フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

2月27日(水) 晴れ

2013-02-27 23:21:07 | Weblog

  8時、起床。

  小雨が降っているが、それほど寒くはない。この冬の寒さも底を打った感じがする。これからは一雨ごとに春めいてくるだろう。

  朝食兼昼食を東急プラザの「シビタス」に食べに行く。ここはホットケーキが看板メニューだ。元々、神田の老舗のフルーツパーラー「万惣」の支店であった。昨年、本店は80余年の歴史に幕を下ろしたが、「シビタス」では名店のホットケーキのレシピを守り続けている。

  ホットケーキ単品は470円。これにいろいろなサイドディッシュや飲物を付けたセットメニューが豊富である。フランクフルトソーセージとコーヒーのセットを注文。   

  真ん丸で厚味のあるホットケーキだ。こんがりときつね色に焼かれ、中央が盛り上がっている。外側はサクッとして、中はしっとり、ふんわりしている。理想的なホットケーキだと思う。パンケーキとの違いは、厚味があるかないかだが、それは膨張剤を入れるか入れないか、牛乳の分量の違いだろう。

  ホットケーキは幸福な食卓の情景と結びついている。だからホットケーキはふっくらとしていなくてはならない。薄いホットケーキは薄幸な印象である。もっともパンケーキの上にいろいろな食材を載せて食べるのであれば話は別で、それは祝祭的な印象である。そうやって食べるパンケーキは、ホットケーキよりもクレープの仲間という気がする。

  ホットケーキは甘味なので、お八つではなく、食事としていただく場合は、同じ鉄板で焼いたマスタードを添えたソーセージがよく合う。(「シビタス」ではホットケーキはフライパンではなく大きな鉄板の上で同時に複数焼く。カウンター席に座るとその様子を見物できる)。

   ホットケーキは食べたいが、二枚は多いという場合は、注文すれば一枚でも焼いてくれる。これは確認済み。ならば二枚では物足りないという場合は、三枚でも焼いてくれる(だろう)。蕎麦屋でせいろを注文するときと同じだ。ただし、実際に三枚重ねのホットケーキを食べている人を目撃したことはまだない。検証するためには自分で注文してみるのが一番なので、いずれチャレンジしてみたい。  

  昨日のことになるが、私のブログの読者に最近なったという方からメールをいただいた。その方は、7年間ほど実名でブログをやっておられて、料理のレシピなどを公開され、人気のブロガーだったが、ある時期からブログを書くことにも、人の書いたブログを読むことにも興味が湧かなくなってきて、昨年末で、実名のブログは更新を停止し、気持ちをリセットするために新たに匿名のブログを二週間ほど前から始められた。始めるにあたって、自分はどんなブログを書きたいのか、どんなブログを読みたいのかを確認するために、gooブログの中からあれこれ検索しているうちに、私のブログを見つけたそうである。私がボトルに入れてネットの海に流した記事を偶然拾われて、読者になった方である。その方のブログを拝見したが、長年ブログをやっておられた方だけあって、写真も文章もお上手である。お手製の料理の写真はとても美味しそうで、文章の切れ味もいい。ヤクザ映画の賭博の場面でよく使われる台詞を借りて言えば、「お客さん、素人の方じゃありませんね」という雰囲気が漂っている。記事の中に、ブログについての考察を書かれたものがあり、これが大変に興味深いので、ご本人の許可を得て、ここで紹介しておきたい。

  ブログのタイトルは『眺める空に描くもの』、ブログに関する考察の記事は「わたしのブログライフ」である。


2月26日(火) 晴れ

2013-02-27 10:01:55 | Weblog

6時半、起床。ブログを更新してから、卵焼き、具沢山の味噌汁、ご飯の朝食。

  今日からの3日間は大学に出る用事はない。自宅に篭って原稿書きの日々となる。

  でも、自宅に篭っていても、 電話やケータイやPCで外部の世界とはつながっている。今日はあれこれの用件で、同僚の先生方、編集者、卒業生、高校時代の友人、ブログの読者の方などと、交信する。そのコミュニケーションの総量はふだんの一日よりむしろ多かった。

  母が書斎にやってきて、「昼食はどうする?」と聞いてきた(妻は講習会の仕事で出かけている)。外に食べに出ようかと考えないわけではなかったが、ホウレン草の胡麻和えやキンピラがあるとういので、ありがたくいただくことにする。食事を作ってもらって食べるのも家族のコミュニケーションである。  

  夕方、散歩に出る(もちろん鞄に原稿を入れて―編集者T氏へ)。 寒さはいくらか緩和されてきたようである。

 

