POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 今回の家族旅行の計画では、ベルギー北西部の「橋」の街「ブルージュ(Bruges、ブルッヘ(Brugge))」で、「ブルッヘ歴史地区」を観光した後で、フランスの南東部にある「リヨン(Lyon)」に向かい、リヨン市内西部の「リヨン歴史地区」を観光することになります。「ブルッヘ歴史地区」も「リヨン歴史地区」もともにユネスコの世界文化遺産です。

 「インターポール(Interpol、ICPO、International Criminal Police Organization、国際刑事警察機構)」は、世界各国の警察により構成され、各国の刑事警察間における最大限の相互協力を確保し、推進して、国際的な犯罪防止のために活動する国際組織です。非常設機関として、総会(General Assembly、最高意思決定機関、年1回開催)と執行委員会(Executive Committee、総裁1名、副総裁3名、執行委員9名)があり、常設機関として、加盟各国の国家中央事務局(日本では警視庁)とICPO事務総局があります。この事務総局(General Secretariat、本部)が、フランスのリヨン(Lyon)にあります。

 インターポールは、年間予算5,000万ユーロほどで運営されていて、1ユーロ114円換算で57憶円ほどになります。日本は560万ユーロ(2010年度)を分担金として拠出しており、インターポールの年間予算の11%ほどにもなります。685万ユーロを拠出するアメリカに次いで、財政的に貢献しています。1996年10月から2000年11月までは、警察庁国際部長であった「兼元俊徳」氏がインターポールのトップである総裁を務めました。2009年10月から2012年までは、警察庁国際組織犯罪対策官「河合信之」氏が執行委員を務めています。

 リヨンでの妻の関心の1つはもちろん世界遺産なのですが、私の関心の1つはこのインターポールの本部です。本部は、200, Quai Charles de Gaulle, Lyon, France にあり、東の「テット・ドール公園(Le Parc de la Tete d'Or)」と西のほぼ南北に流れるローヌ川(Le Rhône)に挟まれています。

 テット・ドール公園(Le Parc de la Tete d'Or)は、リヨン市北部にあって、中央に池が配されている117ヘクタールの広い敷地を持つ公園です。日比谷公園が16ヘクタールほどですから、その7倍以上の広さがある公園が街中にあることになります。公園内には植物園と動物園があり、ともに無料です。名古屋市の東山動植物園の敷地面積が60ヘクタールほどですから、その2倍程度の敷地面積を誇っています。

 政府や企業などに関わる機密情報を公開する内部告発サイト「Wikileaks(ウィキリークス)」を創始した「ジュリアン・アサンジュ(Julian Paul Assange、ジュリアン・アサンジ)」氏は、ストックホルムの刑事裁判所から性的暴行などの容疑で逮捕状が出されます。スウェーデン警察はインターポールに国際手配を要請します。

 「国際手配(INTERPOL Notices)」には7種類あり、国際逮捕手配書(Red Notice、レッド・ノーティス、To seek the arrest or provisional arrest of wanted persons with a view to extradition.)、国際情報照会手配書(Blue Notice、To collect additional information about a person's identity or activities in relation to a crime.)、国際防犯手配書(Green Notice)、国際行方不明者手配書(Yellow Notice)、国際身元不明死体手配書(Black Notice)、武器等警告手配書(Orange Notice)、ICPO国際連合特別手配書(INTERPOL-United Nations Special Notice)です。アサンジ氏は国際手配書のほとんど(70%ほど)を占める「レッド・ノーティス」(年間5,000件ほど)で手配され、2010年12月7日にロンドン警視庁に出頭し、逮捕されます。

 アメリカは連邦制をとっており、警察組織も州単位です。州警察、州保安官など逮捕権を持つ警官(police、sheriff、marshal、constable)は、管轄外では逮捕権を行使できません。そこで、テロなど国家の安全保障にかかわる公安事件などの捜査を担当するFBI(Federal Bureau of Investigation、アメリカ連邦捜査局)が、複数の州に渡る広域事件の捜査も担当しています。このことの影響でしょうか、「ルパン三世」の銭形警部は、インターポールの「国際捜査官」という肩書きを持って、ルパンを逮捕しようとします。

 しかし、主な活動を国際犯罪や国際犯罪者に関する情報の収集と交換、逃亡犯罪人の所在発見と国際手配書の発行などとするインターポールには、加盟国でその国の警察とは別に捜査活動をする「国際捜査官」は存在しません。司法警察権は各国の主権事項に属するため、インターポールは各国法執行機関の連絡機関としての性格しか持てないのです。

 インターポールの本部の面している「シャルル・ド・ゴール通り(Quai Charles de Gaulle)」には、「ヒルトン・リヨン(Hilton Lyon)」も面しています。今回、宿泊先に選んだ「ヒルトン・リヨン(Hilton Lyon)」は、70 Quai charles De Gaulle, Lyon, France にあり、インターポールの本部と同じように「6区」という行政区にあります。ヒルトン・リヨンからインターポール本部へは徒歩圏です。6区は高級住宅地域といってよく、日本人の駐在員家族が多く住む地域だそうです。

