フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

3月14日(月) 雨

2016-03-16 13:09:31 | Weblog

8時半、起床。

トースト、サラダ、紅茶の朝食。

相続税の申告のときにお世話になった税理士事務所のKさんに電話をして確定申告書のことで不明の点をお尋ねする。その場でお答えいただいた後、相続税の申告書を見返していただいて、電話をいただき、再度お答えいただく。ありがとうございました。

不明な点はなくなったので、計算をしたところ、8万円ほど税金の還付があることがわかった。作業の甲斐があったというものだ。

普段は確定申告はしていないのだが、昨年は母の年金の未払い分などが一時所得としてあったり、大学入試問題に私の文章が使われて(それ自体は無料だが)その問題が出版社の受験問題集や予備校の教材に使われて印税が入ったり、その一方で母が亡くなってから病院に支払った入院費がそれなりの金額であったりと、出入りの大きい一年であったのだ(相続税関係については確定申告とは別にすでに申告済)。

確定申告書の清書作業は今晩やるとして、その前に、今日はもう一つ仕上げなければないないことがある。ゼミ論集の版下を完成させて、印刷・製本業者に渡すことだ。

「phono kafe」で昼食を食べてから大学に出かけることにする。

雨の午後の「phono kafe」の客は私だけだ。

おにぎりセットを注文。

ひよこ豆のスパイスコロッケ

蓮根ボールの野菜あんかけ

ヤーコンと菜の花の白和え

玄米のおにぎり2個

食事をしている間に、お客さんが二組増えた。これで安心して店を出られる(笑)。

大学へ。

FさんとNさんの原稿を印字し、全体をざっとチェックして、ゼミ論集(第6集)の版下の完成である。A4版で284頁。

表紙の色はまだ決まっていない。

理工社に「これから版下をお渡ししに行きます」と電話してから研究室を出る。場所は早稲田通りと明治通りの交差点の近くで、歩いても15分ほどなのだが、雨なのでバスに乗って行く。

これまでのゼミ論集はすべてここに印刷・製本をお願いしているので、細かい説明は不要。ご主人と相談して、表紙の色はマリンブルーに決める(青系は初めて)。仕上がりは来週の半ば。24日の4年生の卒業パーティーのときに彼らには配れるだろう。

7時、帰宅。

夕食はサーモンのソテー、ホワイトソース掛け。

『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』第9話をリアルタイムで観る。えっ、音は事故で死んじゃうのか?! それは来週(最終回)にならないとわからないが、死んじゃったら、この恋を思い出して泣くことは彼女にはできなくなってしまう。思い出すためには、泣くためには、生きていかなくてはならない。まさか、この恋を思い出すのは音ではなくて(死んじゃうから)、練だということにはならないだろうね。それはダメです。母に続いて娘も早死にするのはダメです。そういうストーリーはダメです。たぶん、そうはならないとは思うが、万一ということもあるので、あらかじめ釘を刺しておきます。

ドラマを観終わってから、確定申告書類を書く(清書)。

明日、朝一で蒲田税務署に出しに行く。長蛇の列ではありませんように。少なくとも雨天ではありませんように。


3月13日(日) 曇り

2016-03-15 23:28:00 | Weblog

8時半、起床。

トースト(麻婆茄子をのせて)、紅茶の朝食。

11時に家を出て、神楽坂へ。今日は2カ月に一度の「いろは句会」の日。場所は「SKIPA」。

本日の参加者は、紀本さん、恵美子さん、あゆみさん、低郎さん、林さん、しほこさん、私の7名。常連の蚕豆さんは足を骨折されて入院・リハビリ中で欠席。初回からの連続出席者(今回で15回)は私一人となった。

今回の作品は24句。京さんは仕事の都合で欠席だが、投句はされたのである。写真を撮るのに恵美子さんにもっていただく。昨夜は遅くまで確定申告の書類作りをしていたそうだ。私と同じだ(笑)。

今回の兼題は「下」。「下の歯」、「軒下」、「地下鉄」、「下見」、「下手」、「下水」「枕の下」、「頬紅の下」、「七つ下がり」、「下総」と人数(8人)より多い10句あるが、これは兼題を意識せずに作った自由題の句の中にたまたま「下」という字が入ったためだろう。

