日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

「エコカー減税」ドタバタ打切りに見る「公務員改革いまだ“進捗ゼロ”也」

2010-09-09 | ニュース雑感
景気回復のカギを握る「エコカー減税」が、9月末の終了期日を待たずに突如7日で終了となりました。

期間満了前の終了は予算に限りがあるわけでやむを得ないところではありますが、その終了の仕方はいささか首をかしげたくなるおかしな流れでありました。「エコカー減税」が8月の駆け込み需要で予算残高が9月末まで持たない可能性があると伝えられたのが今月はじめ。3日には「このままペースで申請があれば、早くてあと10日ほどで終了」とアナウンスされたかと思ったら、7日には「明日にも終了」と10日後どころかわずか3日でいきなりの“終了予告”をおこない、翌8日に「終了宣言」。しかも「8日申請分はすべて受け付けない」としたのでした。

まず気がつく問題点ですが、「予算の残高がなくなった時点で終了する」というルールと期間中一定間隔で「現時点での残高がいくらで、一日平均いくらぐらいの申請金額があるか」ということが、国の責任においてしっかり国民に伝えていたのかということです。もしアナウンスがあったのだとしても、少なくとも時事問題に関心の高い私の元にも全く届いていませんでした。申請が車の購入契約日にはできないという点に関するアナウンスも不足していたと思います。運輸局への登録が完了した段階ではじめて減税申請ができるのであり、通常は7~10日程度かかるようです。つまり、当局が「9月末までもたないかも」とアナウンスした今月はじめの段階で、「これはマズイ」と急遽購入を決めた人でも今回の“減税打ち切り”には間に合わなかった計算になるのです。ホント不親切極まりないです。

そして何より、今月に入ってからの突然の打ち切り予想発表と予想を大幅に裏切る早期終了のドタバタ不手際です。「終了」の結果は仕方ないとしても、あまりな急展開は利用者の立場を全く考えない完璧な“お役所仕事”です。7日に「明日にも打ち切り」と言われてギリギリ翌8日に申請が間に合った人も結局予算オーバーで切り捨てられたのですから、結局7日で打ち切ったのと同じ結果になったわけで、これはホントお粗末極まりない。恥の上塗りです。役人が各運輸局への新車登録申請状況を追いかけていれば、少なくとも一週間先の予算残高まではほぼ日足ベースで把握できたハズじゃないでしょうか。役所の管理不在の手抜き加減は、国民をなめ切っているという他ありません。民主党政権になった直後は、抜本的公務員改革を行うと威勢がよかったもののなにひとつ変わっていないわけで、無駄をなくすばかりが公務員改革ではないということを、役人はもとより政治家も分かっていなかったということの象徴的出来事であるように思います。

しかもおまけに、7日申請分までで打ち切りとなった事を弁明した担当大臣の直嶋経済産業相は、「公平感を期した結果」として打切りへの理解を求めたのみ。分かっていないですねこの人も。公務員が自民党政権時代となにひとつ変わらぬ“お役所仕事”であった不手際を詫びるでもなく、不手際の原因究明と再発防止を宣言するでもなく、弁明だけですから。「ないモノはないのだから理解しろ」と開き直りともとれるこの態度を見るに、真底ダメな大臣だなと思わされました。政治家が“お役所仕事”の問題点に気がつかないなら改善など望むべくもありません。減税策終了で自動者産業の業績下降を心配する論調ばかりが目立った今日のニュース、景気の先行きも心配ではありますが、私にはむしろ“国民目線”を植えつけるべき公務員改革は結局お題目で終わるのか、という失望感に満たされた気分の方が圧倒的に大きく残った嫌な出来事でした。

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