POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 ホリデーインを基点に地元の人たちが日常食べる物を食べ歩いた後は、舌が覚えているうちに自分で作ってタイ料理の研究です。キッチンのついたホテルに移動してきました。ニマンヘミン通り(Nimmanhaemin Rd)は、旧市街の西に南北に走る2kmにも満たない通りです。チェンマイ動物園に向かうほぼ南北に走るフエイカーオ通り(Huay Kaew Rd)とチェンマイ大学の前を通り南北に走るステープ通り(Suthep Rd)を結んでいます。

 このニマンヘミン通りにキッチンのついたホテルを見つけました。ここでは10日間の滞在です。ホテルから徒歩で5分程度のところに、水曜日と土曜日に開かれる“Farmers Market”があります。チェンマイ大学農学部の研究農場があり、その敷地内に屋根のついた区画があり、そこに野菜や果物、惣菜、菓子が所狭しと並べられます。数分かければすべてを見て歩けるほどの小さな市場です。



 私たちはベジタリアンではありませんが、野菜が好きなので、食卓には野菜料理が欠かせません。外食を続けると、油で処理された野菜料理を口にすることが多くなり、連日では耐えられないので、時間と手間を取られて観光する時間は減るのですが、キッチン付きのホテルに泊まって、手作りすることになります。今までも、特に長期の旅行では、キッチン付きのサービスアパートメントやコンドミニアムもホテルとともに手配してきました。



 時間に追われることなくゆっくりと生活を楽しめるのは、日本では滅多にありません。キッチン付きのサービスアパートメントなどで家族で過ごす時間は、観光よりも貴重です。



 この市場に並ぶ野菜は連日の暑さで、中にはくたっとしている物もありますが、行った他の市場の野菜と比べて、新鮮そうに見えます。値段は他の市場と同じ位だと思われます。夫が買いすぎだよという目で見ていますが、数日分の野菜を仕入れました。万能葱、空心菜、ブーケガルニ(生姜、ウコン、こぶみかんの枝、レモングラスがセットになったもの)、南瓜、小さな茄子、小松菜、紫とうもろこし、レタス、ミニトマト、人参、、、そんなものを手に入れました。

 FARM OUTLET

 この市場は、チェンマイ大学の学内施設、Multiple Cropping Centre(MCC)で週2回開催されている農産物直売所というのが正しいようで、無農薬野菜を生産・販売する農家が野菜を持ち寄って来ているようです。農薬による野菜の汚染を心配する人たちが多く訪れるのでしょうか。いろいろな市場にも安全な野菜を販売する売り場があり、安全を保証するというシールが張られて、お値段が高めの野菜が売られていました。

(注) 1969年に開始された「ロイヤルプロジェクト(Royal Project)」(1992年からロイヤルプロジェクト財団が運営)は、安全な(低農薬・無農薬)野菜の供給とともに、山岳地域に住む少数民族の生活向上を支援することを目的としています。生産者に農地貸与、資材供与、技術指導、融資斡旋などを行い、一定の品質に達した野菜や果実を買い上げ、「ドイカム(Doi Kham)」ブランドでスーパーマーケットなどを経て消費者に供給されています。(注の終わり)

 夫がココナツの前で立ち止まっていたので、15バーツで氷の中に埋もれていたココナツを買い、口を開けてもらい、2人で飲みました。ココナツジュースは当たり外れのあるもの。詳しくはわかりませんが、この透明の液体は実の中で味を変化させていっているようです。タイミングのいいときに採取されたものは上質の味がするのでしょう。ここの市場で飲んだ物はノンホイ市場で飲んだ物よりおいしかった。



 ココナツジュースは通常はビニールの袋に入れて売られています。ココナツの実を左手の上の乗せ、右手に持ったナタで器用に口を開けていきます。ココナツジュースをビニールの袋に移し、スプーンで実の内側の壁に白くついた「ココナツミルク」を削ぎ落とし、これも袋に加え、でき上がりです。私たちは、口の開いたココナツの実に2本のストローを挿し、その場でいただきました。

 恋人時代、喫茶店で1つの飲み物にストローを2つ挿し、顔を寄せ合って飲んだ記憶はありません。朴念仁の夫は「ん!おいしい」と言っただけで、買った野菜の入ったビニール袋をいくつも重そうに右手に提げて、腰を掛けられる場所を探しに、その場を去っていきます。お抱え運転手をさせられるよりもまだましなのさ、と思っているのかも知れません。ココナツミルクを削ぎ落として夫の口に運んだスプーンと2本のストローのささったココナツが私の手の上に残りました。

