静聴雨読

歴史文化を読み解く

短いことば

2008-04-22 06:43:25 | 介護は楽しい
母の最近の関心事はもっぱら食事です。糖尿病で1200kcalの熱量制限を受けているので、絶えず空腹感が襲うようです。

食事の時に、「うまいか?」と聞くと、うまいときには「うみゃ」といいます。デザートなど、特に気に入ったときは、「うまい、うまい!」と重ねます。
母にとって、「うまい」と「甘い」が同義語のようです。そういえば、二つのことばの語呂が似ています。

うまくないときの表現は様々です。
「うまくにゃあ」「まずい」ということもあれば、「普通」ということもあります。
「よう判らん」というときもありますが、これも「うまくない」を表わすことばです。
黙っているときもありますが、これもまた、「うまくない」を表わしています。
うまくないときの表現が豊富なのはなぜでしょう?

元気のいい時は、「まずいけど、食べる。」といいます。「食べないと腹が空いて困るから、無理して食べておく。」という意味です。

私が見舞いに訪れると、以前、元気な時は、まわりの人に、
「これ、わたしの息子なの」
というのが常でした。
その後、
「わたしの息子なの」
となりました。「これ、」が取れたのです。

今は、
「わたしの息子」
というのが普通です。「なの」も取れました。

このままでいくと、いずれ、
「息子」
とだけいうのではないかと思います。

ことばがどんどん短くなっていきます。

食事がうまくなかったときも、いずれは、「まずい。食べる。」というようになるのではないかと推測しています。  (2008/4)