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上の息子「優也」は、妻の血を色濃く引いています。その「血」とは「旅行好き」。妻「あみ」は「旅行」に出かけるために収入を得ているかの如くです。「人生」は「旅をするためにある」とでも考えているのでしょうか。「松尾芭蕉」は「奥の細道」で「いづれの年よりか、片雲の風に誘われて、漂泊の思いやまず、、、」と述べています。妻は「ちぎれ雲」です。「風」に誘惑されて、「旅」に出ようとします。この「ちぎれ雲」、優也を就学前から、オースラリアへ、ヨーロッパへ、韓国へと連れ出しました。
そのせいなのでしょうか。優也は、バイトをするようになった大学時代には、自分であちこちへと旅行し始めます。インドへ、ベトナムへ、中東へ、ヨーロッパへとふらっと出かけていきました。安宿を泊まり歩くような旅だったそうです。妻も若い頃はそんな旅をしていたそうです。ツアーを利用するような旅は、数えるほどしかないようです。2005年に妻は一人でベトナム旅行に出かけましたが、そのときはそんな旅でした。
(参考) 卒業旅行を海外で!うらやましい時代です。in Vietnam(2005年03月17日の記事)
息子は大学を卒業し、大阪に本社を置く産業機械のメーカーで勤め始めましたが、海外への出張が多く、本人は喜んでいます。筑波への出張の途中で家に立ち寄ったので、言葉を交わしました。「出張はストレスにならない?」「いや、おもしろいよ。」「それはよかったね。」「ストレスになるような人間は勤めらんないね。」「そりゃそうだろな。」「でも、出張に出ると太って困るんだ。」「食べ過ぎる?」「現地事務所の人たちが食事に連れて行ってくれるんだけどね、つい食べちゃうんだ。」「いいじゃないか。」「帰ってから、体重を落とすのが大変だよ。」「ははは。今度はどこに行くんだい。」「26日からタイ。」「タイか。バンコク?」「いや、東北部へも行く。」「イサーンか。食べ物、おいしいから、また太るか。」「・・・」
(参考) 「バンコク」旅日記7-ティダ・イサーンで辛~い!
(参考) 「バンコク」旅日記10-ティダ・イサーンでさらに
「バンコクといえば、スワンナプームの空港とバンコク市内を結ぶ鉄道がようやく完成したそうだよ。」「エアポート・レール・リンク?」「そう。先月から正式開業しているから乗れそうだね。」「空港には現地事務所から車で迎えが来るんだ。」「おや、それは残念。」「乗るのは、タイ航空だから、12時に関空から出発して、3時半にはバンコクだよ。」「2時間の時差入れて、5時間半か。近いな。」「何度もバンコクには行ってるじゃない。」「UAやノースは深夜の到着だからね。疲れるんだよ。遠く感じるね。」
(参考) 深刻化するタイのインフルエンザ拡大-秋の日本との相違は?(2009年7月31日の記事)
妻は会社の経費で旅行できる息子を羨ましがっていますが、「仕事」で出かけるのであって、「観光」ではありません。「それでも面白いわよ。」と言いますが、タイではリスクが高まっています。それは「政情不安」ということではなく、去年の同時期と同じく、「新型インフルエンザの感染拡大」です。「優也」も新型インフルエンザのワクチンを今年始めに接種していますが、ワクチンの「重篤化の防止」効果は、接種後2週間ごろから出始め、5か月ぐらいまでにはなくなってしまいます。2010年1月に接種したのですから、だいたい6月には効果がなくなっています。新型インフルエンザウイルスに接する機会があれば、ブースター効果(booster effect、追加免疫効果)で、その効果は延長されるでしょうが、それは確実ではありません。
タイの保健省は、2010年9月21日、タイ国内で新型インフルエンザが猛威をふるっており、今年確認されたインフルエンザ感染者は、およそ50,000人強で、そのうちの10,000人強が新型インフルエンザに感染していることを公表しています。今年に入ってから66人がインフルエンザ感染で死亡しています。感染拡大は、都市部で深刻で、バンコクでは居住者の20%ほどがインフルエンザに感染しているという計算になるようです。地方では、バンコクを取り囲む「中部」で7%強、「北部」で1%ほど、「東北部」で0.8%ほど、「南部」で0.5%ほどのようです。「優也」には早々と東北部に移動してもらいたいものです。
(参考) ますます遠くなるバンコク、チェンマイへの旅-いつなら大丈夫?(2009年07月17日の記事)
タイの保健省は、次のような文書を出して警戒を呼びかけています。