(info) エクスペディアでの「ヒルトン リヨン」(HILTON LYON)の情報。

 リヨンには9つの行政区があり、数字で分けられ、1区から9区まであります。フランスには行政区を数字で分ける伝統があるのでしょうか、パリ(1区から20区)やマルセイユ(1区から16区)も数字で行政区を分けます。フランス文化の影響を受けたベトナムのホーチミン市にも1区から19区までの行政区があり、カナダにあって公用語を英語ではなくフランス語とするケベック州の州都ケベック市も1区から8区までの行政区があります。東京都には、特別区という行政区がありますが、パリのように中央の行政区から、エスカルゴの渦巻きのように、時計回りに数字を振ると、千代田区(1区)、中央区(2区)、港区(3区)、渋谷区(4区)、新宿区(5区)、、、葛飾区(22区)、江戸川区(23区)とでもなるのでしょうか。




 実際に行ってみないと確実なことは言えないのですが、インターポールの本部は一般に開放されている場所があるようで、吹き抜けになっている建物の床には、インターポールのシンボルマークが描かれ、観葉植物が多く置かれ、まるでショッピング・センターの様相なのだそうです(Le visiteur croirait presque s'être trompé d'adresse, tant l'endroit ressemble à ces centres commerciaux chics et zen.)。土産物屋(une boutique de souvenirs)には、マグカップ、時計、キーホルダー、Tシャツ、布バック、ネクタイ、ネクタイピン、スカーフ、などが売られているようです。ちょっと楽しみですね。本当に一般人が入れるのでしょうか、どなたかご存知ありません?

                (この項 健人のパパ)

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 今回の家族旅行の目的地は、計画の当初は イタリアのみ なのだったのですが、妻「あみ」の意向でヨーロッパに広がり、ベルギー、フランス、ポルトガル、スペインが追加されてしまいました。今年大学を卒業して社会人になった上の息子「優也」がまだ小学校に入学していなかった頃に、ユーレイルパスで鉄路を利用してヨーロッパを長期間に渡って巡ったことのある妻は、今度は下の息子「健人」を連れて、再現したかったのでしょうか。

 国鉄列車に乗り放題の「ユーレイルパス(Eurail Pass)」にはいくつか種類があり、数十か国(Explore 21 countries in Europe with 1 Eurail Pass! ユーレイルパスのサイトから)に渡って使用できるのは、「ユーレイルグローバルパス(Eurail Global Pass)」です。3~5か国(Travel in 3-5 European countries of your choice! )で利用するなら、「ユーレイルセレクトパス(Eurail Select Pass)」があります。



 ところが、これが結構いい値段なのです。ユーレイルグローバルパスには、「グローバルパス・コンセクティブ(Global Pass continuous、グローバルパス・コンティニュアス)」と「グローバルパス・フレキシ(Global Pass flexi)」の2種類あって、パスの使用開始から2か月以内のうちの10日(連続しなくてもよい)使えるタイプ(Global Pass flexi: choose 10 or 15 (non-consecutive) days to travel on within 2 months.)で、アメリカドルで709ドルもします(1ドル84円換算で60,000円ほど)。“Eurail Select Pass 4 Countries”(10 days within 2 months)でも、619ドル(1ドル84円換算で52,000円ほど)です。3人だと、52,000円×2.5で、130,000円にもなります。

 現在、世界の空で「格安航空会社(Low-Cost Carrier、LCC、ローコストキャリア)」が活躍しています。アジアに多くの航路を持つLCCの「エアアジア(AirAsia)」も日本に進出してきました。アジアの旅行では、エアアジアをよく利用しています。ヨーロッパには、ヨーロッパ有数の航空会社として急成長を見せているLCCの「イージージェット(easyJet)」があります。

 今回は、鉄路ではなく空路を利用して、ヨーロッパを移動することにしました。いかに費用をかけないでヨーロッパ内を移動するか、ということで妻と2人で苦労しました。イージージェットは、イギリスのルートン(Luton)に本社を置く航空会社です。イージージェットは、ヨーロッパ各地からベッドフォードシャー (Bedfordshire) 州のルートン空港(London Luton Airport、ロンドン市街地の北方約50km)やウェスト・サセックス(West Sussex)州のガトウィック空港(London Gatwick Airport、市街地の南方約50km)に飛んだり、その逆は非常に便利がいいのですが、ヨーロッパ各地間の移動は必ずしも都合はよくはありません。



 LCCは出発日や出発時間によって料金が大きく違うので、費用が比較して少なくて済み、日程的に無理のないコースを一筆書きで描くようにブリュッセルの「ブリュッセル国際空港(Brussels Airport)」からローマの「フィウミチーノ空港(Aeroporto di Fiumicino)」まで繋がなければなりません。ヨーロッパ各地から一度ロンドンに飛んでから、ヨーロッパ各地に飛ぶという方法も考えましたが、やはり時間の無駄です。ドイツのベルリン、スイスのジュネーブ、オーストリアのザルツブルクなどが浮かんでは消えていきました。



