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昨日、息子が通学している小学校の保健室から私の携帯電話に電話があり、息子が熱を出して(37℃、平熱は35.6℃)ベッドで休んでいるので、できるならば引き取りに来て欲しい、とのことでした。仕事中でしたが、中断し、迎えに行きました。インフルエンザA(いわゆる「新型インフルエンザ」)は、多く突然の高熱から発症します。ここでいう「高熱」とは38℃以上を通常言うのですが、平熱は大体36.5℃程度ですから、+1.5℃の体温上昇になるのでしょう。平熱の低い息子は+1.5℃で37℃になります。
インフルエンザ感染の前駆症状の可能性もありますから、小学校に向かう車の中でいろいろと対策を考えました(学校までの所要時間40分程度)。病院にはすぐ連れて行くべきか、きょうは熱の変動や症状を観察して、あすの朝に病院に連れて行くべきか、かかりつけの小児病院は予約制なのでいまのうちに予約をしておくべきか、代わりの人がいないのでいま仕事の休めない妻に感染が広がるのを防ぐため、隔離部屋を用意して、私が看病に専従するか、その場合は、、、などとシミュレーションを頭の中でしているうちに学校に着きました。
保健室ではマスクをかけた若い女性が心配そうな顔をして出迎えてくれました。とてもきれいなお嬢さんでした(そんな観察をしている場合じゃないって。はい、そうでした)。私の声を聞いて、ベッドから起き上がった息子の額には熱冷ましのために、保冷材が巻かれています。しかし、表情には不安なところは見られません。「どうした。熱以外になにか症状はある?」「ううん。」「寒気がするとか、関節が痛いとか、、、」「ない。」 首筋に手をあててみます。特に熱が高いとは思われません。ここ数日、軽く咳はしていたのですが、それはよくあること。
「熱が出たと言うので、心配しました。突然に高熱が出ると、新型のインフルエンザを疑ってしまって。」「そうですね。この時期ですからね。」「心配なさそうですが、一応連れて帰ります。」「そうしていただけるとありがたいです。すぐに迎えに来ていただいて、本当に助かります。」(息子に)「先生に断って帰りたいんだけど、、、」「先生、朝来たんだけど、喉が痛いと言って、すぐに帰っちゃった。」「先生も病気か。君がうつしたんじゃないんだろうね。」「違うよ。」
家に連れて帰り、熱を測ったところ、35.7℃。平熱に戻っていました。「どうしてなんだろうね。熱が上がったのは、、、」「教室が密閉されていて、蒸し暑かったから、身体がだるくなったんだと思うよ。」「それで、保健室に行ったら、37℃か。そんなことで熱が上がるかな? しばらく寝ていなさい。あとでもう一回熱を測るから。」「わかった。」 しかし、すぐに起きてきました。「どうした。」「眠れない。学校で1時間くらい寝たから。」「・・・」
きょう、息子「健人」は元気に学校に出かけていきました。仕事を半日できなかったのですが、まあ、インフルエンザに感染したわけではなかったことを喜ぶべきなのでしょう。
インフルエンザ感染の診断法には、「PCR法」と「イムノクロマト法(イムノクロマトグラフ法)」があります。「PCR法」は、操作が複雑である、特別な機器を用する、 判定に数時間を要するという欠点をもっており、診察では、「イムノクロマト法」を用いた「簡易検査(迅速診断)」でA型インフルエンザに感染しているか否かが判断されています。「簡易検査」での検出感度は、PCR法の10分1から100分の1だと言われています。しかし、「イムノクロマト法」は、操作が簡便、 特別な装置が不要(判定は目視)、判定に15分前後と迅速です。
1999年1月、インフルエンザウイルス抗原迅速検出キットが日本で初めて販売されました(「ディレクティジェンFluA」 (日本べクトン・ディッキンソン)。酵素抗体法(ElA法、Enzyme labeled antibody method、酵素で標識した抗体により、抗原を検出する方法。操作ステップが7つもあった)を応用したもので、A型インフルエンザだけでB型は判定できませんでしたが、わずか15分で結果が得られるとあって、当時としては画期的だったそうです。現在の迅速検出キットは、イムノクロマト法を使用したものがほとんどであり、A型とB型インフルエンザの同時判別ができ、操作も簡単になっているようです。
インフルエンザ簡易検査キット(インフルエンザウイルス抗原迅速検出キット)では、イムノクロマト法(immunochromatography)という技法が使われています。“immuno-”は、「免疫の」という意味です。クロマトグラフィー (Chromatography) という技法では、「固定相」と呼ばれる物質の表面や内部を、「移動相」と呼ばれる物質が通過する過程でその物質が分離されていきます。
感染しているインフルエンザがA型かB型かを判定するために使用する「迅速診断キット」は、日本ベクトンディッキンソン(製品名「BD Flu エグザマン」)、富士レビオ(製品名「エスプライン インフルエンザA&B-N」)、積水メディカル(製品名「ラピッドテスタFLUⅡ」)、アルフレッサファーマ(製品名「チェックFluA・B」)、大塚製薬(製品名「ポクテムインフルエンザA/B」)などというメーカーから発売されています。
具体的にどのように行われ、その原理はどのようなものかというと、鼻腔ぬぐい液や鼻腔吸引液を患者から採取して、その液(検体)を検体希釈液に入れて、検体濾過フィルターを取り付けます。検体希釈液を検体窓(サンプルパッド)に数滴滴下します。検体中にA型またはB型インフルエンザウイルス(抗原)が存在すると、「コンジュゲートパッド(conjugate pad)」内でそれぞれに対応する抗体結合金コロイド粒子と反応し、複合体を形成することになります。
