四分表から、曝露群の発症率を A /(A+B)で、非曝露群の発症率を C /(C+D)で求めることができます。この曝露群の発症率を非曝露群の発症群で割ったものが相対リスクになります。例えば、曝露群の発症率が0.3で、非曝露群の発症率が0.1だとします。0.3/0.1=3 で、相対リスク(RR)は、3 ということになります。
全身に、体表だけなく内臓にも、膿疱が生じ、呼吸器に生じた膿疱により肺が損傷を受け、重篤な呼吸不全によって、死に至る(致死率は40%前後といわれた)こともある「天然痘(疱瘡、痘瘡、smallpox、variola)」は、「天然痘ウイルス(variola virus、バリオラウイルス、痘瘡ウイルス)」によるウイルス感染症で、ヒトのみに感染し発病させます。20世紀だけでも2~3億人が死亡したとされる天然痘は、1980年5月に世界保健機関(World Health Organization、WHO)が「天然痘根絶宣言」を出しています。
今春から中国で感染者が相次いだ鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の特徴を、さまざまな哺乳類を使った実験で解明したと、東京大などのチームが7月10日付の英科学誌ネイチャー(電子版)に発表する(“Characterization of H7N9 influenza A viruses isolated from humans”)。日本人は感染や悪化を防ぐための抗体を持っていないことも判明した。チームの河岡義裕・東京大教授は「パンデミック(大流行)を起こした場合、肺炎患者が増える可能性がある」と指摘する。H7N9型ウイルスは、遺伝子解析から、ヒトの細胞に感染・増殖しやすい特徴があると予想されていた。チームは、上海市と安徽省で見つかった最初の2人の患者から採取したウイルス( A/安徽/1/2013 (H7N9)、A/上海i/1/2013 (H7N9))で、哺乳類のフェレットやマウス、サルなどに感染させた。その結果、両方のウイルスは、フェレットの鼻やのどなどの上気道で増殖しやすかったほか、サルでは上気道に加え肺でも増殖した。また、安徽省のウイルスでは、飛沫感染を起こすことをフェレットで確認。マウスの実験では、既存の抗ウイルス薬が、2009年に大流行したH1N1型に比べ、症状を抑える効果が低いことも分かった。さらに、日本人500人を調べたところ、全員がH7N9型のウイルスに対する抗体を持っていなかった。
WHOが「世界におけるインフルエンザ流行状況」を報告していますが、2013年1月4日の最新の報告に気になる記述があります。アメリカではインフルエンザが原因と考えられる小児の死亡が2012年52週(12月26日~1月1日)には2例あったが、いずれもB型のインフルエンザに感染していたというのです。“Two influenza-associated pediatric deaths were reported (compared to eight in the previous report); both were associated with influenza B viruses.”
この時期に検出されたインフルエンザウイルスの大半はA(H3N2)であったそうですが、インフルエンザ陽性検体2961のうち、79%はA型のインフルエンザであり、21%がB型インフルエンザだったようです。“In the USA, the majority of influenza viruses detected were A(H3N2), however influenza B accounted for a larger proportion than in Canada. Of the 2961 influenza positive specimens in the last week of 2012, 79% were influenza A and 21% were influenza B. ” 5人に1人はB型のインフルエンザに感染していたということになります。
B型のインフルエンザウイルスのサブタイプを決定したところ、115検体のうち、3価のインフルエンザワクチンに採用した「山形系統」のB/Wisconsin/1/2010の類似株が69%であり、残りの31%が「ビクトリア系統」であったようです。“Of the 115 influenza B viruses characterized 69% were B/Wisconsin/1/2010-like of the Yamagata lineage, the B virus component of this seasons trivalent influenza vaccine, and 31% were of the Victoria lineage.” B型のインフルエンザに感染すると、その30%ほどがインフルエンザワクチンに採用されなかったビクトリア系統ということになります。ビクトリア系統は、0~4歳、60~70歳群において、抗体保有率が低いことから、この年齢群に属する人はインフルエンザ感染に特に注意する必要がありそうです。
2012~2013年シーズンのインフルエンザウイルスからは、いまのところ、耐性ウイルスが発見されていないといいます。“Since 1 October, none of the 526 A(H3N2), 39 A(H1N1)pdm09, or 226 B viruses have been resistant to neuraminidase inhibitors.” 発症しても、症状を緩和させるのに有効な薬剤があり、その効き目が現在のところ損なわれていないというのは安心といえます。
東京都健康安全センターの「インフルエンザ検出数」というグラフを見れば、その観測も頷けるものがあります。WHOの報告によれば、世界的にはカナダ、西ヨーロッパ、北アフリカ、中国などでインフルエンザの流行が拡大しています。検出されたウイルスの大多数はA(H3N2)型ですが、メキシコではA(H1N1)型、中国ではB型が多くなっているといいます(The most commonly detected virus type or subtype throughout the northern hemisphere temperate zone has been influenza A(H3N2) with the exception of China, which is reporting a predominance of influenza type B, and Mexico, where influenza A(H1N1)pdm09 is the predominant subtype circulating.
In addition to Mexico, some southern states of the United States of America and Colombia in northern South America have also reported a predominance of A(H1N1)pdm09 in recent weeks. )(WHO“Influenza update”03 February 2012)。