静聴雨読

歴史文化を読み解く

アブラゼミの異変・2

2011-07-31 07:39:03 | わが博物誌

 

と、上のように書いた7月29日に、ようやく、アブラゼミの初鳴きを観測した。ミンミンゼミの初鳴き(7月18日)から11日遅れだ。平年では、ミンミンゼミの初鳴きから2日ほど遅れて初鳴きするのがアブラゼミなので、アブラゼミとしてはかなり遅い初鳴きだ。

 

セミは、地中にいる間の温度の累積が一定以上になると、地上に出て羽化するといわれている。アブラゼミの必要とする累積温度がミンミンゼミの必要とするそれよりわずかに多いために、2日遅れの初鳴きの結果をもたらす、というのが通常の理解だ。その解釈では、今年のアブラゼミの初鳴きの遅さを説明できない。

アブラゼミの生態に何か重大な変化が起こっているのではないかと思う。素人は、その解明には力が及ばない。ぜひ、昆虫学者や生物学者の解明を待ちたい。

 

なお、アブラゼミについては、ほかにも、その個体がここ10年ほどの間に1mmほど小さくなったのではないかという疑いを持っている。実測データを持っているわけではないが、そう感じる。この点についても、専門家の見解を聞きたいものだ。  (2011/7

 


アブラゼミの異変

2011-07-29 08:54:34 | わが博物誌

 

そろそろこの話を持ち出してみようと思う。

今年の夏は梅雨明け前から猛烈な暑さに見舞われ、梅雨明けも早かった。しかし、梅雨明け後は、台風が襲来したり、長雨が続いたりと、不順な気候が続いている。

 

その中で記録した首都圏のセミの初鳴き日は次の通りだ:

 

7月11日 : ニイニイゼミ(平年並み)

7月18日 : ミンミンゼミ(平年より5日早い)

7月22日 : クマゼミ(首都圏でも観測されるようになった)

7月25日 : ヒグラシ

 

おやおや、アブラゼミはどうしたのだ。一向に鳴かないではないか?

 

首都圏のセミの中では、アブラゼミは最もメジャーなセミだったはずだ。その個体数はミンミンゼミの5倍ほど。ミンミンゼミから2日ほど遅れて初鳴きを記録し、以後は、まったくうるさく夏を支配するのがアブラゼミのはずだ。

それが、今年は鳴かない。今のところ、一匹も視認もしていない。

 

こんな異変は経験したことがない。

ただし、ここ5年間ほど、アブラゼミの勢いにかげりが見えていることは確認している。しかし、まったく鳴かないし視認もできないなどという事態は考えられないことだ。

 

この異変を世間はどう思っているのか?

今のところ、メディアなどで、この異変が報道されていない。昆虫学の識者の見解も目にしない。まったく不思議なことだが、事態を見守るしかないのだろうか? (2011/7

 


夏の夜の暴れ者

2011-07-19 07:28:39 | 身辺雑録

 

新しい部屋に越して、別の新しい発見もある。それを記してみよう。

 

ベランダから見える、同じ団地の別の棟々の間に拡がる50m ほどの空間。そこは、高速道路の支線の通り道でもある。週末の夜になると、そこを、マフラーを思い切り噴かせた車やバイクが通っていく音を発見した。まことに、世の中にはストレスを溜めた人間が多いものだ。

 

ある終末の夜のこと。隣家から時ならぬ大音声が聞こえてきた。ご主人が何かわめいている。「オレが、こんなに働いているのがわからないのか?」というようなことを叫んでいるのだが、その叫び方はブルーカラーの「ため口」そのものだ。

 

やがて、ガラスや陶器の壊れる音が聞こえてきた。

さらに続いて、奥さんと娘さんの泣き叫ぶ声が聞こえてきた。「言っていいことと悪いことがある」というような声も聞こえた。

 

ただならぬ気配に、一瞬考えた末、110番通報した。奥さんと娘さんの身に危害が及ぶことを心配した。

 

やがて、警察から電話があった。

「これから事情を聴きに夫婦喧嘩の家に赴きます。そちらの事情も伺ったほうがいいですか?」

「奥さんと娘さんの身に危害が及ぶことが心配です。私に危害が及ぶことは考えられません。」

「わかりました。それでは、夫婦喧嘩の家の事情聴取に止めます。」

 

事情聴取がどのように進んだか知らない。また、その後、夫婦喧嘩が再発した気配はない。

蒸し暑い真夏の夜の出来事だったのだろうか。ここにもストレスをもてあます人たちがいる。

 

アメリカ南部の作家にカースン・マッカラーズという女史がいる。『心は孤独な狩人』『悲しきカフェのうた』『結婚式のメンバー』などの作品で知られる。上記のドリフト族と夫婦喧嘩から、マッカラーズを想起した。いずれも、暑熱が背景にあって、自分の居場所を見つけられない女と男を扱っている。溜めたストレスを発散させる方法が、マッカラーズの登場人物とドリフト族と夫婦喧嘩する夫婦とには共通するものがある。いずれも、「暑さ」のせい、だという点だ。 (2011/7

 


