POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 




 
雲粒と雨粒の境目はどこにあるのでしょう。そして、その境目はどうして決められているのでしょう。

代表的な雲粒は半径が0.01mm(100分の1mm)で、代表的な雨粒は1mmです。で、雲粒と雨粒の境目は0.1mm(10分の1mm)です。



代表的な雲粒も質量を持っていますから、重力で落下します。しかし、雲の中では上昇気流があるので、その上向きの力で落ちないでいます。ところが、水滴の半径が0.1mm程になる(代表的な雲粒が衝突を繰り返すとすると1000個集まって)と、落下速度が大きくなり(半径が0.01mmのときの100倍の速さ)、上昇する空気の速さを上回ることになります。

 ※ 球の半径が10倍になると、その体積や質量は10の3乗倍、つまり1000倍になる。落下速度は雲粒ならば10の2乗倍、つまり100倍になる。

すると、雲(水滴が浮遊している)を形成する水滴ではなくなり、雨(水滴が落下している)を形成する水滴となります。そこで、雲粒と雨粒の境目を半径0.1mmとするのだそうです。

水滴は水分子で構成されていますから、表面張力が働き、球形を維持しようとします。球形がその表面積が最小になるからです。だから、雲粒は球形です。雨粒がこんな雫(しずく)のような形で降ってくるとかわいいですね。



しかし、水滴がその半径を大きくし、落下速度を大きくすると、落下する雨粒の底面(下部)に衝突する「空気を構成する気体分子(例えば、窒素分子)」の数が増え、またその衝突速度も大きいものとなります。雲の中を落下しているときは、さらに雲粒(気体分子より格段に大きい)も衝突してきます。結果、球形を維持できなくなり(外力が表面張力に勝り)、変形します。水滴の底面が扁平になってしまうのです。で、その形は「おまんじゅう」。



庭草に 村雨降りて 蟋蟀の 鳴く声聞けば 秋づきにけり (「万葉集」から)

庭の草叢(くさむら)で恋の相手を捜していたであろう蟋蟀(コオロギ)は雷さまのイタズラで突然に「まんじゅう」の攻撃を受けることになります。落語の「まんじゅう怖い」とは異なり、「まんじゅうが世の中で一番怖い」と言って好物をせしめたわけではなく、その中に餡、肉野菜、ピザ、カレーなどが入っているわけでもなく、まんじゅうの形をして、体長の4分の1ほど(直径4mmの球も饅頭状になると底面の直径は5~6mmになっている)の大きさの水の塊が降り注いでくるのです。

人間で喩えると、身長が160cmの人ならば、直径が40cmのまんじゅうになります。でかっ! 横浜中華街の中華まん(例えば「江戸清」のブタまん、およそ260g)も大きくて一人では食べきれなかったけれど、その比じゃないですね。

文学の香りのまるでない文章になってしまったので、「雨と日本人」から再度引用です。著者「宮尾 孝」さんの手を借りて少しは格調の高い文章にしましょう。

まだ慣れぬ 板屋の軒の 村時雨 音を聞くにも 濡るる袖かな  後醍醐天皇

隠岐に流された後醍醐天皇の歌。宮中の華やだ生活を思い出しながら我が身を嘆いています。「村時雨(むらしぐれ)」は、時間的にムラのある降り方を特徴とする時雨のこと。激しく降ったかと思えば小降りになり、もう上がるかと思えばまた強く降ってくる。板張りの屋根を叩く雨音も、弱まったり強まったりを繰り返し、この先どうなるものかと心細さを一層募らせる。

雨が強くなったり弱くなったりを繰り返すのはどうしてなのでしょう。あっ!いけない。また、発想がそちらの方へ行ってしまった、、、

      (この項 根っから理系の「健人のパパ」)

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 「流体力学」という学問があります。流体力学(fluid dynamics)は、流体(液体と気体)の運動を扱う学問です。これが気象予報士の試験と関係するとは思ってもみなかったのですが、雨粒が落ちてくるのは空気の中、空気は「流体」ですから、「流体力学」が関係するのですね。

 流体力学で流体の「挙動」を予測するのに使われるものに「ナビエ-ストークス方程式(Navier-Stokes equations)」があり、流体の速度が遅いときにそれに近似する方程式として扱われるのが「ストークス方程式(ストークスの式、Stokes equations)」です。



 ストークスの式は、小さな粒子(例えば、雲粒)が流体中(例えば、空気中)を沈降(落下)するときの終端速度(落下速度)を求める際に用いられる方程式です。空気中を落下し始めた「雲粒」は、徐々に速度を増しますが、やがて一定の速度となります。その一定になった時の速度を「終端速度」というようです。


 結論を先に述べてしまうと、終端速度は雲粒の半径が 0.1mm より小さいものであれば、その半径の2乗に比例するようです。0.7~30mm の範囲(ここまで半径が大きくなれば「雲粒」ではなく「雨粒」でしょうね。しかし、雨粒の半径が3~4mmになってしまうと球形を維持できなくなり分裂してしまうようです。)であれば、その半径の平方根(2分の1乗)に比例するのだそうです。



