POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 今日は、横浜みなとみらいの「万葉倶楽部」に来ています。ここのところ、温泉と読書がマイブームになりつつあるかも。新型インフルエンザの動向を見守っていたら、海外旅行に行きそびれてしまいました。



 サーチャージが7月からなくなるので、いとしのヨーロッパに行くチャンスなのですが、夫は「アジアが混沌としておもしろいじゃないか」と言います。「ヨーロッパに行くなら、一人でどうぞ」と言われそう。仕事の関係で最近遠出が多いのですが、それが苦にならないのは、新しい場所に行くと私の中の何かがパワーアップするからです。

 「会社の経費で、いろいろと新しい場所に行けていいじゃないか。旅好きの君には最高なんじゃない。」と夫。でも、朝早く起きて、遠くに出かけるのはやはり疲れます。そんなわけで、今日は、明日の仕事場の近くの「横浜みなとみらい」の「万葉倶楽部」という温泉施設に宿泊。

 家族で来たのなら、ホテルに滞在するのでしょうが、1人ではもったいない。そんなわけで、温泉気分を満喫できるこの温泉施設に宿泊。今は、無料のインターネットコーナーでブログを投稿中です。(明るいとモットいいのですが、暗い場所でインターネットは厳しいですよ、支配人さん)

 戸塚温泉「ラジャの湯」(スカイガーデンスパ(男女共用水着エリア)があります)と横浜みなとみらいの「万葉倶楽部」とを最近利用しましたが、設備の充実では、万葉倶楽部が格上のようです。かけたコストの割に、がっかりしたのは、スカイガーデンスパ。立地はいいけど、施設は貧弱です。

 先日、この「万葉倶楽部」に来た際に気に入って、会員になってしまいました。会員割引があって、お得なので入会しました。温泉施設で、お肌がつるつるになって、エステが不要になるなら、間を置かずに通っても「お安いもの」かもね!

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 タイ語、中国語、ベトナム語は、音節内で声の高低が変化する「曲線声調(contour tone)」を持っています。声調を用いる言語を声調言語(tone language)といいます。声調が違うと同じ音節でも意味が違ってきますから、声調言語にあっては声調をおろそかにできません。
 
 中国語の場合、「普通話(共通語)」には4つの声調があるので四声(しせい)と言われています。タイ語には、ほぼ高低に変化のない「高平調」、「中平調」、「低平調」と高低が大きく変化する「上昇調」、「下降調」の5つがありますから、「五声」と言っていいのかも知れません(もちろん、こうは言わない)。



 この声調を音の高低を5段階に分けて、その変化を示す「5度式」を用いて、表にしてみました。“3”はその人の普通の声の高さを示しており、やや(音程の)高い声を“4”、さらに高い声を“5”とします。「高平調」は、“5”で始まり“5”に終わるのはなく、(音程の)高い声を出そうとする試みなので、“4”で始まり、“5”に至ったり、人によっては、“3”あたりで始まり、“4”に至ったりするようです。

 やや音程の低い声は、“2”で、さらに低い声は、“1”です。「低平調」は低い声を出そうとする試みなので、“2”あたりで始まり、“1”の音程に至って続きます。

 高低が大きく変化する「下降調」は、音程の高い声から低い声へ、「上昇調」は低い音程から高い音程へと変化させていきます。初めから高い音程や低い音程を出すのは難しいので、一度普通の音程のやや高い(低い)ところから始め、さらに高く(低く)してから、一気に下降(上昇)させます。

 中国語は、その表記に「漢字」を用いることから、表記上、声調の情報が含まれません。初学者のために、「ピンイン(拼音)」という補助的な表示方法があり、それにはアルファベットが用いられることから、声調符号がつきます。中国語を音読しようとするとき、個々の「漢字」の声調を覚えていなくては正しく発音はできません。



 ベトナム語には、声調符号があり、アルファベットを表記に用いていることから、表記上も声調符号が付けられています。



 ベトナム語を音読しようとするとき、個々の単語の声調を覚えておく必要はないことになります。もちろん、会話しようとするのなら、声調を覚えておく必要はあるのですが、「耳」から学ぶときは自然と覚えてしまうものでしょう。



 タイ語には、声調符号があります。 「マイエーク」、「マイトー」、「マイトリー」、「マイチャッタワー」の4種類です。無符号の場合を入れて、5種類の声調を表すことができます。ところが、この符号、例えば、「マイチャッタワー」=上昇調(上声)、「マイトリー」=高平調(高声)ではあるのですが、「マイエーク」=低平調(低声)とは限らず、「マイトー」=下降調(下声)とも限らないのです。また、上昇調(上声)には必ず「マイチャッタワー」という声調符号がつくとは限りません。子音文字の3分類(中子音字、高子音字、低子音字)でその声調符号の持つ意味が異なっているのです。難しくて、「参っちゃったわー」です。失礼。



 つまらない駄洒落が出てしまったので、続きは次回に、、、

             (この項 健人のパパ) 

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 タイ、インドネシア、インドなどには、三輪自動車を利用したタクシー(three-wheelers)があります。インドではオート・リクシャー(auto rickshaw)、インドネシアではバジャイ(bajaj)と呼ばれていますが、タイでは、「トゥクトゥク(tuk-tuk、รถตุ๊กตุ๊ก、rot tuktuk)と呼ばれます。



 TUKTUK HISTORY
 The first Motorized three wheeler car "tuk-tuk" was renamed by the tourist because of the engine sound to be "Tuk-Tuk". The pioneer motorized three wheelers car were imported from Japan to Thailand for approximately 50 years ago.


