花邑の帯あそび
1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…
 




presented by hanamura


「針」について

帯仕立てにはもちろん、
日常でもさまざまな場面で
大活躍をしている「針」。

昔からわたしたちは、
針穴に糸をとおして「縫う」ことにより、
複数のものを繋ぎあわせ、
ひとつの「かたち」をつくり上げてきました。

だれでも一度は、小さな針穴に細い糸をとおした
経験があるはずですよね?



この「針」の歴史はとても古く、
はじめに針が考えだされたのは、
紀元前4,000年~4,300年のエジプトでした。

当初の針は、骨から作られたようですが、
その姿は今の針とまったく変わらないのだそうです。
その後、金属の発明とともに
針は鉄から作られるようになりました。

日本では、604年(古墳時代)の地層から
骨で作られた針が出土しています。

平安時代になると、
針は広く知られるようになります。
戦国時代には鉄の製造が盛んになり、
鉄製の針が京都で数多く作られました。
この時代につくられた針の技術は現在にも受け継がれ、
「みやす針」として知られています。

このような「みやす針」を含め、
日本で作られてきた針は「和針」とよばれます。
西洋の針に比べ、弾力があり曲がりにくいのが特長です。
日本独自の縫い方である「運針」がしやすいように
考えだされた針なのです。

この和針には、長さや太さによって、
「三ノ一」「四ノ一」という暗号のような名前がついています。
前の数字の「三」は木綿のような比較的しっかりとした素材に、
「四」は絹のように薄い素材に利用します。
また、後ろの数字が大きくなるほど針が長くなります。

帯仕立てでは、中間ぐらいの長さで、しっかりとした素材用の
「三ノ三」の和針を使用して縫います。
この「三ノ三」の針は、縫う以外にも2つの作業で活用します。

まず、「仮止め」の作業で用います。
帯仕立てのときの仮止めには
頭に飾りがついたマチ針は使用しません。
「三ノ三」の和針で布と布を仮止めします。
「三ノ三」の和針のほうが、
マチ針より布と布をしっかりと止められ、
万が一、仮止めの針が外されず
帯を仕立て上げてしまったときでも
布目のあいだからスッと抜くことができるのです。

頭に飾りがついたマチ針では、
仕立てあがった帯をもう一度ほどいて抜くしかありません。

また、「目をとおす」という作業にも使用します。
「目をとおす」とは、布目に沿ってまっすぐに線をひくことです。



目のとおし方は簡単です。
「三ノ三」の和針を布に対して垂直に立て、
先の尖ったほうを布に軽く当てながら上方向に針を滑らせていきます。
こうすると、針が布目に沿って滑るため、
まっすぐな線をひくことができます。

布目は布のもつ性質のために
左右どちらかに少し歪んでいるのがふつうです。
その布目を無視して単純に定規などで線をひくと、
縫い合わせたときに、布目の合っていない、
歪んだ帯が仕上がってしまいます。

しかし、帯仕立てでもっとも重要な針の役割は、
やはり布を「縫う」ことにあります。

1枚の帯地は、たった1本の針によって縫い上げられ、
「帯」という「かたち」に生まれかわります。
何千年もまえからその姿を変えず、
活用され続けてきた針のもつ「ちから」。
この針のもつ「ちから」には
神秘的なものを感じずにはいられません。

その針のちからを借りて、
今日も一本の素敵な帯が仕立て上がりました。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は2月5日(火)予定です。


帯のアトリエ「花邑hanamura」ホームページへ


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )





presented by hanamura


「帯仕立ての道具について」のお話はひと休み。
今回は、 パリポリ…と良い音がする、
おいしいお菓子のお話です。

そのおいしいお菓子とは、
「えびせんべい」。
ここのところ、お茶うけに
よくいただいているんです。
(かっ○えびせんじゃないですよ)



このおいしいえびせんべい、
実は、帯芯をお願いしている
三河の帯芯屋さんから、
昨年お歳暮にいただきました。

三河といえば、 「三河木綿」が有名ですね。
三河で作られる木綿は、
上質で丈夫な白木綿として
帯芯にも古くから活用されるなど
広く知られてきました。

三河では、木綿が知られる以前に絹製品も盛んで、
その上質な絹はとても珍重されていました。
皇室にも貢ぎ物として納めるほどで、
三河では遠い昔から繊維産業が栄えていたようです。