この複合体は反応プレート上(ニトロセルロースメンブレン)を毛細管現象により移動し、分離領域(テストライン)に固相化されたマウスモノクローナル抗A型インフルエンザウイルス抗体またはマウスモノクローナル抗B型インフルエンザウイルス抗体に捕捉されることになります。捕捉されると、赤紫色のライン(金コロイド粒子が集積すると赤く見える)を形成し、目視で検出を判断できることになります。
抗原と反応しなかったマウスモノクローナル抗A型ないしB型インフルエンザウイルス抗体結合金コロイド粒子は、反応プレート上を更に移動し、分離領域(コントロールライン)に固相化されたヤギポリクローナル抗マウスIgG抗体と結合し、赤紫色のラインを形成します。この赤紫色のラインを目視確認して、検査が誤りなく終了したことになります。
(この項 健人のパパ)
(追記)
2009年10月29日配信の時事通信からです。
東京都は10月29日、新型インフルエンザに感染した都内在住の女性(63)が27日に死亡したと発表した。女性は重い心筋症を患い、通院中だった。国内の新型インフルエンザ患者の死者は、疑い例も含め37人となった。
都によると、女性は23日午前に呼吸困難となり、都内の医療機関に入院。39.1度の発熱があり、簡易検査で陽性となったため、タミフルを投与された。26日の遺伝子検査で新型インフルと確認され、27日午後に心不全で死亡した。
2009年10月30日配信の時事通信からです。
熊本県は10月30日、新型インフルエンザに感染した宇土市内在住の20代男性が死亡したと発表した。男性に基礎疾患があったかは不明だが、家族も新型とみられるインフルエンザに感染していた。死因は不明。国内の新型インフルエンザ患者の死者は、疑い例も含め38人となった。
県健康危機管理課によると、男性は27日にせきなどの症状が出たため、28日に同市内の医療機関を受診。その際、39度台の熱があったほか、脱水症状もあった。簡易検査では陰性だったが、家族に新型とみられる感染者がいたため、タミフルを投与。29日午後5時15分ごろ、自宅で死んでいるのが見つかった。死亡後の遺伝子検査で、新型の陽性反応が確認された。
2009年10月31日配信の毎日新聞からです。
堺市は10月30日、市内の病院で死亡した女児(6歳)の新型インフルエンザ感染を確認したと発表した。死因との関連は不明。厚生労働省によると、感染者の死亡は、疑い例も含めて全国で39人目。
27日に発熱し、28日に簡易検査でA型陽性と診断、タミフルを処方された。29日に呼吸困難となり、市内の病院で死亡した。30日に新型インフルエンザと確認された。
2009年10月30日配信の産経新聞からです。
大阪府は10月30日、新型インフルエンザに感染した大東市内の男性会社員(46)が死亡したと発表した。男性には基礎疾患はなく、死因は確認中だという。府によると、男性は37.5度の発熱と頭痛やせきなどの症状が出たため、29日に近くの医療機関で受診。簡易検査でインフルエンザA型陽性と判明し、タミフルの投与を受けたが意識不明となり、30日に死亡した。
(追記)
2009年11月1日配信の時事通信からです。
盛岡市は10月1日、新型インフルエンザに感染した同市の2歳女児が死亡したと発表した。厚生労働省によると、新型インフルの死者で最年少。盛岡市保健所によると、女児は先月29日夜に発熱。呼吸が停止したため、同日、市内の病院に入院した。リレンザ投与などを受けたが、1日朝に死亡した。死因は多臓器不全で、基礎疾患はなかった。
兵庫県は伊丹市の小学2年の女児(8)が死亡したと発表。兵庫県によると、女児は先月31日朝に発熱し、タミフルを処方され帰宅したが、午後3時ごろに痙攣を起こして心肺停止状態に。同4時半に市内の病院で死亡が確認された。基礎疾患はなく、死因は心不全と推定。女児は30日は元気に登校していたという。
京都市は右京区の30代前半の女性会社員が死亡したと発表。京都市によると、女性は先月30日昼に発熱があり診療所で風邪薬などを処方された。熱が続いたため31日夕にタミフルの処方を受けたが、同日夜、歩行困難となり1日朝病院で死亡した。基礎疾患は調査中だが、先月に喘息で病院を受診したという。市は病理解剖して死因を調べる。国内の新型患者の死者は疑い例も含め計43人となった。
2009年11月2日配信の時事通信からです。
神戸市は11月2日、新型インフルエンザに感染した市内在住の30代男性が死亡したと発表した。兵庫県も姫路市の80代男性、東京都も都内在住の72歳女性の感染者が亡くなったことを明らかにした。神戸の30代男性は悪性リンパ腫、姫路の80代男性は糖尿病など、都内の72歳女性は肝硬変を患っていたという。
2009年11月3日配信の読売新聞からです。
名古屋市は11月3日、新型インフルエンザに感染した同市内の60歳代女性が1日、死亡したと発表した。女性は慢性心不全や腎不全、糖尿病などを患って、通院中だった。
女性は先月19日に自宅で倒れ、かかりつけの医師から往診を受けたが、呼吸不全で、意識が朦朧とした状態だったため、市内の医療機関に緊急入院していた。同市は持病の心不全が悪化したとみている。厚生労働省によると、国内の死者は疑い例も含め、47人目。
2009年11月6日配信の産経新聞からです。
栃木県健康増進課は11月5日、新型インフルエンザに感染した県内在住の30代女性が4日未明、心不全で死亡したと発表した。女性に基礎疾患はなかった。新型インフルエンザの死者は県内では初めて、全国では48人目。
