コンシューマ向けのテレビの発色は、各メーカーやシリーズごとにいろいろ特徴がある。新技術が導入されれば、そのメリットを生かした発色にカスタマイズされて出荷されるわけだし、そういった差を見せる事で、テレビはどんどん良くなっている、というイメージを打ち出すわけだ。
だがよく考えると、そうやって毎回世代ごとに少しずつ表示が違っているのであれば、世の中のテレビというのは見事にバラッバラの表示になっているという事である。バックライトなど物理的なデバイスの性能で違いが出るのは致し方ないところではあるが、複数台のモニターを並べたときに一体どれが正しいの? って話になったら、これはまた大変ややこしい事になる。
まあ一般の人なら「どれが一番いいか」を選ぶのもまた一つの楽しみなのだろうが、プロの現場においては見え方がバラバラだと大変困るのである。例えば撮影現場においても、技術者はマスターモニターを持ち込んで見ているが、立ち会いのクライアントには大型の民生用テレビで見て貰う、ということになる。
この時、「この色変なんだけど」とか「もうちょっと青っぽく」とか色の話になったときに面倒なことになる。マスターモニターではいい色になっていても、コンシューマ機の表示がズレている場合、「いやマスターの方が正確ですから」と言っても、じゃあなんで俺たちはこっちのテレビで見てんの? 視聴者が見るのはこっちの色味じゃないの? って話になって、もう収集がつかなくなる。
マスターモニターや業務用のラインモニターには、オートのキャリブレーターも付いているので、かなり正確に調整できる。またSMPTEカラーバーがあれば、Blue Only表示にすることでマニュアル調整も可能だ。Blue Onlyとは、ブラウン管時代から実装されている機能で、RGBのビームのうちB以外を切る。SMPTEカラーバーはその表示で、色位相やクロマ量が目視で調整できるように設計されているのだ。
ただ民生機の場合は、SMPTEカラーバーは表示できてもBlue Only機能がないので、マニュアル調整もままならない。結局マスターモニターを隣に置いて、見た目でそれに近くなるように合わせるしかないわけである。
もしこれが解決できるとしたらどうだろう。前置きが長くなったが、民生機のモニター設定をキャリブレーションするための機器が、今回取り上げる「Spyder4TV HD」である。これまでちゃんとやりようがなかった「民生機のテレビを調整する」という部分に攻め込んだ商品として、興味のあるところだ。価格は16,800円と、きちんとした効果が得られるのであれば高くはない。
詳しい情報はこちら。
【小寺信良の週刊 Electric Zooma!】第578回:テレビの表示を正しく調整する「Spyder4TV HD」 -AV Watch
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