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 2009年5月19日に舛添要一厚生労働大臣は新型インフルエンザの国内対策切り替えに向けて、感染症の専門家4人から意見聴取したそうです。その4人とは、岩田健太郎氏(神戸大大学院教授)、森澤雄司氏(自治医大病院感染制御部長)、森兼啓太(国立感染症研究所主任研究官)、畠山修司氏(東京大学附属病院感染制御部長)です。

 この意見聴取の後に、メディアに対して読み上げられた文章から、現在の「新型インフルエンザ対策」の問題点を指摘してみましょう。

 「インフルエンザは、ほかの病気同様、重症なものと軽症なものがあります。重症なインフルエンザは由々しき事態で全力での医療が必要になります。しかし、軽症者は自宅で安静にしていれば自然に治ります。本来、インフルエンザは自然に治る病気なのです。したがって、新型インフルエンザに対して、その重症度を無視して、一律の医療サービスを提供するのはいかにも理にかなっていないことです。

 2009年2月17日に「新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関する関係省庁対策会議」が開催され、「新型インフルエンザ対策行動計画」が改定されました。この「対策行動計画」は、新型インフルエンザ対策を迅速かつ確実に講じるため、「WHO Global Influenza Preparedness Plan(WHO 世界インフルエンザ事前対策計画)」に準じて、2005年12月に策定され、幾度かの改定を経ています。

 さらに、2008年4月に、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律」が成立し、水際対策など新型インフルエンザ対策の強化が図られています。

 「(毒性の弱いインフルエンザなどの)鼻水、咽喉痛だけで自然に治る病気に入れ込み(熱中し)、命にかかわる心筋梗塞の治療がおざなりになるのは、本末転倒です。インフルエンザとは本来、病人/患者からアプローチすべきものです。世界の専門家はすでに気道感染症として病原体から切らないまっとうなアプローチをしています。RSウイルスもコロナウイルスもインフルエンザウイルスも原則的なアプローチは同じなのです。

 これは、インフルエンザも普通感冒も「気道感染症」として括り、その重症度から患者に適切な治療を行うのが合理的だと主張しているのです。それが「患者中心の治療」だと述べているのです。「無限の泉から医者や看護師が湧き出てくるなら話は別ですが、この日本はずっと前から医療崩壊に片足を突っ込んでいたのです。」とも言うように、医師不足が進行する日本にあっては特に、その医師に適切に動ける環境を与えてあげなくてはなりません。新型インフルエンザ感染者だからといって軽症患者に大きく手を割いて、別の疾患の重症患者に十分な治療が施せないというのはなんとも不合理です。

 「日本は古来病原体からのみ感染症を扱っていました。感染症法がその象徴です。しかし、同じ病原体でも患者によってアプローチは異なるのです。患者中心の医療とはそういうことなのです。「患者中心」とは、単なるスローガンではないのです。

 今回の「インフルエンザA」騒動は、新型のインフルエンザウイルスであったことから、「新型インフルエンザ対策行動計画」に従って、対策が実行され、「弱毒性」であることが判明してからも、通常のインフルエンザ対策に舵を切るということがすぐには行われませんでした。この行動計画自体が持っている欠陥によるものでした。
 
 「我々日本の医療者も、すぐに病原体探し、まずは検査という病原体中心の医療を行ってきました。それを真摯に反省しなくてはなりません。行政だけがけしからん、と主張したいのではないのです。しかし、この危機を乗り越えるとき、指定感染症の規制が現場を苦しめていることもまた事実です。検査、治療、入院/外来サービスの提供は患者の状態から決定されるべきです。病原体だけがそれを規定してはいけません。臨床現場とはもっと柔軟でしなやかなものです。

 製品もサービスも「初期故障」を避けることができません。実際に動かしてみて、運用してみて、「バグ」を取り除かなければなりません。森澤感染制御部長は「一日も早く感染症法上の『新型インフルエンザ』の類型指定から外して季節性と同じ扱いにし、サーベイランスを強化して社会的なインパクトを見極め、行動計画を新しく作っていくことが必要」と指摘し、森兼国立感染症研究所主任研究官は、「(機内検疫は)国内で広がっている中では意味がない。神戸では医療従事者が寝ずに働いており、医療現場に医師を戻すべきだ」と指摘しています。

 5月28日の参院予算委員会で、新型インフルエンザ対策などに関する集中審議が行われました。参考人として国立感染症研究所・感染症情報センターの森兼啓太主任研究官と、羽田空港で検疫に当たっている木村盛世・厚生労働医系技官が招致され、当初の対策が「検疫偏重」だったとの批判に対する見解を示しました。

 2009年5月28日配信の医療介護CBニュースの記事からです。

 森兼主任研究官は「検疫は、有症状者を見つけることに関しては当然ながら有効」とする一方、「それに要する人手と、お金、時間、手間、そういったところのバランスというところではないか」とした。実際の対応については、成田空港の「水際対策」で日本最初の感染者が4人確認された際に、「皆さん、わたしも含めてそちらの方に目が向いてしまって、国内の態勢がワンテンポ遅れた」と指摘。「これは大きな教訓として、第2波以降に備えるべきだと思う。国内の対策も水際対策も、両方とも大事」と強調した。
 検疫縮小のタイミングについては、「国内例が見つかって最初(の16日)から48時間ぐらいで150人ぐらいの患者が検知された。国内でも既に流行しているということが分かった。この時点で国内の検疫体制を速やかに縮小すべきだったと思う」と述べた。これに関しては、19日に舛添要一厚労相に機内検疫をやめて有症状者のスクリーニングに切り替えるよう提言したといい、3日後の22日に対処方針を改めて機内検疫を中止したことについて、「こういったスピード感を持った対策は非常に良かった」と評価した。


 米国ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)公衆衛生大学院疫学部修士課程を修了し、優れた研究者に贈られる、ジョンズ・ホプキンス大学デルタ・オメガ・スカラーシップ(The Delta Omega Scholarship Endowment was established by members of the Alpha Chapter of the Delta Omega Honorary Public Health Society to promote outstanding scholarship and research by providing support to individual students whose research proposals demonstrate merit.)を受賞した(Awardees)経歴のある厚生労働医系技官の「木村 盛世」氏には、「厚生労働省崩壊」(講談社、2009年03月30日刊)という著書があります。その中で次のように述べています。



 「厚労省の医系技官を目指す医師は、病院で患者を診ることはしません。ですから、おのずとその役割が、一般の臨床医とは違います。医系技官の役割は個々の患者の健康状態を考えるのではなく、国民全体という大きな医療・健康問題を扱うことにあります。この意識を持たない限りは医系技官が厚労省にいる必要はないと思ってます。しかし、内部は私が思い描いているものとは大きく異なっていました。 実際の内情は、そうした意識を持っている医系技官はほとんどいません。通常の事務官と同じか、多少医学知識のある事務官といった程度のものです。医学部を卒業したのですから、体の仕組みや、病気についての知識はあります。しかし、新しい病気や最先端の治療方法などは日進月歩ですから、現場で患者を診ている医師に及ぶはずもありません。インターネットや口コミで病気や人体についての情報に接している一般の人たちの知識レベルよりも低いかもしれません。この現実は私に大きな驚きを与えました。 驚きは、それだけではありませんでした。医系技官の知識の少なさもさることながら、「国民の医療・健康問題を自分たちが担っている」という意識があまりにも薄いのです。それどころか、彼らの目的は自分たちの時代には問題が起こらず、平和に天下りしたいという自己防衛だけなのです。

