フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

12月30日(水) 晴れ

2009-12-31 02:40:14 | Weblog

  9時半、起床。大根の味噌汁(玉子を落としす)とご飯の朝食。来年度の講義要項をぼちぼち作成しようかと思ったが、事務所からの書類を見ると、いつもであれば冬休み明けの締め切りが、今回は10日ほど遅くなっている。ならばそんなに急いでやる必要もない、と言いたいところがだ、来年度の担当科目はいつもより多いので(週8科目)、結局、それほど余裕があるわけではない。


早稲田大学の教員の持ちコマ数は多い

  書斎の窓ガラスと網戸の掃除をする(カーテンも洗濯する)。今日は、そんなに寒くはないが、風が強い。二階のベランダに干した洗濯物の1つ(妻のセーター)が風に飛ばされて行方不明になってしまった。
  昼食は肉まんと胡麻団子。食後、散歩に出る。栄松堂とくまざわ書店で以下の本を購入。「シャノアール」で読む。

  『加藤周一自選集』4(岩波書店)
  A.ファーロング、F.カートメル『若者と社会変容』(大月書店)
  飯沢耕太郎『写真的思考』(河出ブックス)
  上村忠男『ヴィーコ』(中公新書)
  松井慎一郎『河合栄次郎』(中公新書)
  熊野純彦編『日本哲学小史』(中公新書)
  山脇直司『社会思想を学ぶ』(ちくま新書)
  『考える人』2010年冬号(新潮社)

  『考える人』の今回の特集は「あこがれの老年時代」である。「あこがれの老年時代」とは、「若いころの囚われから自由になり、精神がみずみずしく輝く人たちの老年期」のことであるが、モデルとなっている人たちのインタビューを読んでみると、健康上の深刻な問題をかかえていないこと、一定以上の資産があること、そして親しい間柄の他者がいることが暗黙の前提のようである。確かに健康とお金と時間があって、ひどく孤独でなければ、老後も悪くないだろう。でも、なかなか三拍子(四拍子か)そろうということはないんだよね。だから「あこがれ」なのだろう。


12月29日(火) 晴れ

2009-12-30 03:14:33 | Weblog

  10時、起床。鯖の味噌煮、ジャガイモの味噌汁、ご飯の朝食。
  今日のタスクは一階の母の台所のガスレンジと換気扇の掃除。流しにお湯を張り、「洗剤革命」という名前の洗剤をスプーンに何杯も入れ、そこにガスレンジの五徳や換気扇のフィルター部分を取り外してしばらく浸けておく。その間に、ステンレスの流しや壁のタイルの汚れを拭き取る。それが済んでから、洗剤入りのお湯に浸けておいた五徳やフィルターの油汚れを、金属のヘラや歯ブラシを使って、根気よく落としていく。お湯の色がどんどん茶色くなっていく。1時間くらいの作業で、新品同様とはいかないまでも、かなりきれいになる。一仕事したなという気分になる。昼食は母が買ってきた海苔巻きとお稲荷さんと今川焼き。熱いお茶が美味しい。
  今日は外出はしなかった。昨日の予定では、今日が今年最後の営業日である「鈴文」と「甘味あらい」にとんかつとあんみつの食べ納めにいくつもりであったが、明日はすき焼、明後日(大晦日)は天ぷらそば、そして正月はおせち料理(自宅および妻の実家)という恒例のラインアップを考えると、今日はセーブしておいた方が賢明だという結論に至ったのである。理性の人である。
  夜、松本清張原作の『顔』というTVドラマを観る。今年は清張生誕100年ということで、映画やTVドラマが盛んに作られたが、たいてい原作よりもよいものになっている。原作はストーリー重視だが、脚本家は清張の作品を通して戦後の日本社会の有り様や日本人の生き方を描こうとするからである。原作では背景であったものが、前面に出てくるのだ。サスペンスがヒューマンストーリーに変貌するのだ。今日の『顔』もやはりそうだった。


