静聴雨読

歴史文化を読み解く

ことばの力(近代の詩人たち・2)

2008-10-17 07:36:15 | 文学をめぐるエッセー
(2) ことばの力

詩とは何か? 多くの人がこの疑問に対する回答を与えてきたと思うが、私は、不勉強でそれらを知らない。

私は、「詩とは、『ことばに力を与える営み』だ」と考えている。ことばの力を信じる人が詩人である。そういう単純な回答を用意している。

それでは、「ことばの力」とは何か?
ことばが本来持っているはずの喚起力のことだ。喚起の対象は、新しい感情であったり、未知のものへの好奇心であったり、ことばの組み合わせによって生ずることばの化学変化(のようなもの)であったりするが、個々の詩人は、何らかの方法で、これら、新しい感情、未知のものへの好奇心、ことばの化学変化などを紡ぎだす営みをしているのではないか。

前回、日本近代詩の詩人たちを、難語派、平語派、技巧派に分類することを提案したが、これは「ことばの力」をどのように掘り出すかという「詩の作法」に注目した分類にほかならない。

再度、その定義を載せると:
・難語派(ことばに何かを象徴させて、読み手を異次元に誘う詩人たち)
・平語派(俗なことばを使いながら、読み手に感興を与える詩人たち)
・技巧派(ことば使いの技巧によって、読み手を驚かす詩人たち)

そして、それぞれを代表する詩人は次の通りだ:
・難語派(北原白秋・宮沢賢治・西脇順三郎・吉本隆明)
・平語派(中原中也・中野重治・伊藤 整)
・技巧派(萩原朔太郎・草野心平)

次回から、詩人一人ひとりを紹介していきたい。 (つづく。2008/10)


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