the teacher and his friend made a new machine and chose the chime of Big Ben.

 この内容は、2004年10月4日から2009年3月6日まで「朝日放送(ABCテレビ)」で放送されていた報道・情報番組である「ムーブ!」(放送時間は、月曜日から金曜日の15:55~17:54)の2006年5月22日(月)放送の「学校のチャイムは何の曲?」に基づいているようです。

 発明は時代が要求したときになされるもの。それゆえに、お互いを知らず、発明は同時進行で行われることがあります。終戦を迎え、戦争を思い起こさせるサイレンやベルが嫌に思った人は数多くいたことでしょう。2007年10月1日の中日新聞の記事によると、「ウェストミンスターの鐘」をチャイムに採用した起源は3説あるそうです。いずれも正しいのでしょう。当時イギリスのBBC放送のラジオ放送をよく聴いていて「ウェストミンスターの鐘」が流れていたため、そのメロディをチャイムに採用した広島市の産業機器メーカーの技術者がいたこと、「ウェストミンスターの鐘」のメロディーが単純でオルゴールにしやすかったことからオルゴールに拡声器をつけて学校に納入した警報機メーカーがあったこと。



 「ウェストミンスターの鐘」は、ご覧の4つの音階からできています。この4つの音は時計塔の中に設置された4つの鐘がハンマーで打たれて作り出されます。 イギリス議会のサイトは、次のように述べます。

 The belfry sits above the clock faces and is where the Great Bell or 'Big Ben' and the four quarter bells hand. The first strike of Big Ben signifies the hour. Together the quarter bells ring out the Westminster Chimes, a tune based on Handel's 'Messiah'.(「鐘楼」は、時計の文字盤より上の階にあり、そこには「ビッグベン」と呼ばれる巨大な鐘とそれを取り囲んで、4つの鐘が吊り下げられています。正時にはまずビッグベンが撞き鳴らされ、それとともに、ヘンデルの「メサイア」が元になった「ウエストミンスターの鐘」が4つの鐘で奏でられます。)









 英国議会が議事堂として使用している「ウェストミンスター宮殿」の時計塔「エリザベス・タワー」は、“Big Ben”(ビッグベン)という愛称で呼ばれています。本来は、この時計塔の「鐘楼(Belfry)」の中に吊り下げられている一番大きな鐘を「ビッグベン」(正式名称は「グレートベル(Great Bell)」。高さ2.2m、直径2.9m、重さ13.5t)と呼んでいたのですが、やがて塔全体も指すようになりました。

 なぜ、ビッグベンと呼ばれるようになったのかについては諸説があり、そこに2人の人物が登場します。一人は「ベンジャミン・コーント(Benjamin Caunt)」であり、他の一人は「ベンジャミン・ホール(Benjamin Hall)」です。イギリスの中部「ノッティンガムシャー (Nottinghamshire)」にある「ハックナル・トーカード(Hucknall Torkard)」で1815年に生まれた「ベン・コーント」は、18歳の頃にはボクシング人生を送っていたといいます(この頃はグローブをつけず、素手で戦っていた。1841年(25歳)、ヘビー級のチャンピオンとなる)。その身長は189cmで、体重は93kgから95kg程度あったといいます。巨漢であることから、「トーカードの巨人(Torkard Giant)」とか「ビッグ・ベン(Big Ben)」と呼ばれていたようです。

 ボクサーに復帰した(1945年に引退していた)ベンは1857年(42歳、体重108kg)、「ナット・ランガム(Nat Langham)」と1時間29分にわたって死闘を繰り広げます。60ラウンドに達し、双方とも疲労で試合を続行できなくなったことから、試合は引き分けとされます。これは1959年に重さ13.5tのグレートベルが地上から61mのところにある鐘楼に18時間かけて持ち上げられ吊り下げられたときに遡る2年前の出来事でした。