「晴釣雨読」の理想を求めて・2

2011-07-17 05:31:16 | 身辺雑録

 

新しい部屋に越して、新しい発見もある。それを記してみよう。

 

ベランダに出てみると、同じ団地の別の棟々が右と左にそびえており、その間が50m ほど開いている。それがあたかも額縁に切り取った景観のように見える。額縁の中の遠くを見晴るかすと、小高い緑の丘が右と左に相似形であり、その間に、何と、海面らしきものが見えるではないか。このところ、晴れた日々が続いているので、海面は深緑色している。まだ確認していないが、金沢八景あたりの海に違いない。憧れの金沢八景に住まうことは失敗したが、その海を遠くに望む場所に引越しできたのは幸いだといわねばなるまい。

 

海面の上(つまり奥)には車の走る道路が見え、その上(つまり奥)には再び銀色の海面が見え、さらにその上(つまり奥)には陸地がみえる。まるで、段々畑のような景観だ。海面に段差があるはずがないので、これは目の錯覚だろうか? この遠景は、額縁の中の額縁に収まったようにみえる。

 

ベランダのサッシを開け、反対側の廊下側の窓を開けると、風が吹き渡る。エアコンなしでも過ごせるほどだ。10階なので、人目を気にする必要もない。ただ、風のない日は、やはり、たまらなく暑い。

 

開け放った廊下側の窓から、鶯の鳴く声が聞こえてくる。これが毎日の日課になった。「ホーホケキョ」というより「フーフヘホ」と聞こえる。裏に幅150m ほどの木群れがあり、そこに巣くっているのだろう。100m 離れた隣りの旧居ではまったく経験したことのない鶯鳴だ。これには心底驚いた。鶯は春のものと思われがちだが、夏でも鳴く。

 

鳴くのはオスで、求愛のためで、夏にも鳴くオスはそれまでの求愛に失敗したためだと、地井武男がテレビで話していたが、本当だろうか? すると、私の聴く鶯は「ストーカー」ではないのか? (2011/7

 

 


「晴釣雨読」の理想を求めて・1

2011-07-15 06:31:41 | 身辺雑録

 

5月に引越しをした。同じ団地の隣りの棟へのささやかな引越しだ。

第三の人生の新しいステージを迎えるにあたり、それにふさわしい環境を整えたいという思いから決断した。

 

昨年秋に金沢八景に住まおうかと思案し始めた。しかし、金沢八景には適当な物件が見当たらず、環境を変える試みは頓挫した。それで、これまでより少しましな環境を確保したいと思い、同じ団地の隣りの棟へ越すことにしたわけだ。

 

新しい部屋はこれまでより若干広い。それを生かして、まず目標にしたのが、「目の前の蔵書の削減」だ。新しい部屋には小さなサ-ビス・ルームがある。賃貸借の世界では、おそらく4.5畳以下の部屋は寝室として表示しないで、サ-ビス・ルームと表示することになっているらしい。わが家は、2LDK+S で、3.5 畳のS (サ-ビス・ルーム)がついている。この部屋を「書庫」に充てることにした。

 

小さなサ-ビス・ルームといっても、本を収容する能力は十分ある。ここに、本棚6本を収容した。中央の空きスペースに段ボール箱入りの本も積み、「書庫」が完成した。長い人生で書庫を設けたのは初めてのことだ。

 

書庫以外の部屋に残った本棚は4本。もっぱら、美術・音楽・演劇・映画・芸能・詩とメルヒェン・将棋という趣味の本だけを並べ、さらに、これから是非読みたい本も揃えた。「晴釣雨読」の理想を追い求める環境準備の第一歩を歩み始めた。

 

ひるがえって、書庫に入った本の運命はというと、そう、お客様に求められるのを待つことになる。「BIBLOSの本棚」に注文が入った本は、いそいそと書庫から飛び立つ。また、最近は、リアル古書店に出品することが多いので、書庫から出ていく本たちは多い。

 

残った本たちは書庫で逼塞することになる。それで、この書庫を「座敷牢」と名付けることとした。ながい間、寄り添ってくれた本たちには申し訳ないが、今や、状況は変わったのだ。本当に身近に置きたい本たちとそうでもない本たちとを区分けする必要が出てきたのだ。 「座敷牢」にいる本たちは、早く、お客様を見つけ、お客様の元に旅立ってほしい、と願うばかりだ。 (2011/7)  

 

 


リアル古書店のご案内(告知)

2011-07-01 18:18:31 | BIBLOSの本棚

 

このたび、「スーパー源氏」ならびに三省堂書店のご好意により、「BIBLOSの本棚」は期間限定で「そごう大宮店」に古書を並べさせていただくことになりました。

 

会期:201171日-31

時間:午前10時-午後8

場所:そごう大宮店(JR大宮西口駅前)10

出展古書:歴史文化系・芸術芸能系の全集もの

 

首都圏にお越しの節は、是非、そごう大宮店にお立ち寄りくださいませ。

 

なお、三省堂古書館にも継続して出品しております。

三省堂古書館:

場所:三省堂書店神保町本店4階左奥

営業時間:午前10 - 午後8時 (年中無休)

電話:03-3518-6841                         (2011/7)