 微笑み

 微笑み

 タイは「微笑みの国」と言われます。野菜を持って写真におさまってくれるように頼んだところ、微笑み一杯で応じてくれました。

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 チェンマイ(チエンマイ)での滞在は15日間です。この15日間をどこに宿泊するかで随分と迷いました。大きな選択として、お濠に囲まれた旧市街にするかそれ以外にするかがありました。旧市街は観光に便利です。旧市街に宿泊していれば、観光スポットは徒歩圏です。私たちは私と夫と中学生になる息子の3人での旅行をしています。部屋はある程度の広さが欲しい。旧市街から遠いところにすれば、それだけ広い部屋に宿泊できます。しかし、旧市街に観光に行くにはトゥクトゥクやソンテオといった交通手段が必要となります。
 
 どこに泊まるかは夫に相談しながら決めていきました。夫はどこに泊まるかについては関心が薄く、ほとんど相談にはのってくれません。口コミを読み漁り、少しでもコストパフォーマンスが良いホテルを探す私の努力を認めてはくれず、「ああ、そこでいいんじゃない」と軽い返事。それでもめげずに数か月かけて、候補を絞り込んでいきました。いまではホテル名を聞けば、どこの辺りにあって、どんな評判かがわかるほどになっています。

 旅行の大好きな私は、1日のコストを切り詰めて、できるだけ長期間滞在したいですし、仕事や息子の学校のことでそれが叶わないのなら、幾度でも旅行に出たい。豪華な旅行を数日間するよりも、かかる費用が同じなら、節約した旅行を数週間したいのです。それでいて、グレードの高いホテルには泊まりたい。ホテルの宿泊費は多重に設定されています。空室率を低く抑えたいホテル側は、状況に応じて宿泊料金を大きく変動させて、ホテル予約サイトに提供します。

 私が狙うのは、この宿泊料金の監視(?)をしていて、「底(最安値)」のときに予約を入れることです。今回の予約は、ホテル予約サイト「エクスペディア」で候補のホテルをいくつか数か月監視し、「ホリデイイン」が最安値で提示された時を狙って予約をしました。5泊で18,000円ほど。1人1泊1,200円ほどになります。旅行中に検索したところ、同じ条件の部屋で、なんと1泊10,000円を越えていました。



 もちろん、この価格では朝食はつきません。でも、私たちはホテルの朝食を期待してはいません。現地の人たちの食べる物を食べに行くために旅行に来ているのです。朝食は、「タラート(ตลาด、市場)」に出かけていって、1品20バーツ(54円ほど)のおかずやお米(もち米がおいしい。ข้าวเหนียว)、果物を手に入れてきて、済ませることになります。これがとても満足のいくもの。これはおいしいね、これはハズレだね、この食材は何だろうね、もうちょっと甘さを抑えたらおいしいのに、ボクはこれが一押しだな、などと会話の弾んだ朝食となります。

 ホリデーインの近くには「ノンホイ市場(Nong Hoi Market)があります。日用雑貨や肉、野菜、果物、米などの食料品とともに、ご飯やおかずが売られています。ホリデーインを宿泊場所に選択した大きな理由の一つがこの市場にあります。夫は「旧市街まで遠いね」と言ったのですが、チェンマイは市場巡りを旅のテーマとすると決めた私には「遠い」というより「近い」のです。



 昼食はチェンマイ空港の近くにある「セントラル・プラザ・チェンマイエアポート(CentralPlaza Chiangmai Airport)」に出かけていきます。セントラル・プラザは無料のシャトル・サービスを行なっていて、緑色のソンテオが1時間かけていろいろなホテルから客を拾っていきます。



 CentralPlaza →15分→Amora Thapae →5分→Imperial Mae Ping →5分→Centara Duang Tawan →5分→Dusit D2 →7分→Royal Princess →5分→Shangri-La →3分→The Empress →5分→ Holiday Inn →5分→ Rati Lanna Riverside Spa Resort →5分→ CentralPlaza
 
 ホリデイインには、11:20、12:20、13:50、14:50、15:50、16:50、17:50、18:50、19:50にやって来ます。10分後にはセントラル・プラザに到着です。行きは10分で行くのですが、帰りは50分かかることになります。10:30、11:30、13:00、14:00、15:00、16:00、17:00、18:00、19:00とセントラル・プラザから出ていて、1時間の余裕があるので、セントラル・プラザの“FOOD CENTER”で、地元の人が通常食べるものと同じものを食べることになります。