 この当時、並外れて大きいものを彼にちなんで「ビッグベン」と呼ぶことが流行っていたようです。長い演説をすることで有名で、土木工学の技術者であり政治家であった「ベンジャミン・ホール卿(Sir Benjamin Hall、1802年生まれ。父親は製鉄業者)」も長身だったことからそう呼ばれていました。ウェストミンスター宮殿の再建事業を担当した「ベンジャミン・ホール」は「新しい時計塔の名前は、聖ステファノ(キリスト教における最初の殉教者。新約聖書の「使徒行伝」に登場する。ギリシア語“Stephanos”には「冠」の意味がある)にちなんで、“Saint Stephen's Tower”(セント・スティーブンズ・タワー)にしよう。そこに置かれる鐘は女王のお名をいただいて“Victoria Bell”にしよう」と熱弁を振るいます。

 ベンジャミン・ホールが長い長い演説を終えて着席をしたとき、議員の一人が「鐘はビッグベンと呼んで、それで済まそうじゃないか」と皮肉を口にします。議場にはどっと笑いが起きたといいます。「ビッグベン」という名前は大衆に受け入れられていきます。

 これも一つの説です。長い話になってしまいました。私は「ベンジャミン・ホール」2世?

                 (この項 健人のパパ) 



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 「ノッティングヒルの恋人(Notting Hill、1999年)」や「戦火の馬(War Horse、2011年)」の脚本家である「リチャード・カーティス(Richard Whalley Anthony Curtis、1956年生まれ)」らは、旱魃などによって数十万人が餓死したという「エチオピア大飢饉、1983~1985年)」に際して、イギリスの慈善団体「コミック・リリーフ(Comic Relief)」を1985年に設立します。

 Comic Relief was launched from a refugee camp in Sudan on Christmas Day in 1985, live on BBC One. At that time, a devastating famine was crippling Ethiopia and something had to be done. That something was Comic Relief.

 The idea was simple - Comic Relief would get a whole bunch of much-loved British comedians to make the public laugh while they raised money to help people in desperate need.

 As well as doing something about the very real and direct emergency in Ethiopia, Comic Relief was determined to help tackle the broader needs of poor and disadvantaged people in Africa and at home in the UK.
(コミック・リリーフのサイトから)



 奇数年(前回は2011年、次回は2013年)の3月の第2または第3金曜日に、「赤鼻の日(Red Nose Day、レッド・ノーズ・デイ)」というチャリティ・イベントがこの慈善団体の主催で行なわれ、人々は「レッド・ノーズ」というスポンジやプラスチックでできた赤い鼻をスーパー・マーケット(例えば、セインズベリー(Sainsbury's))などで1ポンド(2012年8月10日で、約122円)ほどで購入し、鼻につけます(その収益金は慈善団体に入る。日本で言うなら、「赤い羽根」のようなもの)。

 学校や職場でも募金活動が行なわれ、コミック・リリーフに寄付されます。この日は、学校へは制服を着用せず登校し、私服で1ポンドを寄付金として持って行きます。イギリス放送協会(BBC)では、夕方から朝方にかけて「テレソン(長時間特別番組、日本テレビ系の24時間テレビ 「愛は地球を救う」のようなもの)」が放送されます。

 2011年度は、およそ1億ポンド(£108,436,277、約122億円)の募金が集まったといいます。この募金はすべて慈善活動費となります。このイベントの運営費やスタッフの給料はすべてスポンサーが出しているからなのだそうです。ちなみに、2011年8月20~21日に行なわれた「24時間テレビ 「愛は地球を救う」」での募金総額は、およそ20億円(1,986,414,252円)だったようです。



 この話題を書こうとしたのは、夏休みで日中、家にいることの多い息子「健人」に英語を教えていて、英語の教科書「サンシャイン(Sunshine)」2年のReview Reading 2(123ページ)で、この“Red Nose Day”が取り上げられていることに気づいたからです。

 Comic Relief is a charity grouup in the U.K. In the 1980s,many people in Ethiopia had no food. People in the U.K.wanted to do something to help them.(「サンシャイン」から)

 エチオピアの飢饉だけではなく、世界中に解決すべき問題が山積しています。コミック・リリーフは、その解決にいくらかでも貢献できることを願って、募金活動を継続します。“comic relief”とは、「真面目な話の中で、息抜きをする笑い」を言います。深刻な問題を深刻にならずに解決しようとする心意気を感じるようなネーミングです。“Funny For Money”、「楽しいことをしてお金を集めよう」というのでしょう。コメディアンたちが始めた活動です。そこに笑いの要素を忘れません。

 So in 1988,Comic Relief started a Charity event,Red Nose Day.  The symbol of Comic Relief is a red plastic nose. Anyone can get a red plastic nose in exchange for a donationat a sbop. Many people wear the noses on Red Nose Day.(「サンシャイン」から)

 コミック・リリーフは、長年続けているこの活動で、8億ポンド以上の寄付を集め、その寄付のおかげで、何百万人もの人生をいい方向に変えることができたとサイトで述べています(2012年現在。We've so far raised over £800 million and helped to change millions of lives as a result.