 結局、ブリュッセル(ベルギー)→リヨン(フランス)→リスボン(ポルトガル)→マドリッド(スペイン)→ローマ(イタリア)というコースになりました。航空運賃は、機内預け荷物の手数料(1個20kgまでで1,200円ほどかかる)やカード使用料(クレジットカードで支払いをすると、支払い1回に1,200円ほど取られる)を含めて、3人分で、372ユーロほどになりました。1ユーロ112円換算で、42,000円ほどです。ユーレイルパスを使うより、格段に費用を抑えられました。

 鉄道ファンの我が息子の希望である「鉄道の旅を楽しむ」ということは犠牲になりましたが、代わりに、ブリュッセル-リヨン間85分、リヨン-リスボン間150分、リスボン-マドリッド間75分、マドリッド-ローマ間140分の空の旅を楽しんでもらえば、、、座席の間隔を狭くして搭乗客を増やす、機内サービスをほとんど有料化して水すら有料にする、などで格安の航空運賃を実現しているLCCじゃ無理かな?

             (この項 健人のパパ)

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 インフルエンザを発症すると、風邪様症状(風邪症候群。咳、のどの痛み、鼻汁・鼻づまりなど局部症状や発熱、倦怠感、頭痛など全身症状)とともに、38℃を越える高熱を出します。新型インフルエンザ(AH1pdm)での報告では、38℃以上の発熱は82.8%、咳は81.0%、のどの痛み65.1%、鼻汁・鼻づまり60.3%、倦怠感58.1%、頭痛50.0%の症状がありました(「新型インフルエンザの大阪府下の2つの学校における臨床像」から)。

 風邪(普通感冒)には、下痢、腹痛、嘔吐などの腹部症状を伴うことがありますが、上記の新型インフルエンザの報告では、下痢12.9%、腹痛10.3%、嘔吐6.5%と低かったようです。

 インフルエンザの発症は、インフルエンザウイルスが鼻の粘膜などを介して体内の細胞に入り込んで増殖し、最後に細胞を破壊し、次の細胞に入ることを繰り返して、細胞の破壊が急速に進行することで起ります。細菌感染では、細菌が菌体外に放出した毒素(外毒素、エクソトキシン、exotoxin)や細菌の成分である毒素(内毒素、エンドトキシン、endotoxin)で、発症するのとは異なります。

 インフルエンザのようなウイルス感染症の発症や重症化を防ぐには、体内でウイルスが増殖するのを防ぐことです。「オセルタミビル(商品名:タミフル)」などの「ノイラミニダーゼ阻害薬(Neuraminidase inhibitors)」は、A型やB型のインフルエンザウイルスに入り込まれた細胞が破壊されるのを防ぎ、ウイルスの放出を妨げることで、ウイルスの増殖を阻止します。既に破壊された細胞は新たな細胞が作られ、症状は改善していきます。

 「抗体(antibody)」は、「マクロファージ(macrophage、貪食細胞、白血球の1つ)」などと協力して、体内に侵入してきた細菌やウイルスなどを体内から除去します。血液中や体液中に存在する抗体は、特異的にタンパク質などの分子(「抗原(antigen)」)を認識して結合する働きを持っています。「特異的」とは、例えば、新型インフルエンザウイルス(AH1pdm)用の抗体があって、この抗体は新型インフルエンザウイルス(AH1pdm)にしか結合しません。

 抗体に結合された抗原(例えば、インフルエンザウイルス)は、マクロファージに見える(認識される)ようになり、パクッと食べられてしまいます。この結果、ウイルスの増殖は抑えられることになります。しかし、抗体(「免疫グロブリン、immunoglobulin、Ig」)はあらかじめ人体に存在するものではありません。リンパ組織に存在するB細胞(“B”は骨髄(bone marrow)のB? ファブリキウス嚢(brusa of Fabricius)のB?)が、ヘルパーT細胞(“T”は胸腺(Thymus)のT)によって活性化されて抗体を産生するのです(一次応答)。

 B細胞に抗体を作らせるには、自然感染かワクチン接種が必要になります。一度抗体を産生した経験をB細胞に持たせると、B細胞は同一のウイルス(「抗原」)の再侵入に対して、一次応答よりも大量の抗体を産生し、再侵入した抗原をすばやく体内から除去できるようにします(二次応答)。

 「ウイルス抗体検査」というものがあります。抗体は免疫グロブリン(Ig)というタンパク質で、そのうち感染の防御に関係しているのはIgMとIgGです。H鎖(重鎖)の種類で、γ(ガンマ)、α(アルファ)、μ(ミュー)、δ(デルタ)、ε(イプシロン)により、それぞれIgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5クラスに分けられています。

 ウイルス抗体検査の1つ、「IgM抗体検査」は、IgMはウイルスが体内に入ってくると間もなく増え始め、約2週間でピークに達した後減少して、1~2ヶ月でほとんどなくなることから、ウイルス感染(例えば、麻疹(はしか))の確定診断に使われることがあります。