 医療介護CBニュースの記事の続きです。

 一方、木村厚生労働医系技官は「現場としては(検疫態勢は)大して変わっていない。今もかなりの労力をかけて検疫を行っている最中。そういう意味では人的にもかなりの負担を強いられている状況」と説明。
 「検疫偏重」となった理由として、
・「毎日毎日、マスクを着けて検疫官が飛び回っている姿は、国民に対してアイキャッチ。パフォーマンス的な共感を呼ぶ。そういうことで利用されたのではないか」
・「検疫では国が主体となる検疫法に基づいて動くが、国内に入ると感染症法で、地方自治体の主導になる。感染症法という“国内お任せ”をある意味、想定外とした厚労省の考え方があったのではないか」
・「医系技官の中で、十分な議論がされないまま、十分な情報の見直し、収集がされないまま、このような検疫偏重が起こったのではないか」
の3点を挙げた。


 現状の打破を舛添要一厚生労働大臣に期待したいところです。この文脈では、能力に欠ける官僚ではなく、有能な専門家の意見を採り入れて、「新型インフルエンザ対策」を練り直す必要がありそうです。

              (この項 健人のパパ)

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 昨シーズン(2007~2008年)の後半から、ノイラミニダーゼ(neuraminidase、ウイルスなどの持つ酵素の1種で、細胞への侵入に重要な働きをする)蛋白の275番目のアミノ酸がヒスチジンからチロシン(H275Y)に置換していて、オセルタミビル(oseltamivir、「タミフル、Tamiflu」)に対して耐性を待っている(「タミフルが効かない」)A/H1N1亜型ウイルスが、世界各地で検出されることが非常に多くなっているようです。



 世界各国における「耐性株(oseltamivir-resistant influenza virus)」の発生頻度は、2007年後半~2008年3月期には16%だったものが、2008年4月~9月期は44%になり、2008年10月~12月期は92%となって、耐性株が急速に世界中に広がっているのだそうです。

 今シーズン(2008~2009年)の流行の主流は、A/H1N1ウイルスで、「タミフル」耐性のA/H1N1亜型(ソ連型)インフルエンザウイルス(昨シーズンは耐性がなかった)が全国的に蔓延していたようです。「迅速診断キット」でA型インフルエンザと診断された患者の60~70%はタミフル耐性のA/H1N1ウイルスに感染していたそうです。

 2008年第36週以降、2009年5月13日までに、日本でのインフルエンザウイルスの検出はAH1(Aソ連)型3,341件、AH3(A香港)型1,555件、B型1,545件が報告されています。

 2009年5月20日に「国立感染症研究所感染症情報センター」は「2009年5月19日現在の神戸市における新型インフルエンザの臨床像(暫定報告)」という報告を出しています。これは、神戸市内において確定例となり、入院あるいは外来にて把握された43例についての分析です。

 治療として、43例中39例が抗インフルエンザウイルス薬の投薬を受けていた。投与の内訳は、タミフルが19例、リレンザ吸入が20例であった。投与された者の年齢分布は、9歳以下の1例はタミフル内服を実施し、10歳代の36例のうち、タミフル内服が13例(36.1%)、リレンザ吸入が20例(55.6%)、非投与が3例(8.3%)であった。20歳以上の6例のうち、5例に対してタミフルが投与されていた。

 今回の「インフルエンザA(いわゆる「新型インフルエンザ」)」は抗インフルエンザウイルス薬が有効のようです。季節性のインフルエンザの一部が「耐性」を持つようになったことから、抗インフルエンザウイルス薬である「タミフル」の有効性に疑問符が付き始めています。「タミフル」の効く「インフルエンザA」と「タミフル」の効かない「オセルタミビル耐性Aソ連型インフルエンザ」のどちらを恐れるべきなのでしょうか。

 2009年5月11日配信の共同通信の記事からです。

 新型インフルエンザの感染が拡大している米国で、わざと感染して免疫をつけようという「感染パーティー」が話題になり、米保健当局が20日までに「本人と周りの子供らを危険にさらす」と警告する事態になった。
 専門家によると、こうした方法は感染第2波に対する免疫がつく確証がない上、個人の健康状態によっては重症化したり、家族や同僚に感染を広げたりする恐れがあるという。
 ニューヨーク・タイムズ紙などによると、この種のパーティーは近所で水疱瘡(chicken pox)などに感染した子供が出た際、ワクチン接種を嫌う親が子供に免疫をつけさせるためにわざと感染させる集会で「チキンポックス・パーティー(chicken pox party)」などと呼ばれる。
 疾病対策センター(CDC)のベッサー所長代行は「大きな間違い。(全体の傾向と)個人への影響は別だ」と述べ、危険なパーティーを試さないよう呼び掛けている。


 今回の「インフルエンザA」は、秋に予想される「感染第2波」では、「タミフル」に耐性を持って戻ってくるのでしょうか。私たちは、感染しない、感染しても重症化させない健康な身体を維持し、特に「ハイリスク群」に感染させないために「咳エチケット」などを身に付けておく必要があります。

 その有効性に多少の疑問があっても、待ち望むのは免疫を獲得するための「ワクチン」です。インフルエンザワクチン製造株は、「厚生労働省健康局」の依頼に応じて「国立感染症研究所」が検討し、これに基づいて厚生労働省が決定・通達しているのだそうです。

 国立感染症研究所では、 「全国74カ所の地方衛生研究所と国立感染症研究所、 厚生労働省結核感染症課を結ぶ感染症発生動向調査事業により得られた流行状況、 および1万株に及ぶ分離ウイルスについての抗原性や遺伝子解析の成績、 感染症流行予測事業による住民の抗体保有状況調査の成績などに基づいて、 前年度の11~12月に次年度シーズンの予備的流行予測を行い、 これに対するいくつかのワクチン候補株を選択する」のだそうです。

 次のような通達の中に、例えば「A/メキシコ/38/2009」などという文言が現れるのでしょうか。

<速報> 平成20年度インフルエンザHAワクチン製造株の決定について(通知)

                                                    薬食発第0617007号
                                                      平成20年6月17日
国立感染症研究所長殿

                                                    厚生労働省医薬食品局長

生物学的製剤基準(平成16年3月30日厚生労働省告示第155号)の規定にかかる平成20年度のインフルエンザHA
ワクチン製造株について、下記のとおり決定したので通知する。

                              記
 A型株
  A/ブリスベン/59/2007(H1N1) 
  A/ウルグアイ/716/2007(H3N2)
 B型株
  B/フロリダ/4/2006


 国立感染症研究所の出した文書の中に次のような1節があります。 「今シーズンのワクチンに含まれるA/H1N1抗原(A/ブリスベン/59/2007)は耐性株に対しても有効に働くことが期待できるので、インフルエンザ罹患時に重症化や入院などのリスクが予想される場合には、今からでもワクチン接種が推奨される。」 「インフルエンザA」ワクチンの製造開始のニュースを心待ちにする最近です。