今回はなかなか粒ぞろいで、3句に絞り込むのが難しいと感じた。

みな考え込んでいる。

その沈黙を破るように、しほこさんが、「私、俳号を考えてきました」と言った。「松尾万笑(ばんしょう)です」。

各自が自分の選んだ3句(天=5点、地=3点、人=1点)を発表。集計結果は以下のとおり(得点順)。

6点

 軒下にむすんでひらく春の雨  あゆみ (恵美子さんが天、たかじ=私が人)

 遺書のよなラブレターのよな春の文  林 (恵美子さんが地、あゆみさんが地)

 春の朝枕の下にこころざし  低郎 (あゆみさんが天、恵美子さんが人)

5点

 地下鉄は春の恨みを乗せてゆく  恵美子 (紀本さんが天)

 居眠りをしたふり春の小川くん  紀本 (低郎さんが天)

 背中から履歴書透ける三四月  紀本 (万笑さんが天)

 下水温みドブネズミ今を生きる  京 (たかじが天)

 花おぼろ七つ下がりの杯重ね  林 (紀本さんが地、万笑さんが人、低郎さんが人)

 スチームに歪みたる嗚呼カモメの舞い  低郎 (林さんが天)

4点

 猫背して裏切りに舞う春ショール  恵美子 (たかじが地、林さんが人)

3点

 姪ちゃんに摘まず置きたる土筆かな  万笑 (低郎さんが地)

 さよならは別れの言葉じゃなくて春  たかじ (はやしさんが地)

 ものの芽に留めおいてあるきらめきは  林 (万笑さんが地)

1点

 背伸びして座る止まり木月近し  万笑 (紀本さんが人)

 春ショール蛍光管が爆ぜるなり  低郎 (あゆみさんが人)

いつもであれば10点を越える句が1つ、2つはあるのだが、今回は、予想どおり票が散った。3人が選んだのが1句、2人が選んだのが4句、残りの入選作はすべて1人が選んだものである。作品が粒ぞろいだったということもできるが、個々人の好みを越えて、圧倒的な共感を呼ぶ作品がなかったということでもあろう。

複数の人に選ばれた5句について私の感想を述べておく。

あゆみさんの「軒下にむすんでひらく春の雨」は、やわらなか春の雨のイメージを伝える句である。「春雨じゃ、濡れて行こう」ではなくて、小さな子供が2人、ジャンケン遊びをしながら軒下で雨宿りをしている情景がまず浮かぶが、誰もいない軒下で、雨の滴がピチャリと水たまりに落ちて小さな王冠を作っているミクロの映像も浮かんでくる。

林さんの「遺書のよなラブレターのよな春の文」は、「遺書」と「ラブレター」という明暗分かれる手紙に潜む共通点(大切な誰かへ思いを伝えようとする)を鋭く指摘しつつ、「春の文」というやわらなか言葉でその鋭さを包み込んでいる。「春の文」の書き手は樋口一葉のような女性であろうか。

低郎さんの「春の朝枕の下にこころざし」は、私は旅先の宿で読んだ句だと思ったが(実際、作者の解説によればその通りだった)、新入社員が会社に出かける日の朝の自宅の情景と呼んだ人が多かったようだ。私は「こころざし」をチップのことかと思い、でも、それなら「枕の上」だよなと思った。「こころざし」はチップではなく精神的なもののようである。

林さんの「花おぼろ七つ下がりの杯重ね」は古風な言葉を使った擬古文のような俳句である。おそらくこれが他の人にはない林さんの作風となっていくだろうと思う。

恵美子さんの「猫背して裏切りに舞う春ショール」は、「裏切り」という言葉の強烈さも手伝って、映像的に鮮やかな句である。実際は、家から外に出たら思ったより寒かったということで、「予想が外れた」ということなのだが、それを「裏切り」という大袈裟な(滑稽でもある)言葉を使ったところが妙味である。

私自身の作品は、「さよならは別れの言葉じゃくて春」という遊んだ句(薬師丸ひろ子の『セーラー服と機関銃』とJAYWALKの『何も言えなくて・・・夏』のモンタージュ)が入選して、かろうじて連続入選記録を15に伸ばしたものの、「春の雲離れてはまた近づけり」と「下総の平野(ひらの)を行くや春の水」は選外だった。でも、しばらくは高浜虚子のひそみに倣って、平明にして余韻のある句(客観写生)を追及していきたい。

