ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

サッカーとカフカ

2008年06月15日 | 芸術


ということで、3-0でタイに勝った日本代表は、最
終予選進出を決めたわけだが、どうなんだろう。
セットプレー以外で点を入れそうな気配がない今の日
本代表を見ていると、今ひとつ、これ以上良くなると
いう可能性を感じないのだ。
待ってパスを受けるシーンばかりが目立ち、印象とし
ては兎に角動かない。
ダイナミックな動きは全く見えないのではないか。
唯一、中村憲剛の得点の時がそれらしいシーンだった。
オシムが気に入って使った選手というのが、ちょっと
皮肉である。
タイくらいの相手なら、このままでいいだろうが、こ
の先を考えるとまずいのではないかと、昨日の試合を
見ながら思った。
U23は、初期に比べると大分進歩し、全体が兎に角
連動している。
チームとしての良い方向というものを感じることが出
来るが、果たして岡ちゃんに、確固たる方向性と、そ
れを実現させる方法論があるのかが問題だ。
ジーコの二の舞になるのだけは勘弁して。

さて、カフカの「アメリカ」だが、どうやら興味の方
が上回ったらしく、読み返している状態だ。
角川文庫の本で、表紙は池田満寿夫の「エッチング」の
ようである。
多分初期から中期という時期のものだと思うが、この
辺りの作品は割りに好きなものが多い。
この表紙も、中々良い。
「エッチング」で有名なのは、今は「山本容子」あた
りだと思うが、例えば本の表紙としては彼女のものの
ほうが合うというか、実際多くあるのではないか。
トルーマン.カポーティの何かの本がふっと浮かんだ
り(見かけただけで読んだことはない)、と彼女の作
品は本屋でよく見かけるというイメージである。
しかし、カフカに合うとは思わない。
今回の池田満寿夫の作品は、彼女の作品にぐっと芸術
性を加味したという感じで、カフカにも合っている。
と、久しぶりに手に取ったらそう感じた。
印刷を確認すると、15年ほど前のものだ。
もっと、昔の話かと思っていたが、それほどでもなかっ
たわけだ。

ストローブ=ユイレの映像と比較しながら読み返すの
も、なかなか興味深い。
改めて映画のほうは、原作と違うところがあるのは当
然として、原作の世界が自然に映像になって表現され
ていると、素直に感じられるものである。
ありがちな、類型的な迷宮の世界になっていないのは
流石である。
しかし、原作は原作である。
文字から喚起されるイメージは限定されるののではな
い。
映画を観て、初めてカフカのこの小説を読んだとした
ら、ストローブ=ユイレの映像が強くて、自由に読め
ない可能性がある。
それは、ストロ-ブ=ユイレ、カフカ両者にとって本望
ではないだろう。
コメント