POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 2013年の家族旅行の主たる目的地は、変更を幾度か重ね、最終的にはカンボジアになりました。ミャンマー(ビルマ)の「ヤンゴン(ラングーン)」に行く計画から、ベトナムの「カントー」に行く計画に変更になり、カントーに2週間の滞在は長いからバスで国境越えをして「プノンペン」に行く旅程を加えたところ、プノンペンまで行くのであれば、アンコールワットを見に行くのもいいのではないかとなりました。

(参考) 「「カントーへ」 - ホーチミンからカンボジアのプノンペンへは6時間ほどのバス旅

 成田-「ホーチミン(サイゴン)」間の航空券でしたから、ホーチミン→プノンペン→シェムリアップ(アンコールワット観光の基点となる街)→プノンペン→ホーチミン→カントー(メコンデルタツアーの基点となる都市)→ホーチミンという旅程をとることになります。しかし、これはホーチミンを基点にすることから、行って帰って行って帰ってという無駄が生じます。

(参考) 「「カントーへ」 または「アンコールワットへ」- プノンペンに見所はあるの?

 妻「あみ」は、この往復を廃するために、成田→(ソウル(仁川))→シェムリアップ→プノンペン→ホーチミン→(ソウル(仁川))→成田という直線的な旅程に変える決断をします。「メコンデルタツアーは今度の機会ね」ということでカントーへ行く計画は消えてしまいました。プノンペンからカントーへ出て、ホーチミンに行くことも考えたのですが、コストが大きくかかることが分かりました。

 直線的になった旅程は、「シェムリアップ(Siem Reap)」で7泊、「プノンペン(Phnom Penh)」に2泊、「ホーチミン(Ho Chi Minh、サイゴン)」に3泊、「ソウル(Seoul)」に3泊です。妻が独自に調べたところでは、プノンペンは蒸し暑く、交通量の多さから空気は汚れていて、治安もよくない都市であるというものでした。その上に、ホテル代もシェムリアップに比べれば、かなり高いのだそうです。ホーチミンに移動するための1泊のみを主張する妻とカンボジアの首都であるプノンペンのありようを見てみたい私が主張する3泊とで綱引きが始まりました。

 東南アジアには、ドアを持たない簡易なタクシーが走っています。三輪自動車(オート三輪車)を改造して、屋根と座席をつけたもの、オートバイ後部に屋根と座席のある客車部分を連結させたものなどがあります。後部から乗り込んだり、側面から乗り込んだりします。もちろんシートベルトというものもありません。乗り心地もよくなく、安全性に疑問のあるものですが、大変安価に利用することができます。そのエンジン音から「トゥクトゥク(tuktuk)」などと呼ばれています。地元の人がタクシーに代わって多く利用するものです。カンボジアでは、このバイクに牽引客車を取り付けた乗り物を「モトルモー(moto-romauk)」と呼んでいるようです。

 「バッグ・スナッチング(bag snatching)」という犯罪があります。この「ひったくり」は日本でも年間1,800件ほど(警察が認知したもの)起こっている犯罪です。バイクや自転車で、後方から追い越しざまにバッグなどをひったくる手口が典型的です。財布などの貴重品を全てバッグに入れる傾向にあるためか、被害者の約9割が女性で、徒歩で被害にあった人の約6割が犯人のバイクや自転車が通る側にバッグを所持していたといいます。

 引ったくり犯罪に遭わないためには、バッグなどの所持品は自動車やオートバイなどが通行する側に持たず、建物側や壁側に持つ、胸にしっかり抱える、たすき掛けにするなど、持ち方を工夫する必要があります。トゥクトゥクに乗ったならば、バッグなどの荷物は、必ず両脚で挟むようにして床に置いて、外からの目に触れないようにする必要があります。できれば、時々後ろを振り返って、不審なバイクが近づいてきていないか警戒することも必要です。その素振りで、犯行は未然に防がれるでしょう。

 諸外国と比べ、犯罪の発生件数が比較的少なく、安全な国と思われている日本でも、日に5件ほどの引ったくり犯罪が起きているのですから、警戒心の強くない日本人旅行者がカンボジアでひったくり犯罪に遭わないということは残念ながら考えられません。カンボジアの人口はおよそ1,500万人(2010年時点の推計)で、日本の人口はおよそ1億2,700万人(2012年時点の推計)ですから、人口に対して同じ比率で引ったくり犯罪が起こると仮定しても、日に0.6件ほどの引ったくり犯罪がカンボジアで起こることになります。

