映画の感想をざっくばらんに、パラパラ読めるよう綴っています。最近は映画だけでなく音楽などなど、心に印象に残ったことも。
パラパラ映画手帖
No117「ヴェラ・ドレイク」マイク・リー監督
2005-08-17 / 映画
映画の問いかけるテーマの
あまりの重々しさに身動きできなるよう。
善意から犯したとはいえ、堕胎という罪が明らかになったヴェラを
家族は、どう受け止めることができるのか。
車を持ち、広い家に住み、豊かな生活を送る義弟夫婦が
ヴェラに冷たくなるのと対照的に、
夫スタンは
どうしてこんなに暖かく、深く妻を愛し続けることができるのだろう。
罪が発覚したヴェラに対して
娘の婚約者レジーが、毅然とした態度で
感謝の言葉をヴェラに伝える姿には、涙があふれた。
そう言いきれる強さが自分にあるだろうか。
人間、豊かになるほど、大切なものが見えなくなり、物事に臆病になる。
人生で一体、何を大切にするのか。
映画は静かに観客に問いかけている。
面倒見がよく、人を手助けするのは当たり前で、
無邪気なくらい明るいヴェラが、
突然、警察に連れて行かれ、
ただただ、罪の重さにうち震える。
このなんたる変わりよう。
マイク・リー監督は、
恐怖に震えながらも、罪を告白するヴェラの姿を
カメラで、にじり寄り、ねめつけるようにして、じっと撮り続ける。
沈黙の間の重さ。
観客は、その息苦しさを引き受け、立ち会わなければならない。
連行された警察署での
ドアを閉める音や、階段を下りる靴音などが、
突き刺さるように聞こえてくる。
観客自身が、いつのまにか、ヴェラとなり、スタンとなって
同じ空間を共有し、感じている。
緻密に音が設計され、映像が切り取られている。
普通の庶民を描き、
ごく自然なセリフとして
重要なメッセージを伝える
マイク・リー監督の腕が光る。
あの沈黙をどう受け止めるかで、印象は大きく変わるだろう。
お薦め度 ★★★★★★★(星10個で満点)
あまりの重々しさに身動きできなるよう。
善意から犯したとはいえ、堕胎という罪が明らかになったヴェラを
家族は、どう受け止めることができるのか。
車を持ち、広い家に住み、豊かな生活を送る義弟夫婦が
ヴェラに冷たくなるのと対照的に、
夫スタンは
どうしてこんなに暖かく、深く妻を愛し続けることができるのだろう。
罪が発覚したヴェラに対して
娘の婚約者レジーが、毅然とした態度で
感謝の言葉をヴェラに伝える姿には、涙があふれた。
そう言いきれる強さが自分にあるだろうか。
人間、豊かになるほど、大切なものが見えなくなり、物事に臆病になる。
人生で一体、何を大切にするのか。
映画は静かに観客に問いかけている。
面倒見がよく、人を手助けするのは当たり前で、
無邪気なくらい明るいヴェラが、
突然、警察に連れて行かれ、
ただただ、罪の重さにうち震える。
このなんたる変わりよう。
マイク・リー監督は、
恐怖に震えながらも、罪を告白するヴェラの姿を
カメラで、にじり寄り、ねめつけるようにして、じっと撮り続ける。
沈黙の間の重さ。
観客は、その息苦しさを引き受け、立ち会わなければならない。
連行された警察署での
ドアを閉める音や、階段を下りる靴音などが、
突き刺さるように聞こえてくる。
観客自身が、いつのまにか、ヴェラとなり、スタンとなって
同じ空間を共有し、感じている。
緻密に音が設計され、映像が切り取られている。
普通の庶民を描き、
ごく自然なセリフとして
重要なメッセージを伝える
マイク・リー監督の腕が光る。
あの沈黙をどう受け止めるかで、印象は大きく変わるだろう。
お薦め度 ★★★★★★★(星10個で満点)
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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ヴェラ・ドレイクの評を拝見し、TBさせていただきました。
短歌で映画を詠うのはむずかしいのですが、よろしければお立ち寄りください。
ブログ、拝見しました。
毎日すごいですね。
映画の核心を短歌でずばりいけると
インパクトあるような気がします。
「人生はときどき晴れ」は、大好きな作品です。
主人公のタクシー運転手の表情といい、
娘がモップで掃除をしているファーストシーンといい
行間に余韻がたっぷりの
本当に味わい深いですね。
スパイク・リー監督の「正しきを為せ」
ぜひ、観てみたいと思います。