 食後はこのシャトル・サービスを利用して、アモーラ・ターペー(Amora Thapae)で降りると、そこはターペー門の近くであり、旧市街への入口です。旧市街のお寺などを巡り、またアモーラ・ターペーに戻れるならば、ホリデーインにシャトル・サービスで戻って来られます。100~150バーツ(270円~400円ほど)かけて、トゥクトゥクで戻ってくるのもいいでしょう。

 この話し、もう少し続けたいので、次回に。 

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 中学生になる息子を連れての今回の家族旅行は、シンガポール経由でチェンマイ(チエンマイ、Chiang Mai)に入り、2週間ほどを移動せずにチェンマイで過ごし、バンコク経由で日本に帰国しようとするものです。ひとつの都市にこれだけ長期にいるのは我が家では珍しいことです。バンコク旅行を幾度か計画し、その度にタイの政情不安で計画が頓挫した私たちは、バンコクを避けてタイを旅行することにしました。日本から入るのもバンコクのスワンナプーム国際空港を避け(1度、暴徒に占領され、閉鎖になったことがある)、シンガポールから直接チェンマイに入ることにしました。

(参考) 「タイの政情不安、ついにスワンナプーム空港閉鎖にまで。」(2008年11月27日)

 ユナイテッド航空のUA881便でシンガポールのチャンギ国際空港に到着するのは、深夜1時頃で、エアアジアのFD3452便でチャンギを発つのが21時30分です。20時間ほどのギャップがあります。この時間をどう過ごすかが検討課題になりました。シンガポールに入国せず、空港内にいてトランジット(トランスファー)する方法は、乗り換え便が「エアアジア」という航空会社ではできません。エアアジアは格安料金を提供するために「乗り換え」というサービスを行ってはいません。必ずいったん入国してから、出国ロビーでチェックインしなければなりません。

 いつもならば、シンガポール経由で他の都市に向かうときは、シンガポールに何泊かして観光することにしていましたが、今回はその方法をとるのを止めました。その最大の理由はシンガポールのホテルの宿泊費の高いこと。深夜にタクシーでホテルに入り、入浴して眠りに就くのは、大抵3時頃になってしまいます。1泊のみで12時までにチェックアウトするにはきつく、レイトチェックアウトを依頼するとしても、おちつかないものです。そこで、1泊のみではきついので、少なくとも2泊は連泊することになります。このコストが費用対効果の点で不満なのです。

 今回は空港内の制限区域(制限エリア、Departure Transit Lounge、入国審査を受ける前の到着客、出国審査を受けた後の出発客、乗り継ぎ客が一時的にいる区域)にある「トランジットホテル」に宿泊することにしました。トランジットホテルは、空港に到着するとすぐに入国手続きを経ずに宿泊できるホテルです。シンガポールへの入国手続きをとってはいけません。このことはホテル「Ambassador Transit Hotel(アンバサダー トランジット ホテル)」のサイトで強調されていますし(“PLEASE DO NOT CLEAR IMMIGRATION / CUSTOMS AS ALL AMBASSADOR TRANSIT HOTEL ARE SITUATED AT LEVEL 3, WITHIN THE DEPARTURE TRANSIT LOUNGE.”)、ホテルから送られてきた予約確認のメールにも“Upon ARRIVAL, DO NOT CLEAR IMMIGRATION / CUSTOMS as Ambassador Transit Hotels are situated on level 3, TRANSIT MALLS. Please use escalator across from Transfer Counter B. ***Luggage Claim is after IMMIGRATION ”と強調されていました。

 かなり以前にトランジットホテルを利用しようとしたことがあるのですが、そのときは利用の条件に乗り換えの「搭乗券(ボーディングパス、boarding pass)」を持っていることというのがあって、断念したように記憶しています。しかし、今回改めてホテルのサイトを見たところ、そのような記述は見当たらず。いろいろと調べたところ、あるホテル予約サイトに「乗り継ぎ時の休憩にはもちろん、深夜到着で翌朝チェックアウトし、そのままシンガポールへ入国という使い方も可能です。」という記述すら見つけることができました。



 そこで早速予約を入れることにしました。3人部屋(triple)の宿泊料金が115.35シンガポールドル。1S$=66円換算で7,600円ほど。「クラウンプラザホテル・チャンギエアポート(Crowne Plaza Hotel Changi Airport)」に宿泊することから比べるとかなりのコスト削減になります。バスタブがなく、スタンディング・シャワーしかないこと、基本はチェックインからチェックアウトまで6時間(1 Block of 6 hours)しか滞在できないこと(1時間延長ごとに16.48S$(1,100円ほど)が追加される、Extension Per hour 16.48S$)などがマイナス面として挙げられます。

 予約を入れるとまず次の文面のメールが自動送信で送られてきます。

Thank you for booking with us.

