presented by hanamura
もうちょっとで5月だというのに、
ここ数日、風が冷たく、肌寒い日がつづいています。
東北の方では雪も積もっているようですね。
その天気のせいもあるのでしょうか。
先週、庭に植えた黒百合の花が開きました。
本来、黒百合は高山のような涼しい場所を好むので、
東京で見かけることはなかったのですが、
最近では、東京の花屋さんでも見かけることがあります。
庭で咲いた黒百合も、
昨年の秋に東京の花屋さんで買い、
球根から植えたものです。
涼しく 風通しのよい、
あまり陽の当たらない場所を選ぶと良いそうですが、
本来、高山で生育する黒百合を東京で咲かせるのはむずかしいようなので、
一輪咲いただけでもうれしいものです。
咲いた姿は、大輪の百合に比べると謙虚な感じがして、
ひっそりと咲いたという印象です。
百合は日本原産のものが多く、
江戸時代後期にはじめて海外に輸出されました。
カサブランカなどのヨーロッパの百合も
日本の百合から品種改良されたものが多いとのことです。
すっと伸びた茎やめしべ、艶やかな花びらの可憐な姿に
ヨーロッパの人々も魅了されたのでしょう。
今回、この百合がモチーフになっている帯や着物を探してみました。
下の写真は、大正から昭和初期頃のアンティークの帯です。
どこか艶めいた百合の様子が
驚くほどの精緻な職人の技によって意匠化されています。
百合ならではの淡くぼけている桃色の花びらの部分には、
そのために染められた布が用いられ、
日本刺繍で縁取られています。
赤紫色のめしべも艶やかですね。
下の写真は、江戸時代につくられた和更紗です。
百合がモチーフになっている和更紗はめずらしいのですが、
花びらの部分に陰影のある色差しがなされ、
異国の花とともに美しく咲く百合の様子が表現されています。
なお、こちらの和更紗から仕立てた帯を
現在花邑で紹介しています。
くわしくは花邑のホームページをご覧ください。
花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は5月3日(火)予定です。
帯のアトリエ「花邑hanamura」ホームページへ