(11)バイロイトの一日
バイロイトの一日は長い。
以下は公演のある日の一日のスケジュールだ。
朝食後、9時から12時まで、当日の演目のリブレットを読む。ワーグナーの楽劇は長いので、リブレットを読むにも時間がかかる。
昼食のため外に出て、午後1時に戻る。その後、支度をして、午後3時にホテルを出て、祝祭歌劇場に向かう。
午後4時から10時30分まで公演を観て、その後、ホテルへの道すがら、レストランで遅い晩食を終えると夜12時だ。
バイロイトの一日は短くもある。
公演の直前にビール、ワイン、シャンパンなどを飲むと、公演中眠くなるので、飲まない。ほかの飲料も、公演中尿意を催すといけないので、飲まない。恥ずかしい話、最近トイレが近くなったので、午後1時以降は、食事もしない。公演中異変が起こったら大変だからだ。
結局、午後1時から遅い晩食にありつく午後11時まで、何も飲み食いできない。かなりの苦行であることが分かろう。
長い公演時間を椅子に座り続けることが苦痛であることはすでに述べたが、祝祭歌劇場ではこの苦痛もまた格別だ。
このように、いろいろ、苦痛・拘禁・緊張が重なるので、バイロイトでは、公演の休みの日に、観光などでさらに体を酷使することは考えなくなる。
最後の公演の終わった後は、レストランに立ち寄る気力もなくなり、まっすぐホテルに帰り、ミニバーのビールを一本開けて、ベッドに倒れ込んだ。
(12)バイロイトの街並み
バイロイトの夏は、朝は涼しいが、昼間の日差しは厳しい。空気は乾いている。夜は9時まで明るい。
この感覚はどこかで経験している。そう、5月のプラハと瓜二つなのだ。
バイロイトがチェコとの国境に近い街だということを納得させられる。
バイロイトの街はいたって清潔。家々の窓には花々が飾られ、道行く人たちを和ませる。こちらでは、色の鮮やかな花、別のことばでいえば、どぎついほどの原色系の花が好まれているらしい。
人びとの服装は立派なもので、一目で裕かな人たちだとわかる。
バイロイトの街は小さい。私のホテルから南へ緩やかな坂を上ると、10分ほどで、街の中心のマクシミリアン通りに出る。通り Strasse と称しているが、広場といった方が適当だ。太い、しかし、太さが一定でない通りが続いていて、そこに、カフェのテラスが張り出している。ヨーロッパの都市(ウィーン、プラハなど)の旧市街に見られる典型的光景だ。
歩いている人には、煙草を銜えた人が多い。アイスクリームをなめながら歩く人よりも多い。どちらも嗜まない私だが、できたら、アイスクリームをなめながら歩く人が多い方が好ましい。女性の喫煙者が多いのが目立つ。
広場にも、通りにも、露店はほとんど出ていない。これは、ウィーンなどの街と違うところだ。果物屋の露店は見かけたが。 (2009)
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