静聴雨読

歴史文化を読み解く

ブログの作法

2008-06-16 05:02:16 | Weblog
「作法」というと大げさですが、ブログを続けていく上で、自らに課している事項がいくつかあります。

その一つは、匿名性を保持することです。
世の中には有名人の告知・宣伝用のブログがありますが、私は有名人ではありませんし、特定の事項について告知・宣伝する必要もありません。

ごく普通の人のブログとしては、書き手の匿名性と読者の匿名性は守りたいと思っています。登場する人物は、公的な人物の場合を除き、人となりを詮索させない配慮が必要だと思います。

逆にいえば、匿名であっても「読ませる」コンテンツでなければならない、と考えています。

二つめは、仲間内のオシャベリを慎みたいと考えています。
匿名の読者にとって、書き手とその仲間のオシャベリほど読むに耐えないものはないでしょう。

それで、コメントについても、一度か二度のやりとりに止め、深入りしないようにしています。

三つめは、短時間で陳腐化するテーマを避けることです。
もちろん、「社会斜め読み」のカテゴリーに属するコラムは、時事批評・社会時評の面がありますので、陳腐化する恐れのあるテーマも扱います。

しかし、その際にも、できるだけ、大きく引いて見ると大きなテーマに発展するようなものを選んでいます。「公共禁煙」・「国会制度」・「大食いの習慣」・「接客サービス」などは、このような考えで選びました。 (2008/6)

池内紀の仕事・2

2008-06-08 06:21:53 | 私の本棚
その5。読書の達人として。

池内紀に、「101冊の図書館」、1993年、丸善ライブラリー、があることを最近知って、早速読んでみた。

これもまた、「読書の達人」のなせる業だといえよう。
池内の選んだ本は、ドイツ語圏文化にとどまらず、古今東西にわたっている。総じて、古典や名作は多くなく、ちょっぴり味のある本が多く選ばれている観がある。

図らずも、池内と私に共通する嗜好も垣間見える。例を挙げれば:
梶井基次郎「桜の樹の下には」
ガルシア=マルケス「族長の秋」
曽良「随行日記」
魯迅「雑文集」
尾佐竹猛「賭博とすりの研究」
大石真人「全国いで湯ガイド」
レニ・リーフェンシュタール「回想」
村井弦斎「食道楽」
石井研堂編「異国漂流奇譚集」
伊藤整「雪明りの路」、など。

読んでよかった本を101冊選んで仮想図書館を作るという池内の試みは、現在進行中の私の「究極の本棚」に共通するものがある。私の場合は、「読んでよかった本」ではなく、「これから死ぬまでに是非読んでみたい本」を選ぶのである。その際、過去に読んだことがあるかないかは問わないことにしている。

池内のひそみに倣って、古典や名作以外のものを多くしようかとも思案中だ。 (終わる。2008/6)