日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

“自己中”与謝野はいい加減恥を知れ!

2009-07-16 | その他あれこれ
政局関連のお話。

いましたいました、前回お話しした自分の当選だけを考えている“自己中”のとんでも政治屋のセンセ。私が忌み嫌う与謝野馨氏その人です。やはりね。私の直感人物判断は大抵あってますね。与謝野氏、昨日麻生首相宛訪問して「引責辞任」を促したそうです。この人、共に内閣を支えてきた参謀ですよ。しかも金融財政をまかされるという要職であったはず。首相のスキャンダルで支持率が急落した訳ではないのですから、同じ閣僚のあなたの責任はどうなのよって、感じです。無責任極まりないですね。

与謝野氏の狙いは単純です。東京1区選出の氏は、東京都議選での惨敗にひとかたならぬ危機感を募らせている訳です。特に東京1区の東京都心部では、都議選の折にも定数1名で自民党候補と民主党候補の一騎打ちが展開され、自民党現職が惨敗を喫しているので、そりぁ他人事じゃなくて自分の来るべき選挙戦を見たような気がしたのでしょう。そこで氏の考えは、麻生氏に辞任を迫ることで「俺は麻生と一体じゃない。一緒にしないでくれ」という印象付けをしようと、昨日の“辞任勧告訪問”に至った訳です。麻生内閣信用失墜の“A級戦犯”が、なんとも姑息な責任なすりつけ謀反。これを“自己中”と言わずしてなんと言いましょう。簡単に裏切られる“死に体”麻生総理も、情けないことこの上ないですが…。

与謝野氏の話は毎度毎度しておりますが、前回の麻生氏が勝った総裁選に立候補して、総裁選選挙運動期間中に発生した「リーマン・ショック」を受けて、「日本の経済への影響はハチが刺した程度」などと、経済音痴ぶりを露呈させたのです。実質的な実社会経験のない机上論者の氏を、“党内きっての経済通”などと評していた自民党のみなさんのアホぶりにもあきれますが、その後先の経済大事件の影響に対する読み違えを陳謝するでもなく、経済・金融・財政の責任者の椅子にのうのうと腰をかけている厚顔無恥な姿勢には、最高に嫌悪感を感じさせる訳です。加えて、利害関係先からの献金問題の発覚。政局の急展開によって救われた感がありますが、全く解決を見ていません。私が今現在最も問題視している政治家と言ってもいいでしょう。

総理に辞任を迫るのなら、自身も前回の総裁選で名乗りをあげた一人のなのですから、やり方の良い悪いは別として「内閣の一員として、今現在の自民党支持率の低下の責任をとるべく、私がかわって自民党総裁に立候補し、選出いただけるのなら総選挙の陣頭指揮を執って政治生命をかけて戦い抜く」ぐらいのことが言えないのか、と思う訳です。それが、自分のミスは謝らない、コンプライアンス違反はしらばっくれる、あげくに主要閣僚の立場で保身から謀反は起こす…。こんな姑息に自分の当選だけにイジこく固執する、ケツの穴の小さい“自己中政治屋”は、今度こそしっかりと国民の審判をくだして、下野させるべきでないでしょうか。

自民党がどうであるとか民主党がどうであるとかに関係なく、政治家としていや人間として、おかしいものはおかしいと言わせていただきたく思い、ついつい熱く語ってしまいました。ご容赦願います。なにせ熊谷は早くも猛暑なもので。熱くもなります。

売れ筋ブック・レビュー~「デキる人の脳 / ノア・セント・ジョン」

2009-07-14 | ブックレビュー
★「デキる人の脳/ノア・セント・ジョン著・本田直之訳(三笠書房1400円)」

またまた出ました本田直之モノです。今回は訳者として登場です。本屋の店頭で本田氏の名前を見つけてしまい、躊躇なく購入しました。原書は全米ベストセラーです。

茂木健一郎氏をはじめ最近注目される“脳のしくみモノ”的側面もありますが、「喜ぶとドーパミンが分泌され…」といった医学的な分析は皆無。「意識して脳の思考はわずか10%。潜在意識での行動が90%」という事実に基づいて、潜在意識を変化させ前に進ませる脳をつくる習慣づくりを説いています。著者はコーチングの第一人者。ですから、言葉で投げかけることの重要性を強調し、セルフコーチング的に自分にくりかえし「いい質問」をすることで、世の3%の成功者がなし得ている無意識の活性化をはかることをポイントとしています。要は行動のブレーキになる「負」のスパイラルを習慣により無意識のうちに取り除き、行動を抑制しない自分をつくるお話です。