小雀の飼育記録も成長と自由と幸福の物語に変貌するのだ。


12月28日(月) 晴れたり曇ったり

2009-12-29 02:36:37 | Weblog

  9時、起床。朝食はとらず、9時半に予約してある近所の歯科へ。冷たい水にしみる歯があり、診てもらう。見た目には虫歯はなく、知覚過敏というやつかもしれないが、昔治療して詰め物をした歯の内部が虫歯になっている可能性もある。その場合は詰め物を除去してみないとわからないので、それは正月明けにして、とりあえず知覚過敏を想定した処置(歯に何か塗った)をしてもらう。帰宅して、30分ほどしてから(医者にそういわれたので)、朝食。昨日の夕食の残りの肉じゃがをご飯にかけて肉じゃが丼。


汁ダクで

  朝食をとりながら『坂の上の雲』第4話(録画)を観る。正岡子規が新聞「日本」の社主の陸羯南と俳句論を交わす場面があったが、そこで、子規は蕪村の「春の水山なき国を流れけり」をダメだという。「山なき国」って何だ、全然情景が浮かんでこないという。ドラマでは言及されないが、これは内藤鳴雪との論争が背景にあって、2人とも蕪村を高く評価しているのだが、この句に関しては、鳴雪が蕪村の代表作といって非常に高く評価しているのに対して、子規は評価しない。理由は絵画的(=写生的)ではないから。松山出身の子規にとって「山なき国」を流れる川なんてものを想像することは困難であったのだろう。つまりシュールな句だったわけだ。一方、鳴雪は松山藩の武士の子だったが、生まれ育ったのは江戸の武家屋敷で、関東平野というものを知っている。私も東京生まれだから、鳴雪に加担する。これ、いい句だと思う。

春の水山なき国を流れけり  蕪村

  「山なき国」という言葉が実に効果的で、まず、山のある風景の中を流れる春の川が浮かんできて、瞬時に、その山が消えるのである。「山なき国」といっても「山」という文字が目に飛び込んできた瞬間、われわれはそこに「山」を見るのである。それが「山なき」と否定されることで、山の姿がスーッと消えていくのである。後には平野の中をゆったりと流れる春の川の映像が残るという仕掛けだ。蕪村にはこんな句もある。

橋なくて日暮れんとする春の水  蕪村

  理屈は同じ。まず「橋」という言葉にわれわれは反応し、その直後に、その存在が否定されるのである。何かの不在を表明することで、その何かがかえって意識されるのである。不在の逆説とでも呼ぶべきレトリックである。ちなみに子規にはこんな句がある。

下総の国の低さよ春の水  子規

  蕪村や鳴雪であれば、「下総は山なき国よ春の水」とでも詠んだであろう。その方が句としての格は上だろう。でも、子規はあくまでも写生にこだわる。山がないんじゃない、山が低いのだ、と。頑固である。子規は無形語(存在しないものを示す言葉)を使わなかった。写生と心中するつもりだったのだろう。子規が亡くなったのは明治35年(1902年)、アンドレ・ブルトンが「シュルレアリズム宣言」を発表する20年ほど前のことである。  

  小雀が窓の外をじっと見ていたので、外の空気に触れさせてやろうと思い、手の平の中に入れて玄関を出たら、途端にあせったように手の平から出て頭上に飛び立って、お向かいの家の木の上の方に止った。突然の別れかと慌てたが、小雀もどうしていいかわからなかったようで、「チュン!」と呼ぶと、下の枝の方へ降りてきたので、保護する。おい、びっくりさせるなよ。
  門松を門柱に立ててから、紀要に載せる原稿の再校ゲラをバッグに入れて、散歩に出る。「中華つけ麺大王」で遅い昼食(肉入りつけ麺)をとってから、「シャノアール」でゲラに目を通す。修正は一箇所だけだった。


冬の雲山なき町をとおりけり  雀荘主人

  夜、『坂の上の雲』第5話(録画)を観る。続きは来年の12月。なんともスケールの大きなTVドラマである。


12月27日(日) 晴れ

2009-12-28 02:04:42 | Weblog

  8時、起床。まだ書いていなかった年賀状を1枚書いて、ポストに出しに行く。年末の日曜日の朝はいつもよりひっそりとしている。年末年始の休みのことをわれわれは冬休みと呼んでいるが、春休みや夏休みに比べるとずっと短くて、長さだけでいえばゴールデンウィークの類なのだが(冬だからクリスタルウィークとか)、やはり年が替わるというのは格別の気分のもので、ただの1週間の休暇とは違う。目玉焼き、トースト、紅茶の朝食。
  今日のタスクは書斎の大掃除。書架から溢れた本を書庫に運び、山積した書類を選別して大部分を廃棄処分とする。ここまでは例年と同じだが、小雀が食べ散らかした餌や抜けた羽毛の掃除というのが今年は新たに加わった。動物園の飼育係りが檻の中を掃除するみたいな感覚だ。