同課によると、女性は10月31日正午ごろ、嘔吐し、夜になって「胸が痛い。苦しい」と訴えたため、家族が119番通報。医療機関に搬送された際は、心停止状態でICU(集中治療室)に入院した。
女性は42度の発熱と心筋炎を発症。簡易検査では新型への感染は確認されなかったが、医師がタミフルを投与。人工心肺装置を装着し透析を行ったが、女性は心機能が低下、11月2日には重篤な状態に陥り、4日午前3時に死亡した。PCR(詳細)検査で新型への感染が確認された。
女性の家族は、女性が嘔吐するまで体調の変化に気づかなかったという。同課は「熱が出て、様子を見ているうちに胸が苦しくなり、容体が急変した」としており、体調の変化があった場合、早めの受診を呼びかけている。
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2005年6月、茨城県水海道市で「鳥インフルエンザ」が発生しました。およそ25,000羽を飼育する養鶏場で、春から1か月間に300羽前後のニワトリが死亡し、経営者が民間の検査機関に調べてもらったところ、鳥インフルエンザの疑いが強まったのです。その後、農林水産省と茨城県が検査し、この養鶏場のニワトリが鳥インフルエンザに感染していることが判明しました。感染したウイルスは、H5N2型鳥インフルエンザウイルスで、病原性はそう高くない「弱毒性」のものでした。分離されたインフルエンザウイルス株は、「A/ck/Ibaraki/1/2005(H5N2)」と名づけられました。
養鶏場のニワトリから採取した鳥インフルエンザウイルスを解析した結果、このウイルスが2002年に中米のグアテマラで流行したものと遺伝子がほぼ一致することが分かったそうです。しかし、アジア諸国に蔓延していたのは、「H5N1型」の鳥インフルエンザウイルスでしたから、中米から鳥が運んできたとは考えにくかったのです。そこで考えられたのが、「ワクチン説」です。
東京大学医科学研究所の河岡義裕教授著の集英社新書「インフルエンザ危機」(2005年刊)からの引用です。
ニワトリに使われる鳥インフルエンザワクチンは、不活化ワクチンというタイプで、鳥インフルエンザウイルスを殺したものから製造されている。もし製造段階でワクチンのもとになる鳥インフルエンザウイルスが完全に死んでいなければ、このワクチンを接種したニワトリが鳥インフルエンザに感染してしまう。実際、ほかの動物のワクチンで、こうした感染例が報告されたこともあった。茨城の事件も、こうして起きた可能性は否定できない。
鳥インフルエンザワクチンは、鳥インフルエンザが発生している地域で使用した場合、万が一ウイルスが生き残っているものが使われても、その危険性が見えにくい。なぜなら、仮に生きたウイルスがワクチンに混ざっていても、すでにウイルスが流行しているので、流行中のウイルスとワクチンに混ざっていたウイルスとの区別がつかないからだ。ところが鳥インフルエンザが発生していないところで生きたウイルスが混入したワクチンが使われると、接種したニワトリが感染してしまう。つまり鳥インフルエンザ流行の確率が極めて低い地域でのワクチン使用は、かえって流行を起こす結果になる危険性もはらんでいるのである。茨城事件が果たしてワクチンによってもたらされたものかどうかは分からないが、鳥インフルエンザワクチン導入の危険性を示す例かもしれない。
これはあくまで「鶏」に接種された「トリインフルエンザワクチン」の話であって、「ヒトインフルエンザワクチン」に結びつけるのは、ワクチンの製造工程が厳重に管理されていることから、暴論かも知れませんが可能性がまるでないとも言い切れません。人為的ミスは起こりえるのです。インフルエンザウイルスの世界では、「新型」が登場すると、いままでの「型」は完全に姿を消すと言われています。1918年に登場したH1N1亜型の「スペイン風邪」は、1958年に登場したH2N2型の「アジア風邪」に取って代わられ、このアジア風邪のインフルエンザウイルスも1969年のH3N2型の「ホンコン風邪」に取って代わられました。しかし、1977年にスペイン風邪のウイルスが復活しました。このウイルスを保管していた研究所から流出した可能性があるのだそうです。人為的ミスです。
「医薬品副作用被害救済制度」という制度があります。この制度は、医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による健康被害者に対して、各種の副作用救済給付を行って、被害者の迅速な救済を図ることを目的としています。「医薬品医療機器総合機構法」に基づく公的制度として設けられています。医薬品副作用被害救済給付の種類は、医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金、葬祭料となっています。
「生物由来製品感染等被害救済制度」(2004年創設)は、生物由来製品を適正に使用したにもかかわらず、その製品が原因で感染症にかかり、入院治療が必要な程度の疾病や障害等の健康被害を受けた人の救済を図るため、医療費、医療手当、障害年金などの給付を行う制度です。この救済給付に必要な費用は、許可生物由来製品の製造販売業者がその社会的責任に基づいて納付する拠出金が原資となっています。(アメリカの制度では、National Vaccine Injury Compensation Program (VICP)が補償を行っており、その財源は、ワクチンメーカーが税金としてワクチン1本に75セント支払ったものが充てられています。)
「別表第一 1 次に掲げる成分を含有する製剤 (18) インフルエンザHAワクチン (19) インフルエンザワクチン」によって、インフルエンザワクチンは、「生物由来製品」とされ、「生物由来製品感染等被害救済制度」の適用を受けます。
