POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 多くの学校は、始業と終業を告げる「キンコンカンコーン♪キンコンカンコーン♪」というメロディのチャイムを利用しています。このメロディは「ウェストミンスターの鐘(Westminster Quarters、Westminster Chimes、Cambridge Quarters、Cambridge Chimes)」と呼ばれています。正時は、4つの音節からなり(15分は1音節、30分は2音節、45分は3音節からなる)、30分の時になるメロディ(2音節)に45分の時になるメロディ(3音節)の前2つが付け加わります。

 (音符をクリックすると、メロディが聞けます)

 製品化されている時報装置の多くには、「ウェストミンスターの鐘」のメロディは入っています。例えば、セイコータイムシステム株式会社の時報装置「セイコーベルタイマーQBT-30」(標準価格\58,800)では、時報メロディが10曲入っており、その報時用メロディは「ウェストミンスターの鐘(40秒)、エーデルワイス(42秒)、小さな恋のメロディ(43秒)、チム・チム・チェリー(40秒)、ビビディ・バビディ・ブー(30秒)、夕焼け小焼け(40秒)、家路(45秒)、別れの曲(45秒)、美女と野獣(44秒)、ア・ホール・ニュー・ワールド(41秒)です。

 夏休みに入り、学校から解放された我が子「健人」は自由を謳歌し、昼ごろに起き出し我々の帰宅する夕刻までゲーム三昧です。それではいけないと、私が休みの時は強制的に英語の授業です。中学2年生なのですが、2年の教科書は終わってしまったので、きょうから3年生の英語の教科書に入ることになります。SUNSHINE 3のPROGRAM 1は「学校のチャイムはどんな音ですか。(How Does Your School Chime Sound?)」でした。

 その内容は、日本の多くの学校で毎日聞かれるチャイムのメロディは、ロンドンのあの有名な時計、ビッグベンのチャイムのメロディであり(The chime heard every day at many schools in Japan is that of Big Ben, the famous clock in London.)、このチャイムは、日本の中学校の先生とその友人の技術者によって、60年ほど前に作られたというのです(About sixty years ago this school chime was made by a Japanese junior high school teacher and his friend, a mechanic.)。

 教える前にいつも軽く読んでおくのですが、その内容にまたも好奇心が暴走し、授業を先に延ばし、ネットをあれこれと検索です。SUNSHINE 2のReview Reading 2の“Red Nose Day”を読んだときもそうでした。

(参考) 英国の「レッド・ノーズ・デイ(RED NOSE DAY)」と日本テレビの「24時間テレビ」

 ケンブリッジ大学に所属する「グレート・セント・メアリー教会(Great St Mary's、GSM)」の鐘のメロディは、ビックベンのメロディと同じであり、こちらが元祖だと言われています。15分おきに鳴らされることから、「クオーター(Quarters)」と呼ばれ、その鐘の音は「ケンブリッジ・クォーター(Cambridge Quarters)」と呼ばれていたのだそうです。

 現在、英国議会が議事堂として使用している「ウェストミンスター宮殿(the Palace of Westminster)」には、時計塔「エリザベス・タワー(Elizabeth Tower)」(エリザベス2世の在位60周年(The Diamond Jubilee of Queen Elizabeth Ⅱ、2012年)を記念して改称されるまでは、「クロック・タワー (Clock Tower)」と呼ばれていた。高さは96.3m)があります。

 1834年10月16日に建物内の加熱したストーブから発生した火災は、ウェストミンスター宮殿の大半を焼失させます。再建には、ゴシック様式のデザインが採用され、貴族院議事堂は1847年に、庶民院議事堂は1852年に完成し、1860年には建物の主要部分が完成をみます。時計塔の完成は1859年5月31日であり、7月11日には初めて鐘が鳴らされます。そのときに採用された鐘のメロディは、「ケンブリッジ・クォーター」。やがてこのメロディは、「ウエストミンスター・クォーター(Westminster Quarters)」と呼ばれるようになってしまいます。「ウェストミンスターの鐘」の誕生(?)です。

 1929年東京都に生まれ、東京大学文学部哲学科を卒業した「井上尚美(いのうえしょうび)」(1970~1988:東京学芸大学(講師・助教授・教授)、1988~:創価大学(教授・名誉教授))さんは、1952年から(1958年まで)東京都大田区立大森第四中学校の国語教師となります。大森第四中学校では、授業開始などの合図にベルを使っていました。しかし、そのベルがよく故障したことから、代わりのものを作ることにします。校長からけたたましいベルは使わないようにと指示されたことから、メロディーがあっておしゃれなロンドンの「ウエストミンスターの鐘」のメロディを採用することになります。