 ウイルス抗体検査を方法による分類をして、「酵素免疫測定法 (enzymeimmunoassay、EIA)法」の1つ、「ELISA法(エライザ法、emzyme-linked immunosorbent assay)」は、ウイルス抗原を吸着したプレートに患者の血清を反応させたあと、さらに反応した患者血清中のIgGに酵素標識した抗ヒトIgG抗体を反応させ、この酵素の発色の有無からウイルスの存在をみる方法です。HIV(エイズウイルス)やATLV(成人T細胞白血病ウイルス)などの確定診断に用いられるようです。
 
 IgGは、IgMに数日遅れて産出されますが、IgMが減少を始めても増加し続け、ウイルスが存在しなくなってもしばらくは高い値を維持します。IgGはその後少しずつ減少していきますが、同一のウイルスが再侵入すると、2~3日で急増します

 しかし、赤血球凝集能を持つインフルエンザウイルスのようなウイルスの抗体検査は、「赤血球凝集抑制試験(HI試験、Hemagglutinin Inhibition Test)によって測定します。抗体が存在すれば、抗体はウイルスの赤血球凝集素を攻撃し、赤血球が凝集しないようにします(凝集抑制)。赤血球の凝集で抗体の保有を判断するわけです。

 具体的には、段階的に希釈した血液(抗血清)をウイルス検体と反応させ、赤血球凝集反応がどれだけの希釈まで抑制されるかを観察します。血液の希釈倍率はHI価と呼ばれます。インフルエンザの感染予防や感染しても症状の軽減に期待できる40倍以上を抗体保有とし、より感染を防御できる十分な抗体価を160倍以上として評価します。

 国立感染症研究所感染症情報センターは、2010年7月~9月、全国の6,035人から血液を採取し、新型インフルエンザに対する抗体の有無を調査して、2010年12月7日に報告しています。その報告によれば、10歳~19歳(昨年、患者数が多く報告された)では、新型インフルエンザに対して免疫力があることの指標となる抗体保有率(HI価が40以上)は65%(3人に2人は抗体を保有)と高い一方で、0~4歳の乳幼児(20%台)や50歳代以上(10~20%台)では特に低い水準にとどまっていることがわかったようです。



 これは今年は、児童や学生の間では集団免疫がそれなりにでき上がっているので、学校から昨シーズンと同じ型の新型インフルエンザが広まるということは起りにくくなっていることを意味していると考えられます。しかし、5歳から24歳までの抗体保有率が他の年齢と比較して高いのは、例年みられる傾向であり、学校などでの集団生活によりインフルエンザウイルスに曝露される頻度が高いのを反映しています。



 学校は、インフルエンザのような感染症を拡散させる場となっているのです。今シーズンの亜型別分離状況は、2010年第36週から第48週において新型インフルエンザ(A/H1pdm亜型)が126例、A香港型(A/H3亜型)が321例と、新型インフルエンザとA香港型が混在し、現時点ではA香港型の方が分離報告数は多いようです。学校でのインフルエンザの集団発生は、A香港型で起りそうです。

 今シーズンは2010年12月7日時点ですでに、茨城県の小学校においてインフルエンザウイルスAH1pdm(A/H1N1 2009)による集団発生が報告されており、また、インフルエンザ様疾患発生報告(学校欠席者数)によると、2010年10月24日から11月27日のおおよそ1か月の期間に学級閉鎖を実施した学校数は82校、学年閉鎖を実施した学校数は25校、休校を実施した学校数は14校と報告されているようです。

           (この項 健人のパパ) 

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 今シーズン(2010~2011年)のインフルエンザワクチンの医療機関納入数量は、2010年11月12日現在で、1mlバイアル換算で1,821万本になり、接種可能者の推定数は約3,643万人です。2010年11月16日での副反応報告数は261人。そのうち、重篤な副反応として報告されたものは33人。死亡例は、9例報告されており、そのうち、主治医の評価が「関連あり」の症例は3例(80歳代女性、10歳未満男児、80歳代男性)になっているようです。

 精神運動発達遅滞、慢性肺疾患を基礎疾患として有する10歳未満の男児がワクチン接種の翌朝、呼吸停止で発見されます。ワクチン接種が死亡の原因かどうかは否定も肯定もできないと「新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会」は判断します。基礎疾患として、慢性心不全、肝硬変を有していた80歳代の男性では、接種後より38℃台の発熱が出現し、やがて熱は下がりますが、意識障害、呼吸困難、多臓器不全が発現し、やがて死亡しました。病態は肝硬変症に合併した敗血症で、ワクチンの副作用でこのような経過を辿るものは知られておらず、副反応と断定する根拠は乏しいと「検討会」は判断します。

(参考) 「インフルエンザワクチンの接種と副作用のアナフィラキシーショック」(死亡例の1例め)

 昨シーズン(2009~2010年)の新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチンの接種後の副反応報告においては、接種者数は推定で約2,100万人でした。そのうち、死亡例が133人報告されており、報告医から「接種との因果関係がある」として報告された事例は3例でした。この副反応報告においては、「検討会」では、死亡とワクチン接種の直接の明確な因果関係がある症例は認められませんでした。死亡例のほとんどが、重い持病をもつ高齢者であり、死因が接種によるものなのか、持病の悪化によるものなのかが判明しなかったのです。