ワクチンなどが原因で感染症にかかり、入院治療が必要な程度の疾病や障害等の健康被害を受けた人を救済する「生物由来製品感染等被害救済制度」は、「独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)」が運用しています。法定予防接種以外のワクチンの被害は、この制度で救済されます。「法定予防接種以外」と限定がつくのは、法定予防接種では「予防接種健康被害救済制度」という別個の制度があり、「生物由来製品感染等被害救済制度」より補償は手厚い。しかし、インフルエンザのワクチン接種は、法定予防接種ではありません。
1976年に、ニュージャージーでH1N1型の新型インフルエンザA(A/New Jersey/8/76(HswN1)など)が流行したときに、アメリカ政府は、ワクチンを開発し、4,000万人以上に接種しました。しかし、ワクチン禍(ギラン・バレー症候群)が多発し、ワクチン接種は中止されました。1988年に、National Vaccine Injury Compensation Program (VICP)が設立され、ワクチンによる副作用が発生した場合は、十分な補償を受けることができる制度になりました。それも、「無過失補償制度」で、国・ワクチンメーカー・医療関係者などを相手取って訴訟を起こすということをしないでも、補償を受けられるのです。日本には、ここまでの法律はいまだありません。
新型インフルエンザ(A/California/07/2009(H1N1)株)のワクチンの接種は、我が子にも受けさせ、自分たち夫婦も受けようと考えています。しかし、接種を受けたからといって、インフルエンザに関するあらゆるリスクが大きく軽減するとは考えていません。感染予防効果が100%あるとも、ワクチン禍の可能性が0%であるとも思ってはいません。日常の予防習慣が大事だと考え、実行しています(マスク着用、手洗い、咳エチケットなど)。人とインフルエンザウイルスとの戦いは、まだその緒についたに過ぎないのです。インフルエンザ研究が大いに進むことを期待しています。
Q.感染救済給付の支給の可否等は、どのようにして決定されるのですか。
A.生物由来製品を介した感染等による健康被害者またはその家族から機構に提出された請求書や診断書をもとに、その健康被害が生物由来製品を介した感染等によるものかどうか、生物由来製品が正しく使用されたかどうかなどの医学的・薬学的判断について、機構から厚生労働大臣に判定の申出を行い、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会(副作用・感染等被害判定部会)で審議され、厚生労働大臣の判定結果をもとに機構において感染救済給付の支給の可否を決定します。 請求者には、機構からその結果を文書で通知します。
(「独立行政法人 医薬品医療機器総合機構」のサイトから)
(この項 健人のパパ)
(追記)
2009年10月28日配信の時事通信からです。
宮城県は10月28日、新型インフルエンザに感染した石巻市の男性(57)が同日死亡したと発表した。男性には糖尿病や慢性腎不全の持病があった。国内の新型インフルエンザ患者の死者は、これで疑い例も含め36人となった。
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市役所から、「新型インフルエンザワクチン接種が始まります」という文書が届きました。次にその文面を載せてみます。
新型インフルエンザワクチン接種が始まります。
新型インフルエンザワクチンの任意予防接種が医療機関で開始されます。現在、新型インフルエンザワクチンの生産量は限られているため、すべての人に対して予防接種ができるわけではありません。新型インフルエンザによる重症者をできる限り減らすため、また、そのために必要な医療体制を確保することを目的にワクチンの優先接種を行います。
【優先接種対象者】
① インフルエンザの患者診療に従事する医療従事者
② 妊婦
③ 以下の基礎疾患を有し、入院中または通院中の方
(1) 慢性呼吸器疾患 (2) 慢性心疾患 (3) 慢性腎疾患 (4) 慢性肝疾患 (5) 神経疾患・神経筋疾患 (6) 血液疾患 (7) 糖尿病 (8) 疾患や治療に伴う免疫抑制状態 (9) 小児科領域の慢性疾患
※基礎疾患を有する方については、疾患の重さ、内容により、最優先グループとその他に分類されるため、医師の判断により、優先的に接種ができない場合もあります。(例えば、高血圧のみ、食事療法でコントロール可能な糖尿病、鉄欠乏性貧血等は、原則として優先グループに含まれません。)
④ 満1歳から小学校就学前の小児
⑤ 小学校低学年(平成13年4月1日生まれまで)の小児
⑥ 1歳未満の小児の保護者、または優先接種対象者のうち、医学的理由により予防接種が受けられない方の保護者等、高齢者(65歳以上)、小学校高学年、中学生、高校生相当
【予防接種の受け方】
医療機関に必ず予約し、持参する物(右上の表に記載)を確認してください。新型インフルエンザワクチンの接種に関しては、ワクディンの効果及び副反応についてよく理解し、十分納得した上で受けるようにしてください。
記載されている情報は、平成21年10月19日現在の情報であり、ワクチンの流通状況や、新たな知見等が得られた段階で、優先接種対象者や、接種の仕方、接種スケジュールが大幅に変更になる可能性があります。下記の最新情報は市のホームぺ-ジをご覧ください。
●優先接種対象者と接種開始時期●接種できる医療機関●接種に関するQ&A
