日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

八ッ場ダム問題~対話による解決を

2009-09-24 | ニュース雑感
このところの八ッ場ダム建設中止関連報道に思うところです。

建設検討から57年、民主党政権の下建設の白紙撤回が宣言されたお隣群馬県の八ッ場ダム。26日に現地視察をした前原国交相は、予定していた地元住民との意見交換会を中止決定の白紙撤回を求める住民側のボイコットで実現できず、初回視察はやや空振りに終わった感が否めませんでした。長年にわたって、建設か中止かのはざまで翻弄され続けたのはまさに住民の方々です。自分が住む地区の国策による移転の決意を求められ、ようやく合意したその後に今度は中止。この点は、住処をいいように操られるその立場になってみれば、辛いことこの上ないであろうと心から同情申し上げるところです。

しかしながら一言言わせていただけば、昨日の意見交換会拒否は感心いたしかねます。やはりどんなに辛い問題、どんなに理不尽な問題であろうとも、対話=コミュニケーションなくして解決の道はないと思うからです。ダム建設中止をマニフェストに掲げた政府=民主党としても、政府公約となった今、口を閉ざしたままの相手に対して「それなら白紙撤回をします」とは言えない立場であることは理解をしなくてはいけないのではないでしょうか。民主党がマニフェストに掲げた段階では十分な調査ができていなかったことも考えられますし、十分な調査、ヒアリングもしないで無条件中止を地元に飲ませるようなそんな無責任な旗振りであるなら、それこそ世論が中止を許さないと言う流れにもなりうるハズです。今はまず、対話を再開し自分たちの積年の思いを政府=民主党に対して、力強く訴えていくことこそが大切ではないかと思うのです。

ビジネス・シーンでも、組織運営でも全く同じようなことがよくあります。交渉事や調整事の当事者の一方が、納得がいかない、承服しかねるという事象にぶちあたったとき、その立場の者が“聞く耳を持たない”というやり方で解決策を見出すことはほどんど皆無と言っていいと思います。ビジネスや組織も一般社会も人間と人間が関わり合ってはじめて成り立つものであり、そこになくてはならないものは常にコミュニケーションに他なりません。コミュニケーションを一方的に拒否することには何のプラスもないと私は考えます。

細かい事情を何も存じ上げない私如きが余計な口出しであるとは思いますが、まず話し合うことで世論に対しても正当な判断材料を提供していくことができるでしょうし、民主党の判断が誤っているのなら、判断材料を対話を通じてマスメディア経由で提供することにより世論を動かすことも可能であると思うのです。今のままでは、むしろダンマリは世論受けも決していいものではなく、この状態が続いてしまえば「住民側は自分勝手なわがままをい言ってるのではないか」とすら思われてしまうリスクもあると思います。

対話の中でいろいろな譲歩や折衷案など、ある程度満足のいく解決策も生まれないとは限りません。でも何事も前に進めないことには、どんな妙案も決して生まれえないのです。住民の皆さんには、一日も早い対話再開を心からおすすめいたします。一方民主党政権は相手軸に立った対話を続けながら地元住民の気持ちを十分に思い諮ったうえで、政府として一方的な中止決定だけに終わらない解決策を提示する責任があると思います。そして、その議論の末出される最終解決案と計画進行のどちらがより国として選択すべき道であるのかを、世論にも問いかけながらその段階であたらためて慎重な判断の下に決定を下していくべきであると考えます。

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