               (この項 健人のパパ)

2009-2010
・ A/ブリスベン/59/2007(H1N1) 
・ A/ウルグアイ/716/2007(H3N2)
・ B/ブリスベン/60/2008

2008-2009
・ A/ブリスベン/59/2007(H1N1)
・ A/ウルグアイ/716/2007(H3N2)
・ B/フロリダ/4/2006

2007-2008
・ A/ソロモン諸島/3/2006(H1N1)
・ A/広島/52/2005(H3N2)
・ B/マレーシア/2506/2004

2006-2007
・ A/ニューカレドニア/20/99(H1N1)
・ A/広島/52/2005(H3N2)
・ B/マレーシア/2506/2004

2005-2006
・ A/ニューカレドニア/20/99(H1N1)
・ A/ニューヨーク/55/2004(H3N2)
・ B/上海/ 361/2002

2004-2005
・ A/ニューカレドニア/20/99(H1N1)
・ A/ワイオミング/3/2003 (H3N2)
・ B/上海/361/2002

2003-2004
・ A/ニューカレドニア/20/99(H1N1)
・ A/パナマ/2007/99(H3N2)
・ B/山東/7/97

2002-2003
・ A/ニューカレドニア/20/99(H1N1)
・ A/パナマ/2007/99(H3N2)
・ B/山東/7/97

2001-2002
・ A/ニューカレドニア/20/99(H1N1)
・ A/パナマ/2007/99(H3N2)
・ B/ヨハネスバーグ/5/99

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 2009年5月20日に「国立感染症研究所感染症情報センター(IDSC、Infectious Disease Surveillance Center)」は「2009年5月19日現在の神戸市における新型インフルエンザの臨床像(暫定報告)」という報告を出しています。これは、神戸市内において確定例となり、入院あるいは外来にて把握された43例についての分析です。

 患者は43例で、年齢中央値は17歳(5~44歳)で、殆どが10代後半の若者であった。…。基礎疾患についての情報を得られた者が38例あった。呼吸器疾患として慢性気管支喘息を挙げた者が6例あった(15.8%)。

 気管支喘息は、下気道である気管支にアレルギーが関係した炎症があるために、痙攣を起こして狭くなり、喘鳴(ぜいめい、呼吸の際にゼーゼー、ヒューヒューなどという雑音を呈するもの)や咳が出て苦しくなる発作を起こす病気で、日本人の罹患率は3~5%と言われています。これによって、「報告」の罹患者の割合と比較すると、インフルエンザAの患者に占める気管支喘息のある者は3~5倍ほどになります。気管支喘息などの「慢性肺疾患」を持った者は、インフルエンザに感染すると、重症化や合併症を引き起こす可能性の高いグループ(「ハイリスク群」)に属していますから、有意な数字と言えます。

 ただ、これはハイリスク群がインフルエンザに感染すると、症状を現しやすいので、捕捉されるのが多いのかも知れません。非ハイリスク群は、インフルエンザに感染しても症状が顕在化しない(発熱が38℃に達しない、咳の程度が軽い、など)可能性もあります。

 インフルエンザワクチン接種歴と冬のインフルエンザ罹患歴との関係を見た。昨シーズン(2008-2009年)前の季節性インフルエンザワクチンの接種歴については、情報の得られた42例中22例(52.4%)においてワクチン接種歴が認められた。また、2008-2009年冬季のインフルエンザ罹患歴については、情報の得られた40例中3例(7.5%)が、インフルエンザに罹患したと患者本人が答えた。

 これは意外な数字です。毎年のワクチン需要は1000万~1200万本程度で、単純計算で日本の総人口の10%を切ります。インフルエンザワクチンの接種率は10%に満たないのです。ハイリスク群に属する「65歳以上の高齢者」の接種率は25%強だと言いますから、患者43例の年齢中央値が17歳であることから、この人たちの接種率は、10%を大きく切るはずです。ところが、接種率は50%強。

 ここから読み取れることは、従来の季節性のインフルエンザのワクチンは今回の「インフルエンザA」(「新型インフルエンザ」と報道されている)には免疫効果がないということ。驚くべきことを主張する人たちがいます。非ハイリスク群の人たちはインフルエンザワクチンを接種しない方がよいと主張するのです。それはA型のある特定の型のワクチンの接種を受けた人たちは、その特定の型に対しては免疫力を1年間ほど獲得する(その期間を過ぎてしまえば、再度感染発症する可能性がある)が、自然感染した人たちは、その特定の型に対して30年以上の免疫力を獲得すると言うのです。
 
 さらに自然感染によって獲得した免疫力は、守備範囲が広いのだと言います。ワクチンによって獲得した免疫力は、持続期間が短く、さらに完全に同一の型にしかその力を発揮しないのに比べて、自然感染によって獲得した免疫力は、多少の型の違いにもその力を発揮するのではないかと考えているのです。

 これに従えば、今回の「インフルエンザA」に感染した人たちは不幸な出来事ではあったけれど、このウイルスに対しては長期にわたる免疫力を獲得したことになります。しかし、私たちはインフルエンザAのワクチンが開発されて接種が受けられるようになっても、同じ型が流行する(変異がない)場合は毎年同じワクチン接種を受け続けなくてはなりません。

 分母が43例と少ないので、データとしては有意ではないのかも知れませんが、今シーズンのインフルエンザに罹患していた人たちが7.5%います。インフルエンザに罹患する人たちは、毎年8%前後だと言われています。これが正確な数字だと考えると、自然感染による免疫力は守備範囲が広いという説は説得力を持ちません。

 ワクチン接種の有効率が報告されています。集団を「ワクチン接種者でインフルエンザに罹患(りかん)した者」、「ワクチン接種者で罹患しなかった者」、「ワクチンを接種しなかった者で罹患した者」、「ワクチンを接種しなかった者で罹患しなかった者」の4つに分類し、「接種群罹患率」と「非接種群罹患率」を求めます。そして、1から、分母を「非接種群罹患率」、分子を「接種群罹患率」とした分数を引いて求めるもの(パーセントで表す)です。接種群罹患率が0%だと、有効率は100%になり、接種群罹患率が非接種群罹患率と変わらなければ、有効率は0%になります。



 それで見ると、インフルエンザワクチンの最近(2004年シーズン)の有効率は25%ほど。微妙な数字です。これはワクチンの接種を受けても、例えば100人に4人感染するインフルエンザを100人に3人の感染にしか減らすことができないことを意味しています。インフルエンザワクチンを接種したシーズンの罹患率を下げることがわずかにできるとしても、自然感染した場合と異なり、次の流行に対する免疫力を獲得することは難しいのです。

 患者の大半は入院を要する臨床状況ではなかった。5月19日現在、人工換気を行う対象者は無く、また、死亡例も発生していない。臨床的な観点から大半は直ぐに退院となり、自宅における健康観察を行う対象となっている。5月19日現在、長期的な予後については不明だが、現時点までの状況では、季節性のインフルエンザと臨床像において類似しており、全例を入院させる医学的必要性はないことが示唆される。

