静聴雨読

歴史文化を読み解く

池内紀の仕事・2

2008-06-08 06:21:53 | 私の本棚
その5。読書の達人として。

池内紀に、「101冊の図書館」、1993年、丸善ライブラリー、があることを最近知って、早速読んでみた。

これもまた、「読書の達人」のなせる業だといえよう。
池内の選んだ本は、ドイツ語圏文化にとどまらず、古今東西にわたっている。総じて、古典や名作は多くなく、ちょっぴり味のある本が多く選ばれている観がある。

図らずも、池内と私に共通する嗜好も垣間見える。例を挙げれば:
梶井基次郎「桜の樹の下には」
ガルシア=マルケス「族長の秋」
曽良「随行日記」
魯迅「雑文集」
尾佐竹猛「賭博とすりの研究」
大石真人「全国いで湯ガイド」
レニ・リーフェンシュタール「回想」
村井弦斎「食道楽」
石井研堂編「異国漂流奇譚集」
伊藤整「雪明りの路」、など。

読んでよかった本を101冊選んで仮想図書館を作るという池内の試みは、現在進行中の私の「究極の本棚」に共通するものがある。私の場合は、「読んでよかった本」ではなく、「これから死ぬまでに是非読んでみたい本」を選ぶのである。その際、過去に読んだことがあるかないかは問わないことにしている。

池内のひそみに倣って、古典や名作以外のものを多くしようかとも思案中だ。 (終わる。2008/6)
             


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