 この「トゥクトゥク」の正式名称は、「サムロー(รถสามล้อ)」ですが、バイクと同じ2サイクルエンジンを搭載し、排気量が小さかった(the sound made by their small-capacity, two-cycle engines)ために、エンジン音が「トゥクトゥク」("tuk-tuk-tuk-tuk-tuk" sound)と聞こえたことに由来するようです。郵便収集車として使用されていた中古の「ミゼット」(ダイハツの三輪トラック)がタイに輸出されたのが始まりとされています。


 Thailand built Tuk-Tuks cost between 95'000 Baht and 150'000 Baht. As far as we know, there are about five to six manufacturers of Tuk-Tuks in Thailand.

 「トゥクトゥク」を生産するタイのメーカーは5社ほどあり、その価格は1台30万円ほどするようです。最近では、日本製の550ccのエンジンを搭載し、1000kgほども積載できるようです。大きさは、幅130cm、長さ310cm、高さ190cmほどです。リッター10~15kmほど走ります(時速60km走行時)。燃費、よくないですね。

 暑いタイのバンコクで、一種のオープンカーである「トゥクトゥク」に排気ガスを吸いながら、乗ることはちょっと遠慮したいところです。

 話をタイ文字に戻します。きょう、覚えるのは、気音を伴わない「無声歯茎破裂音」の/t/です。タイ文字は、“”(トー タォ、亀のt)です。タイの三輪タクシー「トゥクトゥク(“ตุ๊กๆ”)」を利用して覚えることにします。日本語の「々」にあたる反復記号「ヤモック、ยมก、yamok、()」も出てきます。ちなみに、「々」は「どう」と入力すれば、表示されます。



 タイへの旅行を計画し、タイ語の表記を読めるように、タイ語の勉強を始めたのですが、そのタイがまたまた遠くなりそうです。2009年6月27日配信の毎日新聞の記事からです。

 タイのタクシン元首相派組織「反独裁民主戦線」(UDD)は6月27日、バンコク中心部で大規模な集会を開催し、アピシット首相の辞任や下院の解散、総選挙を求めた。タクシン派の大規模集会は、同派の抗議行動が暴徒化して治安部隊と衝突した4月以降初めて。政府は多数の警官や治安部隊を動員し、集会の警備に当たっている。
 集会は王宮前広場で開かれ、2万人近い赤シャツ姿のタクシン派が集結。28日朝まで続き、海外逃亡中のタクシン氏も衛星電話を通じて演説した。
 4月の抗議行動の暴徒化で一般国民はタクシン氏への反感を強め、UDDの活動は下火になっている。しかしタクシン氏は下院補欠選の自派候補応援の電話演説で、「危機的な国内情勢を解決するため、早期に帰国したい」と訴えるなど、依然帰国・復権の望みを捨てていない。


 騒乱に巻き込まれることを恐れて、幾度もタイ行きを延期しているのですが、また先延ばしせざるを得ないのでしょうか。旅行の行き先をベトナムにすることを主張する妻「あみ」や香港を主張する我が子「健人」に有利なニュースです。プラス思考で考えるならば、タイ語の勉強にもっと時間が割けるようになったということかな。時間的な余裕ができた、と考えておきます。

            (この項 楽天的に生きたい「健人のパパ」)

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 タイ文字の子音文字は、3分類されます。中子音字、低子音字、高子音字です。この分類は、声調と関係するので、分類自体を覚えなくはなりません。まず、「中子音字」9文字を覚えることから始めました。この中子音字は、「有声破裂音」と気音を伴わない「無声破裂音」のみですから、覚えやすいと考えたわけです。

 無気の無声両唇音の/p/は、「ペプシ(コーラ)(英語綴り pepsi、เป๊ปซี่โคล่า))」で覚えました。



 有声両唇音の/b/は、「バー(英語綴り bar、บาร์)」です。



 きょうは、「ドーナッツ(donut、“โดนัท”)を使って、有声歯茎破裂音の/d/(“”、ドー デック、子どものd)を覚えることにします。



 “นัท”(nat)という音節は、「頭子音+母音+末子音」という構造を持っています。子音文字が末子音に使われると、本来の音ではなくなることがあります。/th/という音価を持った子音字はすべて、音節の最後に使われる(末子音)場合は、/t/になります(破裂を伴わないので、聞こえない。つまり、「ドーナッ」と聞こえる)。



 韓国語でも同じような現象が見られます。“한글”(ハングル)の2つの音節“한”と“글”に見られるように「子音+母音+子音」の組み合わせでは、最後の子音(末子音)をパッチム(받침)と言います。パッチムは、表記上は全部で27種類ありますが、その発音は7種類のみになります。 /k/、/t/、/p/、/n/、/m/、/l/、ngの7種類です。タイ語では、/k/、/t/、/p/、/n/、/m/、/y/、/w/、ngの8種類です。ほぼ同じですね。

        (この項 健人のパパ)