 ここ2年の例で言うと、基礎疾患を有している人の中で接種後にごく稀に死亡者が出ることになり、それも疾患の悪化が偶然、接種の後に起ったことも考えられます。ワクチン接種によって通常見られる副反応は、局所反応としての発赤、腫脹、疼痛など(接種を受けた人の10~20%に起こる)であり、全身反応としての発熱、悪寒、頭痛、倦怠感、嘔吐など(接種を受けた人の5~10%に起る)です。これらは、通常2~3日中に消失します。

 ワクチン接種には、「接種要注意者」という人たちがいます。この人たちは、副反応が起る確率とその強度が通常の人たちとは異なり、高いといえます。心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患等の基礎疾患を有することが明らかな者、過去に痙攣の既往のある者、気管支喘息のある患者、インフルエンザワクチンの成分又は鶏卵、鶏肉、その他鶏由来の物に対して、アレルギーを呈するおそれのある者(「卵アレルギー」ですね)、前回のインフルエンザ予防接種で2日以内に発熱のみられた者または全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者などが接種要注意者です。

 気管支喘息で治療を受けているある女性が今年の3価のインフルエンザワクチンの接種を受けて、次のような経過をとります。気管支喘息は空気の通り道である気管支がアレルギーなどで炎症を起こし過敏になり、何かの刺激で腫れて狭くなり呼吸が苦しくなる慢性の病気です。気管支喘息は常に症状があるわけではなく、時間帯や体調などで強い発作が出たり症状がなかったりします。

 発作には軽度なものから死に至るような重度なものまであり、強い発作を起こしたことがある人は注意が必要です。喘息治療薬には、長期管理薬(controller)と発作治療薬(reliever、リリーバー)があり、「発作治療薬」には、「塩酸プロカテロール(procaterol hydrochloride、製品名:メプチン)」などがあります。この薬は、気管支の筋肉にある「β2アドレナリン受容体(beta2 Adrenergic Receptor)」に結合して、収縮した気管支の筋肉を弛緩させるスイッチを入れます。

 インフルエンザの混合ワクチンを接種してきました。でも、帰り道に、なぜか異様に身体がだるくなり、接種した腕がムズムズしてきました。そして、なぜか身体全身がカアッとして痒いのです。喘息の抗アレルギー薬を慌てて服用しました。

 身体がよく痒くなる、皮膚がカサカサする、目が痒くなったり涙目になったりする、のどに痛みや痒みを感じる、鼻が詰まりやすい、風邪を引くと咳が長引く、といった項目の多くが当てはまる人は「アレルギー体質」だといえます。 新型インフルエンザや季節性インフルエンザなどのワクチン接種は、異物を体内に入れる行為です。それによって、ワクチンに含まれる物質や接種を受けた人の体質の影響で、多かれ少なかれアレルギーのような症状(免疫反応)を起こします。

 体質や体調によって、アレルギーのような症状が極めて0に近い場合があれば、極々稀ですが死に至ってしまう場合もあります。アレルギー体質の人は、アレルギーの程度と接種時の体調によりますが、普通の人と比べて大きく出ることがあります。

 抗アレルギー薬の1つ、「メディエーター遊離抑制剤」は、肥満細胞から「ヒスタミン (histamine、過剰に分泌されると、ヒスタミンⅠ型受容体というタンパク質と結合して、アレルギー疾患の原因となる) 」などのさまざまな化学伝達物質(chemical mediator)が遊離されるのを抑制する薬剤です。クロモグリク酸ナトリウムを主成分とする「インタール(アステラス製薬、サノフィ・アベンティス)」は、メディエーター遊離抑制剤です。この薬剤は効果が現れるまでに一般的に4~6週間以上を必要とするようです。1日4回(朝、昼、夕及び就寝前)継続的に吸入するのを原則とします。炎症を即効的に抑える効果はありません。

 夜中に、身体がぶわっと膨らんだような感覚に襲われ、気道に我慢できない痒さが襲ってきました。舌も膨らんで少し息苦しい感じ。そのうち、喉がヒューヒューいうようになってきました。喘鳴が始まってしまいました。 

 「喘鳴(ぜんめい)」とは、呼吸時に「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」というような音がする状態をいいます。聴診器を通して聞くと、いびきに似た異常な呼吸音がします。喘鳴は、気管または気管支の一部が狭くなることで起り、呼吸困難の兆候です。ゼイゼイという音は気管支の奥から発生し、ヒューヒューという音は気管から咽頭にかけての部分から発生します。空気の通り道に炎症などが起って、狭くなっていることから、異常音が発生することになります。

 このまま放っておくとさらに悪化しそうなので、急いでメプチンエアを吸入して、メドロールなどを飲みました。そのためか、それ以上ひどくはならずに朝を迎えられましたが、身体はとてもだるくてベッドから起き上がれません。腕は接種したところが熱を持って真っ赤に腫れています。

 「メチルプレドニゾロン(methylprednisolone)」を主成分とする「メドロール(ファイザー)」は、副腎皮質ステロイド薬で、炎症を抑えるのに使われます。炎症は抑えるのですが、免疫力を低下させ、細菌を増殖させる危険もあります。この薬剤の効き目は「中時間作用型」で、作用持続時間は短時間と長時間の中間で、強度も中間です(intermediate-acting)。