以前紹介した医学博士の佐藤富雄氏が書いた「自分を変える魔法の口ぐせ」と若干似たことろもあり、佐藤氏が言う「脳を喜ばせる」ことがノア氏の言う「心のブレーキをはずし成功に導くこと」につながるように思えます。2冊をセットで読むとより一層、成功と脳のはたらかせ方の関係が見えてくるように思います。共通して言っていることは、自分に対してネガティブな発想は何のプラスにもならないということです。
★「自分を変える魔法の口ぐせ/佐藤富雄」ブックレビュー↓http://blog.goo.ne.jp/ozoz0930/e/706e51a9c4e697ce1117a327e535f880

さて訳者本田氏の出番ですが、各章の終わりに本編に関連した本田氏からの習慣づけに関するコメントが2~3ページづつ記されており、これがなかなかイケています。例えば『「忙しい」「時間がない」は単なる言い訳。これを言った瞬間に思考はストップし自分を向上させられない。今日から二度と「忙しい」と口にしない』ススメや、『誰かのせい、何かのせいにすることでそこで思考は停止する。できない理由を探さない』ススメなどは、私の周囲でもよく見かける光景であり習慣づけをおススメしたいですね。単なる訳本で終わらせず、本田流のエッセンスが詰まっています。

10点満点で9点。「脳」の話なので、実感のあるようなないような、人によって説得力を感じる感じないの差が出そうな気がしますが、日頃コーチングを受けている私には、かなり説得力をもって迫ってくる一冊でした。本田ファンは必読です!

NEWS雑感 ~ 「衆院解散・総選挙」「キリン&サントリー統合?」

2009-07-13 | ニュース雑感
●都議選惨敗→解散総選挙に思う

都議選での自民党の惨敗を受け、ついに衆院解散→総選挙の日程が決まりました。今回私が問題視する点はどこでしょう?麻生総理の対応?いやいや麻生総理の対応は今回ばかりは理由はどうあれ選択は正しいと思います。都議選戦前に麻生総理は「国政とは一線を隔する」とは言ってはみたものの、戦後2番目の高投票率をもたらしたものは明らかに国政に対する意思表示をした都民の姿勢そのものであり、その都議選で大惨敗した以上、国民に信を問うのは至極当然の流れであります。従って、“麻生おろし”を旗印として「解散先送り→麻生辞任→総裁選→総選挙」を求める声も聞こえていましたが、今回の麻生総理の「決断」は正しいと言ってよい訳です。

となると問題は?そう、「解散先送り→麻生おろし」で時間稼ぎしつつ小手先でのごまかし策により、何とか衆院戦での自身の当確だけは確保したいと考えていた自民党“政治屋”のセンセ方です。考えても見てください。国政の前哨戦と目された東京都議選で大惨敗した訳で、国民の側を向いている政治家であるなら、既にここまで1年弱引き延ばしに引き延ばしてきた訳ですから、「即時解散し国民の信を問うべき」と考えるのが当然です。それを、少しでも先延ばしせよと言うのは国民の側に立つことなく、自身の当選のこと以外全く頭にない“政治屋”に他ならないのです。

今回の総選挙は自民党の“政治屋”一掃の選挙でもあります。皆さん、ここ数日の政治家先生方の発言をよーく覚えておきましょう。上記の考え方で見ていけば、誰が国民本位であったか誰が“自己中”であったか簡単に見破ることができるじゃないですか。民主党への政権交代そのものには大きな期待はできない気がしていますが、選挙によって少なくとも“親方日の丸体質”で腐りきった自民党の“政治屋”のセンセ方に引導を渡せればよいと思います。くれぐれも“自己中”に投票しませんようご注意を。


●キリン&サントリー統合?“抜き記事”のネタ元は誰?

自民党都議選惨敗のニュースの陰で、日経が1面アタマでとんでもない“抜き”をやってくれました。キリンとサントリーが経営統合を検討しているというもの。これは大ニュースです。このニュース、もし本当に実現するなら喜ぶべきか悲しむべきかですが、私は悲しむべきと直感的に思いました。なぜって、業界を代表する2社は、ビール、ウイスキーと得意分野は違うものの、アルコール・ノンアルコール飲料分野で幅広くしのぎを削っていい戦いをしている訳ではないですか。メーカー同士がしのぎを削るというのは、顧客に向いたより良いサービス、より良い商品開発に力を注ぐことになる訳で、顧客本位の業界の活性化という点では大いにプラスな訳です。

ところが、大手2社が統合することでスケールメリットが当然生まれる訳で、収益性の向上と絶対的マーケット・シェアの確保がされ、そうなれば対顧客サービスに関しては低下要因になりかねないのです。強力なライバルが1社減る訳ですから、普通に考えれば競争環境はかなり楽になりますからね。自社の仕事に置き換えて考えてみるとよく分かります。強力なライバルがひとつ減ってこれまでと同じように商品開発、サービス向上に力が入るかというと、どう考えても疑問な訳ですから。発泡酒だ第三のビールだと次々開発してきた日本の飲料業界の緊張感はかなり緩み、我々消費者にはその点で大きなマイナス要因になるのではないかと思われるのです。