This auto reply is NOT a confirmation of your room booking.
You will receive a response within the next 2 working days

Room Reservations Office is open from Monday to Saturday excluding Public Holiday.
Please call us at (65) 6507 9797 between 9am to 7pm for any booking enquiries.

Have a pleasant day.
 

 次に送られてきたのが、予約確認のメール。その一部を紹介してみます。

Dear Mr KONNO,

Thank you for your reservation request dated 30 May 2011 21:10 - Confirmation No : 3057T3

We are pleased to confirm a Triple Occupancy Std Room for 6 hours at Terminal 3.
Kindly retain this email as a Reservation Confirmation.

Arrival Date : 20 Mar 2012 via UA803 ETA 23:55 hrs
Departure Date : 21 Mar 2012 via FD4111 ETD 19:45 hrs

Rates quoted are based on a minimum charge of 1 block of 6 hours.
Rates are subjected to changes without prior notice.
- Triple Occupancy - S$96.51 Nett
- Extension per hour - S$15.30 Nett


 トランジットホテルを利用する際に問題になるのが、手荷物の機内預け。受託手荷物の受け取り(luggage claim)は入国審査(immigration)の後にあります。入国審査を受けないで、受託手荷物を受け取ることはできないのです。ホテルからの予約確認メールには、“Luggage Claim is after IMMIGRATION”とあり、“Upon ARRIVAL, DO NOT CLEAR IMMIGRATION / CUSTOMS”と念押しをされます。



 手荷物を機内預けにし、それでいてトランジットホテルを利用することはできるようです。手荷物受取所(バゲージクレーム)で受け取り手のいない手荷物は、遺失物預り所(“Lost and Found”)に運ばれ保管されるようです(“Your baggage is taken to 'Lost and Found' automatically after the baggage belt is switched off.”)。トランジットホテルに宿泊し、入国審査を済ませ、遺失物預り所で手荷物を「手荷物預り証(“bagage tag”)」を見せて受け取り、税関(customs)を通れば、入国です。

 この方法にはある程度リスクが伴います。他の人が手荷物を持っていってしまう可能性があるのです。税関を通過するのに、手荷物預り証を見せた経験はありません。見せずとも税関を通れるのです。このリスクを負いたくなければ、手荷物を機内持ち込みにするしかないことになります。私たちは手荷物を機内持ち込みにする方法をとりました。3週間ほどの旅行になるので、着替えなどの荷物を減らすのに苦労しました。



 チャンギ国際空港に到着すると、“Transfer”(乗り換え)という表示のある方向に進んでいきます。案内板に“Transit Hotel”のある方向が示されています。かなり歩いたのですが、到着から60分は“No Show”扱いをされることはありません。予約確認メールには“Reserved room will only be held for 60 minutes after Arrival of aircraft.”とあります。到着の遅延は、ホテル側で調べているようです(“Hotel will take note of any flight delay.”)。「矢印」がやがて「エスカレータ」の形に変わります。level2からlevel3にエスカレータで上れば、そこがAmbassador Transit Hotelです(“Please use escalator across from Transfer Counter B.”)。



 予想以上に客室がたくさん並んでいます。



 3人部屋はこれも予想以上に広いもの。バジェットホテルに分類されるホテルなのですが広さに関しては満足のいくもの。  





 バスタブがないのは、このクラスのホテルでは当然のことでしょう。



 アジアのホテルでは、経験的にスリッパの提供があるところが多いのですが、このトランジットホテルにはありません。私たちが利用した部屋は、シャワーブースの床が排水口に向かって傾斜がなく、フラットなので、使用したシャワーの水がシャワーブースの外に溢れ出し、バスマットはびしょ濡れになり、履物は濡れてしまいます。私は旅先にはクロックスを持ち歩いているので、特に不便を感じはしませんでした。



 次回、シンガポール経由で例えばベトナムに行くことがあれば、トランジットホテルを利用することにして、手荷物の「機内預け」に挑戦です。現地でも手に入れられる着替えの類を詰めた荷物を預ければ、紛失してもそれなりに対処できそうです。

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 私の母は踊りの先生をしていて、同年代の高齢者と比べ元気にしていたのですが、つまずいて転倒したことで体調を崩し、最近ではベッドに寝ていることが多くなりました。病院を幾度か変え、現在では私が舟状骨骨折で通ったことのある整形外科に腰痛の治療で通院しています。そこで指摘されたのが、「骨量の減少」。