●新型インフルエンザウクテンの効果と副反応について
●新型インフルエンザワクチンによる健康被害の救済について
また、ホームぺージをご覧いただけない方は、以下の窓口にて最新情報の閲覧が可能です。市役所2階保健医療推進課・保健所・総合保健センター・各出張所
【接種期間と持参する物】 10月下旬より随時接種開始
【予防接種の費用】
新型インフルエンザワクチンは原則2回接種します。(今後年齢により、1回接種となる方もいらっしゃいます。詳細は決定次第お伝えいたします。)任意予防接種で費用は有料になります。
・1回目 3,600円 ・2回目 2,550円
2回目の接種については、初回と異なる医療機関で接種を受ける場合は、3,600円となります。
【市・県民税非課税世帯の方の費用免除に係る申請受付】
○ 受付期間(受付期間が対象者により異なります)
①平成21年11月2日(月)・4日(水)・5日(木)
⇒妊婦及び基礎疾患をお持ちの(最優先グループ)の方
(基礎疾患をお持ちの方は、かかりつけ医で最優先グループに該当するか確認のうえ、申請してください。)
②平成21年11月6日(金)・9日(月)・10日(火)
⇒基礎疾患をお持ちの方及び満1歳から小学校就学前の小児の方
小学校低学年の小児
※1歳未満の小児の保護者、優先接種対象者のうち、医学的理由により予防接種が受けられない方の保護者等及び高齢者(65歳以上)の受付につきましては、11月25日号の広報等にて日程をお知らせいたします。
※上記期間以降については、市の保健所にて申請を受付けます。
○ 受付時間及び場所 午前9時から午後5時 市役所1階
○ 持ち物 印鑑(認め印)・申請に来られた方ご本人が確認できる書類(運転免許証・健康保険証等)
○ 出張所及び郵送による受付も行いますが、本人が確認できる書類の写しを添付してください。(免除証明書は後日、郵送になります。)
※生活保護を受給中の方は、担当ケースワーカーにご相談ください。
裏面です。
新型インフルエンザワクチンの関するQ&A
① 季節性インフルエンザワクチンと新型インフルエンザワクチンは同時に接種できますか?
⇒既存の製法による国産ワクチンと季節性インフルエンザワクチンの同時接種については、医師が必要と認めた場合には実施可能と考えられています。なお、それぞれのワクチンはそれぞれのインフルエンザにしか効果がないと考えられています。
② 妊娠している場合でもワクチンを接種することはできますか?
⇒日本で使用されているインフルエンザワクチンは、生ワクチンではないので妊婦に対して特別に重篤な副作用は起こらないと考えられ、一般的に接種可能であるとされています。
③ 新型インフルエンザに感染したことがある場合でもワクチンを接種することはできますか?
⇒一般的に、新型インフルエンザに感染して発症した方は、免疫を持っていると考えられるため、予防接種をする必要はないと考えられます。ただし、確実に感染したかどうか不明な場合は希望すれば接種することは可能です。
我が家で優先接種の対象となるのは、83歳になる母と小学校5年生の息子です。母は踊りを教えていて、健康には問題がなさそうですが、季節性のインフルエンザのワクチンでは、「私? 受けなくても大丈夫よ。」と言って、接種を受けていなかったのですが、今回の新型インフルエンザに関しては、受けるつもりでいるようです。いずれも接種開始時期は来年になるようです。予定表では1月1日以降になるようです。で、優先接種の対象とならない私たちはいつ?
(この項 健人のパパ)
(追記)
「日本の入院患者の基礎疾患(平成21年7月28日~9月1日)」というデータがあります。それによると、インフルエンザによる入院患者579例中の257例(44%)には基礎疾患があったようです。一部に重複があるようですが、そのデータを載せておきます。接種優先者で慢性呼吸器疾患がある人が感染に一番注意すべきと言えます。
喘息等の慢性呼吸器疾患_______138例(54%)
糖尿病等の代謝性疾患________23例( 9%)
腎機能障害_____________16例( 6%)
慢性心疾患_____________15例( 6%)
妊婦_________________5例( 2%)
ステロイド全身投与等の免疫機能不全___4例( 2%)
その他_______________98例(38%)
(追記)
2009年10月26日配信の時事通信からです。
埼玉県は10月26日、新型インフルエンザに感染した疑いがある同県入間市の市立中2年の女子生徒(13)が死亡したと発表した。生徒の死因はウイルス性心筋炎などによる心停止で、基礎疾患はなかった。
一方、奈良県も同日、新型インフルエンザに感染した奈良市の80代男性が死亡したと発表。大阪府も同日、感染が確認された四条畷市の女性(89)が死亡したと発表した。男性は糖尿病を、女性は慢性腎不全を患っていたという。国内の新型インフルエンザ患者の死者は、これで疑い例も含め35人となった。
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きょう(2009年10月19日)から、新型インフルエンザ(インフルエンザAH1pdm、pdmはパンデミック(pandemic)の意)のワクチン接種が開始されました。今後どのようなスケジュールで接種が行われるかを一つの例として、「神奈川県衛生研究所」の「感染症センター」のサイトから拾ってみました。全国的に見ても同じようなスケジュールで行われるものと思われます。
優先順位1 … 医療従事者
(優先理由) インフルエンザ患者から感染するリスクが高く、医療体制に支障を来すおそれがあることから、必要な医療体制を維持するために接種が必要とされています。