For Thailand, since May 2009, 2 big waves of outbreaks have already occurred. However, since July 2010, the trend of influenza situations has increased constantly. Sentinel surveillances have shown that the proportions of the new strain of influenza (H1N1) 2009 in outpatients and inpatients have also increased. In addition, Thailand is currently entering the peak period of seasonal influenza outbreak, i.e. raining season and winter.(タイでは、2009年5月以降、感染拡大を2度経験しています。さらに、2010年7月から、インフルエンザ感染が増加しています。インフルエンザの動向監視で、外来患者、入院患者ともに新型インフルエンザ(H1N12009)の割合も増加していることが判明しています。タイは季節性インフルエンザの感染拡大がピークを迎える「雨季」に入っており、また同じくピークである「冬」を迎えようとしています。)
日本では新型インフルエンザのワクチン接種は、10月1日から始まります。優也がタイに出かけるのは、9月26日。間に合いません。ワクチンの効果が出るのは、接種後およそ2週間ですから、いま接種できたとしても、いずれにしても間に合わず、無防備な状態でタイへ出かけることになります。無事に帰ってきてもらいたいものです。
(参考) バンコクの私立病院で新型インフルエンザ治療に法外な請求?
タイは、「政情不安」で観光地としての魅力を大きく減退させています。デモ隊による空港閉鎖(2008年11月25日から9日間)という事態にまで発展したのですから、観光客も二の足を踏むのは当然とも言えます。タイには月平均約9万人の日本人が訪れていたのですが、2010年の統計では、4月は72,000人、5月は46,000人(前年比24%減!)、6月は52,000人、7月は72,000人ほどと最近4か月を見ただけでも前年同月比10%強減っています。妻は「いま、バンコクのホテルは安いのよ。政情不安のせいね。治安に問題がなければ、バンコク、チェンマイと旅行したいところよ。旅行のコストが少なくて済むし、タイの観光産業の救済にも幾分かなるしね。」
(参考) タイの政情不安、ついにスワンナプーム空港閉鎖にまで(2008年11月27日の記事)
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私たちの旅は、子連れの旅です。リスクは最小限にしなければなりません。タイの情勢を日々ウォッチしている私が考えるに、まだまだタイに行くには、ハードルは高いと言えます。
(この項 健人のパパ)
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「ラクタム(lactam)」という化合物があります。「ラクトン (lactone、環状構造を持つ有機化合物で、環の一部にエステル結合(-COO-)を含むもの)」と「アミド(amide、-NH-CO-、アミンとカルボン酸の脱水縮合反応で生成される)」という2つの語から造語されています。カルボキシル基(-COOH)とアミノ基(-NH2)が脱水縮合した形で環を形成している化合物の総称です。
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ラクタムは、環を構成する炭素数によって、三員環のα-ラクタム、四員環のβ-ラクタム、五員環のγ-ラクタム、、、と呼ばれます。その中で、四員環のβ-ラクタムは、β-ラクタム系抗生物質の主要構造として知られています。最初に発見されたβ-ラクタム系抗生物質はペニシリンで、1940年代後半より臨床で使用されるようになりました。
ペニシリン (penicillin) は、1929年に、アレクサンダー・フレミング(Alexander Fleming)によって、アオカビ(penicillium、尖ったものを表すpen-がつくのは筆のような形をしているから)から発見され、1940年に、H.W.フローリー(Howard Walter Florey)とE.B. チェイン(Ernst Boris Chain)によって、分離された世界最初の抗生物質(antibiotics、微生物の増殖を抑制する物質)です。ペニシリンGの実用化は、感染症の臨床治療を一変させ、1945年に、その功績によりフレミング、フローリー、チェインにノーベル医学・生理学賞が授与されています。
1929年、アレクサンダー・フレミングがブドウ球菌の培養実験をしていたところ、実験汚染(laboratory contamination、本来混入するべきでない物質が混入してしまうこと)でアオカビ(penicillium notatum)が生じ、その周囲ではブドウ球菌の生育が阻止されるという現象を発見します。アオカビが産生する物質が、細菌の細胞壁の主要成分であるペプチドグリカン(peptidoglycan、細胞質の浸透圧に対する耐久性を与えるペプチドと糖からなる高分子)を合成する酵素と結合し、その活性を阻害していたのです。