 私は卵アレルギーでもあるのですが、インフルエンザのワクチン接種で、今まで多少接種した方の腕が腫れることはあってもここまでひどくはなりませんでした。病院に行こうかなとも思ったのですが、夜中では救急車を呼ぶしかないし、気管支喘息の薬をもらっていましたから、私のとった処置が正しかったかどうかわかりませんが、薬で一応危険な状態になるのは防ぐことができました。

 卵アレルギーは、卵白が含有するタンパク質へのアレルギー反応が殆どです。インフルエンザワクチンを製造するには、インフルエンザのウイルス株を細胞の中で増殖させる必要がありますが、日本では「孵化鶏卵(発育鶏卵)」が用いられています。そのため、ワクチンの中にごく微量ですが、卵白の成分が残ることがあるようです。

(参考) 「人獣共通感染症と「豚インフルエンザ」、「鳥インフルエンザ」

 体調も影響したのでしょうか、ワクチン自体のせいでしょうか、いままでの経験で油断していたのでしょうか、アレルギー体質の人がインフルエンザのワクチン接種を受けるときは、充分に気をつけて下さいね。 

(参考) 「ワクチン接種と副反応(副作用)と抗アレルギー薬の服用

 ワクチン接種とインフルエンザ発症には、次のような可能性があります。インフルエンザワクチンの「安全性」と「有効性」が関係して、可能性の大きなものから小さいものまで混在しています。(「罹る」は、ここでは「感染」を意味せず、「発症」を意味しています)

01.ワクチン接種を受けなかったが、インフルエンザには罹らなかった。(これが保証されるなら、これが一番いいのですが、、、)
02.ワクチン接種を受けず、インフルエンザに罹ったが、軽かった。
03.ワクチン接種を受けず、インフルエンザに罹って、重症化した。
04.ワクチン接種を受けて、副反応も出ず、インフルエンザにも罹らなかった。(これがリスク管理からは理想なのでしょう)
05.ワクチン接種を受けて、副反応は出たが、インフルエンザには罹らなかった。
06.ワクチン接種を受けて、重度な副反応が出た。
07.ワクチン接種を受けて、副反応は出なかったが、インフルエンザには罹った。
08.ワクチン接種を受けて、副反応は出なかったが、インフルエンザに罹って、重症化した。
09.ワクチン接種を受けて、副反応も出、インフルエンザにも罹った。
10.ワクチン接種を受けて、副反応も出、インフルエンザにも罹って、重症化した。(これは安全性に欠け、有効性もないことになります)

                (この項 健人のパパ)

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 2010年12月2日の日経メディカルオンラインの記事(カナダ、ケベック州のラヴァル大学(université Laval)のJesse Papenburg氏らの報告)からですが、2009年に発生した新型インフルエンザ(A/H1N1pdm)の家庭内での2次感染率は、45%程度で季節性インフルエンザとほとんど変わらない水準である可能性が示されたそうです。2009年5月から7月にカナダのケベック市内でA/H1N1pdmを発症し感染が確認された患者の同居家族についての調査からそういえるのだそうです。

 インフルエンザ様疾患(「37.5度以上の発熱」があって、咳、鼻水・鼻づまり、のどの痛みの症状を伴う場合)を発症し、RT-PCR検査によって新型インフルエンザウイルス感染が確認された42世帯の43人を「初発感染者」とします。そして、初発感染者の家庭内接触者119人を観察したそうです。観察中に53人に新型インフルエンザ感染が確認されます(「2次感染者」、発症したしないにかかわらず、初発感染者の感染後に新型インフルエンザウイルスに感染し、RT-PCR検査、または血清抗体検査で陽性とされたもの)。

※ インフルエンザウイルスは、RNAウイルスです。DNAがなくRNAしか持っていないウイルスを検出する場合、RT-PCR法を用いることになります。「RT-PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)法」とは、RNAを鋳型に逆転写(reverse transcription、DNAからRNAを生成するのが転写(transcription)で、その逆のRNAからDNAを生成すること)を行い、生成された「cDNA(complementary DNA、相補的DNA)」に対してPCRを行う方法です。



 「2009年の新型インフルエンザ初期流行」という状況下(免疫を持っている者がいない)のデータですが、家庭内にウイルスが持ち込まれると44.5%の確率で、家族に感染するのですから高いといえますね。茨城県の小学校での集団感染の事例でも、8例のうち3例は、家族内に感染者がいました。うつしたのかうつされたのか、検体採取日と発症日との間隔があいている子の家族に家庭内発症例が多いことから、学校内で感染し、家族にうつしたとも言えそうです。

 ケベック州の例では、初発感染者と有症2次感染者(48例、2次感染者のうち5例には症状が出なかった)の発症時期のずれをみると、翌日が11例と最も多く(23%)、5日後までに38例が発症した(79%)そうです。家庭内にインフルエンザの発症者が出ると、10%の確率で、翌日には次の発症者が出ることになり、5日後までと長くとれば、32%の確率で、次の発症者が出ます。