 製作を依頼したのは、従兄弟で技術者の「加藤一雄」さん。ラジオの時報装置を初めて作ったNHK技師「加藤倉吉」氏のお子さんだそうです。日比谷線「神谷町駅」下車(3番出口)、徒歩8分のところにある「NHK放送博物館」(東京都港区愛宕2-1-1)の3階展示フロア、「正確な時を伝える」というコーナーでは、「加藤倉吉」氏の業績を知ることができるようです。

 ――ちょっと横道――1929年、加藤倉吉氏は時報担当の技師であり、北村政治郎(ジャズクラリネット奏者「北村英治」氏の父)技術部長から自動時報装置の開発を命じられます。「自動的に時報を送出する、精度±10分の1秒の装置」という課題を与えられ、1932年に開発を成し遂げます(1933年1月1日から自動時報装置を使った時報の放送を開始)。――横道終わり――

 これを、SUNSHINE 3では次のように述べます。
 About sixty years ago, a junior high school teacher wanted to make a new school bell. Until then school bells went whooo... Some students remembered the air-raid warnings when they heard the sound. So the teacher and his friend made a new machine and chose the chime of Big Ben.

 この内容は、2004年10月4日から2009年3月6日まで「朝日放送(ABCテレビ)」で放送されていた報道・情報番組である「ムーブ!」(放送時間は、月曜日から金曜日の15:55~17:54)の2006年5月22日(月)放送の「学校のチャイムは何の曲?」に基づいているようです。

 発明は時代が要求したときになされるもの。それゆえに、お互いを知らず、発明は同時進行で行われることがあります。終戦を迎え、戦争を思い起こさせるサイレンやベルが嫌に思った人は数多くいたことでしょう。2007年10月1日の中日新聞の記事によると、「ウェストミンスターの鐘」をチャイムに採用した起源は3説あるそうです。いずれも正しいのでしょう。当時イギリスのBBC放送のラジオ放送をよく聴いていて「ウェストミンスターの鐘」が流れていたため、そのメロディをチャイムに採用した広島市の産業機器メーカーの技術者がいたこと、「ウェストミンスターの鐘」のメロディーが単純でオルゴールにしやすかったことからオルゴールに拡声器をつけて学校に納入した警報機メーカーがあったこと。



 「ウェストミンスターの鐘」は、ご覧の4つの音階からできています。この4つの音は時計塔の中に設置された4つの鐘がハンマーで打たれて作り出されます。 イギリス議会のサイトは、次のように述べます。

 The belfry sits above the clock faces and is where the Great Bell or 'Big Ben' and the four quarter bells hand. The first strike of Big Ben signifies the hour. Together the quarter bells ring out the Westminster Chimes, a tune based on Handel's 'Messiah'.(「鐘楼」は、時計の文字盤より上の階にあり、そこには「ビッグベン」と呼ばれる巨大な鐘とそれを取り囲んで、4つの鐘が吊り下げられています。正時にはまずビッグベンが撞き鳴らされ、それとともに、ヘンデルの「メサイア」が元になった「ウエストミンスターの鐘」が4つの鐘で奏でられます。)









 英国議会が議事堂として使用している「ウェストミンスター宮殿」の時計塔「エリザベス・タワー」は、“Big Ben”(ビッグベン)という愛称で呼ばれています。本来は、この時計塔の「鐘楼(Belfry)」の中に吊り下げられている一番大きな鐘を「ビッグベン」(正式名称は「グレートベル(Great Bell)」。高さ2.2m、直径2.9m、重さ13.5t)と呼んでいたのですが、やがて塔全体も指すようになりました。

 なぜ、ビッグベンと呼ばれるようになったのかについては諸説があり、そこに2人の人物が登場します。一人は「ベンジャミン・コーント(Benjamin Caunt)」であり、他の一人は「ベンジャミン・ホール(Benjamin Hall)」です。イギリスの中部「ノッティンガムシャー (Nottinghamshire)」にある「ハックナル・トーカード(Hucknall Torkard)」で1815年に生まれた「ベン・コーント」は、18歳の頃にはボクシング人生を送っていたといいます(この頃はグローブをつけず、素手で戦っていた。1841年(25歳)、ヘビー級のチャンピオンとなる)。その身長は189cmで、体重は93kgから95kg程度あったといいます。巨漢であることから、「トーカードの巨人(Torkard Giant)」とか「ビッグ・ベン(Big Ben)」と呼ばれていたようです。