  「テラス・ドルチェ」でココアを飲む。最近はカフェでココアを注文することが多い。毎年、冬の一時期、そういうことになる。コーヒーは食事の後に飲むことが多く、紅茶はスイーツと一緒に注文することが多い。しかし、ココアはそれ単独で飲むことが多い。ココアの中に、食事的要素、スイーツ的要素が含まれているからだと思う。

  カフェに入るのは、誰かとおしゃべりをするため、仕事をするため、歩き疲れたから、ほっと一息つくためと、そのときどきで理由があるわけだが、ココアは「ほっと一息」感の強い飲物である。

  「テラスドルチェ」でココアを注文するのは初めてだったが、「普通のココアですか?」と聞かれた。あまり意味を考えずに「はい」と答えたが、後から、普通じゃないココアというのはどういうココアだろうと気になって尋ねたら、白いココアというのがあるそうなのである。ああ、そういえば、そういうメニューがあったなと思い出した。私はまだ白いココアというものを飲んだことがないが、ホワイトチョコレートみたいなものなのだろうか。そのうち気が向いたら注文してみよう。でも、ほっと一息を求める気分と初めてのものを注文する気分とは相容れないもののようにも思える。


ホットココアの「ホット」はほっと一息の「ほっと」と重なっている 


2月25日(月) 晴れ

2013-02-26 09:57:50 | Weblog

  7時半、起床。カレーライスの朝食。 

  今日は午前中から会議がある。9時半に自宅を出て、大学へ。今日も寒い。

  10時半から拡大人事委員会。

  会議を終えてから、「maruharu」で昼食。タマゴサンド、ホットドッグ、コーヒー。  

  1時から教授会。4時頃までかかる。

  「フロハン」(「フロム・ハンド・トゥ・マウス」の略称)でスイーツタイム。ここはクレープが売り物の店なので、苺とアイスクリームのクレープを注文する。真下を地下鉄が通っているせいで足元がときどき揺れる・・・と思ったのは私の勘違いで、後から地震があったことを知る。

  4時半に研究室に来客があることをうっかりしていて、4時半を過ぎたあたりでそのことに気づく。大慌てで研究室に戻る。

  研究室の前で待っていたのは生命保険文化センターの方で、私が審査委員をしている中学生作文コンクールの入賞作品集の冊子ができたので持って来て下さったのである。「お忙しいところ急にお邪魔して失礼致します」と挨拶される。いえ、いえ、おいでいただくことは事前に分かっておりましたから。「会議中でいらっしゃいましたか?」と聞かれる。う~ん、会議が終わって、喫茶店で寛いでおりましたとは言えず、「ええ、まあ」と口ごもる。 


入賞作品はこちらから読めます

   6時半に卒業生のSさんが研究室にやってくる。ドアを開けるなりケラケラと笑い出したから、どうしたのかと思ったら、「あまりにご無沙汰していたので可笑しくなってしまいました」とのこと。笑う理由にもいろいろあるものである。ご無沙汰とはいっても、前回の訪問が去年の3月だから、笑うほど間隔が空いているわけではないのだが、つい先日、結婚をしたばかりで、未婚→既婚という変化の大きさに照れたのであろう。

  お土産にチョコレート(遅ればせのバレンタイン)と彼女の郷里の鹿児島産のタンカンをいただく(ポンカンとネーブルオレンジの自然交配種で、漢字では「短桶」と書く。中国で行商人が持ち歩いた桶に由来するらしい)。


タンカン娘

  「五郎八」に場所を移し、食後のコーヒーを「カフェゴトー」で。閉店の時間(9時50分)までおしゃべりをする。 

  Sさんは2年前、学部を卒業して、アメリカに留学するための資金を稼ぐため短期間のアルバイトのつもりで国会議員の秘書の仕事を始めたのだが、そこ(議員会館)で別の議員の秘書をしている男性と知り合って、結婚することになったのである。人生、どこでどうなるかわからない。議員の秘書という仕事は自分に向いていることにも気づいたので、結婚後も、しばらくはこの仕事を続けて生けてゆくつもりとのこと。Sさんがゼミ生のとき、私は彼女に「アフタヌーン〇〇子」というニックネームを付けたのだが、それは彼女がもっている「午後のまどろみ」的雰囲気を表現したもので、ゼミ生たちにはグッドネ―ミングだと評判で、Sさん自身もまんざらではなかったようである。そうした彼女のにこやかで、おっとりとしいて、けれど仕事はきちんと出来るというキャラクターは、議員の秘書としてうってつけであろう。しかし、議員が選挙に落ちればただちに失業してしまう不安定な職業であるから、一生の仕事としては考えずらく、長期的なことはこれから考えていきたいそうである。うん、しっかりしている。  