綿は三河へ8世紀末に入ってきました。
三河に漂着した崑崙(コンロン)人※によってもたらされたものでしたが、
この綿種は日本の風土になじみませんでした。
15世紀中頃になって、朝鮮経由で輸入された明国(現中国)のものが広まり、
やがて気候の穏やかな中部地方以西へと徐々に普及していったようです。
この綿種はいち早く三河に伝わり、広く栽培生産されるようになりました。
これが三河木綿のはじまりといわれています。



この上質な白木綿が今でも帯芯にはつかわれています。
もちろん花邑の帯芯も「三河木綿」。
本場三河の帯芯屋さんにいつもお願いしているんです。
その三河の帯芯屋さんからいただいた「えびせんべい」。
三河のもうひとつの特産品が、このえびせんべいです。

三河産の小えびをふんだんに使い、
殿粉と練り込んで鉄板の上で焼かれたえびせんべいは、
三河湾の磯の香りとえびの風味がとても豊かで、
素朴ですが、くせになってしまう味なんです。

なかでも一色町では、町ぐるみでえびせんべいづくりに取り組み、
町中どこをみても“えびせんべいづくし”なのだそうです。
えび好きにはたまらない町ですよね。

伝統ある三河木綿とともに、
この三河のえびせんべいも
いつまでも上質な、三河の「味」でいてほしい。
そう思いながら、パリポリ…といまもいただいてます。

ほんとうはダイエット中なんですけど。。。

(写真のえびせんべいは、一色町の「高級手焼 キクのえびせんべい」)

※崑崙(コンロン)人……中国西部の山岳少数民族

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は1月29日(火)予定です。


帯のアトリエ「花邑hanamura」ホームページへ



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )





presented by hanamura



「帯包丁」について(その2)



帯芯を真直ぐに切るために、欠かすことのできない帯包丁。

今回は、その帯包丁を使用して帯芯を切る作業を
みていきたいと思います。

まずは、帯芯を用意します。

新しい帯芯は巻き物になっていて、包装がされています。
この包装をとり、仕立て台の上でひろげます。

そして、ひろげた帯芯の底辺をきっちり合わせながら
下の図のように巻き8つ折りにします。




巻き8つ折りにした帯芯は5mm前後の厚さがあります。
この厚さでは裁縫バサミで切ることはできませんよね。
そのために、帯包丁という道具が必要になるのです。

つぎに、巻き8つ折りにした帯芯を「帯芯裁ち台」の上にのせます。
「帯芯裁ち台」は、その長さが90cm、幅60cm、厚み5cmの大きな板です。
料理で使用するまな板のように、
帯包丁で帯芯を切るための道具として使用します。

折った際に輪になった方を下にして
縦に帯芯裁ち台にのせます。



帯芯を切るための道具を用意します。
帯包丁の他に「目打ち」、1尺差しの「鯨尺」、「帯芯裁ち板」の
3点セットが必要です。

鯨尺で切る巾を測ります。
このとき、帯芯の巾から出来上がりの帯巾をひいた数字を2でわり、
両端が均等に切れるように、切る位置を確認します。

折り重ねられた帯芯の、1番上の布1枚を半分に折り下げます。
そして、右側の角下に目打ちで印をつけます。

折り下げた布を元に戻すと、上下同じ位置に印がついています。
これは、作業をスムーズにするための帯仕立ての知恵のひとつです。

帯芯裁ち板をこの上下の印に合わせ、印どうしを結ぶように真直ぐに置きます。

ここで、いよいよ帯包丁の登場です。



上の写真のように、帯包丁の柄から刃元部分を
右手の親指と4本指ではさむようにして持ちます。
このとき、切る際に指が滑らないようにするために、
指の先をすこしなめます。