 ボクサーに復帰した(1945年に引退していた)ベンは1857年(42歳、体重108kg)、「ナット・ランガム(Nat Langham)」と1時間29分にわたって死闘を繰り広げます。60ラウンドに達し、双方とも疲労で試合を続行できなくなったことから、試合は引き分けとされます。これは1959年に重さ13.5tのグレートベルが地上から61mのところにある鐘楼に18時間かけて持ち上げられ吊り下げられたときに遡る2年前の出来事でした。

 この当時、並外れて大きいものを彼にちなんで「ビッグベン」と呼ぶことが流行っていたようです。長い演説をすることで有名で、土木工学の技術者であり政治家であった「ベンジャミン・ホール卿(Sir Benjamin Hall、1802年生まれ。父親は製鉄業者)」も長身だったことからそう呼ばれていました。ウェストミンスター宮殿の再建事業を担当した「ベンジャミン・ホール」は「新しい時計塔の名前は、聖ステファノ(キリスト教における最初の殉教者。新約聖書の「使徒行伝」に登場する。ギリシア語“Stephanos”には「冠」の意味がある)にちなんで、“Saint Stephen's Tower”(セント・スティーブンズ・タワー)にしよう。そこに置かれる鐘は女王のお名をいただいて“Victoria Bell”にしよう」と熱弁を振るいます。

 ベンジャミン・ホールが長い長い演説を終えて着席をしたとき、議員の一人が「鐘はビッグベンと呼んで、それで済まそうじゃないか」と皮肉を口にします。議場にはどっと笑いが起きたといいます。「ビッグベン」という名前は大衆に受け入れられていきます。

 これも一つの説です。長い話になってしまいました。私は「ベンジャミン・ホール」2世?

                 (この項 健人のパパ) 



コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )



« 英国の「レッ... トクホって? ... »
 
コメント
 
 
 
大変参考になりました (佐原 利幸)
2015-04-04 00:55:57
前略 
 埼玉県で塾の講師をしているものです。英語の教科書サンシャイン3の教科書の内容がとてもよく身近に感じられるようにないました。 ありがとうございました。
 
 
 
学校のモットー (Yumi Tatsuno)
2015-09-16 09:00:42
とても興味深く拝読させて頂きました。
ありがとうございます。

小学6年生の息子をもつ母です。
先日、群馬中央中等学校という中高一貫教育学校の説明会で聞いた学校のモットーに違和感を感じ学校のチャイムの原点を調べていて貴方さまのブログを見つけた次第です。そのモットーとは
「No chime, No garbage, No order.」
というものです。変なモットーだな、英語教育に力を入れていると力説していたけれども大丈夫なのかなと不安になりました。
チャイムが鳴らないとパーティみたいだし、生ゴミなんか学校ではあまり出ないだろうし、無秩序な学校なんて聞いたことない…。息子を受験させるのをやめた方が良いでしょうかね。
 
 
 
自立はいつ? (健人のパパ)
2015-09-16 10:08:55
No chime … もう起きなさい!はやく食事をして!急いで!学校に遅れるぞ! そんなことを言わなくても自主的にスケジュール管理ができる子が望みなのですが、わが子はいまだ自立していません。
No garbage … 脱ぎっぱなしにしないで、シャツは洗濯機に入れて、学生服はハンガーにかけて!学校から受け取ったプリントは、すぐに見せて!いらなくなったプリントは雑紙(ざつがみ)入れに入れて! そんなことを毎日言うのは疲れます。自分の身の回りは自分で整理整頓してもらいたいものです。
No orders … あれしなさい!これしなさい! 自分のするべきことは自分で判断してもらいたいものです。いちいち命令しなければ、動けないのであれば、君はロボットで私はコントローラー?
 
 
 
学校のモットー (Yumi Tatsuno)
2015-09-16 10:29:23
なるほど、そういう意味だったのか!
ありがとうございます。
とんだ勘違い母をもつ息子は
これから苦労することでしょう…。
 
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。