フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

9月29日(火) 曇り

2009-09-30 09:47:34 | Weblog

  9時半から現代人間論系の教室会議。来年度の時間割の相談。大枠は固まったが、細かい手直しがこれから必要である。時間割案提出まであと2週間。さまざまな条件(要求)を入力して、実行ボタンを押せば、最適化された時間割案がポンと表示されるソフトというものがあるといいのにと思う。
  今日は財布を忘れてしまった。銀行のカードも財布に入っているので現金を下ろすこともできない。年に何度かこういうことがある。昼食は助教・助手の方たちと一緒に「メルシー」でとる(チャーシューメン)。私の分は、奢ってもらうのではなく、立替えてもらった。食後の珈琲は我慢した。
  3限は「現代人間論系総合講座2 生命の尊厳と生活の質」の初回。最初にコーディネーターである私がミニ講義をして、続いて、メンバーの木村助教、岡部先生、増山先生がそれぞれ挨拶代わりのミニ講義をする。春学期、同じ時間帯、同じ教室で行なった「現代人間論系総合講座1 現代人の精神構造」のキーワードは個人化であったが、今度のキーワードは福祉である。2つのキーワードはリンクしている。ますます個人化が進行していく社会にあって、人々の福祉(幸福)のセーフティネットやサポートシステムというものをいかに構築していくかということである。かつて福祉は一部の人たちのためのもの、社会の大部分の人々にとってはどこか他人事のようなところがあったが、いまでは、普通の人々にとって福祉が身近な問題、切実な問題となってきている。大学という特殊な場所に所属し、親と一緒に(一緒でなくても仕送りをしてもらって)生活している大学生だって、ほんの少しの想像力を働かせるだけで、そのことを実感できるはずである。リアルに感じ、そして考えること。そういう授業にしていきたい。
  授業中に携帯が二度振動した。登録されていない電話番号からの着信である。授業の後に留守番電話のメッセーを聞いたら、学文社の編集部からのもので、テキストができあたっがので今日大学の方へお届けにあがります、という内容だった。びっくりした。どんなに早くても来週の後半と思っていて、「ライフストーリーの社会学」と「ケーススタディの方法」の受講生にもテキストは初回の授業には間に合わないけれど2回目の授業までには生協の書店に並びますとメールで伝えたばかりだった。もしかしたらシルバーウィークの最中に大車輪で働いていた方々がいるのだろうか。ありがたく、また申し訳ない気持ちでいっぱいだ。5限の授業の開始の10分前に学文社のSさんが研究室に到着し、テキストを受け取る。さっそく5限の「質的調査法特論」(大学院)の授業で紹介する。ボジョレヌーボーみたいである。


95頁のブックレットで、定価千円です。

  著書の献本というのは学者の世界での習慣だが、もらってもね・・・という場合もあるでしょうから、興味のある方(同業者)はメールでお知らせいただければ、お送りします。本は読んでくれる人のところへ届けられるのが本と著者にとっての一番の幸福ですから。


9月28日(月) 晴れ

2009-09-29 00:44:21 | Weblog

  今日から秋学期。ただし、私は月曜日の授業はないので、自宅で、明日の授業の準備、現代人間論系の教室会議の準備。どちらもパソコンに向ってする仕事だが、それと関連して何本もメールを出す。そして受け取る。事務所からも何本もメールが届いた。みんなこの1週間ないし2週間のうちに遂行しなければならないタスクについてのメールである。学生からも何本かメールが届く。たいてい授業に関連したことである。卒業生から1本メールが届いた。これは2ヵ月後に迫った結婚披露宴の話である。これもタスク(スピーチ)の依頼である。私の方から出したメールは23本。いま、世の中はメールで動いているのだろうか。
  今日は子雀があまり餌を食べなかった。食欲のあることだけが取り柄なのだが、その食欲が今日はいまひとつ。まるで時差ぼけのように眠ってばかりいる。体調が芳しくないのかもしれない。心配なので、できるだけそばにいてやる(今夜、行く予定にしていたワセオケの定期演奏会は断念した)。夕方になって、ようやく普段の食欲が戻る。


日向ぼっこ


9月27日(日) 薄曇り

2009-09-28 01:22:27 | Weblog

  夏休み最後の一日。6時半、起床。山積する仕事に終日取り組む。一つのことにかかりきりなるわけにはいかないので、2、3時間単位で作業を切り替える。そして合間を見て子雀に餌(練り餌)を作って与える。主婦兼キャリアウーマンてこんな感じなのだろうか。


ティッシュの箱で昼寝をする子雀

   4時頃、息抜きに自転車に乗って「甘味あらい」に出かけたが、日曜日で客が多かったのだろう、早めに店仕舞いをしていたので、「浅野屋」で葛餅と珈琲のセットを注文し、そこで30分ほど授業の資料に目を通して帰ってくる。部屋の中にいるときは蒸し暑さを感じていたが、外は意外に涼しかった。

  夕食の後、NHKの衛星放送でバドミントンのジャパンオープン、女子ダブルスの決勝戦(録画)を観ていたら、妻が、「日本が負けたのよ」と言った。私は結果を知らずに見ていのに・・・。私の顔が大魔神の変身のときのようになったのを見て、妻はあわてて、「知ってると思ったの」と言い訳をした。嘘だ。知っていると思っていたら、「日本が負けたのよ」ではなく、「日本が負けたのね」というはずである。「日本が負けたのよ」は結果を知らない(と思っている)相手に結果を知らせるときの言い方である。ゆ、許さん。私はドメスティック・バイオレンスの衝動に駆られて、妻を追いかけた。食卓の周りでわれわれはしばしの鬼ごっこをした。