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 タイ文字の原型はスコータイ王朝(อาณาจักรสุโขทัย、Kingdom of Sukhothai)の王、ラームカムヘーン王(พ่อขุนรามคำแหงมหาราช、Ram Khamhaeng the Great)がクメール文字を模して作ったと言われていて、字形は変遷しても複雑なことに変わりはありません。タイ語会話の入門書は、このタイ文字の複雑さで初学者をくじけさせないように、その多くはIPA(国際音声記号、International Phonetic Alphabet)表記(正しくはIPA類似の表記。アメリカの言語学者マリー・R・ハース(Mary R. Haas)が工夫したものと言う)を使用しています。この方法はタイ文字を覚える負担からは解放されますが、タイを旅行するにはタイ文字を読めないことには大きなハンディを負いますので、おススメではありません。タイの街中ではIPAを並記などしていません。



 このIPA表記は、喩えれば、日本語の会話の入門書で日本語の部分をローマ字で表記したようなもの。日本の街中の食堂で壁に貼ってあるメニューにローマ字が並記してあるのを見かけたことはありません。もちろん、高級なレストランでは英語が通じるし、料理の英語名もメニューに並記してあります。でも私たちが望む旅は高級レストランでの食事ではなく、街の食堂での食事なのです。

 できれば、日本でと同じように地元の人と会話してお薦めの料理を聞きたいものです。宿泊施設ではなるべく食事はとらず、地元の人のお気に入りの店を尋ねて行くという国内旅行のスタイルを海外旅行でもとりたいのです。

 IPA表記には不便な点があります。ブログには文字として表示できません(母音記号と子音記号の一部)。画像として表示するしかないのです。タイ文字ならば、ブログに入力することができ、読み手もフォントを導入することで表示することができます。ブログでタイ語を紹介するには、タイ文字の理解は必須ということになります。



 IPA表記は、子音を表示するのには、アルファベットを用います。k、kh、c、ch、d、t、n、p、ph、f、m、y、r、l、w、s、h、それに英語での“ng”の音を表す音声記号と声門破裂音を表す音声記号です。



 タイ語は、その文字を読むだけでも大変な苦労を強いられる言語です。今回計画しているタイへの旅行は、バンコクとチェンマイ(チエンマイ)をメインにしようとしています。早くタイ語で書かれた地図を片手にチェンマイの街を散策したいものです。妻には「まったく、地図オタクはよくわかんないことにエネルギーを使うんだから。」と言われています。



妻「まだ、タイに決めたわけじゃないんだからね。私はベトナムがいいんだから。」
私「・・・」
    
         (この項 健人のパパ)

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 タイ文字を読むために大変に苦労をしていますが、私たちの言語、日本語の文字は、ひらがな、カタカナ、漢字と3種類あります。ひらがな、カタカナは表音文字ですが、漢字は表意文字です。日本語を読みこなすには、これをすべて(漢字はある程度)覚えなくてはなりません。それと比べれば、タイ語は表音文字のみであり、子音文字42文字、母音記号20数種(いくつかの記号を組み合わせて表されるから、記号の数自体はもっと少ない)、それに声調符号などを10数種、覚えられないはずはないですね。





 これを見ると、幼稚園児の帽子のような形をした「母音記号」は、狭母音(せまぼいん、口をあまり開けないで音を作る母音)に使われます。飾りのない帽子は、/i/の音で、丸いぼんぼりのついた帽子は、日本語の「ウ」の音(唇を丸めないで作る音、非円唇音)です。英語の/u/の音(唇を丸め作る音、円唇音)は、子音字の下にqのような記号が付きます。“ปิ”は、/pi/で、“ปึ”は、pue(プ)、“ปุ”は、/pu/になります。

 半狭母音(はんせまぼいん)と半広母音(はんひろぼいん)には、無記号の/po/、“”を除いて、子音字の上に後ろ向きのリスが乗っています(中舌音も除く)。それに6(のような記号)が付くか、66が付くか、とぐろを巻いた蛇(のような記号)が付くかです。“เป็”は、/pe/で、“แป็”は、pae(/a/と/e/の中間の母音)で、“ป็อ”は、po'になります。

 広母音(ひろぼいん)は、ラッコ(のような形)の記号が子音字の上に付きます。“ปั”は、/pa/になります。

 日本語の音と対応させると、
 「パ」=“ปั
 「ピ」=“ปิ
 「プ」=“ปึ” (“ปุ”、唇を丸めた「プ」)
 「ぺ」=“เป็” (“แป็”、口を広く開けた「ぺ」)
 「ポ」=“” (“ป็อ”、口を広く開けた「ポ」)
ですね。

 ここで長母音を見てみると、半狭母音と半広母音の一部では、短母音に乗っていた後ろ向きのリスが乗っていないだけの違いに気付きます。



 そこで、この「リス」に「ペート」という名を付けることにしました。キャラクター設定は、英人(エイト)君の飼っているペットで、ちょっと気の短い性格だということにしましょう。



 この「ペート君」、長母音を短母音にする働きをします。いくつか働きがあるのですが、その一つが「長母音の短母音化」です。長母音を表す母音記号にこのペート君が加わると、短母音になってしまいます。



 こんな話を作ってまで、タイ文字を読もうとしている「記憶力の衰えた」おじさんを笑ってやってください。では、この話、次回に続きます。

        (この項 健人のパパ) 