さてさて、今回の“抜き”誰がリークしたかです。普通一般的にM&Aや統合案件で、発表直前のリークは意図的な“ぶち上げ”のケースが多いのですが、今回のような検討段階でのリークは、“案件つぶし”のケースが多いと言われています。なぜなら、早い段階でM&Aや統合案件が表に出ることで、いろいろ横ヤリが入りやすくなりうまくまとまるモノも、まとまらなくなるのが常なのです。なるほど、ならば今回の“抜き”のネタ元は、経営統合を良しとしない人ですね。ということは、統合で商品開発力の低下を懸念する本当のビール好き、本当の缶コーヒー好きの関係者かもしれませんね。

〈70年代の100枚〉№75 ~ “トッド流”ハードとポップの黄金比率

2009-07-11 | 洋楽
トッド・ラングレンの話は何度となく、当ブログで取り上げておりますが、今回とりあげるアルバムはプロデューサーとしてのトッドの才能を広く世にしらしめた大ヒット作です。

№75   「アメリカン・バンド/グランド・ファンク」

グランド・ファンクは、ファンクとは名ばかり69年デビューのアメリカン・ハードロック・バンドです。デビュー直後にレッド・ツェッペリンのデトロイト公演の前座を務め、アンコールが鳴りやまずツェッペリンを怒らせメイン・アクトを喰ったと語り継がれる伝説を打ち立て、一躍全米中が注目する存在に。彼らは日本にも「ツェッペリンがブッ飛んだ!」というコピーで紹介され、人気を集めました。その後、ハードで重たいアメリカン・ロック・バンドとして活躍を続けるものの、デビュー来の敏腕マネージャー兼プロデューサーのテリー・ナイトと権利関係を巡って訴訟が勃発、セルフ・プロデュースではやや方向感を見失い気味になるなど、混迷期を迎えます。そこでバンドは心機一転、企業戦略的に言うならCI(コーポレート・アイデンテティ)戦略に打って出るのです。

それまでの「グランド・ファンク・レイルロード」というバンド名を短く「グランド・ファンク」に改め、指をデザイン化したバンドのイメージ・ロゴを制定(本作にはロゴ・ステッカーが8枚も封入してあり、このロゴで新イメージの浸透を図ろうとしたのは明らかです)。そして音楽面でも、それまでの3ピースのバンドにキーボード・プレイヤーを正式に迎え、そのキーボードを十二分に生かした新バンド・アンサンブルを確立すべくプロデューサーとしてトッド・ラングレンを招聘したのでした。

前フリが長くなりましたが、そんな“新生”グランド・ファンクの第一弾として力を込めてリリースされたのが、この「アメリカン・バンド」でした。彼らのハードな面を活かしつつも、どちらかというと無骨で荒っぽく、分厚い音で引きずるように重たいリズムが特徴だったある意味古臭い“音”を、トッドお得意のキーボード・アレンジとエコー処理で見事都会的なポップ・センスを感じさせる今様に作り替えてしまったのです。

シングル・カットされ彼ら初の全米ナンバー・ワンに輝いたタイトル・ナンバーA1は、まさしくその象徴です。どこまでも重たいドン・ブリューワーのドラムで始まるイントロにはカウベルを使うことでポップな軽さを演出。全体アレンジにおいてもそれまで3ピース故に出過ぎにならざるを得なかったマーク・ファーナーのギターも極力抑え、前作のセルフ・プロデュース作ではギター中心アレンジの補助的役割のキーボードを、ギターと対等な位置にまで持ち上げることで見事なほどにシティ派ロック・バンドに生まれ変わらせたのです。恐るべし“鬼才トッド”ですね。

A2「ストップ・ルッキン・バック」A4「ブラック・リコリス」B3「ウォーク・ライク・ア・マン」(第2弾シングル最高位全米19位)などは、タイトル・ナンバー同様アレンジの妙でセンスの良いアメリカン・ロックに仕上がっています。また、彼ら初期の名曲「ハート・ブレイカー」タイプのロック・バラードB1「レイルロード」なども、キーボードの活躍により以前はありがちだったクドさは抑えられ、バランスのよさを際立たせているのです。このような音楽的転換とCI戦略効果もあって、アルバムは全米2位まで上がる大ヒットを記録。本作はアメリカン・ロックを代表する作品として今もロック界に君臨しているのです。

