presented by hanamura
梅雨入り前の蒸し暑い日がつづいています。
公園の池では、石の上で亀の親子が甲羅干しをしていました。
夏の訪れを感じる光景ですよね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/f0/fd022209587b52acf39c1c24b8f3b972.jpg)
今日は、暑い夏に涼やかな「絽」についてのお話しをします。
「絽」は、薄く透き通るように織られた夏用の絹織物です。
街着から礼装まで着用が可能なので、
夏の着物や帯の中では、
最も活躍している素材でしょう。
この「絽」がはじめてつくられたのは江戸時代の頃です。
当時から同じく夏の素材として用いられていた「紗」から
織り方を変化させたものです。
その織り方はたいへん複雑で、
平織りと捩り織り(もじりおり)を
組み合わせてつくられています。
平織りとは、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)が
直角になり、隙間なく織っていくことで、
ほとんどの布はこの平織りでつくられています。
一方、捩り織りとは、
経糸を隣の経糸に絡ませて隙間をつくり、
そこに緯糸を通して織っていきます。
「絽」の原型である「紗」は、
この捩り織りで織られています。
つまり、平織りと捩り織りを組み合わせると、
平織りの部分はスジができ、捩り織りの部分には隙間が生まれます。
こうして織られた「絽」は、「平絽」とよばれています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/06/0fb50585c19ddf4def9a7f39c4b98f9b.jpg)
さらに同じ「平絽」でもいくつかの種類があります。
平織り部分の緯糸の本数は
三本、五本、七本のものがあり、
この本数から「三本絽」、「五本絽」、「七本絽」と区別されています。
また、撚った糸を用いて織られたものは
「駒絽(こまろ)」と呼ばれ、
絽目が細かくシャリ感があります。
涼を求めて考え出された「絽」の生地には、
日本ならではの精巧な技術が隠されているようです。
ちなみに「絽」の帯は着物より早く、
5月の末頃から着用できるので、
暑い日にはぜひ身につけて涼を呼びたいですね。
花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は6月2日(火)予定です。
帯のアトリエ「花邑hanamura」ホームページへ