細胞壁を作れないままに、分裂を続ける細菌は、細胞壁が次第に薄くなり、やがて増殖が抑制される(静菌作用)ことになります。さらに、細胞壁が薄くなると侵入した動物の体液との浸透圧の差から細菌の細胞内にその体液が浸入し、風船のように膨らみ破裂します(殺菌作用)。
人間は病原菌(細菌のなかで宿主となる生物に病気を起こす性質を持つもの)に対して強力な武器を手にしたはずでした。しかし、病原菌はペニシリンなどの抗生物質の攻撃を受けても、累々と積み重なる屍骸のなかに生き残るものもでてきます。この薬剤耐性を持った菌に増殖を続けられる環境(抗生物質の濫用で、他の細菌は死滅してしまうなど)が与えられれば、爆発的に増殖し人間にとって脅威となり、それに対し人間は新たな武器を考え出すしかありません。
しかし、病原菌のなかには「β-ラクタマーゼ」を生成できるものもでてきました。β-ラクタマーゼ(β-lactamase)は、-ase(-アーゼ)という接尾辞が付いていることからも分かるように、β-ラクタム系抗生物質を加水分解する酵素です。細菌の細胞壁の合成を阻害するはずのβ-ラクタム系抗生物質を分解してしまうのです。「鬼」が「金棒」を手にしてしまったのです。
しかも、この「金棒」、殆どの細菌が「オプション」で持つことができるのです。遺伝情報を担う物質であるDNAは、細菌では必ずしも染色体だけに存在するわけではありません。染色体以外にも存在し、細胞内で複製されます。これを「プラスミド (plasmid) 」といいます。人は遺伝子工学でこの性質を利用し、恩恵も受けているのですが、「薬剤耐性遺伝子」(DNAの塩基配列)も、多くの場合、宿主細胞内にいる病原菌の細胞質内の「プラスミド」に保存されています。そのため、他の病原菌にきっかけがあれば移動できてしまうのです。
β-ラクタマーゼは大きく2つに分類されます。酵素活性の中心にセリン残基を持っているものは、セリン-β-ラクタマーゼ(serine-based-beta-lactamase)と呼ばれ、酵素活性の中心にセリン残基を持たず、金属イオン(亜鉛イオン)を持っているものは、メタロ-β-ラクタマーゼ(metallo-beta-lactamase、metallo-とは「金属」を表す接頭辞)と呼ばれます。メタロ-β-ラクタマーゼは、カルバペネム系抗生物質(β-ラクタムの硫黄(S)が炭素(C)に置換された骨格をもつ抗生物質)に対しても耐性を示すので、「カルバペネマーゼ(carbapenemases)」とも呼ばれています。
栃木県壬生町にある獨協医科大学病院で、2009年5月、入院する直前にインドから帰国していた男性(50歳代)患者に発熱などの症状が出たため検査したところ、抗生物質が効かない大腸菌が検出されたそうです。この大腸菌は、「NDM-1」と呼ばれる遺伝子を持つ多剤耐性菌であることが分かったようです。
「ニューデリー・メタロベータラクタマーゼ(New Delhi metallo-beta-lactamase、NDM-1)」という酵素(enzyme)は、インドの首都「ニューデリー」で病気になったスウェーデン人が抗生物質の投与でも回復せず、本国で治療を受けるも、多剤耐性菌によく使われるカルバペネム系抗生物質の投与でも「肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)」から回復しなかったことから、その病原菌は「NDM-1」という酵素を持っているとされたことに始まります。
イギリスの医学誌「ランセット 感染症(“The Lancet Infectious Diseases”)」は、2010年8月の記事“The latest threat in the war on antimicrobial resistance”(11 August 2010)、“Emergence of a new antibiotic resistance mechanism in India, Pakistan, and the UK: a molecular, biological, and epidemiological study”(11 August 2010)などで警告を発しています。
この遺伝子を持つ多剤耐性菌がインドやパキスタンで広がり、両国に旅行して感染する例が増えているのだそうです。インドでは抗生物質が処方箋なしで入手できるようで、そのため抗生物質の濫用が行われ、多剤耐性菌が容易に出現する環境にあるといいます。インドには子連れでは行けませんね。インドで病気にはなれないですね。病院が危険です。我が子「健人」が少し大きくなったら、旅行先に考えてもいいと思っていたのですが、「フィリピン」と同じように却下ですね。
(この項 健人のパパ)
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