日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

サイモン&ガーファンクル At Budokanに思う

2009-07-18 | 洋楽
最後の来日と言われ注目を集めたサイモン&ガーファンクルの日本公演が、本日の札幌公演で終了します。私は宣言どおり15日の武道館を、しっかりこの目に焼き付けてまいりました。

これまで2回の来日ツアーも含め、彼らの日本公演はすべて各地ドームでのもの。その意味では、まさしく“最初で最後唯一の武道館”。アーティがMCで「ブドーカン、ヤット」と言っていたように、彼らにも思い入れのあるハコであり、本当に貴重なライブであったと思います。オープニング・フィルムの後、割れんばかりの大喝采の中、いきなりステージ中央、アコギを抱えたポールと脇に立つアーティがスポットライトに照らし出され、奏でられたのは、ポールのギター一本での「旧友」。世界に誇る“ロックの殿堂が、世紀のフォーク・デュオの美しいハーモニーに満たされる一夜はスタートしました。

間にアーティ、ポールのソロコーナーをはさみつつ、「アイアム・ア・ロック」「アメリカ」「スカボロ・フェア」「ミセス・ロビンソン」「コンドルは飛んでいく」等々彼らの代表曲の数々を、原曲のイメージを損なわない工夫を凝らしつつも今風のアレンジを施して、披露してくれました。バックメンたちの腕前も素晴らしく、パーカッシブなアンサンブルの心地よさに加えて曲によってはチェロやアコーディオンも登場し、本当にお見事の一言。むしろ、全盛期には当然のこと及ばない二人の歌声の方が、演奏に見劣って映るぐらいの印象でした。

個人的にヤラれた曲は、2曲目「冬の散歩道」のロックっぽい武道館的カッコよさ、意外な選曲だったいかにもポールらしい「ニューヨークの少年」、それとポールのソロでバックのサックスがメチャクチャすごかったザ・AOR「時の流れに」。ラストの「マイ・リトル・タウン」エンディングから、必殺「明日に架ける橋」のキラー・イントロ・ピアノにつなぐ演出は鳥肌モノでした。そして2回目のアンコール1曲目で、興奮をアイスブレイクさせるかのようにポールのアコギ一本で聞かせた「木の葉は緑」にもやられました。

印象的だったのは、アーティのソロ・ツアーとは違う輝きぶり。アーティスト、ポールはソロでもデュオでもさして変わったところはないのですが、シンガー、アーティはソロとデュオでは明らかに輝きが違います。それと、ポールとアーティが、ソロも3曲づつ歌い、「ニューヨークの少年」なんていうアーティを皮肉った歌もさらりとこなし、「明日に架ける橋」では1番2番を仲良く分け合うなど、昔では考えられない二人の仲良しぶり。御歳67歳の二人ですから、今さら自己主張でもなく、心穏やかに今また二人でできる喜びを噛み締めつつこれまでを総括しているかのようでもありました。

PAの出力がもっと大きくてもよかったとか、ポールの「アメリカの歌」が聞きたかったとか、武道館用サプライズが欲しかったとか、欲を言えばキリがないのですが、やはり本物の「60年代70年代」を生で聞く貴重さは何モノにも代えがたいと、つくづく思いました。70歳を目前にして、一般に言われるように、彼らの来日はこれが最後とか。ストーンズもフーもディランもエルトンも、次あたりが最後か、もしかしたらもう次を見ることなく活動に終止符を打つかもしれないのです。ポピュラー音楽の歴史を作ってきた彼らの生ステージを見れるチャンスは、この先どんどん減っていくことでしょう。

今回、当初サイモン&ガーファンクルを見に行くかどうか悩んだ私ですが、歴史的アーティストを生で見れるチャンスがあるなら、これからは迷わず見に行くべきであると改めて思った次第です。次はさしずめ9月の「ライ・クーダー&ニック・ロウ」かなって、少々マニアックですかね。