トッドの仕事は、次作「輝くグランド・ファンク」でも抜群の冴えを見せます。ハード・ロック・バンドの彼らに、キャロル・キングの名曲「ロコ・モーション」をカバーさせ再びNo.1に送り込むという離れ業は、トッドならではと言えるでしょう。その後彼らはいかなる理由からかトッドと別れ、スリー・ドック・ナイトでお馴染みジミー・イエナーを後釜に迎えて一層のポップ路線を打ち出しますが、結果急速に失速。再浮上することはありませんでした。ハードもポップもありのトッド・ラングレンなればこそなし得た、彼らの中にあるハードとポップの“黄金比率”をセンスで探り当てた奇跡だったのだと思います。

売れ筋ブック・レビュー~「過去問で鍛える地頭力/ 大石哲之」

2009-07-09 | ブックレビュー

★「過去問で鍛える地頭力/ 大石哲之(東洋経済新報社1500円)」

「地頭力」と言えば、コンサルタントの細谷功氏が一躍ベストセラーを放ったテーマで、その後も「地頭力」を冠に付した著作を出しています。てっきり本書も細谷氏の著作と思いきや、さにあらん。細谷氏の近作は、以前ご紹介のとおり名ばかり「地頭力本」でありますので、ならばとの同業者が名乗りをあげてこられたと言った感じです。

大石氏はコンサルタントの転職ナビを運営する大手ファーム出身のコンサルタント。「過去問」とはまさに、大手ファーム入社試験の「ケース面接」で出された問題を集め、その考え方を披露することで結果的にロジカル・シンキング的思考を身につけてもらおうという趣向のようです。すなわち、表向きは「過去問」の模範解答集ですが、決してファーム志望者向けの本という訳ではなく、むしろ広く一般ビジネスマン向けにロジカルな頭すなわち「地頭力」を鍛える材料を提供してくれてる書籍なのです。

全20問収録で、前半は「東京都内にタクシーは何台あるか?」といったフェルミ推定系10問、後半は「おしぼりの売り上げを伸ばすにはどうするか?」といったビジネス・ケース系10問。フェルミの方は、細谷氏の代表作「地頭力を鍛える」ともダブる部分が多いのですが、後半は実際のビジネスの中で具体的な相談事をいかなる思考経路でより正統性の高い解決策に導くか、まさにコンサルタント的MECEな分析での問題解決法が披露されています。前半、後半とも、それぞれ思考の組み立て方法を学ぶことがメイン・テーマであり、「過去問」を切り口に「地頭力的思考回路紹介」をするあたりは、さすが転職ナビ管理人といった感じがします。

本書は一言で言えば、問題、課題の本質をいかに捉えるか、そのためのロジカル・シンキング・トレーニング本ということになると思います。ロジック・ツリー、マトリクス思考、フレームワーク思考などの具体的な活用方法を、「過去問」の解決過程に沿って紹介していきますので、事前に一冊ロジカル・シンキングに関する本でも読んだ上で本書を手に取ると、とても楽しく読めるのではないでしょうか。

10点満点で7点。「過去問」を使いながら、ロジカル・シンキングの基本を教えると言う切り口はかなりおもしろいと思います。マイナス点は、20問の問題のひねくれ度にややバラつきがあって、本質を探る過程が本当にロジカルと言えるかどうかやや疑問なものもあるように思えた点。言い方を変えると、ロジカル・シンキングを教えるのに、果たして適切な実例ばかりであるか否かはやや疑問ということです。まあでも、時間つぶし的“脳トレ本”として考えればイケてる部類であると思います。

故マイケル・ジャクソン追悼式~幼い愛娘が訴えたかったこと

2009-07-08 | ニュース雑感
7日にロサンゼルスで行われた故マイケル・ジャクソンさんの追悼式。世界中のニュースのトップ級で取り上げられ、日本のテレビでも朝からこの話題でもちきりです。

マライヤ・キャリー、スティービー・ワンダー、ライオネル・リッチー、ブルック・シールズ、マジック・ジョンソン…、大物たちの追悼の熱唱やコメントの数々は改めてマイケルの偉大さを感じさせるに十分であり、画面を通じて会場ではたくさんの感動的なシーンがあったことがうかがわれました。しかし、これら超大物たちの追悼のパフォーマンスをもかすませ最も感動的で涙を誘ったのは、式を締めくくったマイケルの長女パリスちゃん(11)による追悼の言葉だったと思います。

「私が生まれたときからずっと、ダディーはみんなが想像できないくらい最高の父親でした」とパリスちゃんは会場のステープルズ・センターに集まった何千人もの参列者を前に亡き父への想いを語り、「本当に大好きだったの」と声を震わせそのまま叔母のジャネット・ジャクソンの胸に泣き崩れステージを去りました。3人の子供たちをマスメディアの攻撃から防御し、外出時にもマスクを着用させる等一切容姿をメディアにキャッチさせなかったマイケル。今回も当初は、このパリスちゃんのコメントは予定になかったと聞きます。それが急遽の演出変更。そこには追悼式を取り仕切った遺族ジャクソン・ファミリーの“強い意志”が見え隠れしているように思えるのです。