句会を終えて、食事(広義の句会の一部です)。

私は定食(鶏肉団子のスープ煮)をチョイス。

ギタリストの低郎さんのライブ情報です。

次回の句会は5月22日(日)。兼題は「原」(林さんが出題)。

 春風や闘志抱きて丘に立つ  高浜虚子

では、みなさんまたお会いしましょう(恵美子さんは仕事で一足先に帰った)。

神楽坂の駅まであゆみさんとご一緒する。

そして私は改札口で卒業生のTさん(論系ゼミ4期生、2014年卒)と待ち合わせる。

そう、本日の社交は二本立てなのである。

神楽坂はあまり来たことがないというTさん。とりえあず駅からすぐの赤城神社に案内する。今日はなにかのイベントがあるのだろうか、境内にはたくさんの出店。

何かを一生懸命にお願いするTさん。

日曜日は歩行者天国になる坂道を飯田橋方面へ下る。

弁天様でも、何かを一生懸命お願いするTさん。

何をお願いしているかはだいたい想像がつく。「美味しいスイーツが食べたい」でしょ(笑)。

坂を下りきって、「紀の善」で一服。待っている客がけっこういたが、椅子に座っておしゃべりをしながら待っていられたので、長いとは感じなかった。

私はいちごあんみつを注文。最初はあんこのみの甘さで食べ、途中、あんこがなくなってからは蜜をかけて食べる。「甘味あらい」のご主人伝授の食べ方である。

「紀の善」が初めてというTさんには看板メニューの抹茶ババロアを勧めた。願いがかなったでしょ(笑)。

甘いものを食べた後の口直しには磯辺巻きと決まっている(「甘味あらい」ではいつもそうしていた)。Tさんにも一つ分けてあげる。

ここの磯辺巻は海苔を惜しげもなく使っている。

同じ坂道を今度は上る。Tさんは大学時代スキーの選手だったから、この程度の運動は楽々である。

「SKIPA」にはまだ行ったことがないTさんを「SKIPA」に連れて行くが、満席だったので、すぐ近くの白銀公園で時間をつぶすことする。

近所の子供たちや親子連れで公園は楽しい雰囲気にあふれて

Tさんも童心に返ったようである。「うう、お尻がきついです」(笑)。

登りたくなっちゃいましたか。

そうそう、そこから顔を出してみたくなるよね。でも、普通の大人は我慢しているんです(笑)。

うん、立ち上がって、「イェー!」とピースサインしたくなるよね。 

雑誌『明星』の「アイドルの休日」的グラビアでは定番のポーズでした。(笑)。

「SKIPA」に戻ると、ちょうど一つ席が空くところだった。

私はロイヤルミルクティー、Tさんはハーブティー(レモングラス)を注文。

Tさんから「俳句帖」をプレゼントされる。銀座の伊東屋で見つけたそうである。どうもありがとう。精進します。

今日、Tさんは私と会う前、文キャン前のカフェ「レトロ」に一人で行って、学生時代によく食べたふわふわオムレツをお昼に食べたそうだ。そして、この後は彼と新宿で会って、一緒にペットショップに行くそうだ(アパートで飼うことはできなが、見ているだけで楽しいそうだ)。今日一日で「孤独の時間」、「社交の時間」、「親密な時間」をバランスよく楽しもうというわけである(笑)。そうそう、バランスは大切です。私も今日一日で、「グループ的社交の時間」と「個人的社交の時間」を楽しみました(笑)。とくに「孤独の時間」は大切です。それを確保した上での「社交の時間」であり、「家族の時間」あるいは「親密な関係性の時間」です。そうでないと疲れてしまうし、自分を見失うことにもなりがちです。

テレビ局の仕事は大変そうだけど、その笑顔が見えているなら大丈夫。また、会いましょう。

7時、帰宅。

夕食はクリームシチュー(鶏肉、白菜、シメジ)。

デザートはTさんからいただいた桜餅(苺入り)とどら焼き。

 Tさんから届いた今日のお礼のメールにペットショップのわんちゃんの写真が添付されていた。


3月12日(土) 曇り

2016-03-13 10:53:39 | Weblog

8時、起床。

パン(カレー入りベーグル)、サラダ(炒り卵、トマト、ベビーリーフ)、紅茶の朝食。

昼から大学へ。

卒業生のキョウコさん(論系ゼミ1期生、2011年卒)とタロウ君(論系ゼミ2期生、2012年卒)が研究室にやってくる。ゼミの先輩後輩が一緒に研究室に来るケースは少ないが、キョウコさんは昨年12月にも2期生のアオバさんと一緒にやってきている。「キョウコ姉さん」が後輩に慕われている証拠であろう。