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 タイ語は、中国語、ベトナム語と同じように声調言語(tonal language)です。声調がある言語は、1音節内での声の高低が変ります。声調が異なると、同じ音節でも別の意味になります。ベトナム語では、母音字(アルファベット)の上や下にグレイヴ、アキュート、フック、チルダ、ドットといった「声調符号(声調記号)」が付きます。中国語は、表意文字の「漢字」を使うので、声調情報を持ちません。補助的に用いられる「ピンイン」は、アルファベットを用いているので、ベトナム語と同じように母音の上に声調符号(声調記号)が付きます。

(参考) ベトナム語を学ぶ-不思議なベトナム語(1)

 タイ語はどうかと言うと、マイエーク、マイトー、マイトリー、マイチャッタワーといった「声調符号(声調記号)」があります。しかし、これは補助的に用いられるのであって、声調は子音字がその情報を初めから持っています。そのため、子音字は低子音字、中子音字、高子音字と3つに分類されます。この分類を覚えておかないと正しく声調が付けられません。


 そこで、タイ文字を覚えるために、中子音字9文字(7つの音価)から始めることにしました。ก, จ, ด, ต, บ, ป, อ, ฎ, ฏの9文字です。前回覚えたのは、無声両唇破裂音(無気音)の/p/、“”でした。今回はそれと対になる、有声両唇破裂音の/b/、“”です。文字の形も似通っていて、鎌首を持ち上げて尻尾を立てた蛇のような形をしています。/p/の方が/b/より、幾分尻尾が長い。



 この「木の葉のb(ボー バイマーイ)」は、「酒場」を意味する英語、「バー(bar)」で覚えることにします。タイ語でも「バー」は「バー(บาร์)」と言います。外来語です。このタイ語の綴りの最後の文字の上におたまじゃくしのような形をした符号(記号)が乗っています。これは何でしょう? 下の文字を読まなくするための符号なのだそうです。ならば、その文字を付けなきゃいいのに、と思いもするのですが。

 外来語は綴りを優先するようです。“bar”という英語の綴りを優先して、/r/の音を表す“”を付けはするのですが、タイ語の末子音には、/k/、/t/、/p/、ng、/n/、/m/、/y/、/w/しかなく、/r/は読まれないのです。

 音節を構成するのは、「頭子音+母音+(末子音)」です。このため、音節文字であるタイ文字を学ぶためには、母音記号を避けることはできません。そこで、「母音の四角形」を用いて、タイ語の母音を表してみました。日本語のア、イ、ウ、エ、オの5つより多く、英語の母音体系に近いと言えます。



 タイ語の母音は、「短母音」、「長母音」、「二重母音」と分類できます。20数種類ある母音には、それぞれ母音記号があります。それも子音文字と同時に覚えなくてはなりません。頭がパンクしそうです。



 高齢になると、もう力技では覚えることができなくなってしまいます。そこで、体系化して、記憶力の減退を補うことにしました。この母音の四角形に母音記号を乗せてみると、一定のルールが見えてきました。長くなるので、それは次回に。

          (この項 健人のパパ)

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 タイ文字の子音字は、低・中・高と3つに分類されます。この分類は例えば1族・2族・3族と分けてもよく、「高・中・低」に特に意味はないようです。しかし、この分類は声調に関係するので覚えなくてはならないのです。

 3分類は発音に関係するようで、気音を伴わない破裂音はすべて「中子音字(中類字)」に分類されます。“p,b,t,d,c,k,?(正しくは下の点がないような音声記号)”に変換されるタイ文字が中子音字で、“t,d”は2種類あり、タイ文字の子音字42文字のうちの9文字(音価7種類)が属します。少ないですね。「高子音字」も少なく、10文字(音価7種類)。

 「低子音字」が最も多く、23文字ありますが、対応字(13文字、音価7種類)と単独字(10文字、音価7種類)とにさらに分類されます。「対応字」とは「高子音字」に同じ音価を持った文字があることを意味しています。タイ文字の難しいところは同じ音価を持った文字が複数あることがあること。少し整理してもらいたいですね。

 例えば、気音を伴う「無声歯茎破裂音」の“th”は6種類もあります。高子音字に1文字、低子音字に1文字あてるのは声調に関係するので納得するのですが、後の4つは外国人学習者に負担をかけるので、いらない。と言いたいのですが、私はタイ人ではないので口は出せませんね。10年以上前にタイ語の学習につまづいたのはこの文字の多さでした。

 でも、日本語も、表意文字の「漢字」は別扱いにして、音価(音節)を表す「かな」が46文字ほどもあるのですから、それよりはやや少ないタイ文字に真剣に取り組めば、身に付けられたはずでした。いまでは、記憶力もだいぶ衰えてきているので、いままで蓄えた知識と関連づけるか、体系的に整理してみるかしないと、タイ文字42文字を覚えられそうもありません。そこで、音声学に基づいて、表を作ってみました。中子音字を黒で、高子音字を赤で、低子音字は青で表してみました。実は、これだけで、タイ語の子音を表すのに十分なのです。声調の情報も(タイ語は声調言語)含んでいます。しかし、インド起源の借用語を音写するための文字もタイ文字にはあるのです。これが14文字ほどあります。緑で表した文字がそうです。