 骨量の減少で骨の脆弱性が増加し、骨折の危険性が高くなっている状態ですと言われ、再度転倒することがあれば、寝たきりになる可能性を認識してくださいとも言われました。いわゆる「骨粗鬆症」です。私の母は80歳代半ばですから、骨粗鬆症である頻度は60%以上で、自分が骨粗鬆症であったことは、驚きではなかったようです。

 医師から今までの治療に代えて最近発売された(2011年11月25日)新薬、骨粗鬆症治療薬「テリボン(Teribone)」による治療を提案されたので、調べてみることにしました。旭化成ファーマ株式会社が製造する「テリボン皮下注用56.5μg」(注射用テリパラチド酢酸塩、Tetiparatide Acetate)は、骨粗鬆症治療の新薬として、非常に注目される薬なのだそうです。

 しかし、以前に通院していた病院で処方された薬が身体に合わず、歩くのもままならないほど病状を悪化させてしまった経験のある母は、薬を変えることに慎重です。私が薬の副作用を疑い、別の病院に相談して、確信を得て、薬の服用を止めさせたことで、「お母さん、もうだめ。このまま死んでしまうの」という弱気の虫を追い出したのですが、それでも劇的に身体の痛みから解放される治療方法は見つかっていません。

 骨粗鬆症はどのようにして起るのでしょうか。私たちの身体は、古い骨を壊しながら、新しい骨を作っており、骨量を一定に保っています。骨組織において古い骨を破壊(「骨吸収(bone resorption)」という)するのが破骨細胞(osteoclast)であり、新しい骨を形成(「骨形成(bone formation)」という)するのが骨芽細胞(osteoblast)です。骨粗鬆症(osteoporosis、オステオポローシス)は、何らかの原因で、骨形成の速度(bone formation rate)よりも骨吸収の速度(bone resorption rate)が速くなってしまっている状態をいいます。



(注) オステオ(osteo-)は、ギリシア語で「骨」を意味します。ポローシス (-porosis)は、「空洞形成」を意味し、骨の中に空洞が形成される「骨多孔症」とでもいう意味になります。「粗鬆(そしょう、そそう)」は、「細やかでないこと。大雑把で荒いこと」を意味することから、この「骨内空洞形成症」とでもいう状態は「骨粗鬆症」と一般的に呼ばれています。オステオパシー (osteopathy)という整体法がありますが、これはオステオとパソス(pathos、病理、治療)から形成された言葉です。(注終わり)

 骨粗鬆症の治療法が見えてきます。骨形成の速度を上げる方法と骨吸収の速度を下げる方法です。アクトネル(ベネット、経口薬:味の素が製造)やフォサマック(経口薬:MSDが製造)などのビスフォスフォネート(bisphosphonate、BP)製剤は、骨吸収の速度を下げるために使われる薬で、破骨細胞の活動を阻害し、古い骨の破壊を防ぎます。しかし、骨吸収の速度が骨形成の速度を上回っているという状態は、骨吸収が亢進されいている場合と骨形成が抑制されている場合が考えられ、骨形成が抑制されている場合には、ビスフォスフォネートは、効果が薄かったようです。

 体内のカルシウムは骨の中に99%、血液や細胞の中に残りの1%が含まれているといいます。人体は血液中のカルシウム濃度が低下すると、骨の中からカルシウムを調達するなどします。骨吸収(血液から見ると骨を吸収していることになり、骨からみると破壊されていることになる)が起るのです。血液中のカルシウム濃度が低下すると、副甲状腺ホルモンの分泌が促進され、血液からの排出の抑制-尿に出るカルシウムを抑え、血液への取り込みの促進-カルシウムの腸からの吸収を促し、また、骨を壊して骨からのカルシウムを調達する、ことによって、血液中のカルシウム濃度を上昇させます。

 副甲状腺(parathyroid gland)は、首にある甲状腺の後ろ側に4つある内分泌腺です。この内分泌腺から分泌される「副甲状腺ホルモン」は、ビタミンD(血液中のカルシウム濃度を高める)、カルシトニン(甲状腺などから産生。血液中のカルシウム濃度の上昇により分泌が促進され、破骨細胞にあるカルシトニン受容体に作用して骨吸収を抑制)とともに、血液中のカルシウムの濃度の調節に関わります。

 副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone, parathormone、PTH)には、(1)骨吸収を促進する作用と、(2)骨形成を促進する作用があります。2つは相反する作用です。持続的に副甲状腺ホルモンが高い状態では、骨吸収の作用が発揮され、骨が破壊されて(骨密度が低下して)、カルシウムが血液中に増えてきます。しかし、間歇的に副甲状腺ホルモンを上昇させると、骨形成の作用が発動して、血液中のカルシウムを材料として、骨が形成されます(骨密度が上昇します)(differential effects of intermittent and continuous administration)。そこで、副甲状腺ホルモンを間歇的に血液中に増加させるという骨粗鬆症に対する新たな治療法が試みられることになります。