 東南アジアには、「バイクタクシー(motorcycle taxi)」という交通手段もあります。バイクの「後部座席(pillion)」に乗って目的地まで運んでもらう交通手段です。一人で移動するときは、プノンペン市民は日常的にバイクタクシーを利用しているといいます。「モトドップ(motodup)」と呼ばれているようです。

 “French Woman Killed during Daylight Robbery in Cambodian Capital”(2007年11月14日)という記事があります。ロンリープラネット社の出版している旅行ガイド「カンボジア」にもこの事件は記載されています。日本人よりは警戒心が強いと考えられるフランス人女性がひったくり被害にあって、命を落としたのです。

 フランス人女性「オーレリア・ラクロワ(Aurelia Lacroix)」さん(28歳)は、カンボジアで法律家を目指して働いていたといいます(legal intern)。バイクタクシーに乗って移動していたところ、バイクに乗って近づいてきた引ったくり犯(若い男2人)にバッグを引っ張られ、後部座席から転落し、後ろから走ってきたミニバスに轢かれて亡くなってしまいます。

 旅行社の企画する「主催旅行(ツアー)」に参加せずに、自分たちが航空券や宿泊施設を手配する「個人旅行」で旅をする私たちは、すべての責任を自分たちで負わなければなりません。犯罪に遭うリスク、病気になるリスク、公共交通機関が乱れるリスクなどに対処する能力を高めておく必要があります。

 リスクを避けるには、リスクの高い場所には近づかない、リスクの高い行動はしないのが最善なので、妻はプノンペン観光に興味を示しません。その妻を納得させて、プノンペンでの滞在日数を増やすには、プノンペンの魅力を探さなければなりません。しかし、プノンペンの情報は少ない。情報が少ないのは、日本人が行かないから。日本人が行かないのは、魅力がないから。魅力がないのなら、経由地と考えて1泊だけ、と考えるのも無理からぬところがあります。

 そこで、手に入れたのは、新潮社刊の平野久美子著「カンボジアは誘う」(2001年出版)でした。妻は旅行先でマーケットに行って、食材を目にし、手にするのが好きです。栄養士の資格と調理師の資格を持っている妻は、食べ物に対する関心が非常に強いのです。難攻不落の城も「マーケット」や「食」を餌に城門を開けさせることができるかも知れません。

 プノンペンは、交通量の多さに加えビルが吐き出すクーラーの熱風のせいか、他の街より外気温が高くて蒸し暑い。乾季には、十五分も歩けばサウナに入っている状態となり、頭がぼうっとしてくる。そんな時、オアシスの役をしてくれるのがタイ資本や華僑資本によるスーパーマーケットだ。店内はクーラーが猛烈に効いていて、汗が一瞬にして引っ込むこと請け合い。ついでに冷えたドリンクを飲めば、生き返る。最近、この“オアシス”が、どんどん増えている。(「カンボジアは誘う」から)

 プノンペンの平均最低気温は一番低い12月で21.7℃(一番高いのは5月の25.3℃)であり、平均最高気温は一番低い11月で29.9℃(一番高いのは3・4月の34.9℃)です。東京と比較すると、東京の9月の最低気温が21.1℃ですから、プノンペンは冬でも最低気温は東京の夏程度であり、東京の8月の最高気温31.1℃よりもプノンペンの3・4月の最高気温はおよそ4℃も高いということになります。

 3月でみるならば、プノンペンの最低気温が24.1℃であり、最高気温が34.9℃です。いまプノンペンに行くとするならば、最低気温5.6℃、最高気温13.3℃の環境から、+20℃ほどの環境に入って行くことになります。灼熱地獄という言葉があたるかも知れません。気温が上がる前の朝早くに行動するのがいいのかも知れません。暑いのが苦手な妻が「ホテルに籠もっていたい」と言うのも当然かも知れません。



 プノンペンの平均降雨日数は、12月に4.8日、1月2.8日、2月2.4日、3月5.2日、4月には8.6日となります。この時期を「乾季(dry season)」ということになるのでしょう。1月や2月は10日に1回も雨が降りません。12月や3月は6日に1回程度の雨が降るのに過ぎないのです。だからと言って、この時期は空気が乾燥しているというわけではないのです。快適な湿度とは40~60%と言われています。東京で、最も乾燥するのは1月で36%ほどで、最もじめじめするのは6月と8月で71%ほどです。ところが、プノンペンでは、最低湿度が3月の70%で、最高湿度が9月に85%ほどもあるのです。

