日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

女性の登用は、まず官庁が率先垂範すべきと思う件

2014-11-04 | ニュース雑感
女性登用に関する数値目標の設定・公表を民間企業と国や地方自治体に義務づける女性活躍推進法案が31日、衆院本会議で審議入りしました。

政府はこの法案を、アベノミクス成長戦略の看板政策である「女性の活躍推進」を具体化する重要法案と位置づけており、2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%に引きあげる事を盛り込んでもいます。これを具体的におしすすめるため、この法案をその起爆剤としたい考えのようなのですが、個人的にはどうも民間への押し付け的印象が強く、現実味を感じにくいとでも言うのでしょうか。どことなく空虚な感じがしているのです。

私が思うに、国が法案を推し進めながらも国自体の意気込みが感じられないと言う印象が、空虚さを演出しているのではないのかと思うわけです。何といっても、民間以上に女性の登用が進んでいないのが国家公務員だったりするわけでして。国家公務員の管理職(課長職以上)に占める女性の割合は、平成25年度データで実に3%でしかないのです。
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h26/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-01-06.html

省庁別のデータは、平成24年度分が最新のようですが、財務省1.7%、経産省1.6%、国交省に至ってはなんと1.0%。主要官庁ほど登用率が低いと言う結果になっているように思えてならないところです。総職員数に占める女性職員は17.5%もいるわけですから、もう少し何とかならないのかという気分にならざるを得ない数字ではあります。

スイスの研究機関「世界経済フォーラム」が28日に発表した「国際男女格差レポート2014」においても、日本は142カ国中104位と低水準で、主要7カ国中では最下位という体たらくであるわけです。欧米に比べて女性登用が遅れている大きな原因と思しきが、我が国の官僚組織に古くから厳然と根付いている「男尊女卑」の風潮こそにあり、それが民間にも悪影響を及ぼしていると考えるのはあながち間違いではないでしょう。

“お上”が率先して女性の登用をしてこなかったからこそ、主要民間企業もまた“上へならえ”となってしまったわけでして、ここで国を挙げて女性登用に大きく舵を切るのならば、民間と国が同時並行ではなくまずは国が率先して登用率をあげ民間をリードして行く必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。民間に根拠のない目標数字を掲げさせたところで、数字合わせに終始するのは目に見えるようじゃないですか。

とりあえず20年に30%という根拠レスな目標を掲げる前に、3年後を一区切りとして省庁全体で女性活躍プロジェクトを大々的に展開し、結果女性の採用が何%までに上昇し女性の管理職が何%になるのか、まずは手本を示してもらいましょうというのがいいように思っています。

官僚の皆さんはアタマの良い方々ですから、政治が本気となれば数字合わせをしてもお話にならないので、どうしたら女性登用が進むのか彼らも本気で考えて行動をとるのではないでしょうか。そうなれば、結果として官僚組織に根強く残る男尊女卑の考え方が少しでも和らぐのではないかと。で、その実績を持って民間に対して「官庁の女性登用率を手本にしましょう」と迫るなら、官民共に本気モードでの取り組みができるのではないかと思うのです。

政府が長期戦略の目玉としているものに対して、官の率先垂範がなければ民間も本気で取り組むことは期待薄です。結局数合わせに終始して本当の意味での女性登用は進まないのではないかと懸念するわけです。政府が本気取り組む気があるのなら、まずは国自らがその姿勢において範を示す、女性活躍戦略の成否はそこにかかっているのではないかと切に思う次第です。

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