 「テリパラチド(Teriparatide)」は、骨形成促進作用を持つヒト副甲状腺ホルモン製剤です。テリパラチド製剤には、旭化成ファーマが製造販売する(2011年11月販売開始)「テリボン(Teribone)」と日本イーライリリーが販売する(2010年10月販売開始)「フォルテオ(Forteo)」があります。ともに皮下注射する製剤ですが、「フォルテオ」は毎日1回(20μg、毎日通院するわけにはいかないので、自分で注射する必要がある)、投与するのに対して、「テリボン」は週に1回、1バイアル(56.5μg)を日局生理食塩液1mlに溶解して投与します。

 背骨(脊椎)は「椎骨(ついこつ)」と呼ばれる骨が連結したものです。椎骨は24個からなり、頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個です。椎骨の円柱状の部分を「椎体(ついたい)」といいます。高齢者の女性が骨折で「寝たきり」になる大きな原因の1つがこの椎体の骨折です(寝たきりの原因の第3位)。椎体圧迫骨折は、椎体が潰れた状態で骨折するため、回復させることが難しいのです。

 椎体圧迫骨折が生じる主な要因は、骨粗鬆症で骨が脆くなっている状態で転倒することです。高齢者の女性が転倒することは、寝たきりに直結してしまうとても危険なアクシデントなのです。日本の骨粗鬆症の患者は約1000万人と推定されており、女性が全体の70%ほどを占めています。女性の椎体圧迫骨折の頻度は、50歳から70歳未満では20%、70歳代で25%ほどですが、80歳代では約43%と高率になってきます。

 女性ホルモンのエストロゲンは骨組織に直接的に作用し、破骨細胞の寿命を調節することで、骨吸収の速度を減速しています。18~20歳頃の性成熟期には、女性ホルモンによって、骨吸収の速度が減速させられ、骨形成の速度が上回ることになり、最大骨量に達します。40歳代に入ると女性ホルモンの分泌が急激に低下し、骨吸収の速度が回復して、骨量は減少し始めます。50歳頃(日本人の平均閉経年齢)から女性ホルモンの分泌がさらに急激に低下します。骨量はさらに減少し、骨粗鬆症の発現です。

 テリボンを実験用サル(卵巣摘除。女性ホルモンは卵巣で作られることから、卵巣を摘除して女性ホルモンが低下した状態を作り出す)に週1回18ヵ月間反復投与したところ、対照(テリボン非投与)と比較して腰椎及び大腿骨近位部の骨密度が増加したといいます。また、ヒトに対して行った二重盲検法(Double blind test、被験者を被験薬の投与群と被験薬に似せた薬効のない薬の投与群とに分け、その振り分けを治験実施医師にも知らせない)で、テリボン非投与群の新規椎体骨折発生率が投与72週後に14.5%(281名中40名に発生)だったのに対し、テリボン投与群では3.1%(261名中8名のみに発生)と有意に椎体骨折の発生を減少させています。これはテリボンの骨密度増加効果をヒトでも実証したものといえます。

 椎体骨折のリスクの減少率を求めてみましょう。(14.5-3.1)/14.5を求め、%に変換すると、78.6%ほどになります。テリボンを週に1回、72回投与すると、椎体骨折をする可能性が4分の1に減少するのです。しかし、これは1年4か月ほどにわたって投与した場合で、48週(11か月)では、(10.4-3.1)/10.4×100=70.2で、24週では、(5.3-2.6)/5.3×100=50.9でした。5か月半での投与で、椎体骨折のリスクは半減することになります。



 テリボン投与とともに日常生活で転倒しないように心がけなくてはなりません。家の外階段に手すりをつける手続きが進行中です。手すりがないため、最近外階段から母が転げ落ちました。近所の人が見ていて、すぐに知らせてくれたので、事なきを得ました。頭にこぶを作りましたが、骨折には至りませんでした。

 骨量を減らさないためには、骨に刺激が加わる適度な運動は必要です。ウォーキングやストレッチ体操といった軽い運動は日常生活に取り入れなくてはなりません。外へ出て日光浴をすることはビタミンDの生成に必要です。ビタミンDはカルシウムの腸管からの吸収を促進させます。転倒は怖いのですが、恐れすぎて歩かないのは結果、骨量を減少させてしまいます。

 テリボンの副作用の1つに「めまい」や「立ちくらみ」があります。この症状は、投与直後から数時間後にかけて現れることがあるといいます。一過性の血圧低下が現れるのです。骨折を防ぐための投薬が骨折の引き金になってしまうのは、絶対に避けたいところです。