 初発患者の症状と2次感染者の発生率との関連をみると、最も高かったのは、嘔吐で68%、次いで下痢の53%だったそうです。つまり、初発患者の症状に嘔吐があった場合、家族にうつす確率は68%と高いのです。このことから考えると、インフルエンザ感染者の吐瀉物の扱いには充分に気をつける必要があることになります。また、下痢であった場合も高いのですから、トイレ使用後の石鹸を使っての手洗いやトイレのタオルを共用にしない、患者の下着の洗濯に留意するなどの配慮が必要なようです。

 この調査で関心を惹くのは、53人に2次感染が確認されますが、その中に全く無症候だった「不顕性感染」例が5例あることです。その確率は9%強。感染者のうちインフルエンザ様疾患を発症したのは31人(58%)、1人(1.9%)は消化器症状のみだったそうなので、インフルエンザの感染を見た目で確認できたのは32人。残りの21人は、非常に軽いか無症状ということになります。これで確率をとると、40%弱が感染しても、発症しないことになります。多いですね、丈夫な人が。

 我が家では、6年生になる丈夫でない我が子「健人」が学校で風邪(ライノウイルス 、アデノウイルスなどのウイルスや細菌などに感染することで起る)をもらってきて、それを丈夫でない私がもらうことになります。妻にうつることは少なく、それは家族に発熱、咳、鼻水・鼻づまりといった「風邪症候群」が出ると、家庭内でもマスクを着用し、発症者に近づくことを極力避けるからです。

 「うつされない努力とうつさない努力は常にすべきよ。朝の混んだ通勤電車の中でマスクもしないでひどい咳をしている人を見かけるけれど、あれは、他人に対する配慮が足りない。人にうつってもかまわないと考えているなら、傷害罪の「未必の故意」じゃないかしら。マスクをするのは、相手に対するマナーよ。風邪をひいていない私の方がマスクをしなければならないの。風邪による経済的損失は、日本だけでも年間で何千億円と巨額になるはずよ。苦境にある日本を救うために、損失は最小限にしなくちゃ。ああいう人たちを仕分けて電車に乗せないようにして欲しいわ。」

 そこまで過激なことを言わなくても、、、

                 (この項 健人のパパ)

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 今年度(平成22~23年度)のインフルエンザワクチンは、新型H1N1・季節性H3N2・B型の3種類を含む3価ワクチンと新型H1N1のみの1価ワクチンの2種類が供給されています。インフルエンザウイルスにはいろいろな型があり、インフルエンザワクチンは型が異なれば、その効果(感染予防、発症予防、重症化予防)を上げることができません。ならば、いろいろな型に対応できるように3価より多くすれば良いかというとそうではありません。

 「3種から4種にすると、タンパク量が増え、副反応も増加する。不可能というわけではないが、製造するとなれば、新たに治験も必要になる。今回の流行への対応としては現実的でない」(国立感染症研究所の感染症情報センターのセンター長「岡部信彦」氏。新型インフルエンザワクチンに言及して、2009年4月30日)。「副反応」とは、ワクチン接種で、免疫学的機序などによって起る反応のうち、免疫の付与以外の反応をいいます。一般的には「副作用」と呼ばれています。

 弱毒化した細菌またはウイルスそのものを被接種者に投与する「生ワクチン」では、生ワクチンの細菌またはウイルスに感染しても殆どの場合、症状は出ませんが、ごく稀に感染に伴って症状が出る場合もあります。これもワクチンの副反応です。従来の「麻疹(Measles)ワクチン」と「風疹(Rubella)ワクチン」を混合したワクチンに「MRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)」があります。このMRワクチンは生ワクチンです。

 小児麻痺(ポリオ)の生ワクチンを飲んだ子供からその親にワクチン内のウイルスが感染し、麻痺を生じた例が極めて少ないながらも報告されています。子供が飲んだワクチン株が便中に排泄され、それが親に感染し稀に麻痺をおこすという状況を減らすには、親にも子供と一緒にワクチンを飲んでもらうということが考えられます。

 「麻疹(はしか)」は、麻疹ウイルスの感染により起こる病気です。麻疹ウイルスは、インフルエンザウイルスと同じ「1本鎖RNA-鎖」ウイルスで、パラミクソウイルス科 (Paramyxoviridae、-myxo-は「粘液、鼻汁」の意味) に分類されます。それに対し、インフルエンザウイルスは、オルソミクソウイルス科 (Orthomyxoviridae)に分類されます。

 麻疹の発症では、3~5日間続く軽度から中程度(38~39℃)の発熱とともに咳、鼻汁、目ヤニがみられるようになります。発熱は典型的な場合は途中で短期間解熱する時期があります(二峰性、発熱のピークが2つ)。最初の発熱が下がってくる頃、口腔内に細かな白色の発疹がみられます(コプリック斑、Koplik spots)。発熱、咳、鼻汁で症状が始まることから、インフルエンザへの感染と間違えられることがあります。2度目の発熱は40℃を超えることもあり、首や耳の後ろに小さな紅斑が出始め、この発疹は次第に顔から体、手足へと広がっていきます。