 まずは、中子音字9文字に挑戦です。中子音字は破裂音しかなく、覚えやすいと思われるからです。これで挫折するなら、もうタイ文字を覚えるのは諦めなくてはなりません。1つめは、無声両唇破裂音(無気音)の/p/です。文字は、“”。25番め、魚のp(ポー プラー)です。「ナムプラー(ナンプラー)」という魚醤(魚類などを主な原料にした液体状の調味料)はタイの調味料の代表的なものです。“น้ำปลา”とタイ文字では綴られ、น้ำ(nam)は、「水」などの液体状のものを指し、ปลา(plaa)は魚を指します(英語では、“nam pla”と綴り、長母音は綴りでは無視される)。これで文字を覚えるのもいいのですが、子音文字が多く出てきますので、日本でも同じ音である「“เป๊ปซี่”、ペプシ(コーラ)」で覚えることにしましょう。声調符号は今は無視です。pe(ぺ)p(プ)see(シー、スィー)と読むことになります。



 これで、42分の1。先は遠いなあ、、、



             (この項 健人のパパ)

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 タイでは、インフルエンザA(“Type-A (H1N1) influenza”、いわゆる「新型インフルエンザ」)の感染が急拡大しています。5月12日に初めて2人の感染が確認されてから、5月30日まで3例目(26日にアメリカから帰国した中年女性)は確認されませんでした。

 5月31日に4例目(25日にアメリカから帰国した中年男性)、6月2日に5例目(27日にアメリカから帰国した18歳女性)、6月4日に6例目(4例目の男性の妻、アメリカに同行)、7例目(4例目と6例目の夫婦の子(19歳男子)、同行せず家庭内感染)、8例目(1日にアメリカから帰国した20歳女性)、6月7日に9例目(4日にアメリカから帰国した29歳男性)、6月8日に10例目(5日にアメリカから帰国した20歳女性)、6月9日に11~13例目(アメリカから帰国した20歳女性2人、アメリカ・カナダに渡航後に帰国した30歳男性)が確認されていました。

 6月10日に入ると新たな展開があります。6月10日には14例目~16例目が確認されますが、その中に海外渡航歴のないバンコク在住の11歳少年が含まれたのです(残り2例は、7日にアメリカから帰国した20歳男性2人)。さらに、タイのパタヤから台湾に帰国した台湾人2人がインフルエンザAに感染していたことから、2人が宿泊したホテルや訪れたディスコの従業員90人に対してサンプル採取が行われることになります。その結果、21人のインフルエンザA感染が確認されることになりました。

 6月11日には、17例目~46例目(パタヤのディスコのスタッフ21人、16例目の少年の母親と同級生4人、その他4人)が確認されて、すでにインフルエンザAのウイルスはタイ国内に侵入しており、感染を拡大させていたことになります。日本と同じ経過を辿っていることになります。帰国者を中心に感染者が確認されているうちに、国内での感染は気付かれないうちに拡大していたのです。
 
 6月12日に、新たに43人の感染者が確認され、累計で89人の感染が国内で確認されたことになります。6月14日、累計150人、6月15日、累計201人、6月16日、累計310人(学校内での集団感染は、218人(保護者を含む))、6月18日には、累計518人(バンコクでは、318人)。
(追記)
6月24日で、累計985人(バンコク582人)。およそ40日間で、医療機関で把握されたものだけで1,000例に迫っています。

 今年の旅行先はタイにしようと主張している(妻はベトナム、我が子「健人」は香港を主張)私にとっては、この展開は大きなマイナス要素です。「インフルエンザA」自体は、重症度が「中等度(moderate、モデレート)」なのでそう恐れる必要はないのですが、海外で感染して入院を余儀なくされると対処するのは難しい。海外で病院に行ったことは、我が子「健人」は2度、妻「あみ」は1度、私は1度(1日入院)あるのですが、数日の入院は旅程に大きく影響を与えます。

(参考) 我が子「健人」が日本メディカルケアーで診察を受けました。

(参考) バリ情報 その7-病院にかかる in ウブド

(参考) 「マレーシアへ」-ペナンで夫が急性胃腸炎で入院しました。

 日本では、このいわゆる「新型インフルエンザ」への対応が大きく変わります。2009年6月19日配信の産経新聞の記事からです。記事では「検討を進めている」とありますが、「新対処方針」は発表されました。

 新型インフルエンザ問題で、厚生労働省が感染者を原則自宅療養とするなど、医療体制を弾力化する方向で検討を進めていることが分かった。19日に新対処方針を発表する。従来の感染拡大防止策の重視から、重症者対策を強化するねらいがあり、疑い例の全部を対象に実施している遺伝子診断「PCR」も集団発生例などに限定する。
 現在の政府方針は、患者発生が少ない「少数地域」と患者の急増が見られる「急増地域」に分けて対策を実施。新たな方針では、この地域分けを廃止し、すべての地域で現在の急増地域に近い対応が取られる見通し。
 少数地域では、感染の疑いがあった時点で、感染者と一般患者を分ける「発熱外来」を受診、感染が確定すれば入院することになっているが、重症化が懸念されるケースでなければ原則自宅療養とする。診察も発熱外来に限定せず、一般病院で行えるようにする。
 感染者の増加で、発生動向を調べる必要が薄まっていることから、PCR検査もすべての疑い例で実施しない。米国なども同様の対応を取っており、世界保健機関(WHO)への報告もPCRを実施し、判明した分だけ報告する。
 また、濃厚接触者の把握のため、空港の検疫で実施してきた「健康状態質問票」の配布もやめる。これによって国立病院などから受けている医師などの応援が必要なくなり、従来の職員だけでの対応が可能となる。