 サンシャインのデータは、古いようですね。平成23年(2011年)2月の文部科学省の検定済みとありますから、2011年3月のRed Nose Dayの募金額が加算されなったのでしょう。

 Comic Relief raised about £600 million in the U.K.(「サンシャイン」から)

 「24時間テレビ」は、1978年(昭和53年)に日本テレビの開局25周年を記念し、特別番組として放送されました。「24時間テレビ」が発信するメッセージが日本の未来につながる契機となることを願い、また、テレビの持つメディアとしての特性を最大限に活用し、国内外の福祉の実情や支援の必要性を伝えるという企画意図のもと、全国の視聴者の皆様に支えられ、「24時間テレビ」は今年35回目の放送を迎えます。(「24時間テレビ 愛は地球を救う」のサイトより)
 
 1985年8月24~25日に行なわれた「第8回24時間テレビ」では、メインテーマを「アフリカ飢餓救援」とし、およそ10億円が募金額であったようです。それに先立つ1983年8月20~21日に行なわれた「第6回24時間テレビ」でも、メインテーマを「アフリカ飢餓緊急援助」とし、およそ10億円が募金額であったようです。

 日本のチャリティ・イベント「24時間テレビ 愛は地球を救う(“24-Hour Television Love Saves the Earth”)」にも「レッド・ノーズ」のようなものが欲しいですね。コンビニと協賛して、それを買うと全額寄付になるといった、、、 

 24時間テレビでは、「チャリTシャツ」を販売していますが、1,500円します。2012年度は、歴代1位となる76万4,198枚を売り上げたようです。その売上額は、11億4630万円ほどになります。24時間テレビの地球マークがピンバッジになり、300円で販売されました。望むなら、300円以内で赤い羽根のように老若男女が象徴的に身に付けられるもう少し遊び心のあるものも欲しいような気もします。レッド・ノーズ・デーにおける「赤い鼻」のような、、、

(追記) 西暦奇数年である今年(2013年)は、「Red Nose Day(レッド・ノーズ・デイ)」が開催されます。奇数年の3月の第2か第3金曜日に開催されるRed Nose Dayは、今年は第3金曜日の3月15日です。BBCで3月15日にレッド・ノーズ・デイ特別番組が放映されます。

 売価の50%ほどが慈善団体に寄付されることになるレッド・ノーズ・デイの記念グッズの中にスポンジやプラスチックでできた赤い鼻「Red Nose」があります。今年は、恐竜のキャラクターがデザインされたものでユニーク。暴君(tyrant、タイラント)のごとく振舞ったと言われる肉食恐竜「ティラノサウルス(Tyrannosaurus rex)」は、「T・レックス(T-rex)」と略称されますが、それをもじった「T・スペックス(T-Spex)」は、メガネをかけていて、おとなしめの秀才風です。

 ティラノサウルスにとって捕食対象であったと考えられている、3本の角を持つ草食恐竜「トリケラトプス(Triceratops、トライセラトプス)」をもじった「トリセイトプス(Triceytops)」は、かわいらしい女の子風です。さて、恐竜なのか正体不明なのが、「ダイナマイト(dynamite)」をもじった「ダイノマイト(dinomite、ダイナマイト)」。恐竜は、ダイナソー(dinosaur)であることから、まあ恐竜かな。



 今年の赤い鼻「Red Nose」は、足(足指、toes)が付いて、自立します。“Red Nose Day 2013”の“Order stuff”というページでは、レッドノーズが自分で歩いて逃げ出す前に手に入れましょうと忠告しています(But remember, they’ve got toes, so get them before they run out!)。




                   (この項 健人のパパ)