(接種開始時期) 10月19日の週~
この優先順位者は全国で約100万人、このうちの約2万人がモニターとなって新型インフルエンザワクチンの副反応(副作用)の発生頻度が調べられます。優先順位2番目の接種が始まる前に、ワクチンの「安全性」に関して、報告がされるものと思われます。9月中旬から国内4カ所の医療施設で実施された臨床研究では、200人でしたから、その100倍のデータが集まるわけです。
(追記) 2009年10月23日配信の読売新聞からです。
厚生労働省は10月23日、医療関係者に対する新型インフルエンザワクチンの接種開始から4日間で、意識低下や筋肉痛など、重い副作用(副反応)の可能性がある事例が6件報告されたと発表した。いずれも数日中に回復し、症状は季節性インフルエンザワクチンと同程度。厚労省は「今のところワクチンに問題があるとは言えない」としている。
厚生労働省は19~20日、67病院の医療従事者2万2112人を対象に、ワクチン接種後の健康調査を実施。その他の医療機関から22日までに寄せられた報告も集計した。その結果、副作用の可能性がある例が32件確認され、うち6例が重い症状だった。32件中、16件にアレルギーの持病があった。
6人の症状は、嘔吐、両足の筋肉痛、一時的な意識低下など。ワクチンとの因果関係はまだはっきりしないが、1例は接種の30分後に呼吸困難や血圧低下があり、副作用の可能性が高いという。
健康調査での重い副作用の発生頻度は0.02%。季節性インフルエンザの場合、昨年度約4,740万人中、重い副作用の報告は121人(0.0003%)にとどまるが、厚労省は「打ち始めたばかりで念入りに調査しているため、数字が高めに出ている可能性がある。今の段階で頻度が高いとは言えない」と説明している。
(参考) 「インフルエンザワクチンの安全性と有効性の壮大な臨床試験が」
(追記終わり)
優先順位2 … 妊婦及び基礎疾患を有する方
(優先理由)他の者と比較し、新型インフルエンザに罹患して、重症化、死亡する割合が高いことから、重症者を減らすために接種が必要とされています。※基礎疾患を有する方のうち、11月中旬から接種を開始するのは「最優先者」のみです。その他の方は12月上旬からの予定です。
(接種開始時期) 11月中旬~
日本で使用されているインフルエンザワクチンは、生ワクチンではないので妊婦に対して特別に重篤な副作用が起こらないと考えられ、一般に妊娠中の全ての時期において接種可能であるとされています。妊婦は全国で、約100万人、基礎疾患のある人は、約900万人。
基礎疾患のある人には最優先であるか否かの振り分けがあります。優先順位で2番目にかわりはないのですが、その中で妊婦・最優先の基礎疾患のある人→最優先ではないが基礎疾患のある人、という順位になります。合計でおよそ1,000万人になることから、混乱が予想され、このようになったものと思われます。
優先順位3 … 小児(1歳~小学校3年生)
(優先理由)10歳未満の小児の罹患率が高く、重症例が多くみられていることから、重症者を減らすために接種が必要とされています。
(接種開始時期) 12月後半~
今までの新型インフルエンザの入院患者の2分の1以上が10歳未満の子どもたちなのです。その中でも5歳以上10歳未満の子どもが3分の1以上と圧倒的に多い。この子たちをインフルエンザから守る(「インフルエンザ脳症」による死亡例が多い)のが必須と言えます。
小児(1歳~就学前)は全国で、約600万人、小学校低学年は約400万人で、合計で約1,000万人です。
優先順位4 … 1歳未満の小児の保護者等
(優先理由)1歳未満の小児は、予防接種によって免疫をつけることが難しいのでその保護者に接種します。
(接種開始時期)1月前半~
約200万人です。
その他に
(1)小学校4年生~高校生に相当する年齢の者 … 発症者の半数が10代の若年層であり、相対的に重症者が多数発生するおそれがあることから、重症者を減らすために接種が望ましいとされています。1月後半~
(2)高齢者(65歳以上) … 現時点では、発症者は少ないが、今後、患者数が増加した場合には、重症化する高齢者が多数発生する可能性があることから、重症者を減らすために接種が望ましいとされています。1月後半~
が優先されます。
高校生と高齢者には輸入ワクチンが用いられる予定です。ただし、この予定は2回接種で予定されたもので、1回接種が原則になったり、接種希望者が予定よりも少なかった場合には、国産ワクチンが用いられる可能性も出てきます。
現在のところ、接種回数は、2回とされていますが、今後、1回に変更される可能性があります。接種費用は、1回目は3,600円,2回目は2,550円です。1回目と異なる医療機関で接種する場合は、2回目も3,600円となります。
卵アレルギーのあるときにインフルエンザワクチンの接種をどうするかという問題があります。「発育鶏卵培養法」という方法で作られる国産のインフルエンザワクチン(今回のワクチンは「A型インフルエンザHAワクチン(H1N1)」、または「パンデミックワクチン」と呼ばれます。)には、ごく極微量の卵の成分が残っています。
そこで、卵アレルギーのあるときにはワクチンの皮膚テスト(皮内反応)が行われます(卵の加工品を食べても症状が出ない場合は、皮膚テストの必要はないと考えられています)。陽性(腫れた部分が9~14mm、赤い部分が20~39mm以上)の場合は、少しずつワクチンを分割して接種します。強く陽性(腫れた部分が15mm以上、赤い部分が40mm以上)を示した場合は、接種を中止することになります。
