presented by hanamura
「洗い」について
みなさんはお気に入りの帯や、
祖母や母からもらった思い出の着物をお持ちですか?
大切な帯や着物は長く、良い状態で使いたいですよね。
そして長く、良い状態で使うためには「お手入れ」が欠かせません。
呉服の「お手入れ」といえば、「洗い」にだすことが1番ですね。
季節が変わるごとに、愛用した帯や着物を「洗い」にだすと、
良い状態で長持ちさせることができます。
洋服の「洗い」といえばドライクリーニングです。
しかし呉服の「洗い」には、さまざまな方法があります。
「洗い張り」、「丸洗い」、「生洗い」、
そして「京洗い」と呼ばれるものもあります。
このさまざまな洗い方について、
知っているようで知らない事もありますね。
洗い方の違いが分からず、
呉服屋さんに言われるまま
「洗い」に出してしまっている人も多いのではないでしょうか。
花邑でも、よく「洗い張りとはどのようなことをいうのですか?」
というご質問をいただきます。
そこで悉皆屋さんに呉服の「洗い」についての
お話しを伺ってみました。
はじめに「洗い張り」と「丸洗い」について、質問しました。
『洗い張りは最高の加工、ドライ(丸洗い)は最悪の加工です。』
悉皆屋さんは、きっぱりと断言するように答えてから、
お話しはじめました。
『洗い張りというのは、お客さんから受け取った品物をほどいて、
それを一つにつないで洗うことです。
そのときに落ちない汚れは、染み抜き屋にだす
というのが昔ながらのやり方。
でも、今は染み抜き屋にだすと高いので、
だいたい洗い張り上がりでやっています。』
『丸洗いはドライと同じ。
和服工場で着物をドライ機に入れ、
薬品を使ってゴロンゴロンとやっています。』
『ドライをすることによって、
生地はどんどんやせて傷んでいきます。
けれど、着物をほどいて洗い張りをするとまた仕立てを
しなくてはいけないので、お金もかかるから
お客さんも嫌がるし、業者の人も好みません。』
『本当なら、ドライや生洗いを3回やったら、
今度は着物をほどいて洗い張りを1回やるのがベストです。
不思議ですけど、洗い張りすることによって、
生地は完璧に戻ります。』
ちなみに花邑でも、
帯に仕立てるための生地はほとんど「洗い張り」にだしています。
悉皆屋さんの言うとおり、
「洗い張り」にだした生地は、汚れが落ちるだけではなく、
生地そのものが蘇ったようになるんです。
その一方「丸洗い」は生地を傷めてしまうんですね。
長く、大切に使うためには、手間はかかりますが
「丸洗い」だけではなく「洗い張り」をすることが良いようです。
花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は8月5日(火)予定です。
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