天ぷら盛り合わせ


五郎八特製出汁巻き卵


モツ煮込みにうどんを入れてもらって〆にする。


Sさんはブレンドコーヒー、私はココア

  「カフェゴトー」を出て、研究室に戻る必要のある私は、Sさんとはそこで握手をして別れた。次に彼女が研究室にやってくるのはいつのことだろうか。そのとき、彼女は、また今日みたいに笑いながら研究室のドアを開けるのだろうか。


2月24日(日) 晴れ 寒風強し

2013-02-25 02:56:04 | Weblog

  7時半、起床。晴天だが、風が冷たい。猛烈な寒気団が日本列島を覆ってきているらしい。

  朝食は「麦」のモーニングセット。今回は看板に書いてあるとおり500円だった。しかし、ハムエッグのはずがハムのない目玉焼きだった。マカロニサラダやスパゲッティも前回の方が量が多かった。前回(650円)が「スペシャル」だったのかもしれない。

   今日もマダムから面白い話をたくさん聴いた。ただし地元ネタについてはここでは書けないようなこと、ゴシップネタが多い。

  駅ビルの西館の雑貨店「木糸土」を覗く。前回来たとき、店員さんが私に、「年末にお買物をされたときお釣りをお渡しし忘れてしまったのではないかと思うのですが・・・」と話しかけてきた。年末に買物をしたのは覚えているが、お釣りのことは覚えていない。その日の会計の締めをしたときに私が購入した商品のお釣り分に相当する金額の余剰金が出たのだそうだ。どうして私が購入した商品だとわかるのですかと尋ねたら、ポイントカードを使われたので氏名が記録されているのですとのことだった(私のような年配の男性客は珍しいというのもあったらしい)。というわけで、お釣り分の金額を受け取ることになったのだが、数百円程度だと思ったら、数千円だったので驚いた。千いくらの商品を購入して五千円札で支払ったようだ。それでお釣りを受け取るのを忘れるというのも、迂闊と言うか、悠長な話だが、あのときは店員さんとあれこれおしゃべりをしていて、しかも購入した商品を包装してもらっている間に別のお客さんの会計が入ったりして(待たしているのが申し訳ないので、そうしてくださいと私がお願いしたのだ)、お釣りのことを忘れてしまった(もらった気になっていた)というわけなのである。

  なんだか臨時収入が入ったような気分であったし、店員さんの誠実な態度にも好感をもったので、そのお金でまた何か購入しようと考えていた。今日、立ち雛と豚のガラス細工を購入する。 

  昼食は下丸子の「喜楽亭」でいつものチキンカツ定食。注文して待っている間に、立ち雛と豚のガラス細工をテーブルの上に並べて写真を撮る。

  ご主人に「麦」のことを話すとご存知だった。高校生の頃、よく行ったのだという。高校生で放課後に蒲田の喫茶店ですか。それってもしかして不良じゃないですか(笑)。今日のチキンカツはいつもより一段と美味しい気がした。


豚の頭の上にカエルがちょこんと座っている(意味は不明)


我家で3月3日にお雛様を飾らなくなって久しい。

  食後のコーヒーは蒲田に戻って「カフェドコバ」で。 

  とにかく今日は風が冷たい。散歩は早めに切り上げて帰宅。

  昨日のブログで、『泣くな、はらちゃん』の感想を書いたが、そのとき、越前さん(麻生久美子)みたいにその日のことを漫画に描いている人は少ないだろうけれどと書いたが、そうでもないらしい。卒業生のMさんが、自分も漫画を描いていますというので、ちょっと見せて(メールに添付して)もらった。登場人物は越前さんの場合ように架空のキャラクターではなく、自分と家族(ペットのわんちゃんも含む)で、日常の一コマが記録され、コメントが付けられている。何気ない日常であり、かけがえのない日常である。ゲストで私も登場させてもらえないかと頼んだら、「先生を描くとしたら、周りにスイーツや料理をたくさん描きます」と言われた。そういうキャラか。メーテルリンクの『青い鳥』に登場する「太った幸福たち」みたいじゃないか。

 


2月23日(金) 晴れ

2013-02-24 09:24:28 | Weblog

   8時、起床。朝食はとらず、9時前に自宅を出て、大学へ。今日は大学院の科目等履修生の入試(面接)がある。

   昨年末に開店したばかりの「ドトール」早稲田店で朝食をとる。ここは以前、ある会社のオフィスがあった場所で、オフィスの中が道から丸見えで、従業員の女性たちはいつも通行人に見られていてさぞや落ち着かない気分だろうと思っていた。窓際の席は、そのときと同じく、外から丸見えだが、カフェの場合は、客の方も道行く人を眺めるので、「見られる」人は同時に「見る」人でもある。私はこういう道路に面した窓際の席は落ち着かない(レースのカーテンをかけてくれるといいと思うのだが)。

