8時半、起床。
ミニコロッケとサラダと紅茶の朝食。

自宅の桜がそろそろ見頃である。ソメイヨシノではない。母は熱海桜といっているが、よくわからない。ピンクの花弁を下に向けて咲くので、乙女がうつむいているような風情がある。

午後、散歩に出る。
くまざわ書店に寄る。村上春樹の新作短篇集『女のいない男たち』の予告が出ている。予約をしなくても買えると思うが、まあ、景気づけみたいなものであろう。私は収録作6篇のうちの5篇はすでに雑誌発表時に読んでいるが、それでも書下ろしの一篇が表題作なので、楽しみである。

澤田瞳子『弧鷹の天』上(徳間文庫)を購入。
第17回の中山義秀文学賞(2011年)を最年少で受賞した作品である。私は時代小説・歴史小説の類をあまり読まないが(例外は池波正太郎である)、『弧鷹の天』を購入したのには訳がある。今日、著者の澤田瞳子さんからメールをいただいたのである。面識のない方なのだが、彼女が私のブログの読者であること、私の教え子の一人である京都のUさんの友人であることがメールに書かれていた。二つのことは別々のことで、Uさんの友人だから私のブログの読者になったというわけではなく、私のブログの読者になったのが先で(3年前)、Uさんが私の教え子であることを知ったのが後(2年前)なのである。澤田さんが私のブログになったきっかけは、東京の甘味事情を検索していて、当時、池上の「甘味あらい」のあんみつやかき氷の写真をよく載せていた私のブログに行き当たったことである。「甘味あらい」のご主人が急逝されたのはそれから半年ほど後のことで、以来、私のブログに和風の甘味処の話が載ることはほとんどなくなってしまったが・・・。そういうわけだが、1年ほどして、自分が読んでいるブログの書き手が友人の大学時代の先生(といってもUさんは同志社大学の卒業生で、2年生のとき、早稲田大学に交換留学という形でやってきて、一年間、私の演習を履修しただけなのだが、若手の社会学者と結婚したこともあって、京都での彼女の結婚式には呼ばれて出席した)であることがわかったときには、ネットの世界と日常の世界が突然つながったというか、ネットの世界のキャラクターが目の前に出現したような感覚に驚かれたようである。
来月の5日にUさんたちの代の卒業生が私の還暦の祝をしてくれるのだが、その折、上京するUさんを通して、お近づきのしるしに澤田さんの新作を私に下さるとメールに書かれていた。『日輪の賦』(幻冬舎、2013年)であろうか。私は澤田さんの作品をこれまで読んだことがないので、新作を読む前に彼女のデビュー作を読んでおこうと思ったのである。徳間文庫のコーナーの彼女の作品の隣に、「澤田ふじ子」という作家の時代小説がたくさん並んでいて、紛らわしいなと思ったが、後から調べたら、澤田ふじ子さんは瞳子さんのお母様だった。お二人とも本名で小説を書かれているのだ。鳶が鷹を生んだわけではないのだ。

大井町へ行く。駅前のビルの壁面にあった「祝甲子園大会出場都立小山台高校 品川区」の垂れ幕は撤去されていた。一回戦で負けて甲子園を去ったからだろうか。でも、大会期間中はあってもよかったのではなかろうか。




昼食を大井銀座のアーケード街にある老舗のとんかつ屋「丸八」で食べる。

この店はずっと昔に一度来たことがある。そのときは「並カツ定食」を食べたと記憶しているが、今日は「ヒレカツ定食」を注文する。

定食についてきたお新香は待っている間に食べてしまったので、上新香(300円)を追加で注文する。白菜はそろそろ終わりで、来週からは奈良漬になるそうである。私は白菜のお新香が大好きなので、今日でよかった。

待つことしばし。低温の油で時間をかけて揚げられたヒレカツが目の前に出された。衣のキメの細かい、きれいな色をしたカツである。「きれいなカツですね。写真を撮らせていただいていいですか」とご主人に尋ねると、「どうぞ」と言われ、それをきっかけにたくさんおしゃべりをした。あらかじめ添えられたソースは、甘口のもので、卓上にあるソースとは別のものとのこと。ヒレカツは脂分が少ないので、甘口のソースが合いますと言われた。私は塩、醤油、ソース(+辛子)の三種で(この順番で)食べることが多いのだが、郷に入れば郷に従えである。また、ヒレカツメニューはこの一品だけで、ロースカツのように上や並という区別がないのはなぜかを聞くと、ロースの場合はいろいろ部位があって、部位ごとに値段が違うのですが、ヒレはヒレという部位しかないので、上と並という区別は(分量でする以外は)ないのですとのこと。背ヒレ、尾ヒレ、胸ヒレとかあるんじゃないですかとボケて、「お客さん、それはヒレ違いでんがな」とツッコミをもらうこともチラリと考えたが、新参の客のすべきことではないと自重し、「なるほど」と答えた。
創業60年の三代目(?)のご主人は噺家のような語り口の方で、話芸も職人芸的なものを感じた。私が一番行っているとんかつ屋は蒲田の「鈴文」だが、あの寡黙なご主人とこれまでに交わした会話の総量を、今日一回で「丸八」のご主人との会話は軽く超えたように思う。次に来るときは、上ロースかつ定食を注文してみようと思う。

駅ビル(大井町アトレ)でちょっと買い物をしてから、「pottery」でデザート代わりにホットショコラを飲む。




蒲田に戻り、ジムへ。ヒレカツ定食分の運動をしなければならない。
筋トレ2セット、有酸素運45分で、640キロカロリーを消費して帰宅すると、「今夜は豚シャブよ」と妻が言った。トンカツの後に豚シャブか。前門の虎、後門の狼みたいなものだ。いや、前門の豚、後門の豚か。ブー、ブー。好きだから食べますけどね。明日の夜は長田先生の送別会があるし、カロリー摂取に消費が追いつきません・・・。


武田先生から「恋するフォーチュンクッキー」のミュージックビデオの件でまたメールが届く。岡部先生とミュージックビデオの評価をめぐって、意見の対立が生じているので、私を交えて3人でおしゃべりをしたいとのこと。そ、そうですか。は、はい、わかりました。来週の水曜日に私の研究室で鼎談をすることになった。武田先生は私と同い年で、今年還暦である。若いよな。