ゼミ論集の版下作製の作業を2人にちょっと手伝ってもらってから、食事に出る。

タロウ君の希望で「カーナ」にカレーを食べに行く。

私はマトンのカレーと本日のカレー(鶏肉と茄子)をチョイス。辛さは、前回辛口を注文してとっとも辛かったので、今回は中辛にした。うん、カレーの旨さを味わえるちょうどいい辛さだ。以前の中辛はぼんやりした、ものたりない辛さだったが、どこかの時点でこの店の辛さの尺度が上がったとしか思えない。しかし、店員さんに「以前より、全体として辛くなりましたよね」と尋ねても、「すみません」「ありがとうございます」と数少ない日本語のボキャブラリーを繰り返してニコニコするだけある。

タロウ君は私と同じ中辛を注文したが、キョウコさんは「私、辛いのが好きなので」と辛口を注文したが、「辛くて、途中から2種類のカレーの味の違いがわからなくなりました(笑)」とのことだった。やっぱりね。

私が一番早く食べ終わった。大きなナンだったが、完食。いろいろな面で年齢を感じることが多いこの頃だが、食欲に関してはあまり変化はないようである。

 食後のコーヒーは「カフェゴト―」で。

タルトタタン、チーズケーキ、あんずのフラン(だったかな?)を注文し、3人でシェアして食べる。ちゃんと形を崩さずに切っていただけました。何個までいけるのかな(笑)。

タロウ君は福祉の施設で働いている。その魅力と困難について真面目に語ってくれた。

キョウコさんは下ネタ(トイレのあるある話)で盛り上がっていた。ゼミの卒業生には女性が多いが、下ネタを楽しめる人はごく一部である(笑)。

楽しい時間でした。また、会いましょう。

研究室に戻って、夕方までゼミ論集の版下作製の作業を続ける。月曜日ないし火曜日には予定通り業者に渡せるだろう。

帰りに「phono kafe」に寄る。

菜の花と野草のアレンジがかわいい。

蓮根の竜田揚げと小豆茶を注文。

大原さんや常連さんとおしゃべりをして、6時半ごろ帰宅。

夕食はラムチョップ。 

ダイエット中なので、2本でOK。

今日、妻が講習会の生徒さん(ラブラブ香代子さん=私が学生の頃、学習塾で教えたことのある小学生だが、娘さんがそろそろ早稲田大学を卒業する頃である)から「亀十」のどら焼きをいただいてきた。「孝治先生にも」ということで2個。

ダイエット中ではあるが、教え子の厚意をむげにはできない。おいしくいただきました。

深夜、3時頃までかかって、妻の助けをかりながら、確定申告書の書類を作成する。ほぼ終わったが、ちょっと不明の点がある。月曜日にカフェ仲間の会計事務所の方に聞いてみよう。たぶんこのブログをお読みになっていると思うので、「お忙しいところ、すみません」と先に謝っておきます。


3月11日(金) 小雨のち曇り

2016-03-12 03:37:58 | Weblog

7時半、起床。

トースト、サラダ、紅茶の朝食。

午後1時を過ぎた頃、昼食を食べに出る。

お向かいの家の早咲きの桜。

東京の開花日は3月23日で、満開はその5日後(28日)と予想されているようだが、ここ数日の寒の戻りも計算に入っているのだろうか。

「中川」の看板に書かれた本日のメニューに惹かれて、ここで食べることに決める。

カツ煮定食を注文。二つの小鉢は、春雨サラダとひじきの煮物。

ダイエットとの関連をどう考えるかだが、夕方にジムに行くつもりなので、よしとしよう。

食後のコーヒーは「グッディ」で。

「グッディ」は二階(および三階)にある。

二階にはテーブルが3つ。満席だと三階に行くことになるが、他に客はいなかった。

ブレンドコーヒーを注文。

いままで気づかなかったが、カウンターの横の壁に緒方拳の色紙が貼ってあった。その上にもう一枚同じ日に書かれたと思しき色紙が貼ってあったが、判読できない。「どなたの色紙ですか」とマダムに聞いたら、「藤真利子さん。ご存じ?」と言った。はい、知ってますよ。

