花邑の帯あそび

1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…

名所旧跡文様

2013-08-08 | 文様について

presented by hanamura ginza


暦の上では立秋を迎えましたが、
うだるように暑い日がつづき、
東京では、夜でも蝉が鳴いています。

まもなくお盆休みということで、
この暑さから逃れ、
避暑地などで休暇を過ごされる方も多いことでしょう。

現在では旅行がひとつのブームともなっていて、
お盆休みやゴールデンウィークのような大型連休に
旅行に行かれる方がとても多いようです。
電車や飛行機、道路などの混雑が
毎回ニュースにもなっていますね。

旅をして、日常とは違う景色を目にすると、
気分転換ができるものですが、
実際に、旅をすると脳内でアドレナリンが分泌されるということが
科学的にも証明されているようです。

アドレナリンが分泌されると
リラックスができ、
ストレスや活性酸素を消去し、
免疫力が高まるそうで、
ストレス社会といわれる昨今において、
旅は特効薬ともいえるのかもしれません。

さて、こうした旅は、
平安時代のころより行われてきましたが、
その当時は、各地の霊山や社寺に参詣するといった
信仰や修行などの旅が主だったようです。

現代のように、名所を観光するといった
娯楽的な旅が行われるようになったのは
江戸時代の頃です。

戦国時代が終わり、
江戸時代の中頃になると、
経済が安定し、庶民にも貯えができたこともあり、
旅行ブームが起こりました。

街道の整備もすすみ、
各地の宿場町は馬や駕籠、商店なども並び、
大勢の旅行客で賑わったようです。

当時の観光地では
伊勢参り、熊野詣、富士講などが人気だったようですが、
その中でも伊勢参りは「男一度は伊勢と吉原」といわれたほどで、
数百万人規模の参拝者を記録した年もあるようです。
伊勢参りのあとには、京や大阪の方まで足をのばした方も
多くいました。

江戸時代後期には、そうした各地の名所や旧跡、名物などを詳しく紹介した
「名所図絵」というガイドブックも出版され、人気を博しました。
その本では、
大和、尾張、近江などの一国を描きあらわしたもの、
厳島や熊野、日光など社寺を中心にしたもの、
木曽路、東海道などの道中をあらわしたものと分類がされていました。

また、この「名所図絵」で紹介された名所の絵図は、
着物や帯の意匠にも用いられるようになりました。



上の写真は
生紬からお仕立て替えした名古屋帯です。
大文字山や、京都御所、金閣寺などの京名所が墨描き染めであらわされています。
風流な趣きの風景とともに、
名所の名前までもあらわされているのが面白いですね。
こうした意匠は、現代でも着物や帯に用いられています。

ちなみに、地方から江戸に観光に来る人々のために、
江戸のお店を紹介した「江戸買物独案内」という
ガイドブックもつくられました。

「東海道五十三次」を題材にして、
歌川広重が描いた浮世絵が大人気となったのも、
こうした旅行ブームが後押しをしたこともあるのでしょう。

しかし、旅行ブームとはいっても、
遠方に行くことができたのは裕福な人々で、
多くの庶民は近くの名所に出かけることが多かったようです。
また、伊勢参りも生涯のうち1 回か 2 回ぐらいしか
行くことはできませんでした。

「名所図絵」や「東海道五十三次」のような絵図は、
ガイド本としての役割だけではなく、
庶民がその本を眺めながら、
あれやこれやと夢を膨らませる案内図のような役割りがあったのでしょう。

上の写真の「京名所文様 墨描き染め 生紬 名古屋帯」は 花邑 銀座店でご紹介中の商品です。

●花邑 銀座店のブログ、「花邑の帯あそび」次回の更新は 8 月 22 日(木)予定です。
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