(参考) 「骨粗鬆症治療薬「テリボン」の副作用にはどのようなものがあるか。

 母にテリボンの投与が始まります。その効果のほどと身体の変調などの副作用があれば、またいずれかの機会に報告したいと思います。母の「クオリティ・オブ・ライフ (Quality of Life、QOL)」の向上を目指して、テリボンのことを調べてみました。

 テリボンの1回あたりの薬価は約1万3千円です。年間で、12,971円(1バイアル=56.5μg)×(365÷7)回=676,345円。これを12か月で割ると、12,971円×(365÷7)÷12=56,362円/月になります。後期高齢者医療制度による医療費の自己負担割合は、1割または3割(住民税の基準課税所得額による)ですから、負担する金額は月に5,600円ほどか16,900円ほどになります。

(参考) 「骨粗鬆症治療薬「テリボン」を超える薬はやがて登場するか。R型、N型の破骨細胞とは?

(追記 2013年5月29日) このブログの記事にこんなコメントが寄せられました。
 あの薬(=テリボン)は、毎週通って貰わないと行けないのですけど、一年半もの間、毎週通わせる家族の気持ちを考えたらとても薦められません。
 たしかに、毎週通わせる家族の苦労は大変でしょう。高齢者の仕事を持っている家族は週1回の休みを取らなくてはならないこともあるでしょう。骨折で寝たきりになる可能性との考量でしょうね。

(追記 2013年6月14日) 「通りすがり」さんから、こんなコメントもいただいています。
 テリパラチドは治療期間を満了することが大事です。頭痛や吐気はお辛いと思いますが頑張ってください!応援しています。
もし、本当にお辛い様でしたら、毎日自分で打つテリパラチドもあります。一回の薬剤の量が少ないので、副作用が軽減されるかもしれません。先生に相談して見て下さいね。


                  (この項 健人のパパ)

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 2月3日配信の「フジサンケイ ビジネスアイ」の記事によると、「エアアジア・ジャパン」が国土交通省から航空法に基づく航空事業許可を取得したそうです。エアアジア・ジャパンは、2012年10月に「ソウル(仁川)」、「釜山」への乗り入れを予定しています。航空運賃は5月に発表されるようですが、大手の航空会社の2分の1から3分の1ほどに設定されるようです。


               (2012年10月15日配信のエアアジアからのメールの画像)

(追記) 2012年10月10日、エアアジアは「成田-仁川線」を10月28日から運航すると発表し、片道運賃の最安値を6,980円と大手航空会社の半額以下に設定しました。「成田-釜山線」は11月28日を予定してるようです。

 LCCの運賃は予約時期や出発時間などで大きく変動し、「成田-仁川線」は6,980円~2万9,980円で、それに荷物1個を預け、座席指定をしたときの諸費用3,000円ほどを加えるとおよそ1万円から3万3,000円ほどになります。大手航空会社の1万8,000円から2万円前後~と比べると、およそ半額ほどだといえます。(追記 終わり)

 韓国に出かけるときには独り旅が多く、夫と息子はお留守番です。夫に一緒に行くように誘うのですが、「そのコストをかけて出かけるほど関心が持てなくてね」と断られてしまいます。でも、地図に強い夫を連れて行った方が食べ歩きに便利ですし、少食な私はひとりでは食べ切れないので、食べたい物をいろいろと注文することができません。高速バス並で韓国に行けるならば、コスト意識の強い夫も「これならば行こう!」と言うかと思うとうきうきします。

 運賃はいくらに設定されるのでしょうか。エアアジア・ジャパンは、ANAとエアアジア(AirAsia)が共同で出資し、2011年8月に設立された日本の格安航空会社 (LCC、Low Cost Carrier) です。LCC(Low Cost Carrier、ローコストキャリア)は、効率的な運営をすることで、コストを低く抑え、低価格で運賃を提供する航空会社です。代表的なものに、アメリカのサウスウエスト航空、イギリスのイージージェット、マレーシアのエアアジアなどがあります。

 LCCは、(1) 航空機の機種の統一(パイロットの教育にかける費用を抑えることができる。航空機の免許は機種ごとに必要なのだが、機種を統一すれば、教育費用が少なくて済む。整備士についても同様なことが言える)、(2) 空港施設使用料の抑制(航空会社は空港に対して、着陸料や停留料、手荷物取り扱い施設使用料、旅客搭乗橋施設使用料(搭乗橋を利用しなければ、支払う必要はない)などを支払う。この使用料の安いLCC専用ターミナルを利用したり、都市圏の基幹空港(プライマリー空港)ではなく大都市周辺の2次的空港(セカンダリー空港)を利用する)、(3) 機内食などのサービスの有料化、(4) インターネットを利用した航空券の直接販売、などで格安運賃を実現しています。

