日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

ブックレビュー~「なぜあの人は整理がうまいのか/中谷彰宏」

2009-09-11 | ブックレビュー
★「なぜあの人は整理がうまいのか/中谷彰宏(ダイヤモンド社1300円)」

メンタツこと「面接の達人」はじめ多くの著作で知られテレビでもおなじみ、中谷彰宏氏の近作です。約2カ月で4刷になっているので、興味本位で読んでみました。

テーマはとにかく「捨てる」ことの効用。この1点につきます。一貫してモノが捨てられない、部屋や机の上が散らかっている人は「運気を逃している」という教えです。「スペースが空いていない人の机や部屋には神様が降りてこれない」って本当に言いえているように思います。私がこれまで見てきた多くの企業でも、社内が整然としていない、古いファイルや書籍が書棚にいつまでも入っている、何が入っているかわからない段ボール箱がフロアに置かれている、そんな会社はたいてい問題が山積しています。問題がある部門のスタッフの机の上はたいてい整理ができていないません(特に管理者!)。そんな簡単なことに手をつけるだけで、業績がもっと伸びたり会社がもっと良くなるのに…。いつも思っています。まさに「5S」のススメ。著者のおっしゃる通りです。結局モノを捨てない、整理ができないことで「悪い運気」が社内に蔓延してしまうというのが著者の論理です。なかなか言い得ていると思います。

個人も同様なようです。「使わないモノが運気を下げる」「部屋の状態はその人の心理状態」「モノが増えると視野が狭くなる」「いらないモノをたくさん持っている人は、動きが遅く忘れ物が多い」…。なるほど、けっこう思い当たる部分多いのではないでしょうか。幸い私は会社勤め時代にオフィス移転を経験して、その時に「捨てることの効用と重要さ」を学びました。確かに考えてみると、私もそれ以降多少運気が上向きになってきたように思います。ちょっと油断しているとすぐに余計なものというのは増えてしまいますから、「捨てる」クセをちゃんと身につけないと運気が下がってしまのかと思うと怖いですね。あなたの会社内に成績が伸びない部門や、やる気が出ないという人がいるようなら、まずはその部門や人の机まわりやオフィス環境の整理整頓状況を確認してみてはいかがでしょうか。整理整頓ができていないなら、「捨てない」「汚い」「雑然」が運気・ヤル気・前向きを奪っていると考えて間違いないと思いますよ。

本書中で私が特に気に入った項目は、「探す時間にチャンスを失う」「捨てた量だけ元気が出る」「毎週1回モノを捨てる日を決める」の3つです。どれも個人・ビジネス共通に言い得ていることであると思います。深みは全くありませんが、「捨てる」という発想と行為の大切さを改めて認識させてくれる1冊です。散文的で軽妙な書き方であり、1時間でラクラク読破できます。10点満点で8点。気分転換の軽い読み物としては、なかなかなんじゃないでしょうか。欲を言えば、文庫で600円なら文句なしですね。