映画「イエスタデイ」はタイトルから分かるように、ビートルズの歌が全編にかかるビートルズの映画。売れない歌手の主人公が、20秒の全世界同時停電の後にビートルズが無いことになっていることに気付く(他にはコカ・コーラなども)。覚えているのは主人公一人(後にもう二人登場するが)となり、間違いなく売れるビートルズの誘惑に負け、まるで自分が作ったかのように発表していくと一気に大スターまで駆け上がる。が...という一種のファンタジー。出演者は全く知らない役者ばかり。エド.シーランが本人のまま出演するが、名前を聞いたことがあるようなないような程度のものだったが、実際は有名ミュージシャンだった。最近の歌手はジャスティンビーバーぐらいしか知らない。監督は有名。ダニー.ボイル。初監督作品「シャロウ.グレイブ」なんてのも結構面白かったが、何といっても有名なのは「スラムドック ミリオネアー」。彼の映画ははタランティーノをより分かりやすくしたという印象だ。
今回の「イエスタデイ」は、全編ビートルズということで全編クイーンの「ボヘミアンラプソディー」と似たような印象も受ける。片や実話片やファンタジーの違いはあるが。映画としては「イエスタデイ」の方が映画となっている。「ボヘミアンラプソディー」は悲劇の主人公として泣かせようとする仕掛けが目に付き過ぎる。「オペラ座の夜」も当時散々聞いたがフレディ・マーキュリーに特別な思い入れはないので主演の似て無さばかりが気になった。そう言えばもう一つの共通点。どちらも主人公はインド系。これは監督が意図的にやったのではないかとも思える。ライブの場面も似てる。片やイギリスの田舎という違いはあるが。
あと問題となるのは、ビートルズを知らない人間は楽しめるかということ。クイーンに関してはリアルタイムで知らなくてもCMで知っているという人間が多く、実際二十代にも受けた。ビートルズはどうなのか。純愛映画の要素もあるので知らなくてもという部分はある。殆どの曲を知っている、原点ビートルズの人間からすれば間違いなく楽しめる映画である。64歳と聞いてピンと来る人間だったら100パーセント保証する。