1989年9月28日(秋のはじめ)か・・・。おそらくこの時期に二人が出た作品(映画か、TVドラマ)があるはずと、後からネットで調べたら、ありました、1989年公開の映画『社葬』(舛田利雄監督)が。会長派と社長派が対立している新聞社が物語の舞台で、社長が芸者相手に腹上死をして、その葬儀委員長(緒方拳)を務めることになった男が主人公。この年のキネマ旬報ベストテンで第9位にランクインした作品である。

と、これで決まりと思ったら。映画の公開は6月だった。それではつじつまが合わない。

で、改めて探したら、ありました、1989年12月6日に日本テレビで放送されたドラマ、水曜グランドロマン『男の事情シリーズ1 旅の終りに ダメ部下の女房にホれられて 甘ずっぱい晩秋の時』というのが。主役の緒方拳は運送会社の社長。従業員(佐藤B作)が起こした事故が元で会社は倒産するが、その従業員の妻(藤真利子)と深い仲になるという話。蒲田でロケが行われ、二人の密会の場所として「グッディ」が使われたのだろう。うん、これで決まりだ。今度、マダムに確かめてみよう。

夕方からジムへ。クロストレーナーを40分漕いで、530キロカロリーを消費。今日は前回のように気温や湿度が高くないから、途中でバテることはなかった。

夕食は温泉湯豆腐、麻婆茄子、ごぼうのマヨネーズ和えとレタスのサラダ、卵と玉ねぎのみそ汁、ご飯。

韓国の囲碁のトップ棋士李九段と囲碁のコンピューターソフト「アルファ碁」との5番勝負第2局は、コンピューターの連勝となった。日中韓の囲碁界に激震が走っているらしい。第1局は李九段の優勢な局面でコンピューターに勝負手が出て、李九段がそれを咎めそこなって逆転負けということだったが、第2局はまったく違う展開だった。序盤からコンピューターが変則的な手を連発し、「なんだこの手は?おかしな手だな・・・」とその意味を測りかねていると(李九段も解説の棋士たちも)、気づいたらコンピューターが絶対的に優勢な局面になっていたということだったらしい。李九段はミスで負けたのでなく、囲碁観で負けたのである。これまでの囲碁の研究の歴史(定石や手筋)がいっぺんにひっくり返されたようなパニック感覚に棋士たちは陥っているようである。囲碁は盤上で地を囲い合うゲームであるが(地の多い方が勝ち)、地の囲い易い場所は、四隅、四辺、中央の順である。中央は広いがそれだけに簡単には囲えない。だから、まずは四隅、次に四辺でしっかり地を確保してから中央の戦いにもっていくというのが囲碁の基本的な戦い方であるが、今回、コンピューターは四隅、四辺の攻防を軽く見て(少なくとも人間の目にはそう見えた)、最初から中央志向であったらしい。プロ棋士では武宮正樹という異端の棋士の「宇宙流」というのが中央志向の戦い方として知られているが、「アルファ碁」は武宮正樹をハイスペックのロボットにしたようなものなのだろうか。5番勝負の行方はこれで決まったも同然だろう。コンピューターが囲碁という人類が考えた一番難しいゲームで人間に勝利する日がついに来たのである。


3月10日(木) 曇り

2016-03-11 12:51:38 | Weblog

8時、起床。

トースト、サラダ、紅茶の朝食。

9時に家に出て、大学へ。

10時から現代人間論系の教室会議。1時間半ほどで終了。

昼食は「五郎八」で。

鴨せいろを注文。

春学期の授業開始までに体重3キロ限という目標を設定したので、そうなると、蕎麦を食べる機会が増える。減量のことだけを考えるなら、鴨せいろではなく、ただのせいろがいいのだが、そういうわけにはいかない。