 感染しても重症化させない、また他人に感染を広げない、という態勢を取れるのであれば、「インフルエンザA」に感染することを恐れる必要はないのかも知れません。通常の季節性のインフルエンザもハイリスク群の人たちに感染させないようにするために、どうぞ、咳やくしゃみの出る人たちはマスクをかけて下さい。あなた方がマスクをかけてくれれば、私たちはマスクをかけて外出する必要はないのですよ。あなた方が咳をすれば、私たちはインフルエンザウイルスを被曝するのです。効果をあまり期待できないと言われていても、被曝量を減らすために、「強盗みたい」と思われてもマスクをせざるを得ないのです。

          (健人のパパ)

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 2009年5月22日配信の毎日新聞の記事からです。

 信用調査会社の帝国データバンクによると、関西国際空港などに店舗がある玩具小売りの「いせや」(大阪市北区)が大阪地裁に自己破産を申請し、21日に破産手続き開始決定を受けた。同社は関空、成田、大阪(伊丹)の3空港で玩具や雑貨などを販売する「トイピアいせや」を営業していたが、「新型インフルエンザの影響で売り上げを維持できなかった」と説明。

 経済状況がよくないときに売上の大幅減少は企業の倒産の引き金になります。持ちこたえる体力がないのです。このニュースはまさにそれにあたるのでしょう。関西国際空港、大阪国際空港、成田国際空港の3店舗に縮小して営業を続けていた「株式会社いせや(資本金8000万円、大阪府大阪市北区豊崎5-7-8)」は、2009年に入り、円高の影響などで海外からの来日客が減少、さらに4月に発生した新型インフルエンザ流行の影響から空港利用客が激減したことで、各店舗とも売上が維持できなかったようです。企業の倒産は従業員の生活の糧を奪うことになります。この経済状況では再就職も難しいでしょう。

 2009年5月21日配信の毎日新聞の記事からです。

 全国の観光旅館・ホテルでつくる国際観光旅館連盟の近畿支部は21日、新型インフルエンザの発生で修学旅行などの宿泊キャンセルが近畿地区で20日までに延べ36万2200人に上り、被害額は43億円になるとの推計を発表した。このままでは売り上げ減少による資金繰り悪化で倒産が相次ぐ懸念があるとして、中小企業庁などに緊急融資を要請した。
 同支部によると、キャンセル数は京都府の16万8000人(うち修学旅行15万人)をはじめ、兵庫県7万7200人、大阪府1万8000人など。修学旅行の最盛期に当たるうえ、キャンセル料を受け取れない場合が多いため、経営への打撃が大きいという。西村肇支部長は21日、東京都内で会見し「国民の皆さんが過度に心配され、近畿への足が止まっている。地域経済も大変な状況だ」と窮状を訴えた。


 関西経済圏の京都、大阪、神戸などの観光産業に「インフルエンザA」が大打撃を与えようとしています。観光産業に打撃を与えるからと、京都などへの修学旅行を催行する学校が現れたとしても、万が一にも「インフルエンザ感染者」がでると定見のないマスコミに「感染者がいる地域になぜ行かせた」と攻撃されてしまいます。「君子危うしに近づかず」で、キャンセルをすれば無難だということになります。「集団ヒステリー」の状態では、どんな言い分も聞いてもらえません。

 2009年5月22日配信の時事通信の記事からです。

 二階俊博経済産業相は22日の閣議後会見で、新型インフルエンザの感染拡大に伴い経済的影響が出ていることを受け、日本政策金融公庫などの政府系金融機関と信用保証協会に対し、同日付で中小企業債務の返済条件緩和や新規融資に積極的に応じるよう要請したことを明らかにした。特別相談窓口も同日中に設置し、資金繰りなど経営上の相談を受け付けるよう指示した。
 要請先は、このほか商工中金と沖縄振興開発金融公庫。二階経産相は、新型インフルエンザの感染拡大について「修学旅行のキャンセルなどで、地方の旅行業者や商店街に売上減少などの影響が出ている」と指摘。影響を最小限に食い止めるよう努力する考えを強調した。


 このインフルエンザ騒動で守ろうとしているものは何なんでしょう。利益考量という視点を忘れて突っ走るのは日本人の特性?

          (この項 健人のパパ)

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 呼吸器は、鼻と口によって体外に通じている臓器です。そのために、呼吸をすることでウイルスや細菌などの病原微生物が侵入して、感染が起こりやすい。「呼吸器感染症」は、気道や肺に病原微生物が付着し、増殖して炎症をおこし、咳、痰、発熱などの症状を示す病気を総称します。

 鼻や口から吸い込んだ空気は、咽頭・喉頭を通って(ここまでを「上気道」という)気管に入り、さらにその先の細かく枝分かれした気管支・細気管支を通り(「下気道」)、肺胞に達します。

 上気道の感染症には、「普通感冒(風邪)」、「インフルエンザ」などがあります。上気道に炎症を起こすウイルスにはアデノウイルス、ライノウイルス、インフルエンザウイルスなど数多くあります。「インフルエンザウイルス」に感染したことを示す症状と「アデノウイルス」などそのほかのウイルスによる症状を比較してみましょう。



 インフルエンザ感染の特徴は、「高熱」を出すことです。2009年5月20日に「国立感染症研究所感染症情報センター(IDSC、Infectious Disease Surveillance Center)」は「2009年5月19日現在の神戸市における新型インフルエンザの臨床像(暫定報告)」という報告を出しています。その中から、いくつか情報を拾ってみましょう。

 43例の入院時の臨床像は以下のようなものである。約90%に38℃以上の高熱を認めた。60~80%の頻度で挙げられた症状は倦怠感、熱感、咳、咽頭痛であった。鼻汁・鼻閉、頭痛は約半数において認められた。嘔吐や下痢の消化器症状は約10%弱に、結膜炎は7%に認められた。

 このことから判断すると、今回の「インフルエンザA」は、(1)38℃以上の高熱、(2)からだのだるさ、(3)咳、(4)のどの痛み を特徴とするといっていいようです。鼻水、鼻づまり、頭痛は必ずしも伴わず、ごく稀に嘔吐や下痢をする場合もあるというところでしょうか。季節性のインフルエンザと症状に変わりがないですから、今回の「インフルエンザA」と「季節性のインフルエンザ」との識別は、ウイルスの遺伝子検査をしないと判明しないことになります。

 患者の大半は入院を要する臨床状況ではなかった。5月19日現在、人工換気を行う対象者は無く、また、死亡例も発生していない。臨床的な観点から大半は直ぐに退院となり、自宅における健康観察を行う対象となっている。5月19日現在、長期的な予後については不明だが、現時点までの状況では、季節性のインフルエンザと臨床像において類似しており、全例を入院させる医学的必要性はないことが示唆される。

 ここに疑問が生じます。マスコミを始め、「集団ヒステリー」の様相を示していますが、季節性のインフルエンザと大きく変わらないものに、多額の費用をかけ、地域経済に大きな打撃を与える行動をとる理由はどこにあるのでしょう。インフルエンザは「ハイリスク群」にとっては危険な疾患ではあります。しかし、ならば、「咳エチケット」などの啓蒙・普及活動は、いわゆる「新型インフルエンザ」に対してでなくてもあってよかったはずです。

 帰国して「インフルエンザA」を発病した学生たちの通学している学校に対するマスコミの反応を見ていると、「インフルエンザA」の被害者に対する視点というより、「インフルエンザA」を日本国内に持ち込んだ加害者という視点で捉えていることがみて取れます。