9月26日(土) 晴れ

2009-09-27 09:53:00 | Weblog

  9時から大学院の入試の二次試験。一次試験(筆記)を通過した7名に対して面接を実施。1人10分から15分くらいのペースで10時半には終了。引き続き教室会議。合格者の指導教員を決める。合格者は誰が自分の指導教員であるかを入学するまで知らないのであるが、一方、教員の方も、果たしてその受験生が(併願しているであろう他の大学院ではなく)うちの大学院に来るかどうかは4月になってみないとわからないのである。
  昼食は「すず金」の鰻重にする。久しぶりである。上(1600円)と肝焼き(200円)と肝吸い(100円)を付けて1900円は昼食としては贅沢である。景気をつけないと来週からの秋学期のスタートを切れない。目を閉じて、再び目を開けたら、8月1日に戻っていたというSFのような展開を期待して、試してみたが、無駄だった。今日が9月26日で、来週から授業開始というのは疑いようのない現実なのだ。やれやれ。食事を終え、研究室に戻り、ゼミ費の領収書の整理をする。あと一回、冬の合宿をするだけの予算は残っている。セミナーハウスの予約状況を調べ、候補の日程をゼミ生にメールで連絡する。
  上野の東京文化会館で東京バレエ団の公演「ラ・バヤデール」を観る。古代インドを舞台にした、男女の愛と嫉妬の物語である。愛は定番のテーマだから、嫉妬が前面に出ているのが「ラ・バヤデール」の特徴だろう。嫉妬とは自分に向けられべき(そう本人は期待している)相手の愛情が第三者に向っていることを認知したときにその第三者に対して生じる攻撃的な感情である。その第三者がいなくなれば相手の愛情は自分に向うだろうと考えるとき、嫉妬は殺意を帯びるのである。「ラ・バヤデール」では、最初にハイ・ブラーミン(大僧正)が神殿の舞姫ニキヤに一目ぼれして(大僧正なのに!これがそもそもの間違い)、彼女の恋人である戦士ソロルに嫉妬をして、ソロルを消そうとする。次に、ソロルがラジャ(国王)の娘ガムザッティと婚約し(ニキヤという恋人がいるのに!これが致命的な間違い)、ハイ・ブラーミンからニキヤの存在を知らされたラジャとガムサッディがニキヤを消そうとする。結果、ニキヤは死に、ソロルは後悔の念に打ちひしがれ、神は人間たちの振る舞いに怒り、神殿を崩壊させる。・・・そういうストーリー。吉岡美佳はエキゾチックな雰囲気がニキヤにぴったり。8月に観た東京バレエ団の公演「オマージュ・ベジャール」で、吉岡が「バクチⅢ」のシバ神の妻シャクティを踊ったのを観て、(看板スターの上野水香ではなく)吉岡がニキヤを踊る回の「ラ・バヤデール」のチケットを購入したのだ。ガムザッティ役の田中結子は鍛え上げた身体で切れのいい踊りを披露していた。影の王国のヴァリエーション役の3人の中では、岸本夏未のエレガントな身体所作が印象に残った。二階席の最前列だったのだが、この角度で観ると、舞台の後方までしっかりと観ることができるので、群舞の場面は美しかったが、個々のダンサーをしっかりと観るためには、双眼鏡が必要で、私は会場でレンタルしたのだが(500円+保証金5000円)、周囲には双眼鏡を使っている人がほとんどいなかった。1階の前方の席以外では必需品だと思うのだが、どうしてだろう。自分だけ双眼鏡を使っていると、なんだか覗き見をしているようで、居心地が悪いのである。


9月25日(金) 晴れ

2009-09-25 22:25:53 | Weblog

  午後4時半ごろ、合宿先から帰宅する。

   今回の合宿は3時間単位の演習を初日2セット(午後と夜)、2日目3セット(午前、午後、夜)、3日目1セット(午前)の計6セット行った。2日目が一番ハードであったが、昼食から午後の演習(3時から)までの間にみんなで太海(ふとみ)海岸に出てみた。夏の間は海水浴場であったが、その喧騒はすでになく、1人であれば、♪いまはもう秋、誰もいない海・・・とトワ・エ・モアの名曲『誰もいない海』を口ずさむところであるが、16名の大学生が一緒となれば、青春の気配が海岸に漂うのである。

  その日の夜は、演習の後、10時から12時頃まで、3Fの食堂横のテラスで、満天の星空の下、肌寒さをものともせず、飲み会が行われ、恋話(コイバナ)に花を咲かせた。女子学生はこういう話が好きである。いや、苦手な者もいると思うが、集団圧力というものが働いて、全員が話をせざるをえない状況であった。初心な語りもあれば、3人の男の中からどれを選んだらいいかしら(勝手にしやがれコノヤロー)という語りもあった。ゼミのテーマは現代人のライフストーリーであるから、恋話もその一環と考えれば、2泊3日、勉強漬けの合宿であった。お疲れ様でした。