 この結果、WHOに報告される「インフルエンザA」感染者数は、実態と大きく乖離していくことになります。2009年6月17日までのWHOへの報告では、アメリカでの累積感染者数は17,855名(死者数44名)となっていますが、死者数は別として、感染者数はすでに実態と大きく乖離していると言われています。季節性インフルエンザとこの新型インフルエンザは峻別されることなく、記録されることになります。 しかし、今回のインフルエンザはそのような扱いをしてもいい「重症度」と言えます。重症化が懸念されなければ、自宅療養で、入院しなくても済むのです。社会的に大きなコストをかける必要がないことが認識されたからです。ようやく、日本も欧米のスタンダードを採用することになりました。

 しかし、まだ東南アジアはそのスタンダードを採用していないようです。タイでは軽症の感染者にはタミフルが処方されて入院させずに帰宅させているという報道もありますが、実際どのような対応になるか不明です。タイへの旅行はまだリスクが低くはなっていないようです。

 タイの英字日刊紙“THE NATION”の2009年6月8日の記事からです。タイのホテル業界の苦境を伝えるものです。客室占有率が30%までに落ちていて、財務上、危険なレベルにまで達しているというような内容です。その苦境からわずかながらでも救うために、「微笑みの国」タイへ行きたいのですが、、、妻も「イサーン料理」を食べに行くのなら、タイ行きに賛成票を投じてくれると思うのですが、、、

(参考) 「バンコク」旅日記7-ティダ・イサーンで辛~い!

 Prakij Shinarmornphong, president of the Thai Hotels Association (THA), said the situation for hotel operators is worsening, with the Bank of Thailand recently citing the hotel sector as one of those with the greatest credit risk. "Banks have become more conservative about conditions such as credit-line limits and loan covenants. They always offer loans when business is good, but now they're ignoring us when we need them the most," he said.
 While discounts on visa and landing fees have been extended to support the industry, the government should provide more credit guarantees and soft loans, he said.
 The occupancy rate at hotels is now only 30 per cent on average, and this figure will likely remain until the third quarter as the country's political conflicts linger. This highlights the increased need for financial assistance, Prakij said.


 同様の内容を持つ2009年6月18日のタイランド通信の記事を上記記事の和訳の代わりに掲載します。

 タイホテル協会(THA)プラキット会長は、現在タイ観光業界は悲惨な状況にあると発言した。今年1~5月期の宿泊率が前年同期比27%減となったためだという。特にハイシーズンである5月の宿泊率が前年同月比32%としている。
 国内情勢は安定し始めているものの、いまだ中国が海外渡航危険地域に設定していることから、観光客がタイを避けているためだという。
 また同会長は、「現在タイの観光地として知られる、プーケット・クラビー・チェンマイ・パタヤ地区のホテル宿泊率は30%以下となっており、通年での宿泊率は50%前後となるだろう。」と述べた。


(info) AppleWorldでの「プルマン・バンコク・キング・パワー」(PULLMAN BANGKOK KING POWER)の情報。

 2009年6月19日配信のNNAの記事からです。

 空港運営の国営エアポート・オブ・タイランド(AOT)によると、同社が管理・運営する6空港の5月の旅客数は昨年同月比17.1%減の378万人だった。反政府デモなどの影響で、前月の12.1%減から下げ幅が拡大。国際線の下げ幅は今年最大だった。国際線の旅客数は225万人に22.2%減少。
 AOTは落ち込みの理由として、
◇4月半ばの大規模な反政府デモ
◇航空各社の減便◇世界的な景気悪化
◇新型インフルエンザ(H1N1型)
の影響があったと説明した。
 一方、国内線は8.1%減と、10カ月ぶりに2けた減から脱した。内外線合わせ、バンコク新国際空港(スワンナプーム空港)は9.9%減、ドンムアン空港は72.5%減。タイ国際航空(THAI)が3月に国内線の一部をドンムアンから新空港に移管したことで、ドンムアンが急減した。


         (この項 健人のパパ)

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 小説仕立ての「感染症」に対する啓蒙書、「パンデミック・フルー襲来~これが新型インフルエンザの脅威だ~」(木村良一著、扶桑社刊(2009年3月))からです。

 「先生のお話だと、人類は新型インフルエンザにまったく免疫がないから人から人へと次々と感染し、そのウイルスの毒性が強いと、死者も多く出ることになります。新型インフルエンザの発生に注意しなければ、たいへんな事態になります」
 また亮太は恐ろしくなってきた。
 「アジアかぜは、1957年の2月に中国で発生したと考えられている。3月に中国各地に広まり、4月には香港ではやり、5月には日本に上陸し、半年間で3,000万人以上の患者を出している。厚生省は伝染病予防法に基づいて感染者の行動制限や学校の閉鎖、医療関係者の動員など緊急対策をとったが、ワクチンが不足して大騒ぎになった」
 「先生、香港かぜの方はどうだったのですか」
 「1968年7月に香港で大流行し、患者数は50万人だったと聞いている。日本には8月に香港経由の貨物船の船員から持ち込まれ、翌年1月に本格的に流行した。アジアかぜの失敗からワクチン製造の決定は早かったものの、僕給が予定より遅れた。幸い流行が遅かったからアジアかぜのときのように大きな問題にはならなかった」
 「やはり、対策が重要なんですね」
 「そのとおりだ」
 「新型インフルエンザは人類を襲った後、どうなるのですか」
 「人に免疫ができてくると、次第に流行が落ち着き、通常のインフルエンザになる。たとえば、Aソ連型やA香港型と呼ばれているインフルエンザがそれだ」
 「毎年冬になると流行しているインフルエンザは、スペインかぜやアジアかぜ、香港かぜの末裔ということですか」