 日本で承認されているインフルエンザワクチンは、生ワクチンではなく、「不活化ワクチン」です。不活化ワクチンはウイルスが体内で増殖しないように、化学処理、加温処理、紫外線照射などを行っていますが、抗体を生成させる能力を失わせてはいません。

 現行のインフルエンザワクチンは、ウイルスをエーテルで部分分解し、更にホルマリンで不活化しています。このワクチンでは、生ワクチンと異なり、インフルエンザを発症する可能性はなくなりますが、異物としてのタンパク質を体内に入れることには変わりなく、副反応は出る可能性があります。

 日本では未承認ですが、個人輸入を取り扱っている医療機関で接種を受けられる「点鼻投与型インフルエンザワクチン」は生ワクチンです。「アストラゼネカ(AstraZeneca PLC)」社の傘下の「メドイミューン(MedImmune)」社は、点鼻スプレー式のインフルエンザ弱毒生ワクチン(Live Attenuated Intranasal Vaccine 、LAIV)「フルーミスト(Flumist)」の製造をしていますが、アメリカでのみしか製造承認を獲得していません。

 ワクチン接種後に長期間にわたって強い感染防御免疫が誘導されるポリオワクチンや麻疹ワクチンとは異なり、インフルエンザワクチンは、ウイルスの感染やインフルエンザの発症を完全には防ぐことはできません。ワクチンのウイルス株と流行のウイルスの型が一致しなければ効果が発揮できないし、型が一致しても不活化ワクチンは効果が長続きしないのです。

 茨城県南部の龍ケ崎市、取手市、牛久市、守谷市、稲敷市、河内町、利根町の5市2町を管轄する茨城県竜ヶ崎保健所の管内の小学校で、新型インフルエンザの集団発生がありました。新学期が開始した2010年9月1日よりインフルエンザ様疾患の発症者が相次ぎ、20人が発症することになります(生徒数131人、発症率約15%)。5学年(26人)では、9人が発症した(発症率約35%)ことから、9月8日から5日間の学年閉鎖措置がとられました。

 35週(08月30日~09月05日)… 5人
 36週(09月06日~09月12日)… 5人
 37週(09月13日~09月19日)… 5人
   ………
 40週 (10月04日~10月10日) … 3人
 41週 (10月11日~10月17日)… 4人
 42週 (10月18日~10月24日)… 1人 (竜ヶ崎保健所管内でのインフルエンザの患者報告数)

 インフルエンザ様疾患の集団発生を受けて、茨城県衛生研究所は、患者から採取した検体(うがい液)をMDCK細胞を用いて培養を開始するとともに、リアルタイムPCR(real-time polymerase chain reaction)を実施しました。検体提供者8名の医療機関での迅速検査の結果は、いずれもインフルエンザウイルスAが陽性でした。

 「培養細胞(cultured cell)」は、人為的に生体外で培養されている細胞です。培養細胞が、長期間にわたって体外で維持され、一定の安定した性質を持つと「細胞株(cell line)」と呼ばれます。ヒト子宮頸癌由来の「HeLa細胞」、イヌの腎臓上皮由来の「MDCK細胞(Madin-Darby Canine Kidney、マディンとダービーがコッカー・スパニエルの腎臓細胞から細胞株を樹立した)」、アフリカミドリザル腎臓由来の「Vero細胞」などがあります。



 リアルタイムPCRの結果、全検体から新型インフルエンザウイルス(AH1pdm)が検出されることになります。問題は、検体提供者8名(男性4名、女性4名)中3名は、新型インフルエンザワクチンワクチンの接種を受けていなかったことに驚きます。非接種率は37.5%です。接種を受けていない人の割合が意外と高いのですね。ワクチンの副作用が喧伝されすぎていて、アレルギーのない人も接種に躊躇しているのでしょうか。それともワクチンの安全性ではなく有効性に疑問を持っているのでしょうか。

 ワクチンを接種しているのに発症したではないか、やはりワクチンの有効性には疑問がある、という意見がありそうですが、この学生たちは2010年の1月前後に接種したものと思われ、不活化ワクチンの効果は3~5か月ほどしかないので、2010年4月から6月頃にはその効果は消失していたことになります。

 我が家の妻、子、私が3価のインフルエンザワクチンの接種を受けたのは、2010年10月中旬です。この効果は、早ければ2011年1月中旬、遅くて2011年3月中旬には消失してしまうことになります。ワクチン接種によって獲得した抗体には「ブースター効果」というものがあって、減衰した効果もウイルスに接するとその効果が復帰することがあります。それに期待してよいのでしょうか。

 インフルエンザの流行に季節要因が小さくなっているような感じを受けます。人が世界的に移動しているせいでしょうか。流動性が高くなると、ウイルスが容易に世界中に拡散して行くのでしょう。2011年3月から4月にかけてベルギー、スペイン、イタリアにかけて旅行する予定でいます。ワクチンの効果が切れています。この地域でインフルエンザの流行がないことを願っています。

               (この項 健人のパパ)

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