 「インフルエンザA」より恐ろしいものは、よく知らない(知らされない、知ろうとしない)ために「集団ヒステリー」にかかった人たちとそれを扇動する「マスコミ」なのかも知れません。

          (健人のパパ)

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 国立感染症研究所感染症情報センターが、2009年5月20日に「2009年5月19日現在の神戸市における新型インフルエンザの臨床像(暫定報告)」という報告書を出しています。

 患者の大半は入院を要する臨床状況ではなかった。5月19日現在、人工換気を行う対象者は無く、また、死亡例も発生していない。臨床的な観点から大半は直ぐに退院となり、自宅における健康観察を行う対象となっている。5月19日現在、長期的な予後については不明だが、現時点までの状況では、季節性のインフルエンザと臨床像において類似しており、全例を入院させる医学的必要性はないことが示唆される。

 この報告から読み取れることは、「新型インフルエンザ(豚由来インフルエンザA/H1N1)」は、「季節性のインフルエンザと臨床像において類似して」いて、その「毒性は弱い」ということです。「新型インフルエンザ」という言葉が新聞・テレビで踊っています。しかし、「新型インフルエンザ」は本来「強い毒性を持った」「鳥インフルエンザ」を想定していた言葉ではなかったでしょうか。今回のインフルエンザが「新型“new”」であることには間違いありませんが、言葉は使い古されることによってその「威力」を失っていきます。「警告“alert”」を与えるべきときに、その言葉に力がなくなってるとしたら、重大な結果を招きます。

 羊飼いの少年が、退屈なので、「狼が出た!」と嘘をついて騒ぐと、大人たちは騙されて武器を持って集まるが、狼はいない。これが面白く、少年は繰り返し嘘をつく。やがて、本当に狼が現れるが、その時は大人たちは信用せず、誰も助けには集まらなかった。そのため、彼が面倒を見ていた羊はすべて狼に食べられてしまう。イソップ寓話の『オオカミ少年(The Boy Who Cried Wolf、The Shepherd Boy and the Wolf)』のあらすじです。

 平成21年4月28日健感発0428003号厚生労働省健康局長通知の「新型インフルエンザに係る対応について」です。この決断は、当然正しかったと思われます。ウイルスの実態の解明を待っていては、後手に回ってしまいます。

 今般、メキシコや米国等において、豚インフルエンザ(H1N1)の感染が多数発生していましたが、本日、WHOにおいて、継続的に人から人への感染がみられる状態になったとして、インフルエンザのパンデミック警報レベルをフェーズ4に引き上げる宣言が行われました。
 こうした事態を受け、新型インフルエンザのまん延を防止するとともに、健康被害を最小限にとどめるため、今般メキシコや米国等で確認された豚インフルエンザ(H1N1)を、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条第7項に規定する新型インフルエンザ等感染症として位置づけたところです。
 また、我が国においては、内閣総理大臣を本部長とした新型インフルエンザ対策本部を設置し、「新型インフルエンザ対策行動計画」及び「新型インフルエンザ対策ガイドライン」(以下「行動計画等」という。)に基づいた万全の対策を、政府一丸となって講じていくこととなりました。


 世界保健機関(WHO)は、“Disease Outbreak News”(疾病発生報告)を出しています。それによると、今回のインフルエンザはまず“Influenza-like illness”(インフルエンザ様疾患)という表現で現れます。(2009年4月24日)

Influenza-like illness in the United States and Mexico(24 April 2009)
 The United States Government has reported seven confirmed human cases of Swine Influenza A/H1N1 in the USA (five in California and two in Texas) and nine suspect cases. All seven confirmed cases had mild Influenza-Like Illness (ILI), with only one requiring brief hospitalization. No deaths have been reported.


 次は、インフルエンザウイルスによる疾患であることが確認されると、その由来から“Swine influenza”(豚インフルエンザ)とい表現に変わります。(2009年4月25日)

Swine influenza - Statement by WHO Director-General, Dr Margaret Chan(25 April 2009)
 The current situation constitutes a public health emergency of international concern. However, more information is needed before a decision could be made concerning the appropriateness of the current alert level.


 このインフルエンザがA型のH1N1という遺伝子の型であることが確認されると、“influenza A/H1N1”(インフルエンザA/H1N1)という表現になっていきます。(2009年4月29日)

Influenza A(H1N1) - update 5(29 April 2009)
 The situation continues to evolve rapidly. As of 18:00 GMT, 29 April 2009, nine countries have officially reported 148 cases of swine influenza A/H1N1 infection. The United States Government has reported 91 laboratory confirmed human cases, with one death. Mexico has reported 26 confirmed human cases of infection including seven deaths.


 やがて、今回のインフルエンザが毒性の弱いものであることが判明してきますから、この時点で少なくとも「新型インフルエンザ」という表現を止めて、「インフルエンザA」という表現や「Aメキシコ型」という表現に変えるべきだったと思われます。「新型インフルエンザ」という表現が磨耗しないうちにいまからでも厚生労働省が率先して使用を止めるべきでしょう。

 インフルエンザウイルスは、変異します。次の報告は「2009年5月19日現在の神戸市における新型インフルエンザの臨床像(暫定報告)」からですが、今回の「インフルエンザA」の稀に現れる「入院を必要とする」症例を知る上で、重要と思われます。

 1例のみ、入院を継続することが合理的であると考えられた患者があった。その患者の状況について症例報告として以下に述べる。

症例: 20歳代の女性。5月16日夕方より頻回の下痢38℃台の発熱出現、咳(-)、鼻水(-)、咽頭痛(-)、頭痛(+)、下腹部痛(++)、関節痛(+)、悪心(-)、全身倦怠感(+)、にて入院となる。現症として咽頭は軽度発赤しており、下腹部に圧痛がある以外には著変を認めない。この日の検査データとしては、末梢血で白血球 5100/mm3、血小板 17.0 x 104/μl、CRP 9.2mg/dl、咽頭拭い液あるいは鼻汁にて行われたインフルエンザ迅速検査A(-)B(-)、RT-PCRにてインフルエンザA(H1N1swine)陽性であった。タミフル、ブスコパンを処方され、輸液が行われた。5月19日現在、依然入院中だが、臨床症状は徐々に改善している。腹痛の原因については精査中である。


※ 「現症」とは、患者の現在示している状態、特に症状。
※ 「著変」とは、著しい症状の変化
※ 「輸液」とは、栄養や水分などを点滴することによって補充すること。例えば、下痢などによって、体の中から水分やナトリウム・カリウムなどの電解質が失われた(脱水)状態の時に行われる(「電解質輸液」)。何らかの理由で口から食事や水分が摂れない時も行われる(「栄養輸液」)。
※ 「RT-PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction、Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)法」は、RNAしかもっていないウイルスの感染を証明する場合に用いられる。RNAを鋳型に逆転写を行い、生成されたcDNA(complementary DNA、相補的DNA)に対してPCR(ポリメラーゼ連鎖反応、DNAを増幅するための手法)を行う。

          (この項 健人のパパ)

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 2009年5月17日配信の読売新聞の記事からです。

 「通常のインフルエンザの対応に舵を切ってもらわないと、大阪の都市機能がマヒしてしまいます。

 17日午前11時前。大阪府の橋下徹知事は舛添厚生労働相に電話し、強毒性の鳥インフルエンザを想定した国の行動計画を弱毒性に見直すよう要請した。

 世界保健機関(WHO)が定めた警戒レベル(「フェーズ」)は、新型ウイルスの「毒性の強弱」という視点が抜け落ちたものだったようです。そして、それに準拠するように定められた日本の「新型インフルエンザ対策行動計画」も同じ欠点を持っていたようです。「毒性の強さ」と「経済に対する影響度」を考量する必要があります。

 この「対策行動計画」は、新型インフルエンザ対策を迅速かつ確実に講じるため、「WHO Global Influenza Preparedness Plan(WHO世界インフルエンザ事前対策計画)」に準じて、2005年12月に策定され、幾度かの改定を経ています。2009年2月17日に「新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関する関係省庁対策会議」が開催され、「新型インフルエンザ対策行動計画」が改定されました。

 (大阪)府はこの日、国の計画に基づき、同府茨木、豊中、吹田3市内の高齢者施設や、集客施設に営業自粛を求めたが、長期化すれば経済活動への打撃は避けられない。橋下知事は生命のリスクが非常に高いなら民間の営業を止めないといけないが、今回はそういうレベルじゃないのでは。」と疑問を投げかける。

 橋下知事は政府の方針に従わなければならない行政の長として、本音を吐露しています。通常の流行性インフルエンザとその毒性に大きな違いがないことがわかったウイルスに対してここまでの対応をしなければならないのかと。経済活動が萎縮し、行政の負担は増大しています。

 2009年5月18日配信の産経新聞の記事からです。

 16日に(新型インフルエンザへの感染が)確認された8人には、行動をさかのぼった調査が終了し、家族など計161人の濃厚接触者を把握した。感染拡大防止のため、感染者に最後に会ってから数えて7日間の自宅待機を要請。その間、保健所から電話を入れ健康観察をする。

 新型インフルエンザ感染者8人に対して、「濃厚接触者」が161人出ています。1人に対して、20人という計算になります。感染者はまだ増え続け、100人を超すことはほぼ間違いないといえます。単純に計算して、それに対する濃厚接触者は2,000人を超えるということになるでしょう。ある地域で2,000人という数の人たちが7日間、外との接触を絶つのですから、延べ14,000人が地域から消えるわけです。 

 今回の感染爆発が高校生を中心に起こったので、まだ経済に対するインパクトは小さいと言えますが、工場の従業員にこの感染が起こったとすると、製造ラインが7日間ストップするという可能性も十分にありえます。感染者1人に20人の濃厚接触者という計算で行くと、操業を維持することは難しい。

 経済状況がすぐれないときに、7日間の操業停止はその企業の死活問題です。倒産の可能性もあります。それで守りえたものは何でしょう。感染の拡大をやや防ぎえたに過ぎません。感染の拡大はそれでも続いてしまうのです。倒産に対する政府の補償などはありません。

 大阪府や兵庫県に新型インフルエンザの蔓延の条件が揃っていたと考えることは難しい。ということは、どこの都府県にも起こりえる事態だと言えます。この新型インフルエンザの第2波の大流行は、季節性インフルエンザの流行期の12月から3月にかけてやってくることでしょう。そのときのインパクトに備えて、「適切」に対処する方策をもう考えるべきです。

 私たちは経済活動をすることで生活の糧を得ているのです。「毒性の強さ」と「経済に対する影響度」を考量する必要はあるのです。弱毒性のこの「新型インフルエンザ」に過剰に反応することは、強毒性の鳥インフルエンザが襲ってくる際の「初動」に大きな障害になりそうです。本当の「狼」が来たときに、「狼少年」の言葉は信用を失っています。「狼」を自分の目で確認するまでは、誰も動こうとはしないでしょう。

          (この項 健人のパパ)

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 アメリカ合衆国ジョージア州アトランタ(1600 Clifton Rd. Atlanta, GA 30333, USA)に「疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)というアメリカ合衆国保健社会福祉省(United States Department of Health and Human Services)所管の感染症対策の総合研究所があります。

 そこが次のような文章をホームページに掲載しています。

Stop the Spread of Germs that Make You and Others Sick!
 (人々を病気にする細菌の広がりを防いでください!)
Serious respiratory illnesses like influenza, respiratory syncytial virus (RSV), whooping cough, and severe acute respiratory syndrome (SARS) are spread by:
・Coughing or sneezing
・Unclean hands

 (インフルエンザ、RSウイルス感染症、百日咳、重症急性呼吸器症候群(SARS)のような重い呼吸器疾患は、
 ・咳またはくしゃみ、
 ・汚れた手
 で広がっていきます。)
To help stop the spread of germs,
・Cover your mouth and nose with a tissue when you cough or sneeze.
・If you don't have a tissue, cough or sneeze into your upper sleeve, not your hands.
・Put your used tissue in the waste basket.

 (細菌の広がりの防止に役立つには、
 ・咳やくしゃみをするときは、ティッシュで口と鼻を覆ってください。
 ・ティッシュがなかったら、上腕で覆ってしてください。手で覆ってはいけません。
 ・使ったティッシュはゴミ箱に捨ててください。)
Clean your hands after coughing or sneezing
・Wash with soap and water.
  or
・Clean with alcohol-based hand cleaner.

 (咳やくしゃみをした後は、手を洗ってください。
 ・石鹸と水洗ってください。
  または
 ・アルコールを主成分とする洗浄液できれいにしてください。)
Note: You may be asked to put on a surgical mask to protect others.
 (注:他の人に感染させないためにマスクをするようにお願いされることもあります。)

 日本の厚生労働省も感染症対策として次のような文章をホームページに掲載しています。

「咳エチケット」
○咳・くしゃみが出たら、他の人にうつさないためにマスクを着用しましょう。マスクをもっていない場合は、ティッシュなどで口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむけて1m以上離れましょう。
○鼻汁・痰などを含んだティッシュはすぐにゴミ箱に捨てましょう。
○咳をしている人にマスクの着用をお願いしましょう。
※咳エチケット用のマスクは、薬局やコンビニエンスストア等で市販されている不織布(ふしょくふ)製マスクの使用が推奨されます。N95マスク等のより密閉性の高いマスクは適していません。
※一方、マスクを着用しているからといって、ウイルスの吸入を完全に予防できるわけではありません。
※マスクの装着は説明書をよく読んで、正しく着用しましょう




 私たち家族は普段から人込みに出るときには、マスクを着用しています。妻は以前から「声」を守るためマスクをするのが習慣でした。私は最初、周囲から奇異の目で見られるのを嫌ってマスクをしていませんでしたが、「花粉症」を発症してからは、必要に駆られて(花粉症の時期に先立ってマスクをしていると症状が軽くて済む)マスクを日常するようになって抵抗感が薄れました。花粉症の時期になるとマスクをする人が以前と比べて非常に多くなって、花粉症は憂鬱ですが、マスクをすることの憂鬱はありません。

 電車に乗ると、マスクもせず、咳やくしゃみをする人をよく見かけます。こういう人たちに「咳エチケット」を理解してもらいたいものです。ウイルスの感染拡大に手を貸しているのです。妻は、「咳エチケット」が身についていないからウイルスに感染しやすいし、また、人にも感染させるのだと言います。健康な人にとって、適切な治療を受けるならば、現状でのインフルエンザは怖い病気ではありません。しかし、「ハイリスク群」の人たちには死に至る「大きな脅威」なのです。厚生労働省のホームページにある次のグラフを見てください。インフルエンザによる死亡者の大きな割合を65歳以上の人が占めているのを見てとれるでしょう。



(参考)新型インフルエンザ」と「ハイリスク群」と暑さに弱いウイルス

 日本でも高校生を中心にインフルエンザA(新型インフルエンザ)の「感染爆発」が起こっています。あなたの身を守るのが第一義ですが、高齢者などの「ハイリスク群」の人たちを守るためにもマスクをしましょう。

 2009年5月16日配信の時事通信の記事からです。

 国土交通省は16日、国内で初の新型インフルエンザ感染が確認されたのを受け、鉄道、バス、船舶、航空の公共交通機関と旅行業界に対し、マスク着用やせきをする際のエチケットを呼び掛けるポスターの掲示やアナウンスを実施するよう要請した。さらに、事業継続による輸送力の確保、各社の職場での感染拡大防止なども求めている。

               (この項 健人のパパ)

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 2009年5月12日配信の産経新聞の記事から今後の「インフルエンザA(新型インフルエンザ)」の動向を読み取って見ましょう。

 タイのウィタヤ保健相は5月12日、バンコクで会見し、同国で初めて2人の新型インフルエンザ感染者を確認したと発表した。いずれも今月初旬にメキシコから帰国したタイ人。性別や搭乗便など詳細は明らかにしなかった。東南アジアでの感染確認は初めて。
 保健相によると、2人は抗ウイルス薬の投与など治療を受け既に退院しており、2次感染の心配はないという。濃厚接触者も隔離され検査を受けたが、感染は確認されなかった。タイ政府は検体を米疾病対策センター(CDC)に送り、検査を進めていた。


 Thailand on Tuesday confirmed its first two cases of Influenza 2009 in patients who had returned from Mexico. The country becomes the 31st country that was hit by the virus so far. Public Health Minister Witthaya Kaewparadai said tests carried out by the Centers for Disease Control and Prevention in the United States had confirmed the A(H1N1) virus in samples from the two Thai nationals. "There are two confirmed cases of A(H1N1), both of them contracted from Mexico," he said. Prime Minister Abhisit Vejjajiva had earlier announced the first case, saying that the patient had "fully recovered and has returned home". "The US CDC has confirmed that the sample we sent is swine flu," he said. (“THE NATION”)




 タイでメキシコからの帰国者が今月になって増えたとは通常考えられないので、確率論から、すでに検疫をすり抜けてインフルエンザAのウィルスはタイ国内に入っていると考えていいのかも知れません。“Health officials set up thermal scans in Chiang Mai International Airport to prevent spreading of Influenza A(H1N1). The scans focused on visitors from a group of countries including Mexico, UK, USA, Spain and Canada.”(チェンマイの国際空港に、体温を測定するサーモグラフィーがようやく設置されました。)(“THE NATION”、2009年5月15日)などという記事を読むと、タイの検疫体制は不十分だったことが読み取れます。

 タイでは最近、インフルエンザAの感染疑い例が幾つか報告されています。
“A hospital in Chiang Mai has quarantined a nine-year-old boy who developed a high fever after visiting Japan and sent his sample to test for Influenza A(H1N1), Chiang Mai health doctor Dr Wattana Kanchanakamol said Friday. The boy, his twin brother and mother went to Japan recently. All of them had high fever after they returned to Thailand.”(日本から帰国してすぐに発熱したチェンマイの9歳の男の子が隔離されて、ウイルスの遺伝子検査を受けています。)
“A boy in Phitsanulok is quarantined after having high fever. He also said result of a test on a boy who just came from an undisclosed foreign country under an exchange programme will come out on Friday. The boy is now quarantined in Puthachinarat Hospital, the doctor said.”(バンコクからおよそ500Km、バンコクとチェンマイの中間に位置するタイ北部のピサヌロークの少年が高熱を出したので隔離されています。外国から帰国したばかりだったと言います。インフルエンザAに感染した日本の高校生と同様のケースです。感染の有無は金曜日(5月15日)に判明するようです。) “Result of a lab test on a former university lecturer who developed a high fever following a European trip will come out on Thursday afternoon. Dr Sitthichai Rung-in of Phranakhorn Si Ayuddhaya Hospital said the patient who is now quarantined looked relaxed and under monitoring via closed-circuit system. "His condition is now better but still has fever. We allow him to telephone his family," he said. The result of the lab test will come out within 4pm, the doctor said. The patient, a former Rajabhat University lecturer, went to Italy, France, Switzerland, Belgium and Egypt from May 1 to 10. He was admitted to the hospital on late Wednesday night and quarantined him for monitoring after he developed a high fever.”(アユタヤの元大学講師の女性は、5月1日から10日にかけて、イタリア、フランス、スイス、ベルギー、エジプトを旅行して、帰国後発熱。隔離されて、検査を受けますが、インフルエンザAではなく、B型インフルエンザの感染だったことが確認されました(5月14日)。)

 2009年5月13日配信の毎日新聞の記事からです。

 世界保健機関(WHO)で新型インフルエンザ対策を担当する進藤奈邦子医務官は5月12日、記者団に「水際対策だけでは食い止められない。もう(ウイルスが国内に)入ってきていると思って行動しなければならない」と述べた。進藤氏は、日中などアジア各国が水際対策に力を入れている理由として、「新型肺炎(SARS)やH5N1型高病原性鳥インフルエンザ流行の経験が背景にあるのだろう」との見方を示した。進藤氏は「症例数の集計は、もはや正確に感染状況を反映しているわけではない」と述べた。

 インフルエンザに感染しない、または感染しても重症化しないためには、ウイルスに接触する機会を減らすこと(飛沫感染を防ぐために人込みでは適切にマスクをする、接触感染を防ぐために手洗いを適切にする)と健康に留意して体力を維持しておくこと以外には、やはり「ワクチン」の接種しかないでしょう。インフルエンザAのワクチンの供給が待たれるところです。

 2009年5月12日の産経新聞の記事からです。

 「かつて(インフルエンザワクチンの)メーカーは7団体ほどあったが、数十年前にはワクチンの予防接種による副作用被害が相次ぎ、国の過失を認めて損害賠償を命じる司法判断が出されたこともあり、平成6年から予防接種が「義務」から任意の接種に変更。メーカー関係者によると、ワクチン需要は10分の1以下に減少し、大手メーカーなどが製造から撤退したという。このため、需要が増えたからといって簡単に増産することはできない状況になっている。

 「新型インフルエンザワクチン製造用のウイルスが国側から届けば、1か月ほどかけて大量生産用に増殖する必要があるため、ワクチン製造(の開始)は最短でも7月初めごろと見込んでいる。ワクチンメーカーは阪大微生物病研究会の観音寺研究所を含め現在、国内に4団体しかなく、新型と季節性の製造にフル稼働の状態で対応する構えだ。

 「観音寺研究所の奥野良信所長は「初めてのワクチンだけに、動物を使って慎重に試験をするなど、しっかりしたものを作らないといけない。ただ、そうなると供給に時間がかかるかもしれず悩ましい」と話す。現場の困惑に対して厚労省インフルエンザ対策事務局は「季節性への影響も看過できず、製造割合は最も難しい問題。メーカーの製造能力も決まっているので、季節性を抑えた分を新型に回すことになるだろう。流行に間に合うよう10月には供給できる」との見方を示すものの、こうした方針は正式にはメーカー側に伝わっていない。新型ワクチンの効果を検証する動物試験について厚労省担当者は「メーカーの製造後に行うのかなどは次のステップで検討する」と話した。

 ワクチン製造がなかなか開始されないのは悩ましいところです。「株(strain)」を誤れば、流行するインフルエンザに対する有効性が保証されませんから、技術的にも難しい判断を迫られます。次の記事は費用も日数もかけて製造したワクチンが効かないという可能性を示唆しています。

 2009年5月14日配信の産経新聞の記事からです。

 メキシコのコルドバ保健相は13日、同国内で広まったウイルスに2つのタイプが存在する可能性を指摘した。ウイルスが変異した可能性があり、ワクチン製造にも影響を与えかねない。

 5月16日配信の時事通信の記事からです。

 厚生労働省は16日未明、海外渡航歴のない神戸市の男子高校生が新型インフルエンザに感染している疑いがあると発表した。同市の環境保健研究所の遺伝子検査(PCR)で陽性とみられる反応が出た。国立感染症研究所に検体を運び、最終検査する。同日午後にも結果が判明する見通し。

 再検査で陰性であることを強く望みます。インフルエンザAの日本国内への侵入が防ぎ得ないものとしても、それが遅ければ遅いほどよい。「時間稼ぎ」であっても国内の医療体制が充分に整うまで、なんとか出ないことを願っています。

 2009年5月8日配信の読売新聞の記事からです。

 新型インフルエンザの国内感染が懸念される中、冬季に流行する季節性インフルエンザの患者が4月下旬時点で、約17万人と例年をやや上回ることが国立感染症研究所の最新の統計で明らかになった。同研究所では、「この時期に発熱などの症状が出ても、季節性インフルエンザの可能性が十分あり、落ち着いて対応してほしい」としている。
 同研究所は、全国約5000の指定医療機関から毎週、インフルエンザの患者数について報告を受けている。先月20~26日(第17週)にインフルエンザにかかった患者数は計約1万6000人で、国内全体では、17万人に上ると推計している。
 季節性インフルエンザは例年、1~2月にA型が、2~3月にB型が流行する。通常は片方のタイプだけ流行することが多いが、今年はA、B型とも流行。現在もB型を中心に多くの患者がいると考えられる。
 このため昨年の同時期は推計3万人だったのが、今年はそれを大きく上回った。ただし、2007年は今年より多い26万人おり、この時期にインフルエンザ患者が多いことは決して珍しくはないという。同研究所感染症情報センターの安井良則・主任研究官は「インフルエンザの終息は例年、早くて5月の大型連休明けで、遅いと6~7月までかかることもある」と話す。


           (この項 健人のパパ)

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 就職が内定した記念なのか、上の息子「優也」はアジア、ヨーロッパ、ロシアを約2ヶ月かけて巡るという長期の旅に5月13日に出掛けて行きました。卒業に必要な単位は大学4年生を待たずに殆ど取ってしまったようで、気楽な身分なのだそうです。今頃は、バンコクの街を歩き回っていることでしょう。

 世界が「インフルエンザA(新型インフルエンザ)」に戦々恐々としている時期に何も出かけなくてはと思ったのですが、夫は特に旅行を止めるようには言わず、「ネットで読める各国の新聞は、それほどこのインフルエンザを大きな記事で扱ってはいないんだよ。“health”という項目にかろうじて載っているくらいかな。」と私の心配を斟酌しません。

 夫が買ってきた5月21日号の「週刊新潮」の記事です。

 米国の場合、「空港で特に変わったことは行われていません」 と、さるジャーナリスト。
「そもそも米国では、新型インフルについてニュースの扱いもさほど大きくありません。米国の街中でマスクをつけているのも日本人くらいのもの。メキシコとは地続きの国なので〝防御したって限界がある″と、端から締めているのかも。」
 ヨーロッパはどうか。ロンドン在住のある邦人は、「5月に入ってドイツを訪ね、英国に戻ってきたのですが、両国の空港とも普段と変わった様子はなかった。目についたのは新型インフルに注意を促すポスター程度でしたね」と言うし、ヨーロッパで最多の感染者が見つかっているスペインも、マドリッドのバラハス国際空港に6カ所のインフォメーションデスクを設置、健康申告書への記入を入国者に求めているが、他にこれといった対策は講じていない。
 グローバルスタンダードに照らせば、日本は騒ぎすぎの部類に入るようなのだ。


 毎日、ネットでインフルエンザ関連のニュースを読み漁り、昔読んだインフルエンザ関連の本をダンボール箱から探し出して(書棚に入りきらないので、出版年の古い本は箱の中で寝ている)読み直し、ブログの記事を書いていた夫の言葉は意外なもの。

「あんなに寝る時間を割いて、インフルエンザのことを調べていたのに、冷たい反応ね。心配じゃないの?」
「知らずに恐れるより、知って恐れないことさ。」
「大丈夫ってこと?」
「リスクは小さいさ。ハイリスク群じゃないんだから、インフルエンザにかかっても数日入院するだけさ。」
「ペナンのあなたみたいに?」
「・・・」

(参考)「マレーシアへ」-ペナンで夫が急性胃腸炎で入院しました。

 2009年5月10日の読売調査の結果です。

 「日本国内で新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の感染者が初めて確認された前後にあたる8日午後から10日夜にかけ、読売新聞社が実施した全国世論調査(電話方式)によると、」「自分の周囲で感染者が出る不安を「感じている」は28%にとどまり、「感じていない」は70%だった。周囲で感染者が出る不安は、国内感染者が確認される前の8日では「感じている」19%、「感じていない」80%だった。確認後の9~10日は「感じている」は33%に増えたものの、「感じていない」64%が大きく上回った。ウイルスが弱毒性で発症者の大半が軽症と伝えられていることもあり、世論は新型インフルエンザを冷静に受け止めているようだ。


 今回の宿泊は、最初の数日間は「ホテルクラブ」で私の貯めた「メンバードル」を使いました。本人はいたって暢気で行き当たりばったりが好きなようですが(インド一人旅の経験があるからでしょう)、バンコクは私たちの方が何度も行っているので、「前もってホテルは押さえておいた方が観光に集中できるわよ。」という私の言い分を取り入れたようです。

 バンコク1・2日目、カオサンのホステルはドミトリー、3日目は、コベントリゾートのスクンビット。マレーシアで早朝便に乗るので、チューンホテルのクアラルンプール空港の方を予約しました。「ありがた迷惑」という顔をされましたが、母親は心配なのよ。

「君が優也の小さい頃に、バックパッカースタイルで、ヨーロッパやオーストラリアを連れ回したから、ああなったんだよ。」
「私のせい?」
「そう。せいと言うより、君の血かな。」
「・・・」

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