すなわち、必要以上にバッシングを受け続けたマイケルへのマスコミ姿勢に対する、最後の抗議であったのではないでしょうか。頂点を極めた以降のマイケルの行動には、「平和活動」と「奇行」の大きなふたつの“軸”があったように思われます。このふたつの“軸”がありながらマスメディアが喜んで取り上げるのは、いつも「奇行」ばかり。今思えば黒人である彼の成功に対するある種の妬み、我々日本人には正確には理解しえない、人種差別問題も実はその根底にはあったのかもしれません。

この日の追悼式のパフォーマンスのラストを飾ったのは、ロンドン公演に向けてともに練習を重ねてたマイケルのバックメンたちによる「ウイ・アー・ザ・ワールド」と「ヒーリング・ザ・ワールド」の2曲の熱唱でした。ともに、メッセージ色あふれる「愛と平和の歌」です。まさに、マイケルが一番力をこめて訴え続けていたメッセージを今改めて全世界に向けて発し、それを受けて最後の最後にパリスちゃんが先のコメントで結んだ訳です。彼女の「ダディーはみんなが想像できないくらい最高の父親でした」という言葉は、「世界は本当のマイケルを知らないでしょ。誤解をしたまま終わりにしないで」と訴えかけているように聞こえてなりませんでした。私にはマイケルの肉親であるジャクソン・ファミリーを代表する、「悲痛な叫び」として聞こえたのです。

マスメディアの報道の力の大きさと、それが誤った方向に同時一斉に動き出した時の破壊力の恐ろしさの話は、常々当ブログでも取り上げている大きなテーマです。マイケル・ジャクソンは幾多の「奇行」があったことは事実であっても、彼のもうひとつの“素顔”である真摯な一面は十分に伝わることがなく、マスメディアから発せられる偏った情報に我々も正当な判断を見失っていたのかもしれません。幼いパリスちゃんの感動的な一言は、マスメディアにその責任の重大さを訴えかけるとともに、情報の受け手である我々に対してもしっかりとした情報真偽眼を持って吟味する意識を持てと強く訴えかけられた気がして、見終えた後に心が痛んだ追悼セレモニーでありました。

景気回復はV?U?W?…L?

2009-07-06 | その他あれこれ
日銀が6日、各支店からの景気報告を取りまとめた「地域経済報告」を発表。足元の景気については「悪化ペースが鈍化しており、下げ止まりつつあるものの、引き続き厳しい状況にある」と総括しました。ポイントは、前回報告(4月)の「若干の地域差はあるものの、大幅に悪化している」から判断を引き上げたこと。総括判断の上方修正は06年10月以来とのことで、地域別でも全9地域が景気判断を上方修正したそうです。これを受け白川方明総裁は支店長会議の冒頭で、景気の先行きについて「当面は下げ止まりの動きが次第に明確になっていく可能性が高い」との見通しを示しています。果たしてこのまま、今の「下げ止まり」=「回復の兆し」はうまく展開するのでしょうか。

景気回復動向は、よくアルファベットの形状になぞられます。その代表例が「V字回復」というヤツ。今回も、一部筋では日本のダメージは米国に比べればその比ではなく景気は「V字回復」が期待できるという、楽観的な声がありますが、果たしてどうでしょう。実際のところは、現時点で業況好転を実感しているのはトヨタ自動車はじめごく限られた業種の大企業ばかりであり、世間の大半を占める中小企業とその関係者をめぐる足元に関して言えば、まだまだ決して大きく改善はしていないように思います。

このような観点と今回の不況が業種が多岐にわたることも考え合わせ、国民の大半が景気回復を実感するまでにはまだ多くの時間がかかり「V字」よりゆるかな回復基調にならざるを得ないであろうと考えるのが、「V字」ならぬ「U字回復」なる回復カーブです(「V」に比べて「U」は登り方が緩やかな形を示している訳です)。さらには、同じ「U」は「U」でも、それが二つ並ぶ“ダブルユー”=「W回復」という見方も存在します。要するに景気の腰は決して底堅くはなく、現時点のような一度はゆるやかな回復基調に達しても、またもう一度景気は悪化し本格回復までにはさらにその後の緩やかな回復基調を待たなくてはいけないというものです。