福良雀

  昼食は近所に開店したばかりの土鍋煮込みうどんの店に食べに行く。以前、「やぶ久」があった場所だ。メニューは味噌煮込みうどんと醤油煮込みうどんの二種類だけで、値段は600円(平日のランチタイムは500円)。味噌煮込みうどんを注文する。厚揚げ、玉子、蒲鉾、エノキタケ、豚肉が入っている。煮込みうどんではあるが、うどんはコシがあって、水団の食感に近い。スープは美味い。これで600円(500円)は安いと思う。欲をいえば、大根が入っているともっといい。
  帰宅して、掃除の続き。書類の間から喪中の葉書が2枚出てきた。同僚のS先生とH先生からのものだ。いかん、2人には年賀状を出してしまった。お詫びのメールを出しておく。ときどきこうした失態をする。住所変更のお知らせをいただいたのに旧住所に出してしまうということもある。こういうことが続くと、自分がダメな人間な気がして、いっそのこと年賀状をやめてしまおうかと思ったりするが、なかなかそういうわけにもいかない。やめる場合は、「来年から年賀状はやめます」と年賀状に書かないといけないのではないかと思うが、これまでそういう年賀状を人からもらったことはない。

  秋のドラマも先週で一応の決着をみたが、ベスト3は、1位「外事警察」、2位「JIN」、3位不毛地帯」(継続中)。さて、正月明けからスタートする冬のドラマだが一応初回チェックを入れてあるのは以下の通り。( )内は初回放送日。

  月曜(11日) 「コードブルー 2nd season」 フジ系 主演:山下智久
  火曜(12日) 「まっすぐな男」 フジ系 主演:佐藤隆太
  水曜(13日) 「曲げられない女」 日テレ系 主演:菅野美穂
  木曜(14日) 「エンゼルバンク 転職代理人」 テレ朝系 主演:長谷川京子
  金曜(15日) 「宿命1969-2010」 テレ朝系 主演:北村一輝
  土曜(16日) 「君たちに明日はない」 NHK 主演:伊藤英明
  日曜(17日) 「特上ガバチ!!」 TBS系 主演:堀北真希
  番外(3日)  「龍馬伝」 NHK 主演:福山雅治


12月26日(土) 晴れ

2009-12-27 00:06:41 | Weblog

  9時、起床。炒飯の朝食。印刷した年賀状に直筆の一言を書いていると、ケータイが振動した。妹の夫のK氏からのメールだ。昨日の私のブログに出てきた新国立劇場バレエ団の本島美和さんは彼の親戚であると書いてある。どういう親戚なのかというと、K氏の従弟(K氏の母親の妹の息子)の妻が本島美和さんのお姉さんなのだそうだ。赤の他人と思っていた本島美和さんが、急に身近な(とはいっても相当の距離ではあるが)存在になった。今後、彼女を応援しよう。
  午後、大学へ。2時から早稲田社会学会の理事会があるのだ。昼食がまだだったので、早稲田駅と大学の間のコンビニでピーナツサンドを購入し、理事会の始まる前に研究室で食べる。ピーナツバターは子どもの頃から好物で、近所のパン屋でコッペパンにピーナツバターをたっぷり塗ってもらって食べるというのは、何ともいえない贅沢であった。いまでもピーナツバターをパンに塗るときは気分が昂揚する。

  理事会が終ったのは5時。いつもは報告中心で、もっと早くに終るのだが、今日は協議を必要とする議題が多かった。これからあれこれ大変そうである。必然的にそこに私も巻き込まれていくわけで、そうであれば、引きずり込まれるよりも、覚悟を決めて飛び込んでいった方がいい。


仕事納め

  「シャノアール」で珈琲を飲みながら、残りの年賀状に添え書きをして、「松屋」の前のポストに投函。時刻は6時。今日の最終の集荷に間に合うだろうか。