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-畑沢通信-

 尾花沢市「畑沢」地区について、情報の発信と収集を行います。思い出話、現況、自然、歴史、行事、今後の希望等々です。

戦前の古い貴重な本の数々(動物関係)の1

2025-07-08 17:11:57 | 歴史

 今回は農業関係の教材らしき「戦前の古い貴重な本の数々」から私が興味を持った本の紹介を始めます。取り敢えず、農業関係の本のリストを見てもらいます。学校の教科書として使われた本、発行年月日から判断して学校とは関係なしに向学のために購読したと思われる本が混在しています。

 リストの中から動物の本を取り上げます。第1冊目は、昭和11年に三省堂が発行した「實業動物教本」です。現代の中学校の「理科」や高校の「生物」の教科書とはかなり内容が違います。この本の内容を大きく説明すると、次のようになります。

① 動物を哺乳類、爬虫類、両生類等の大きな分類ごとに具体的な動物を説明している。動物の説明は外部形態だけでなく、多種類の解剖図が掲載されており、肉眼的なレベルのすべてを欲張って、主体をなしている。

② 補足的に整理、発生、生態、分布、進化、人間との関りなどの大切な事柄が字数が少ないながらも記述されている。この教科書の内容を説明する教員は大変だったと思います。

 ここでこの本の著作権について断りをしておきます。現在の法律では著者が亡くなってから、または会社名での本では70年間は著作権が保護されます。ただし、著者法改正前の法律で既に著作権の保護期間(50年)過ぎていれば、70年を過ぎていなくても著作権の保護の保護はなくなります。

 これから紹介する本は昭和11年に会社名で発行されましたので、昭和60年を過ぎた時点で保護期間を過ぎたことになります。しかし、私はこの解釈に自信がありませんので、「三省堂」に照会しております。そこでとりあえず、もしも、著作権の保護期間であったとしても、法律違反とならない程度に紹介いたします。三省堂から大丈夫との回答を頂戴した時点で、より詳しい紹介をいたします。

 表紙は教科書らしい明るい雰囲気です。120頁あります。

 

 裏表紙には当時の持ち主の記名があり、脇に「山形縣立國民高等學校」とありましたので、その学校で使われた教科書と思われます。ただ、ネットで調べてみましたが、文部省の学校制度には属しない学校のようです。元々は山形県立自治講習所といい、その後に校名が変更されて生まれたようですが、詳細は分かりませんでした。農業を志す若者たちを育てたようです。個人名は隠しました。

 

 私がこの本に引かれたのは、図が見事だからです。最近の図鑑と比べても全く見劣りしない正確で緻密です。そして、何よりもカラー印刷が素晴らしい。昭和11年でこれほどの技術があったとは信じがたいほどです。

 次の図は魚類ですが、硬骨魚類だけです。この図には、サメやエイ等の軟骨魚類やヤツメウナギのような円口類は入っていません。原色の図鑑的に描いているのは、花鳥風月的に「所謂、絵になる」対象物に限られているような気がします。軟骨魚類とか円口類では、自然の美しさを目出る奇麗な絵にはなりません。絵描き職人さんの気持ちがかなり入っているような気もしますが、いかがでしょうか。

 

 

 鳥類もカラーで描かれています。これは紛れもなく花鳥風月の「鳥」です。絵描き職人の得意な対象物です。

 

 色とりどりの羽が飛び回る美しい蝶々です。美しい自然の造形です。

 

 ひらひらと舞う姿は同じですが、こちらは「蛾」です。蝶と異なりどちらかというと嫌われるような気がしますが、模様の面白さは蝶以上かもしれません。それはそれで職人魂を刺激する物なのでしょう。

 これは色彩よりも造形の美しさに魅力があります。総て巻貝だけ載せてあります。二枚貝では「絵」にならないのでしょうか。

 次回も「實業動物教本」の続きを投稿します。


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