輸入ワクチンの中には、卵を使わず、「細胞培養法」で作られているインフルエンザワクチンがあります。アジュバント(免疫増強剤、免疫賦活剤)を添加しているために安全性に疑問を抱く人たちもいます。輸入ワクチンは、イギリスのグラクソ・スミスクライン社(「発育鶏卵培養法」で製造)とスイスのノバルティスファーマ社(「細胞培養法」で製造)のものが使われますが、いずれもアジュバントが添加されています。
グラクソ・スミスクライン株式会社 (日本法人) は、自社のサイトで「アジュバント」について、次のように述べています。
アジュバントを使用することにより、少ない抗原量で、十分な予防効果が長期間にわたって得られることが期待されています。海外で実施されている臨床試験の初期報告によると、アジュバントを組み合わせたワクチンではアジュバントを使わないワクチンに比べて4分の1の抗原量で同等の効果が得られています。
インフルエンザワクチンを注射液から点鼻式(経鼻・鼻腔内噴霧型)ワクチンに変更すれば副反応が減少するのではないか、といった意見や卵アレルギーを持っているものに対し、組織培養細胞を用いた(「細胞培養法」)ワクチンを使用できるようにしてほしい、などという意見が医師から10年以上前から提起されています。何がこの動きを阻害してきたのでしょうね。
(この項 健人のパパ)
(追記)
2009年10月19日配信の毎日新聞からです。
川崎市は10月19日、新型インフルエンザに感染し市内で入院していた東京都在住の無職女性(36)が18日、重症肺炎で死亡したと発表した。女性には糖尿病とぜんそくの基礎疾患があり、タミフルを投与されていたという。厚生労働省によると、新型インフルエンザによる死者は疑い例を含め28人となった。
市健康安全室によると、女性は11日に発熱。12日に市内の病院を受診し、その場で呼吸困難となり緊急入院して集中治療室(ICU)に入った。15日に陽性と確認され、18日午後に新型インフルエンザによる重症肺炎で死亡した。
2009年10月22日配信の毎日新聞からです。
東京都は10月22日、新型インフルエンザに感染した都内の男児(3歳)が死亡したと発表した。死因はインフルエンザ脳症とみられる。基礎疾患はなかった。厚生労働省によると、新型インフルエンザによる国内の死者は29人目で、男児は最年少。
都によると、男児は20日朝、39.6度の発熱があり、自宅近くの診療所でインフルエンザA型陽性と診断されタミフルを投与された。同日夕、容体が急変して意識を失い、都内の病院へ搬送されたが、間もなく死亡が確認された。遺伝子検査の結果、新型インフルエンザと確定したという。
2009年10月23日配信の時事通信からです。
神奈川、埼玉、福井各県は23日、新型インフルエンザの感染患者各1人が死亡したと発表した。国内の新型インフルエンザ患者の死者数は疑い例も含め計32人。神奈川では基礎疾患のない厚木市の50代女性が、埼玉では糖尿病や高血圧、高脂血症、脳梗塞の後遺症があった川口市の女性(67)が、福井では糖尿病や高血圧、脳梗塞の50代男性が亡くなった。
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大流行の兆しがあるインフルエンザA(いわゆる「新型インフルエンザ」)に対抗するためには、感染を防ぐか感染しても重症化しないように免疫力を高めておくしかありません。免疫力を高めるには、健康を維持する(肥満も解消しておく)以外にインフルエンザワクチンを接種するという方法があります。現在、日本には概数で、妊婦 100万人、基礎疾患のある人 1,000万人、基礎疾患のない高齢者 2,100万人、1~6歳の乳幼児 600万人、7~18歳の小中高生 1,400万人がいると言います。
(参考) 「新型インフルエンザに狙われる「肥満」は優先接種に入らないのか」
政府は新型インフルエンザのワクチンを需要分用意できないことから、優先順位をつけて、(1) 医師や看護師などの医療従事者(約100万人、このうちの約2万人がモニターとなって副反応(副作用)の発生頻度が調べられる。10月19日より接種開始)、(2) 妊婦(約100万人)と基礎疾患のある人(約900万人)、(3) 小児(1歳~就学前、約600万人) と小学校低学年(約400万人)、(4) 乳幼児(1歳未満)の保護者(約200万人)、(5) 小学校高学年~高校生(約1,000万人)と高齢者(65歳以上、約2,100万人)と決定しています。
厚生労働省が10月16日に専門家の意見交換会を開催しました。そこで、国内メーカーが製造した新型インフルエンザワクチンの「有効性」と「安全性」を確認する臨床研究で、有効性に関しては、1回の接種でも免疫の指標となる抗体価の上昇がみられ、効果が期待できることが分かったそうです。13歳以上は妊婦、基礎疾患のある人などハイリスクの人たちも含んで、基本的に1回接種となるようです(1~12歳は従来通り2回接種。持病のある人の中でも免疫不全など著しく免疫が低下している人は2回接種)。
9月中旬から国内4カ所の医療施設で実施された臨床研究では、健康な20~59歳の男女200人に、3週間の間隔で2回インフルエンザワクチンを接種。1回につき通常量の0.5ml接種するグループと、2倍の1ml接種するグループの2グループに分け、2回目の接種前に採血して抗体価の上がり方などを調べたそうです。その結果、0.5ml接種のグループでは78.1%で、1mlのグループでは87.8%で免疫効果が期待できる抗体の保有を確認できたようです。