左手は、帯芯裁ち板の上にそえます。
帯包丁の刃を帯芯裁ち板と合わせて平行にします。

そのまま、帯包丁をのこぎりのように動かしながら、切っていきます。

右側を切り終えたら、こんどは左側を切ります。
左側(切ってない方)が右側になるように返します。

左側を切るときは布を折り下げて印をつけるということはしません。
このときは切った方を基準に、
鯨尺で帯巾分を測り、目打ちで印をつけます。

この上下の印を帯芯裁ち板で結び、同じように帯包丁で切っていきます。

帯包丁で帯芯を切るとき、きれいに真直ぐ切れていると
「ざくざく」と気持ちのよい音がします。
反対に、鈍い音がすると、真直ぐに切れていなかったり、
切れてない箇所があります。

帯包丁で切るときの「ざくざく」という音は、
帯芯が綴じられるのを心待ちにして
声をあげているように思えます。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は1月22日(火)予定です。


帯のアトリエ「花邑hanamura」ホームページへ


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )





presented by hanamura



「帯包丁」について(その1)



「包丁」と聞くと刃のついた、料理で使用する包丁の形を想像しますね。

調理に使用する包丁は様々な種類がありますが、
刃は万能包丁などの三角形、もしくは菜切包丁の長方形です。
また、包丁の柄(え)は細長い形で、真直ぐにつくられています。




そのいっぽうで、帯仕立てで使用する包丁の刃は
台形のような形をして、柄は短くゆるいL字型です。

けれど、「包丁」という名前がついているように、
帯包丁も料理包丁のように、素材を切る道具として、
帯仕立てのなかで使用されています。

その素材は、料理包丁の場合はお肉や魚、野菜などの具材ですが、
帯包丁では「帯芯」になります。

新しい帯芯は、その巾が8寸7分(約33cm)から9寸2分(約35cm)、
長さが1丈2尺5寸(約475cm)から1丈2尺7寸(約480cm)でつくられています。

この巾を切ることにより、帯芯の巾を
いろんな種類の帯巾にあわせることができます。
(帯芯の長さは帯芯をとじるときに調整をします。)

帯芯を真直ぐに切ることは、真直ぐな帯をつくることの
重要なポイントのひとつです。

しかし、「切る」といっても1丈(約378cm)以上も長さのある
帯芯を裁縫はさみなどで真直ぐに切ることは、
容易なことではありません。

ここで、帯芯を真直ぐに切るための帯仕立ての知恵があり、
その作業をになう帯包丁が登場します。

●次回は帯芯を切るための帯仕立ての知恵と、
 帯包丁をどのように使用するのかというお話しです。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は1月15日(火)予定です。


帯のアトリエ「花邑hanamura」ホームページへ



コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )





presented by hanamura


あけましておめでとうございます。
本年も、よろしくお願いします。

年明け第一回目のお話しは、一番近くにいて、
帯仕立てを助けてくれるパートナー、指ぬきについてのお話しです。


「指ぬき」について



指ぬきは、その名前からも察することができるように
自分の利き手の中指にはめ、活用する小さな道具です。

指ぬきのサイズは自分の中指の太さに合わせ選ぶことができ、
内径は14.5cmから17.5cmぐらいまでのものが
揃っています。



素材は一般に皮製と金属製のものがあります。
服飾、手芸などでは皮製の指ぬきを使用することが多いのですが、
帯仕立てでは金属製の指ぬきを使います。

また、総目指ぬきという、
表面に小さい凹みが全体にはいった指ぬきを用います。

指ぬきの使い方は、中指の第2関節の上にはめ、
針の頭を指ぬきの凹みにあて、
指ぬきで針の頭を押しながら布を縫っていきます。

つまり、指ぬきの力を借りることにより、
針どおりの悪い布もスムーズに縫えるようになるのです。

とくに帯の素材である帯反はしっかりとした生地が多く、
中に入れる帯芯はかたい布を使用しています。

そのため、金属製の総目指ぬきは
かたい布を縫う作業の多い帯仕立てには
かかすことができない道具なのです。

帯仕立てのときには、指ぬきをずっと自分の中指にはめ、
体の一部のように活用します。
指ぬきをはめていないと心細くなってしまうほどです。

指ぬきは、小さいながらも大きな助けになってくれるパートナーなのです。

● 次回は帯を仕立てるときに必要な道具~その4~のお話しです。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」は毎週火曜日の更新になりました。
次回の更新は1月8日(火)予定です。


帯のアトリエ「花邑hanamura」ホームページへ





コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )