先日うな重を食べた。ここのところ食べても年に一回、しかも自腹では殆ど食べない。理由は単純で高いから。よく行く松本のコーヒー豆店の近くの人気のうなぎ屋は、いつも混雑していて、12時過ぎくらいに本日終了の札が出るくらいの人気店だ。先日鰻の匂いを嗅ぎながら店に行ったとき(コーヒー豆店の方に)、そこの主人にうなぎ屋に行ったことあるかどうかを聞いてみた。すると少しは興味があるようだが行ったことは無いらしい。元々東京の人なので、子供の頃に親に連れられ行ったということもない。目と鼻の先だが、やはりその値段がネックとなってるようだ。二人で(夫婦)で一万円くらいというのはちょっと考えるだろう。どうせ行くなら東京の老舗の方が良いに決まってるし(多分)。よく行くよね、とお互い感心して店を後にした。
あるところで皆でDVD鑑賞をしたという話を聞いて、何の映画?と当然なるのだが、そのタイトルを聞いてちょっとのけ反った。それは「ホーリーマウンテン」。多分この映画を見たという人は1000人に一人もいないのではないだろうか。カルト映画の巨匠、アレハンドロ.ホドロフスキーの映画だ。間違っても一般向きの映画ではない。しかも鑑賞したメンバーは、普段から映画を見るような人達ではない。結果ポカーンだったらしいが、それは無理もない、当然の結果と言える。
個人的には「ホーリーマウンテン」はあまり面白いとは思わなかったが、同じ監督の「エルトポ」は好きだ。だから、せめて「エルトポ」にすれば良かったのに、と言いたいところだが、同じくポカーンとなることは目に見えている。それにしても、「ホーリーマウンテン」のDVDを持っていた人間がいたことがこれまた驚きだ。
借りていたブルーレイの最後の一本の「山猫」ヴィスコンティを見た。これも二度目。昔見た時は結構良かった印象があったが、今回はそれほどでもなかった。以前はヴィスコンティは好きな監督だったのだが、確か「地獄に落ちた勇者ども」も二度目に見た時はそんな感じで、徐々にヴィスコンティに対する評価は変わっていった。クローズアップの多用は品がないと誰かが言っていたが、マカロニウエスタンには特に多く、イタリアにはそんな伝統があるかもしれない。題材が華麗な貴族の割には、今一つ映像に品がない。
そう言えばこの映画に、マカロニウエスタンのスターの一人ジュリアーノジェンマが出ていた。昔見た時は全然気づかなかった。後、主演のバートランカスターのアテレコに違和感あるとか、クラウディアカルディナーレが美しいとか、映画に関係ないところにいろいろ興味がひかれるのは昔の映画を見る時のあるあるである。更にヴィスコンティで言えば、「山猫」のクラウディアカルディナーレと「ルートヴィッヒ神々の黄昏」のロミーシュナイダーは必見である。但し現在の姿は絶対見ない方が良い(ロミーシュナイダーはとうに故人)。
借りたブールーレイディスクを見るためにプレイヤーを買い、ついに生まれて初めてブルーレイを見た。見た映画は「いとこ同志」(クロード.シャブロル)「ヴェニスに死す」(ヴィスコンティ)と「晩春」(小津)。プレイヤーは1万円しないものだが(ソニーの)普通のDVDに比べるとやはり画質は良い。特に「晩春」はデジタルリマスター版で、多くの小津映画のイメージ、ぼやっとした白黒のイメージが一新され本当にくっきりしている。
「いとこ同志」以外は二度目だが、「ヴェニスに死す」はマーラーのための映画、「晩春」は父娘の複雑な感情を描いた映画、と言えそうだ。ひょっとすると「晩春」は三度目かも知れない。いつも思うが小津映画は他の作品とごっちゃになってよく覚えてない。こんな場面あったかの連続だ。結婚前に父娘で行く京都、大原に行って竜安寺なんてのは全く記憶にない。しかし相変わらずの魅力的なショットが多い。しかし考えようによっては、覚えてないということはその都度新鮮に見えるということだから結構いいことかも知れない。
今回の偶然。「ヴェニスに死す」のすぐ後に見た「晩春」で、銀座の場面の看板にヴェニス(店の名前か)の文字が。