雲粒について述べた次の文章の空欄(a)~(c)に入れる語句の組合せ①~⑤のうち、正しいものを一つ選べ。

 代表的な雲粒は半径約10μmであり、その質量は代表的な雨粒のおよそ(a)倍である。また、雲粒の落下速度(終端速度)Ⅴは、雲粒に働く重力 mg (m:雲粒の質量、g:重力加速度)と雲粒が受ける抵抗力 6πrηⅤ(r:雲粒の半径、η:空気の粘性係数)との釣り合いの式から決められ、雲粒の半径が2倍になると、落下速度(終端速度)は約(b)倍になる。代表的な雲粒の落下速度(終端速度)は約(c)である。



                                     (気象予報士試験 平成11年度)



気象予報士の試験対策としては、
 平均的な雲粒は、その半径は0.01mmで、落下速度は0.012cm/s。半径が2倍になれば(0.02mm)、2の2乗で、落下速度は4倍になる(0.048cm/s)。平均的な雨粒は、その半径が1mmで、落下速度は680cm/s(時速に換算すると、24.48km/h)。半径が2倍になれば(2mm)、2の平方根(ルート2=約1.414)で、落下速度は約1.414倍に(962cm/s)になる。
と覚えておけばいいようです。

           (この項 健人のパパ)

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気象大学校」(大正11年に設置された「中央気象台附属測候技術官養成所」が発展したもの )を卒業し、現在、函館海洋気象台海洋課長である「宮尾 孝」という人がいます。その人が1997年に著した「雨と日本人」(丸善ブックス)という本をいま読んでいます。

※ 気象大学校 … 気象庁の職員の養成を目的に設置されている気象庁の高等教育機関。学生は、気象庁職員として国家公務員の身分を持ち、給与が支給される。
  
その文章の中に豊富に引用されるのは、和歌、短歌、俳句、漢詩など。まるで文学の本を読んでいるようです。気象予報に長く携わると、文学に造詣が深くなるのでしょうか。ある本がきっかけで「気象予報士」に興味を持ち、勉強を始めたのですが、気象予報士になろうというわけでは当然なく、ただ好奇心のなせるワザなので勉強も脱線が多い。日々の「お天気」の変化に鈍感だった自分を反省し、まずは、風の動き、雲の形、雨の降りに敏感になろうと辿り着いたのがこのジャンルの本を読むこと。

換気のために窓を開けた妻と私の会話。

  「雨の匂いがする。もうすぐ降り出すわね。」
  「えっ! どの匂いがそうなの? ホントに降ってくるの?」

不思議に思っていてもまもなく雨が降り出してきます。調理師と栄養士の免許を持つ我が妻は、匂いに敏感で自分でも「私、犬の嗅覚があるかもね。」と言っていますが、そこまではないとしても私よりは鋭い。この動物並みの妻の上を行くには知識で勝るしかありません。

  「お父さんには、天気予報は無理かもね。10分先の雨もわからないんだから。」
  「・・・」

気象予報士の試験に出題された内容を見てみます。

代表的な雲粒は半径約10μm(0.01mm)であり、その質量は代表的な雨粒のおよそ100万分の1(10のマイナス6乗)である。

代表的な雨粒は半径約1mmなので、雲粒と雨粒の半径の比は1:100。半径の比の3乗が体積の比になるので、雲粒と雨粒の体積の比は1:1000000。体積の比は質量の比と等しい。

また、雲粒の落下速度(終端速度)V は、雲粒に働く重力 mgm :雲粒の質量、g :重力加速度)と雲粒が受ける抵抗力 6πrηVr :雲粒の半径、η :空気の粘性係数)との釣り合いの式から求められ、雲粒の半径が2倍になると、落下速度(終端速度)は約4倍になる。

終端速度は、雲粒の半径の2乗に比例しますから、雲粒の半径が2倍になると、終端速度は4倍になることになります。

代表的な雲粒の落下速度(終端速度)は、約1cm/s である。

半径0.01mmの雲粒の落下速度は、1.2cm/sと覚えておく必要があるようです。時速にすると43.2m、速いものではないのですね。人の歩行速度は時速4~5kmほどですから、その100分の1程度です。ゆっくりと落ちてくる感じですね。半径1mmの雨粒の落下速度は、680m/s。時速にすると、24.48km、人の歩行速度の4~5倍。半径2mmの雨粒の落下速度は、962m/s。時速にすると、34.632km、人の歩行速度の7~8倍ほど。雨粒は速いですね。

我が国の豊かな降水とその降り方は、人間の住居の様式や生活習慣を規定しており、同時に言葉にも大きな影響を及ぼしている。雨の呼び名の豊富なことにかけては、日本語の右に出る言語はおそらくないだろう。国語辞典から拾い出してみただけでも、小雨・豪雨・にわか雨・通り雨・夕立・雷雨・村雨・しぐれ・長雨・五月雨・梅雨・春雨・秋雨・霧雨・小糠雨・煙雨・細雨・微雨・地雨・淫雨・涼雨・冷雨・氷雨・慈雨・涙雨・天気雨・鉄砲雨・篠突く雨……、数え上げるときりがない。(「雨と日本人」から)