さらにさらに、今の“景気底打ち”は認めつつも今後の見通しに関してより悲観的な意見を言う人の中には、「今回の景気回復は“ドットコム型”」という見解も出ているそうです。“ドットコム”=「WWW」、つまり「U」がふたつの“ダブルユー”=「W」がさらに3つ。景気は緩やかに上がってはまた下げ、緩やかに上がってはまた下げ、を繰り返し、本格的な好景気到来には相当な時間がかかる、とする見解です。この予測は、かなり厳しい見方ですね。ただ、今回の大不況の発信源である米国の現時点での先行き不透明感を考え合わせると、必ずしも厳しすぎる見方でもないようには思えます。

おまけにもうひとつ紹介しておく必要がありそうなのが、「L字回復」なる見方。底を打った状態が現時点の「下げ止まり」感であり、そこからさらに悪くなることはないもののよくなることもなく、延々「底這い」状態が続くというもの。ある意味、これが一番キツイですよね。「W」でも「WWW」でも、少なくとも上昇局面がある訳で、次に下降局面が待っていようとも、一時期潤うことで一息つくことが出来る訳ですが、「L」は一息つくことすらない訳ですから…。できることならこれだけは、避けたいものです。

この景気回復カーブに大きく影響を与えそうなのが、この先予定される総選挙の結果でしょう。政権政党の政策如何によっては、景気回復が「U」になるか「W」になるか「ドットコム(WWW)」か、はたまた「L」に陥ってしまうのか、にも大いに影響を与えるであろう大変重要な選挙になると思われます。その意味では、我々国民一人ひとりがムードやイメージばかりに流されて投票を決めるのではなく、各党のマニフェスト記載の政策内容に真剣に目を通す必要があるように感じています。

遂に登場!「シャイン・ア・ライト/ローリング・ストーンズ」DVD

2009-07-04 | 洋楽
遂に出ました。DVD版「シャイン・ア・ライト/ローリング・ストーンズ」です。予約をしていたことをすっかり忘れていたのですが、今週うちに届いていました。

これはちょっとスゴイのです。なぜって、名匠マーティン・スコセッシ監督によるライブ・フィルムですから。映画として昨年全国公開されていたのですが、「いずれ熊谷にも来るであろう」とタカをくくって待っていたら、結局今日まで来なくて見そびれていました。「熊谷には、2か所もシネコンがあるって言うのに、なぜやらんのだ!」とずっと怒っておったのですが、所詮は熊谷也。私が甘かったです。大宮に“生”ストーンズが来たんだから、熊谷に“シネ”ストーンズぐらい来てもよさそうなものなのにね…。

という訳で、待ちに待ったDVD化でした。早速見ました、見ました。まだ隅々までじっくりではなく“流し見”段階ですが、さすがマーティン・スコセッシ!映像処理やらカット割りやらのセンスが違います。収録場所が小ぶりなニューヨークのビーコン・シアターでして、「リックス・ツアー」の映像を収録した03年の4枚組DVD「フォー・フリックス」の、4枚目“シアター”とステージ的には同じコンセプトです。この“シアターDVD”、個人的に大のお気に入りなのですが、今回の映像の方が数段素晴らしいこと!もはや、「“シアターDVD”は用なし!」と言ってもいいほどの出来栄えです。衝撃度では「ギミー・シェルター」や「R&Rサーカス」に譲るでしょうが、ストーンズ史上最高レベルのライブ映像であることは間違いありません。

ドキュメンタリー・タッチで展開するフィルムですが、どこまで本当なのか?ライブ前にイラつくマーティン、何しろ事前準備段階ではバンドと連絡が取れない、当日もギリギリまでセットリストが渡されないなど、見ていて「えっ、ホントかよ?」の世界なのですが、イントロダクションでのマーティン対ストーンズの対決の構図がいきなり見る者を引きこんでしまう訳です(ライブ直前のマーティンの映像をしっかり押さえてあるあたりは、どうも“仕込み”っぽい気もしなくはないのですが…)。で、そんなことを詮索する間もなく、いきなりの「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」でのオープニングになだれ込むのです。その後は、「あーもうスゴい!スゴイ!どうにでもしてちょうだい」状態です。

年齢的に60代後半に突入したストーンズのメンバーを、“伝統のビーコン・シアター”のイメージを付加しつつ独自の映像処理でとらえ、還暦過ぎの「今」こそがストーンズ史上一番カッコ良いかの如く魅力を引き出しているのです。まさに“スコセッシ・マジック”。途中途中に、若かりし頃の彼らの映像とコメントが効果的に挿入されていて、それがまた“現在進行形”の「今の彼ら」との対比となり、結果「現在」を引き立てる効果も。スコテッシの代表作「タクシー・ドライバー」や、ザ・バンドの解散コンサートのドキュメンタリーとして名作の誉れ高い「ラスト・ワルツ」にも共通する、強い光が当てられた時の“陰影の如き”とでも言えそうなスコセッシならではの味わいが作品全編に漂っています。「シャイン・ア・ライト」?なるほど。このタイトルけっこう深いかもですね。

