(4)明日では遅すぎる
通勤電車の車内広告で、気になるものが時々あります。以下はその一つです。
「過払い返還請求が曲がり角にきています。明日では遅すぎるかもしれません。」ある司法書士事務所の出している広告です。
消費者金融など高利で貸し付けを行う業者が過去に「グレイゾーン金利」を適用して借り手から利息を取りすぎていた事案について、司法書士が借り手に代わって、高利貸付業者と過払い返還交渉を行い、うまくいった場合には、「成功報酬」として、返還額の20%を借り手から徴収する、というビジネス・モデルです。
ところが、過払い返還請求に応じてきた高利貸付業者の中には、当然のことながら、経営が急速に悪化するところが出てきました。消費者金融大手のアイフルは「事業再生ADR手続き」を申請しています。また、同じく消費者金融大手の武富士は、一時は一株15,000円だったものが、現在では、一株340円です。実に、株価下落率98%弱という惨状です。
このように、「過払い返還請求」の環境が変わってきていることは事実です。高利貸付業者がこけたら、「過払い返還請求」そのものが実現しません。
冒頭の司法書士事務所の広告は、この趨勢を訴求して、借り手に対して、「早く、うちに駆け込みなさい」といっているのでしょう。
それにしても、何という、露骨な広告でしょう。借り手にあせりを植えつける意図が見え見えです。JARO(公共広告機構)の基準に適合するのでしょうか?
さて、「明日のエコでは間に合わない」というキャンペーンをNHKが繰り広げています。上記の司法書士事務所の広告と同じ手法で、聴視者にエコ推進を「急げ!急げ!」と急き立てています。NHKらしい、何と尊大なキャンペーンでしょう。 (2009/10)