 外国の駐在員や国際協力機関のスタッフ、成金、旅行者をターゲットにするスーパーマーケットでは、商品の半数をタイ製品が占めている。三割がオーストラリアや欧米各国、残りが日本、中国、ヴェトナム製といったところ。メイドインカンポジアの商品は皆無に近い。あったとしても生菓子かバゲットくらいだ。通訳のロッムオーさんにこう報告すると、彼女は憤然として言った。
 「スーパーが揃えている商品くらい、カンボジアでも作ってます。ただ、ヴェトナムやタイの商品みたいにきれいにラッピングしていないだけ。みんなハダカだから、スーパーに置いて貰えないんです。」
 なるほどこれは一理ある。瓶や缶や化粧袋に入っているものはスーパーで、そうでない商品は市場で、と棲み分けが図られていると考えよう。


 “The best supermarkets in Phnom Penh”という記事があります。この中では、「アジアの主要都市の多くとは異なり、プノンペンのスーパーマーケットで扱っている商品は質が高い」と述べられています。「ヨーロッパやアメリカのブランド品やアジアのブランド品がリーズナブルな価格で提供されている」とも述べています。

 33-34 Street 114にある“Bayon Market”(バイヨン・マーケット)も紹介されており、食糧貯蔵庫(pantry、パントリー)に並べておくような商品は、シンガポール、日本、韓国などから輸入された最高級なもの(high-end products)が並んで品揃えがいい反面、肉売り場はよいものを置いてあるが狭く、野菜売り場は値段が高い上に古い(old and overpriced)と述べています。

 スーパーは、一般商店と比べるとすべてが割高だから、涼を取る以外、あまり利用価値はない。スーパーでしか揃わぬものといえば、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品ぐらいだろうか。その他の利用法と言えば、レストランに持ち込むための、安くて旨いワインを選びに行くことくらいだろう。ちなみに「バイヨンスーパー」、「ラッキー」は、ワインの品揃えが比較的良い。
 これらのスーパーマーケットをよく利用する某NGOスタッフがこんなうち明け話をした。「そりやあ、地元の市場に比べれば品質も悪く値段も高いですよ。しかじ、レシートが出るじゃないですか。領収書をきちんと揃えて精算し、郵政省の監査に出すことを考えると、スーパーの方が楽なんです」
 こうしてカンボジアに落ちるべきお金が、タイやマレーシアの華僑資本の懐に入っていく。


 “Lucky Supermarket”(ラッキー・スーパーマーケット)は、プノンペンで最大のスーパーマーケットチェーンです。「シティーモールショッピングセンター(City Mall Shopping Centre)」、「ソリアショッピングセンター(Sorya Shopping Center)」や、その姉妹店の「ソバンナショッピングセンター(Sovanna Shopping Centre)」などに店舗を持ちます。ラッキー・スーパーマーケットは、精肉部門、海産物部門、果物野菜部門、ベーカリー部門が充実しているといいます。

 多くは朝8時という早い時間から営業しているスーパーマーケットの「ラッキー」、「バイヨン」、フランスからの輸入品の充実している「タイ・フー(Thai Hout)」などを巡り、さらにマーケットの「セントラル・マーケット(プサー・トゥメイ、Phsar Thmei)」や「ロシアン・マーケット(プサー・トゥール・トンポン、Psar Toul Tom Pong)」も見に行くとなると、1日じゃ全然間に合わないよという説得に妻は応じ、プノンペン滞在2泊は確保できました。

 妻が見つけたホテルは、セントラルマーケットにも近く、バイヨン・マーケットにも徒歩で数分です。長くなったので、マーケットの話しとホテルの話しはまたの機会にします。

(追記) 2013年3月3日(日)配信の時事通信の記事からです。

 カンボジアの首都プノンペン中心部で、3月3日午前1時ごろ、日本人男性の北倉幸生さん(44)が滞在先のアパート前で2人組の強盗に銃で撃たれ、死亡した。警察当局が2人組の行方を追っている。
 現地警察によると、プノンペン市内の飲食店から3輪タクシーで帰宅した北倉さんに2人組は財布を出すよう要求。北倉さんが拒否したため、発砲したという。北倉さんは腹部や脚などを撃たれ、病院に運ばれたが死亡した。
 北倉さんは2月27日に仕事のためカンボジアに入国していたという。
 

                (この項 健人のパパ)

  

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