店の新聞を読んでいたら韓国の囲碁のトップ棋士である李九段とスーパーコンピューターを使った囲碁ソフト「アルファ碁」との5番勝負の第1局で、コンピューターが勝ったという記事が載っていた。「李九段が優勢とみられる局面もあったが、アルファ碁は勝負手を出して逆転。最後の寄せでも乱れず押し切った」とある。コンピューターはしらみつぶしに手を読むことが持ち味であるから「最後の寄せでも乱れず押し切った」というのは驚くに値しないが(乱れがあったらそれはプログラムにバグがあるということである)、劣勢な局面で「勝負手を出して逆転」というのには唸った。人間と同じじゃないか。劣勢な局面というのは普通に打っていたら負けてしまうという場面である。だからリスクはあるが(適切に応手されればさらに劣勢となり負けが早まる)、相手が応手を誤れば逆転できる手を打つということである。この場合、できるだけ相手が応手を謝りそうな悩ましい、怪しげな手を打つことが肝心だ。将棋でもそれは同じで、トップ棋士たちはそういうことに長けていた(米長邦雄の「泥沼流」や羽生善治の「羽生マジック」など)。一か八かの手を打つというのは、相手のミスに期待するということで、きわめて人間臭い行動であり、冷静沈着なコンピューターというイメージとは合わない。それとも、人間には「李九段が優勢」と見えていた局面は、実は、コンピューターから見ればそうではなく、せいぜい互角、もしかしたらすでに「李九段が劣勢」な局面で、「勝負手」も実は「勝負手」ではなく、勝利を決める冷静沈着に計算された一手だったのだろうか。コンピューターの「勝負手」に対して適切に応手すれば人間が勝っていたのかどうかは新聞記事からはわからないが、ここは重要なポイントである。どうなのだろう?

李九段は「対局を受け容れたことは後悔していない」と語っているそうだ。立派だ。残り4局で3勝を上げるのは大変そうだが、頑張ってほしい。

1時から36号館AV教室で現代人間論系の新2年生を対象にした科目登録ガイダンス。

主任の御子柴先生の説明のあと、各教員が一人3分ほど話をした。4月になったら教室で会いましょう。

研究室でゼミ論集の版下の作製。17人の学生のゼミ論(一人16頁)のほか、「はじめに」「目次」「一人一言」「編集後記」などを印字して、印刷・製本業者に渡す版下とする。

たた個々のファイルを印字するだけなら、それほどの時間はかからないはずなのだが、そういうわけにはいかない。印字してみて、初めて気づくミスというものがあるのである。たとえば、ページ番号のフォントのサイズが違っているとか。ワードで作成しているので、フォントはセンチュリーでサイズは10.5ポイントと初期設定されているはずなのだが、それが明朝になっていたり、11ポイントになっていたりする。わざわざそういう設定に変更したとは思えないので、なにかの拍子にそうなってしまったのだろうが、一体、どんな拍子でそうなるのだろう(笑)。他のゼミ論に比べて論文タイトルの位置がほんのわずか下がっているなと思ったら、一行目に書くことになっている論文タイトルが二行目になっている(タイトルの前に一行の空白行が挿入されている)。やれやれ、16頁分印字し直しである。そのほか、図表の文字にカラーが使われていて、モノクロ印字では薄くなって見にくいので、色を黒に変更するなどの手直しも必要だ。実はこうしたチェックはこれまでの何段階かのチェックで修正されているはずであるのだが、結局、最後に落穂拾いのように私がコツコツ修正作業をしなければならないのである。これは毎年のことである。

おまけに研究室のプリンターで全部印字するのだが、内部が熱を帯びてくるせいだろうか、だんだん紙詰まりが起きやすくなり、そのたびに作業を中断し、機械を冷やしてからの作業再開となるので、時間がかかる。一度、トナー部分を取り外して、それを再装着するときに、ガンと少々乱暴に扱ったら、部品の一部が外れてしまい、プリンターが作動しなくなった。幸い、壊れたのではなく、外れただけだったので事なきを得たが、冷や汗をかいた。

途中、過熱したプリンターを冷やす時間を使って、食事に出る。

「メルシー」に行く。

チャーハンを注文。美味し。強火で炒められたポロポロしたチャーハンにラーメンスープを掛けて食べるのが一番美味しい食べ方である。

8時半までかかって、全頁の印字が終わる。週末にかけて最後の最後のチェックをして月曜日に業者に渡すことになっている。

研究室を出たのは9時。

地下鉄のホームのベンチが新しくなっていた。ベンチの数も増えた。

一部の椅子には杖を置くため(?)の切れ込みが入っている。芸が細かいね。

10時、帰宅。