日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

上海雑感2

2009-09-10 | その他あれこれ
一昨日中国のマナーの話をしましたが、もうひとつ今回目にしたいかにも中国らしいモノを紹介します。

朝と晩に70チャンネルほどあるホテルのテレビをつけていると、そのうち20チャンネルほどでやっているのが通販番組。日本でも深夜の通販番組はけっこう盛んですから、それ自体は別に珍しくないのですが、問題は扱っている商品です。キンキラ時計や磁気ネックレス、体型矯正下着、豊胸薬などなど、見るからに怪しそうな商品の数々が、あちこちのチャンネルで紹介されているのですが、極めつけはiphoneのソックリ商品です。色、形、大きさ、操作性等々、一見するとそれは完璧にiphoneのそれであり中国語の音声でも「アイフォン」と言っているように聞こえたので、一瞬「アップルが中国で通販?」と我が目を疑ったほどです。

そのまま映像を追いかけて行くと、裏蓋が開いてSDカードのようなメモリーカードが出し入れできるようになっており、ここで完璧に“まがい物”と判明しました。よくよく見てみると、商品名は「miphone(マイフォン)3G」。アタマに余計な“m”が付いています。それにしてもよくできています。ディスプレイ上のアイコンもソックリなら、指操作での拡大縮小、ページめくりまで本物とおなじなのですから…。お値段は「今なら価格」で998元。日本円換算で約15000円ですから、ニセモノとしては決して安くはない水準です(「3G」は、第三世代ではなくメモリー3ギガ搭載の意?)。

この手の商品、上海の“ニセモノ市場”あたりでは決して珍しくないのですが、問題は公共の電波に乗って堂々と販売されている点です。堂々と販売しようという販売元もさることながら、商品を吟味して電波での流通の可否を審査すべきテレビ局側も大いに問題ありな訳です。昨年の北京五輪前には“ニセモノ遊園地”の粛正や“ニセモノ市場”廃止(実際は移転だったようです)など、大々的な知的財産権意識強化キャンペーンが繰り広げられたはずですが、なんのことはないこのあり様です。“モノマネ”もそれなりの技術として認知されるかのような罪の意識のない国民性は、一向に改まっていないようです。将来的にはGDP世界一が予想されている大国がいつまでこの文化を放置し続けるのかと思うにつけ、なんとも歯切れの悪いモノを目にした気分にさせられました。