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 2012年7月30日、イギリスの「フィナンシャル・タイムズ(The Financial Times)」が「オリンピックがロンドンをゴーストタウン化させている(Games turn London into‘ghost town’)」という記事を載せています。

 オリンピックのせいで、観光客がロンドン市内の小売店やホテル、劇場などに足を運んでいないというのです(visitors who would normally flock to the capital's shops, hotels and theatres stay away)。そのために、ロンドンの都心部が「ゴーストタウン」化しているそうです(The Olympics is creating a“ghost town”effect in central London)。

 オリンピックが短期的な景気浮揚効果をもたらすという予想には疑問が呈せられたことになるようです(casting doubt on expectations of a short-term economic boost from the games)。しかし、「2012年、ロンドンを訪れる外国人観光客は、オリンピック開催のせいで減少するかもしれない」という別の予測も1年前にはされていました。

 過去の経験からみて、オリンピック開催で必ずしもその年度の外国人観光客が増えるとは限らないようなのです。北京オリンピックが開催された2008年に中国を訪れた外国人観光客は2007年より2%少なかったそうです。しかし、オリンピックで世界的に注目されることから、翌年以降外国人観光客が増加することはあるようです。

 ロンドンは、2010年の統計によると、年間1,470万人の外国人観光客が訪れたそうです。



 フィナンシャル・タイムズの記事は続けます。「オリンピックはすでにロンドンに外国人観光客を10万人も惹きつけた(The games have attracted as many as 100,000 foreign visitors to London)」が、「通常の年ならば、推定30万人が来ていたはずだ(the estimated 300,000 foreign tourists who could be expected in a typical year)」と言います。この30万人という見積もりがどの期間で得られるかが分からない表現です。

 ロンドンオリンピックは、2012年7月27日から8月12日まで開催されます。17日間です。ロンドンを訪れる1470万人を365日で割ると、およそ1日に4万人が訪れていることになります。単純な思考ですが、これに17日を掛けると68万人が得られ、この「30万人」がオリンピック開催期間中の外国人観光客数を指さないだろうことは想像がつきます。

 では、27、28、29、30日の4日間を指すのでしょうか。ならば、16万人です。それともこの記事を書いた記者は、日々の観光客数に関する詳細なデータを持っており、そこから、この時期の4日間の観光客数を30万人と割り出したのでしょうか。

(8月4日追記) 8月2日のAFP配信の記事によれば、ロンドンを8月に訪れる外国人観光客は、毎日30万人に達するそうです(国内観光客は80万人)(London has approximately 300,000 foreign and 800,000 domestic visitors every day in August.)。これが正しいとすると、ロンドンは8月だけで、900万人ほどの外国人観光客を集めることになります。それが、激減しているとすれば、政治的に問題になりそうなほど、観光業にとって大打撃となります。

 ロンドンは、人気の観光地としての魅力を失ったわけでは決してありません。ロンドンを訪れたいと考えている人たちは、ロンドン市内の混雑とホテルの宿泊料金の高騰を避けるために、8月を避け、オリンピックとその後に続くパラリンピックも終わる9月まで旅行を先延ばしにしているようなのです(Many holidaymakers are meanwhile delaying their trips to London until September, following the end of the Olympics and Paralympics. ※holidaymaker(vacationer)=休日の行楽客)。ホテルの宿泊料金が高騰しているのなら、何もその時期ではなくてもよいと考えるのは消費者としては賢いと言えます。(追記終わり)

 ロンドンオリンピックでの客足の増加を予想して、ホテルは宿泊料金を大幅に上げたといいます(The hotels put up prices heavily earlier in the year)。そのために、大手のツアー主催者の中には手を引いたところもあったようです。このことを聞くに、一攫千金を夢見た観光業者の自業自得の面もありそうです。

 「オリンピック開催期間中のロンドンのホテルの宿泊料金は6月中の2週間で25%ほど下落した(prices in London during the Olympics had fallen around 25 per cent in a two-week period in June)」と言います。ロンドンに行くのは今なのでしょうか。時間とお金があれば、行きたいところです。いや、待てよ。25%下落といっても、通常よりなのか、上昇した宿泊料金からなのか、調べてからがよさそうです。

               (この項 健人のパパ)

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