ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

村上春樹とカフカ

2008年04月06日 | 芸術


「イングリッシュパブ」には、もう一人yちゃんという
女の子がいた。
そのyちゃんは、出身が文学部ということで、文学関
係の話もいくつか出てきた。
村上春樹には全く興味が無いY(映画少年の方は大文
字で)は、「源氏鶏太」みたいなものでしょう、とわ
けの分からないことを言ったが、大体比較でその名前
を出したところで誰も分からない。
私も、サラリーマン小説を書いた人というくらいの知
識しかない。
Yは、「村上春樹」も直ぐに忘れられる小説家である
ということを言いたかったらしい。
その点に関しては、ちょっと現実的ではない。
すでに、世界的にも人気があり、ノーベル賞候補にも
挙げあられる「村上春樹」と、名前さえ忘れ去られよ
うとしている「源氏鶏太」では、流石に比べられない
だろう。
「村上春樹」好きのyちゃんも、怪訝な表情である。

となると、どうしても「海辺のカフカ」からカフカの
話になってしまう。
「村上春樹」と「カフカ」の共通性に関しては、皆首
を傾げる。
全く違うというのが、共通認識であった。
で、yちゃんに聞いてみた、ちゃんと読んだのかどう
か。
すると、カフカの「城」は、一応読み通したらしい。
しかし、どうも、文学部の意地ということで読んだら
しく、案の定面白くて読んだわけではなかった。
他のYにしたって、確か「変身」(薄いから)を読ん
だだけで、他は読んでないはず。
それで分かったように「唯一<変身>は<羊男>に通
じるかもしれないですね」などと言っている。
単に、人間ではないものという共通性に過ぎないのだ
が、その部分だけで似ているというのも、あまりに皮
相的だ。
村上春樹の「羊男」は、<本当の自分>或いは<捨去っ
た自分>という類のもので、不条理な世界に通じるも
のではないと思う。
だから、カフカの「変身」とも似ていない。
いずれにしろ、カフカのよさは、短編ではなく長編であ
ると思う。

それより「村上春樹」に関しては、以前翻訳していた
「レイモンド.カーヴァー」「ジョン.アーヴィング」
の世界だろう、というのは、yちゃんも納得。
「ジョン.アーヴィング」となると、俄然Yも、原作の
映画がいくつかあるので、待ってましたとばかりタイト
ル挙げる。
「サイダーハウスルール」「ガープの世界」「ホテル.ニュ
ーハンプシャー」。
ここで自説の、「村上春樹」は「レイモンド.カーヴァー」
と「ジョン.アーヴィング」を足して二で割った作家で
ある、と披露したのだが、今ひとつ反応は薄かった。
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