 関西国際空港では、航空機の最大離陸重量1トン当たり2,300円が着陸料として必要で、例えば、最大離陸重量(Maximum Takeoff Weight、MTOW)276トンのボーイング777の1回あたりの着陸料は、2,300(円/トン)×276(トン)=634,800円になります。また、離着陸等施設を6時間以上使用して停留する場合、その停留時間24時間ごとに、1トン当たり200円が停留料として必要で、例えば、ボーイング777が6~24時間停留すると、200(円/トン)×276(トン)=55,200円になります。乗客を300人~400人とすると、着陸料と停留料だけで、1人当たり(満席として)1,700円から2,300円かかることになります。これに燃料費などが加わります。

 航空会社の採算性を示す指数に「ユニットコスト(unit cost、単価)」があります。総コストを座席キロ(1席を1キロ運ぶ)で割ったものをユニットコストといい、それが低いほど、航空運賃を低く設定できます。ユニットコストは、JALやANAで15円、ルフトハンザで13円です。シンガポール航空、アメリカン航空、スカイマークで7円~9円です。ところが、LCCである「サウスウエスト航空(Southwest Airlines)」で5円、「ライアンエア(Ryanair)」で3円、「エアアジア(AirAsia)」で2.5円ほどなのだそうです。このデータを信用すると、エアアジアはANAの6分の1のコストで飛行機を飛ばしていることになります。成田-釜山間を1,000kmほどとすると、エアアジアでは1人当たり2,500円ほどが総コストとしてかかることになります。

(注) LCCは航空機を空港に停留させる時間を減らし、経費節減を図っています。同じ経路を行ったり来たりするシャトルバスだと考えればいいでしょう。それも着くとすぐにとんぼ返りをするバスです。道路が渋滞するとスケジュール通りに運行することが難しくなります。成田空港は航空機の離発着回数に比して滑走路の少ない空港で、航空機の混雑する空港です。生じた遅延が徐々に累積していきます。

 2012年8月に国内線での運航を始めたエアアジア・ジャパンは、予定時刻の15分以内に出発した便数の割合が8月が40%前後、9月が60%前後だったようです。これを大手航空会社の日本航空と比較してみましょう。日本航空は90%以上と比較になりません。日本航空は余裕を持ったスケジュールで運航しているからです。当然コストもかかりますから、LCCと比べると航空運賃は割高になります。

 以前、シンガポールからタイ(昔のドンムアン空港)に飛んだとき、1時間以上着陸が遅れ、迎えを頼んでいたホテル手配の車の運転手のご機嫌を大きく損ねたということがありました。それからというもの、LCCの最終便を利用することは控えています。遅延はまだしも、欠航になるというリスクも大いにあるのです。(注 終わり)

 今までエアアジアで、シンガポール、マレーシア、ベトナム、バリなどに飛び、韓国には、エアプサンを利用しましたが、成田-釜山は、一日一便往復であり、スケジュールがあまり有利でない(午後に成田を発ち、午前に釜山を発たなければならない)ので、不便だと感じていました。しかし、これからはこの秋に就航予定のエアアジアを利用して度々韓国に食べ歩きに行けそうです。最近、鍋などの下味に使っている韓国の化学調味料無添加のダシの買出しも気軽に行けそうです。

(参考) 「LCC(格安航空会社)の「エアプサン(Air Busan)」で釜山の旅へ。

 エアアジア・ジャパンの岩片和行社長は、「成田という基本的にコストの高いところで始めるが、きちんとコストを下げて、バスのように使ってもらえるよう取り組んでいきたい」と述べ、成田国際空港株式会社と「着陸料」の引き下げ交渉を進めるなど、就航に向けて準備作業を本格化させる考えを明らかにしたようです。

 夫が納得するような運賃であることを期待しています。

(記事は、2月の最初に書いたのですが、いつも夫の「検証」(記事をより正確にするためなのだそうです)を受けなければならず、息子「健人」の通っている中学校の広報紙を発行する広報委員になった夫は忙しかったらしく、検証が進まず、なかなか「公開する」という扱いにはならず、そのうちインフルエンザの流行が始まり、インフルエンザの記事を「健人のパパ」というハンドルネームで書いている夫はそちらの方に気が行ってしまったようで、インフルエンザのピークも過ぎようとしているので、ようやく公開ということになりました。厄介な夫を持ったものです)

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