先の“シアターDVD”もそうですが、小ぶりな会場では明らかに選曲を変えてくる彼ら。スタジアム・クラスでは絶対に聞けないであろう渋い曲もあったりして、思わずニヤリでもある訳です。スコテッシが「早くセット・リストを…」とイラついた理由も分かります。スタジアムとシアターで同じノリにはならないはずですから。ミックがセット・リストづくりを本気で悩んでいたのも、あながちウソではないのかもしれません。

「いゃ~ぁ、やっぱり劇場で見たかったぁ~!」と思わせられます。そしてそして、当然“生ストーンズ”が無性に見たくなるDVDなのです。東京ドームの「Bステージ」間近で見た手が届きそうなミック、キースを鮮明に思い出しました。60代後半の彼ら、あと何回ツアーに出れるのでしょうか?次あたりが最後でしょうか。「絶対見るぞ!」と誓いを新たにした私でした。先に出たフーのDVD「ライブ・アット・キルバーン」も素晴らしかったけど、“現在進行形”のライブをパッケージした本作にはかなわないですね。この勝負(って別に本人たち勝負してないでしょうけど)、ストーンズの勝ちぃ!

“進化”を続ける日本企業のマネジメント・スキル

2009-07-03 | ブックレビュー
昔懐かしい「マッキンゼー式世界最強の仕事術」が文庫で出ているのを見つけ(とは言っても文庫初版は06年刊のようです)、思わず衝動買いしてしまいました。

★「マッキンゼー式世界最強の仕事術(イーサンMラジエル著ソフトバンク文庫660円)」

この本はもともと01年にハードカバーで出版されたもので、今回は文庫化による廉価版出版です。01年当時はけっこう話題になった記憶はありますが、文庫化されるぐらいですから売れ行きもかなり良かったということなのでしょう。もうひとつ、私の記憶。01年当時は比較的マイナーな出版社(英治出版)から地味な装丁で出されていたと思います。それがまた米国大手コンサルティング・ファームの秘密のノウハウを、こっそり教える禁断の書のイメージでもあり何とはなくワクワクさせられたものです。

さて、中身は“世界のマッキンゼー”で勤務経験の著者が、マッキンゼーの思想、スタイル、教育等に関して、一般のビジネスマンにも役に立つような切り口で書き連ねたものです。MECEの考え方、問題解決アプローチ、インタビュー・ノウハウ、プレゼン手法、チャート作成、コミュニケーション戦略等について、具体例をひきながら説明しています。こう記すと、「な~んだ、今よくあるカリスマ・コンサルタント本じゃん」と思う方も多いかもしれません。ちょっと待ってくださいよ、忘れちゃいけないのはこの本が出たのは、今から8年も前のことであるということ。勝間和代も小宮一慶も細谷功も世に出るはるか前のお話です。でありながら、今彼らが執筆している売れ筋“コンルタント本”の大半が、この本がネタ本なのではと思うほど近しい内容なのです。

つまり流れを逆に見てみると、今「コンサルタント本」がバカ売れする時代になったことで、便乗商売的にこの本が文庫再発されたというのが正しい解釈であるようです。今回の出版元はと言えば、商魂たくましいソフトバンクですし、さもありなんですよね。10年近くも昔の本ですから、今読むとやや食い足りなさも感じさせますし(例えば「フレームワーク思考」などは、当時はまだ“門外不出”であったのか、ほとんど触れられていません)、今の「コンサルタント本」の方がはるかに実践的で中身も濃いのかもしれませんが、「原点」を知る意味ではなかなか興味深い書籍であります。余計な加工を施されていない“原石”であるという観点でみれば、至ってオリジナルな世界的コンサルティング・ファームの精神を学ぶことができる、なかなかの良書であると思います(マッキンゼー出身の“大前研一氏的”「問題解決法」の根っこが垣間見れたりもします)。

また、内容そのものをひとつひとつ見てみると、今の時代にはもはや“目から鱗”的お話はほとんどないに等しいのですが、その事実はむしろ、専門ノウハウの一般への伝播による“進化”の早さを感じさせたりもするのです。これは先の“カリスマ・コンサルタント”たちの、精力的な執筆活動の成果であると言ってもいいでしょう。8年前には経営者にとってもビジネスマンにとっても、目新しくある意味興味津々に受け止められたマッキンゼー・スタイルが、今や日本のビジネス・パーソンにとってはごく普通のマネジメント・スキルとして受け止められる時代になった訳ですから。大変な“進化”です。