庭草に 村雨降りて 蟋蟀の 鳴く声聞けば 秋づきにけり (「万葉集」から)

「村雨(むらさめ)」は「叢雨」とも書かれ、秋から冬にかけて、急に激しく降る雨を指します。「激しく」とは、雨粒の単位時間あたりの落下数が多く雨粒の落下速度が速いことを言うのでしょう。雨粒の落下速度は雨粒の半径の2分の1乗(平方根)に比例しますから、速い雨粒は粒が大きい。「蟋蟀(コオロギ)」も驚いたことでしょうね。蟋蟀の平均的な体長を2cm(20mm)として、雨粒の直径を4mmとすると、体長の5分の1程の雨粒の爆弾が時速約30kmで上空から襲ってくるのです。水滴の空襲です。草を盾にして右に左にと逃げ回るのでしょうね。

こんな発想をする私は「文学者」には向いていず、故に「気象予報」をするメンタリティーに欠けているのでしょうか。

         (この項 健人のパパ)

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 タイの政情不安がついに反政府市民団体「民主市民連合(People's Alliance for Democracy、PAD)」によるスワンナプーム国際空港の占拠という事態に発展したので、予定していた「チェンマイ(チエンマイ)」や「アユタヤ」、「バンコク」などのタイ旅行を諦め、ペナンに行き先を変更。以前に行こうとして行けなかった「松花江餐室(KEDAI MAKANAN SONG RIVER、ソング・リバー)」で「肉骨茶(バクテー)」を食べることにしました。

 「松花江餐室」の全景

(参考) 肉骨茶 in ペナン (前回行けなかった理由が書かれています)  

夫「それだけが(ペナンに行く)目的なの? とても高いバクテーになるな。」
私「他に何か考えておくわね。それだったら、少しは安くなるわよね。」
 「そうだね。狭いペナン島に見たり食べたりするところが他にあればいいけどね。」
 「あるわよ、きっと。」

 そこまで言われたので、いろいろと考えました。今回の旅のテーマは「バクテー」。バクテーで有名な店へ行き(ホテルのスタッフに「バクテーで美味しい店」を尋ねてみるのはいい方法です)、「バクテーの素」をあれこれ買ってどれが美味しいかを見つけ(バクテーの素はいろいろなメーカーから出ていますがその殆どに化学調味料が入っています)、できれば漢方素材を購入し自分で配合してみたい(そうすれば「ノンMSG」のバクテーができます)。

 「松花江餐室」の営業時間

 ペナンに着くとすぐに「バクテー」を食べに行きたかったのですが、夫が「食中毒(food poisoning)」でペナンの最初のホテル「ガーニー・ホテル」に着くとすぐに入院。夫の退院を待つことになりました。

(参考) 「マレーシアへ」 - ペナンで夫が急性胃腸炎で入院しました。

 「松花江餐室」の作業場

 hojoさんのブログの「ペナン島の美味しい肉骨茶」という記事には次のように書かれています。

 ペナン島で私の大好きな肉骨茶を紹介します。私の一番好きな肉骨茶は半島側にあり、何時もコメントを下さるAMINさんのおじさんが経営している店なのですが、今回紹介するペナン島の肉骨茶もかなり美味しいです。

その店は「Song River」というホッカーセンターでガーニドライブ沿いにあります。昼間のみ開店しており、朝の7時から午後の3時までやっております。夕方になると、同じ場所で別の肉骨茶が開店しますが、この店は全く関係ありません。

この店の肉骨茶はクリア・スープ・タイプで仄かに朝鮮人参の臭いがし、他の店の肉骨茶とはかなり変わっております。肉骨茶の味はサッパリしているのですが、それでいて味わい深く、また、漢方薬系の香りも仄かにして満足すること間違い無しです。


 澄んだバクテーのスープ

 夫の入院もあって遅れましたが、ようやくペナンでの最大の目的、「ソング・リバーのバクテー」を食べることが出来ました。スープの味を壊すのを防ぐために、頻繁に灰汁(あく)を取り除いているのでしょう、バクテーのスープはとても澄んでいました。

 湯葉やフィッシュボールの入ったバクテー

 今回のマレーシアの旅で今まで食べたバクテーは大きくハズレていたので、2種類のバクテーを頼むと夫は不安な顔。でも、このホーカー・センターの混み方、食べる人達の様子を見ればその味は大丈夫だと確信できます。注文を取りに来たお兄さん(?)に頼みました。期待のバクテーは、やはりおいしかった。先ほどまで不安げな顔をしていた夫は顔を輝かせて「もう1杯取ろうよ。」と言い出します。「この前入院したばかりだからすこし自粛ね。」と私。高いバクテーになったかも知れないけれど満足してお店を後にしました(ちょっと不満げな夫も一緒に)。

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