このところ、ちょっと良いと思うような映画に当たらない。逆は多い。どちらにしろ無料で観てるだけなので偉そうに言える立場ではないが、正直な感想は正直な感想である。
巷では少し話題になったのかの「藁の楯」。幼女殺人犯に超高額な懸賞金がかけられ、その殺人犯を護送するために次から次と襲ってくる賞金稼ぎから犯人を護る警官の話。荒唐無稽な話だがアイデアとしては面白い。こういう映画の場合、いかに緊張感を維持するかが肝だと思うが、案の定途中からユルユルな展開となる。この監督(三池崇史)、「十三人の刺客」以外ユルユル作品が多い。長いからそうなり易いのはあるかもしれないが(ならば短くすれば良い)、残虐場面だけではユルユルを阻止は出来ない。
今回の場合、特に警護のひとり松嶋菜々子が良くない。エリート警官という役だが(原作では男らしい)、テレビの刑事ドラマにでもありそうなそもそも有り得ないような役柄。にも拘らず、家庭の事情が彼女を苦しめるという現実的な陳腐な描写が必ず挿入される。これもよくあるパターンだ。漫画の世界のような格好良い華のある強い警官という役なのは分かるが、隙だらけだし、それ以前に個人的にはこの女優のどこが良いのか分からないというのもある。外見的な問題だが、華以前に鼻の低さが決定的だと思うのだ。まあこれは好みの問題が大きいのだが、陳腐な描写は主人公の大沢たかおにも同じようにある。過去の出来事がトラウマになり、現在の状況に影響を与えるというもう何度も見たような映像が繰り返される。結果、それらの部分が映画そのものを停滞させユルユルの印象を与える。娯楽映画なのだから、荒唐無稽を力技で押し通してほしい。
もう一つは、うって変わってロメールの「美しき結婚」(1981)という映画。これはちょっと楽しみにしていたのだが、主人公の女の子がどうにも痛すぎて付いていけなかった。ロメールの中では珍しく話しに入り込めなかった。不倫関係に倦んだ女の子が、ある男を勝手に理想の結婚相手と決めつけ、ストーカーまがいの行為に出て結局失敗するという話だ。大して可愛くもないが自尊心は強い主人公、見てる方がいたたまれない展開が続きとうとう最後は飛ばした。80年の「飛行士の妻」の次がこの作品ということは、当時こんな関係に興味があったのだろうかと想像してしまった。