 オーストラリアの南部は、気候的にいま秋。季節性インフルエンザの流行期にあたります。ここでのインフルエンザAの動向が日本の秋のインフルエンザAの流行の参考になります。オーストラリア連邦の南東部に位置するビクトリア州は、人口 520万人ほど(2007年統計)の州です。州都はメルボルンで、州人口の約70%(390万人(2008年推計))はメルボルンに居住しています。いま、オーストラリアで、インフルエンザA(H1N1 influenza 09、いわゆる「新型インフルエンザ」)の感染拡大が続いています。



 オーストラリアでのインフルエンザAの罹患者は累積合計で、
5月25日 16名
5月26日 19名
5月27日 39名
5月29日 147名
6月 1日 297名
6月 3日 501名
6月 5日 876名
6月 8日 1051名
6月10日 1224名
6月12日 1307名
6月15日 1823名
(追記)
6月17日 2112名
6月19日 2199名
6月22日 2436名
6月24日 2857名
と急拡大していっています(日本は、6月15日までにWHOの報告された数で、累積合計605名)。その3分の2がビクトリア州で報告されています。




 5月27日めを第1日めとしてみると、第10日めにあたる6月5日までは、縦軸に「罹患者数」、横軸に「日数」をとったグラフでは放物線を描くことになる(加速度的な増加)とも見られたのですが、幸いなことに予想に反して、第13日め(6月8日)からは直線的な増加に転じました。このままの傾向で行くならば、90日で8,000人程度の罹患者で終息することになります。オーストラリアの人口は2,200万人(2009年推計)ですから、この8,000人という数字はごく小さな数字と考えられます。ただ、この傾向が続く保証はなく、いつ放物線状のグラフに再度転じることになるかも知れません。

 同書(「パンデミック・フルー襲来~これが新型インフルエンザの脅威だ~」)からの引用です。

 1985(昭和60)年当時、小学校ではワクチンの集団予防接種が実施されていた。この学童に対する集団接種は学校という場が流行を広めるため、学童に予防接種をして学校での流行を抑え込めれば、結果として社会全体の流行規模を小さくすることができるという考え方に基づいていた。感染して命を失いかねない健康弱者の高齢者をインフルエンザの感染から守るという効果も期待できた。子供が学校で感染し、家庭にウイルスを持ち込み、父母や兄弟、祖父母にまで感染を広げてしまうケースが大半だったからだ。
 ただ、残念なことに「子供を盾に使っている」「子供をワクチンの副作用の犠牲にしている」という批判の声に加え、突然変異を繰り返すインフルエンザウイルスに対してその冬に実際にはやるウイルスのタイプを予測する難しさも重なり、この学童集団接種は1994(平成6)年に中止されてしまう。


 集団免疫の考え方では、「子供を盾に使」うというのは事実でしょう。それで、高齢者や妊婦などの「ハイリスク群」の人たちを護ろうというのです。その中で、子どもたちに犠牲者が出ることがあります。それを許容できるかについての「コンセンサス」が必要となります。十分に説明され、納得した上で任意に(強制力を持たない)「ワクチンの集団接種」に参加してもらうことになるのでしょう。社会防衛に必要なことです。今回のように重症度の高くない「新型インフルエンザ」ならば、「学童への集団接種」という手段がとられるかは、疑問の余地がありますが、重症度の高い(毒性の強い)「新型インフルエンザ」が出現したときのために、早急に議論を深める必要はありそうです。

 さらに、同書からです。

 記者会見には国立予防衛生研究所の所長の本田一雄も出席し、専門家の立場から意見を述べていた。
 「さきほど、保健福祉部長が『ワクチンが量産できるまで備蓄した抗ウイルス剤で時間を稼ぐ』と話していましたが、抗ウイルス剤やワクチンの投与を受ける順番は決まっているのですか」。新聞記者のひとりがまた質問した。
 「はい。横浜市がすでに決めています。治療に当たる医療従事者と市民生活を維持するうえで欠かせないライフライン従事者、それに高齢者や乳児、妊婦といった健康弱者を優先します」
 「今後も感染は拡大していくのですか?」
 本田は「このまま何もしないで放っておけば、間違いなく感染は広まり、パンデミックを引き起こします。そうなると、日本で少なくとも人口の25%に相当する3,200万人が感染し、2,500万人が医療機関を受診する。そして200万人が入院し、64万人が死亡する。これは1918年のスペインかぜの感染被害をベースにして算出された数字ですが、これ以上になる恐れも否定はできません」と話し、封じ込め作戦の重要性を繰り返し説明した。
 「そうなると、社会機能が麻痺してしまう?」
「そうなります。病院は患者であふれ、ベッドが足りなくなり、医師や看護婦は過労で倒れるでしょう。従業員不足から電気、ガス、水道、通信、鉄道、バスといったライフラインが滞り、食料品も製造や輸入が止まって足りなくなる。銀行や行政の窓口業務も停止してしまう」
 「そうすると、経済的損失もかなりの額に上るのでは?」
 「経済的損失額は、GDP(国内総生産)の4%以上に当たる20兆円という試算もあります」
 「本当にパンデミックは起こるのでしょうか」
 「世界はいま航空機で結ばれ、24時間、人や物が世界中を頻繁に移動している。世界のどこかで新型が出現すれば、わずか数週間で世界に蔓延するという説もあります」
 「だからこそ、横浜市に封じ込めることが重要なんですね」
 「そのとおりです」