01年と言えば日本が金融危機から這い上がる最中の、ある意味最も企業にマネジメント・スキルに対する吸収力のある時代でもありました。戦後の高度成長が敗戦からの再建パワーのなし得た産物であったように、日本企業は逆境を乗り越えるたびに必死に新しいノウハウを身につけスキル・アップしてきた訳です。翻って今は、昨年来の“100年に一度の大不況”からの回復局面にあり、ある意味01年当時以上に、日本企業のマネジメントには吸収力が期待できる時期でもあります。今後さらに8~10年の後には、「ブルーオーシャン戦略」など今はまだ目新しい外来の経営戦略が、ごくごく普通のマネジメント・スキルになっているのかもしれません。8年前に書かれたマッキンゼーのノウハウ本を、今改めて読んでみて、そんな事を感じた次第です。

経営のトリセツ64 ~ すぐに使える「見える化」のヒント6

2009-07-02 | 経営
これまでの管理者経験や各社における「見える化実践効果実績」を踏まえて、現在中小企業向けの基本管理における「見える化」のあり方を書籍にまとめようと動き出しました。以下はそのラフ段階での“要素出し”です。「見える化必要項目」という基準で抜き出してあります。ラフ段階なので、レベル感のバラツキはかなりありますが、基本は可能な限りすべて「見える化」に取り組むべき項目ばかりです。まだまだ沢山ありますし、十分な解説をしないと分かりにくいものも多々ありますがとりあえず、自社でできているか、できていないか、チェックリスト的にご活用ください。

<経営の見える化>
・「経営理念」の見える化→文書化+朝会唱和+掲示
・「経営方針」の見える化→文書化+掲示
・「経営目標」の見える化→数値化+配布
・「戦略」の見える化→会議&文書化+配布
・「戦術」の見える化→会議&文書化+配布
・「業績」の見える化→月次、四半期、半期、年度決算の社内公表

<社長の見える化>
・考えの見える化→定例ミーティング+朝会+会議
・居場所の見える化→レイアウト変更
・予定の見える化→公開スケジュール表
・社長への疑問の見える化→社長質問箱制度&回答の公表

<会議の見える化>
・「目的」の見える化→アジェンダ
・「議題」見える化→アジェンダ
・「議論」の見える化→レジュメ+ホワイトボード活用
・「説明」の見える化→レジュメ+データ主義浸透
・「結論」の見える化→議事録
・「報告」の見える化→レジュメ

<業務の見える化>
・業務プロセスの見える化→業務の標準化(チェックリスト)
・事務の見える化→事務マニュアル
・担当者の見える化→業務別・プロジェクト別面メンバー一覧掲出
・責任者の見える化→業務別・プロジェクト別面メンバー一覧掲出
・業務進行の見える化→締切主義+報告主義
・実績の見える化→文書定例報告(日時、週次、月次、四半期、半期、年度)
・トラブル発生の見える化→“さわぐ化”制度

<指示命令の見える化>
・指示・命令内容の見える化→オーダーリスト
・締切の見える化→オーダーリスト
・進捗の見える化→中間報告

<自分の見える化&相手の見える化>
・人物の見える化→名札を付ける(相手:来訪者)
・受付者の見える化→電話で名を名乗る(相手:架電者)
・考えの見える化→随時ミーティング+質問習慣化+会議発言
・感情の見える化→随時ミーティング+質問習慣化+挨拶励行
・居場所の見える化→オフィスレイアウト表
・行動の見える化→朝会+行き先ボード+行き先カード
・提案・意見の見える化→提案制度
・業務停滞の見える化→ヘルプ制度

<情報の見える化>
・伝達事項の見える化→朝会+掲示板+回覧板
・入手情報の見える化→朝会+日報+随時ミーティング+会議
・トラブル&クレーム情報の見える化→トラクレ・シート+会議

<オフィスの見える化>
・モノの在り処の見える化→整理整頓+5S運動
・フロアの見える化→ワンフロア化&レイアウト変更
・要るモノ、要らないモノの見える化→赤札制度
・机上の見える化→帰宅シート
・置き場所の見える化→表示徹底
・保管物の見える化→箱詰め&袋詰めの禁止+クリアファイルの活用
・始業、就業の見える化→チャイム等
・良い例・悪い例の見える化→写真掲示

<人事の見える化>
・人事制度の見える化→制度改定
・評価制度の見える化→制度改定&データストック化
・給与制度の見える化→制度改定
・勤務規則、規律の見える化→ルールブック作成+朝会読み合わせ
・社内人事状況の見える化→人事会議
・教育方針の見える化→研修派遣等の目的公表

<コミュニケーションの見える化>
・不平不満の見える化→定期的面談
・打合せの見える化→オープンスペース会議
・「ほめる」の見える化→好事例発表+定例表彰

いかがですか。早期にまとまった形にして、多くの方にご活用いただけるようにしたいと思っています。ブログでは引き続き項目ごとに取り上げ解説を加えていきます。