  10時半までの「朝だけセット」の中からCセット(ジャーマンドッグ+ブレンドコーヒーSサイズ:380円)を奥の席で食べる。 

   10時半から面接開始。欠席者もあって11時には終わる。

  本部キャンパスの総合図書館へ行って本を借りる。『生活学入門』という昔の放送大学のテキストで、私が書いた本である。もちろん持っているのだが、もうボロボロで、一部ページが抜け落ちているのだ。数冊持っていたはずだが、なぜか一冊しか残っていない。実はもう一冊自分の書いた本で借りたい本があったのだが、貸し出し中だった。自分の書いた本を図書館で借りるということ自体、おかしなことなのだが、しかも貸し出し中で借りられないというのは、いよいよおかしなことである。

  図書館のそばの「金城庵」で昼食をとる。天丼フェアというのをやっていて、普段は1650円の上天丼セットが1250円だったので、それを注文する。普通の天丼よりおそらく海老が大きいのだろう。「金城庵」は大正8年創業の老舗だが、私が学生の頃は、海老を開いて(あじフライみたいな)天ぷらにしていた。しばらく前に経営者が変わって(看板はそのまま引き継いだ)、普通の形の海老天になった。

   食後のコーヒーを「金城庵」の向かいにあるジャズ喫茶「ナッティ」で飲むことにする。ここは蒲田にあった花屋さん「サッチモ」のご主人が4年前(2009年1月)にこの場所に開店したお店である。開店当初、一度訪問したことがあるが(そのときのブログはこちら)、そのときは営業時間外で、営業中の訪問は今回が初めてである。私はジャズ喫茶というものに入ったことがないので、ドアを開けるときは緊張したが、3人の客がいて(みな一人客で中年男性)、一人は本を読み、一人はじっと目を閉じ、一人は身体をスイングさせながら、ジャズを聴いていた。名曲喫茶に似ているが、名曲喫茶よりも(とはいっても私が知っている名曲喫茶は金沢の「パルティータ」くらいなのだが)音量はずっと大きい。マスターはドアを開けて入ってきた私を見て、一瞬の間があって、私であることに気づかれた。コーヒーを注文するときに他の客の迷惑にならないか気にしながら挨拶をする(名曲喫茶やジャズ喫茶ではおしゃべりはNGなのではないかと私は思い込んでいたのだが、そうでもないらしい)。途中で、奥様がやってきて、会計のとき、3人で互いの家族の近況などを語り合った。ずいぶんご無沙汰してしまったが、ジャズやジャズ喫茶というものにも興味があるので(村上春樹の文学を味わうための一助にもなりそうだし)、これからはときどき訪問したいと思う。

  今日は、思い切ってドアを開けてよかった。震災の後の私は、「ドア」を開けようかどうしようか迷ったときに、「ドア」を開けるようになった。そのことは自分でも気づいている。

   丸の内丸善で本と雑誌を購入。蒲田に着いて、「ムッシュのんのん」に寄って、ココアを飲みながら、ひとわたり目を通す。

  夜、『泣くな、はらちゃん』第6話を観る。いよいよ佳境に入ってきた。越前さん(麻生久美子)は自分で描いている漫画のストーリーにどのような結末をつけるのだろうか。

  物語とは出来事の連鎖への意味付与である。大澤真幸は「物語化できない人生」というものが現代社会の特徴だと述べている(『「正義」を考える』NHK出版新書、2011)。いま直面しているつらい状況が、一体何のためにあるのか、どのようによい方向に展開していくのかわからない人生、それが「物語化できない人生」である。つらい出来事というのは人生にはいろいろあって、それは昔からあったわけだが、そのつらい出来事を物語化する(解釈し、了解する)仕組みが失われてしまったのが現代社会なのだというのが大澤の見解である。

 越前さんは生きづらい毎日を送っていた。「物語化できない人生」を生きている人である。漫画を描くことは、バーチャルな世界に物語を構築することである。漫画の中の登場人物が現実の世界の中に飛び出してくることで、彼女の世界が物語化していく過程、それが『泣くな、はらちゃん』である。

  漫画を描くことを趣味にしている人は多くはないだろう。けれど、ブログを書くことは漫画を描くことと似ていないだろうか。論文を書くことも漫画を描くことと似ていないだろうか。