 「感染症疫学」を専門とし、厚生労働省の検疫官である「木村盛世」氏がロハス・メディカルに答えたインタビュー記事(2009年5月1日)からです。日本の医療制度が破綻している(医師不足、看護士不足、施設不足、予算不足、知識不足)ところに重症度の大きい「新型インフルエンザ」が発生したらどうなるかに触れています。

 日本の病院は感染症に対応するようにできていません。今回の疑い患者が収容された横浜市民病院も360万都市なのに陰圧室が2床しかないですよね。アメリカの試算では、新型インフルエンザに対応する能力を病院に持たせようと思ったら1病院あたり1億円かかります。病院経営がどこでも悪化している中、それだけのお金が出てくるはずもありません。それから、重症患者にあたるには、一般内科医や皮膚科医、精神科医などでは無理で、呼吸器科の医師、挿管できる救急医、感染制御の知識を持った医師が必要ですけど、ただでさえ医師不足なのに、どこにそれだけのドクターがいますか。ナースの人手も全然足りません。ハコもヒトもカネもない、どうやったら対応できるんだという議論をしないといけないはずなんです

 さらに、「木村盛世」氏がダイヤモンド社論説委員の質問に答えた2009年5月27日掲載のインタビュー記事からです。秋の流行で確実に不足することになるだろう発熱外来などの「施設」について、現実味のある提案をしています。

 ― あなたは、検疫強化ではなく医療体制の強化に予算を割くべきだと主張しているが。

 繰り返すが、水際で止めることなどできないのは、最初からわかっていた。流行は避けられない。今回は終息するとしても、秋以降の第2波では、日本でも100万単位の死者が出ることも可能性としては否定できない。重要なのは、被害を最小限に止める努力だ。
 ① 咳を伴う熱があれば職場や学校に行かない、
 ② 咳をするときは口を押える、
 ③ 重症になるまでは医療機関を受診しない、
この3点を政府広報でまず徹底させる。その一方で、重症患者を受診するために、あまりに貧弱な診療現場を改善しなければならない。

 ― 日本の診療現場は、それほど貧弱か。

 個室外来であれば感染を防げるが、カーテンで仕切っただけの外来診察室が、まだまだ少なくない。これまた、途上国レベルだ。また、陰圧室(病原菌が飛散しないように気圧を下げた診療室)を持っていない地方自治体も多数ある。横浜市すべてを網羅する横浜市立市民病院の陰圧室は、わずか2床に過ぎない。医療施設の改築には、時間も費用もかかる。プレハブ小屋をたくさん建てて、発熱外来にすればいい。

 ― プレハブなどでいいのか。厚労省は全国の医療機関に受診拒否を禁ずる通達を出した。

 発熱外来は、第三次救急を受け持つ大病院に設置しようとしている。常識すら備えていない厚生労働省の犯罪的な政策だ。感染防止体制が整っていない医療機関への受診強制は、患者を院内感染の危険にさらすようなものだ。また、三次救急を受け持つ大病院には、癌を初めとして免疫力が低下した医療的弱者が多数いる。わざわざ、なぜ命に関わるかもしれない重篤患者を院内感染の危険にさらす必要があるのか。この政策ひとつ見ても、厚労省が感染症対策に無知であることが分かる。
 街の駐車場や公園に、プレハブの診察室を建てればいいのだ。もっとも安全で、安価で、即効性がある。


 ロハス・メディカルに答えたインタビュー記事では、予算不足、医師不足についても触れます。

 お金かけても仕方ないところにお金かけてます。発見率の極めて低いサーモの機械は1台300万円しますし、これを見るための検疫官を他の省庁からも借りてまで増やす、そんな無駄なことに税金を使っています。
 それよりは、医療センターや国立病院の空いている敷地にプレハブを建てて、JICAの感染症専門の医師たちに専門外来をさせればいいのでないかと提案を上げました。公務員と準公務員を活用すれば、大して金額はかかりません。そういうきちんとした専門外来を設けて、国民の不安を解消する方が大事だと思います。


 「木村盛世」氏の提案が実現可能で、問題を解決できる方法であるかは、素人の私には判断できません。的確な情報を多く獲得できる立場にある人間たちが速やかに、日本経済に対する影響、国家予算の的確な利用などを総合的に勘案しながら、秋の流行に備えて行動を開始しているだろうことを期待してやみません。

             (この項 健人のパパ) 

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