2回必要とされていた接種が1回で済めば、優先順位に従って順次進められる接種の予定も、当初より早まる可能性が出てきたことになります。現在、厚生労働省が示している接種開始時期の目安では、医療従事者の後、妊婦と持病のある人が11月初めから、1歳から小学校低学年の子どもが12月後半から、1歳未満の乳児の保護者らが年明けからとされていますが、これが早まる可能性が出てきたことになります。さらに、より大勢にワクチンが行き渡ることになりますから、優先対象者以外も早めに接種を受けられる可能性が高くなったのです。
厚生労働省は10月6日、欧州の製薬大手、イギリスのグラクソ・スミスクライン社(GlaxoSmithKline)とスイスのノバルティスファーマ社(Novartis Pharma)の2社とおよそ5,000万人分の新型インフルエンザワクチンについて、購入契約を締結しました。
グラクソ社の供給量は、3,700万人分(3週間以上の間隔で1人2回接種)です。グラクソ社のワクチンは発育鶏卵培養法のワクチンで、アジュバント(免疫増強剤、免疫賦活剤)を添加して使用するものです。ノバルティス社のワクチンは、1,250万人分で、細胞培養法によるワクチンで、アジュバントを添加しています。この輸入ワクチンは、高校生と高齢者(65歳以上)への接種が予定されています。
(参考) 「人獣共通感染症と「豚インフルエンザ」、「鳥インフルエンザ」 」(「発育鶏卵培養法」に触れています)
(参考) 「細胞培養法の新型インフルエンザワクチンの製造開始はいつ? 」
新型インフルエンザワクチンの「安全性」に関しては、副反応(副作用)は全体の45.9%にみられ、接種部位の発赤や腫れが多かったそうです。このうち2人に(200人中ですから、1%の確率)、アレルギー反応であるアナフィラキシーなどの「高度の有害事象」が現れたようです。
(参考) 「食物アレルギーと早すぎる離乳食開始と経口減感作療法と、、、」(「アナフィラキシー」について触れています)
2009年9月30日配信の毎日新聞からです。
厚生労働省は9月29日、2008年度に使われた季節性インフルエンザワクチンの副作用報告が、死亡2例を含め121例あったと発表した。接種したのは推計約4,900万人で、副作用が起きる率は100万人に約2.5人。厚生労働省は「新型インフルエンザの国産ワクチンも、副作用の危険はほぼ同じ」と説明している。
(参考) 「インフルエンザワクチンの安全性と有効性の壮大な臨床試験が」
(参考) 「ワクチンの胎児への未知の危険と感染の妊婦への現実の危険 」
国立感染症研究所情報センター長の岡部信彦氏によると、「一般的に、ワクチン接種当日や翌日に38度前後の熱(39度以上になれば、他の病気の可能性を含めて、受診の必要)が出たり、注射した場所が直径数センチほど腫れたりする反応は、全身状態に変化がなければ、「生体の正常な免疫反応のうち」と思って」いいのだそうです。注意すべきは、全身の様子で、「全身に蕁麻疹のような発疹が出たり、嘔吐を繰り返したり、ぐったりした様子がある…といった場合」に、すぐに病院で受診する必要があるのだそうです。(2009年9月26日産経新聞から)
2009年10月12日配信の産経新聞からです。
全米で始まった新型インフルエンザに対する予防接種について、3分の1以上の米国人が「子供には受けさせたくない」と考えていることが、このほど実施されたAP通信などによる世論調査で明らかになった。副作用への懸念などのためで、インフルエンザ対策を担当する米疾病対策センター(CDC)などは、安全性強調に躍起となっている。
アメリカでの接種は10月6日に始まった。当面の接種対象は医療関係者が中心。今後、十分なワクチンの供給を待って、子供たちなど一般への接種が本格化する。今年春に、アメリカ国内最初の感染地の一つとなり、多くの患者を出したニューヨーク市では、希望する小学生全員への無料接種の方針が打ち出されている。
ところが、今月1日から5日にかけて全米でAP通信などが実施した世論調査によると、自分たちの子供に接種を受けさせたくないと答えた親は38%。接種の副作用が気にかかると答えたのは72%にものぼり、接種のマイナス面に懸念が存在することがわかった。
ワクチンの製造を急いだため、十分なテストがなされていない、との見方があることについて、CDCのフリーデン局長は「例年のワクチン同様の方法で製造されており、これまでに実施された臨床試験でも深刻な副作用は見つからなかった」と説明。「接種は、予防にとって最善の方法」と効果を強調している。
マーケティングリサーチ会社の「インテージ」が特定非営利活動法人「疾患啓発推進センター」と共同で全国の15~79歳の男女を対象に実施した調査では、「新型インフルエンザワクチンの予防接種を受けたいと思うか」の問いに対し、「是非受けたい」と「できるだけ受けたい」を合わせると、52.3%でほぼ半数が「受けたい」と回答。「あまり受けたいと思わない」「受けたくない」と答えた人に理由を尋ねたところ(複数回答)、次のような回答になったそうです。
「予防接種を受けたとしても、かからないとは限らない」 … 45.3%
「弱毒性で、かかってもそれほど重くならないと思う」 … 33.1%
「ワクチンの予防接種は副作用がある」 … 28.6%
「自分はこれまでかかったことがない」 … 24.9%
「マスク、うがい、消毒などで十分」 … 23.8%
この結果によれば、新型インフルエンザワクチンは任意接種ですから、厚生労働省が準備したワクチンに余剰が出る可能性があります。ワクチン接種を希望する「優先接種者に入らない者」も来年の3月を待たずに早めに接種が受けられそうです。
(この項 健人のパパ)
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