花邑の帯あそび
1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…
 




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「半巾帯について」

夏が近づいてきましたね。
着物を着て歩くと、汗がじわりとでてくる季節になりました。

しかし、夏は花火や祭りなど
着物を着て出かけたいイベントの多い季節ですよね。

そこで、今回はこの季節に使いたい
「半巾帯」についてのお話をします。

「半巾帯」は浴衣のときにも合わせる帯なので、
知っている人も多いでしょう。
「半巾帯」の寸法は、巾が4寸~5寸(15~19cm)、
長さが9尺~1丈5寸(341cm~398cm)です。
帯の長さは一般の帯と同じですが、
帯巾が一般の帯(8寸)の半分で仕立てられています。



お太鼓が重くならないため、帯しめがとても楽です。
見た目もすっきりとしているので涼しげで、
これからの季節にはぴったりの帯です。

また、いろいろな結び方があるので、
そのときの気分によって結び方を変えて楽しむことができます。
素材もいろいろあるので、
いくつか持っていれば着物に合わせて選ぶこともできます。

半巾帯の中でよく知られているのが「博多織」です。
「博多織」は帯反そのものがしっかりとしているので、
帯芯を入れずに仕立てます。

一方、帯芯を入れて仕立てた「半巾帯」は
紬や小紋、軽い付け下げの着物にも合わせることができます。

そして、錦織りの「半巾帯」は、
訪問着用の着物に用いることができます。



一般的に「半巾帯」に帯芯を入れて仕立てるときには、
帯反を半分に折って縫い合わせます。
もちろん違う布を縫い合わせて仕立てるものもあります。
違う布を合わせると、表地と裏地の両面を楽しむことができます。
また、裏地をちらっとのぞかせるように結ぶのもお洒落ですね。

気軽に結べて、結び方も楽しめる半巾帯は
夏だけとはいわず、ふだん着の着物にも結びたい帯です。

● 写真の半巾帯は「帯のアトリエ 花邑hanamura」にて取り扱っております。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は6月3日(火)予定です。


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「綴れ帯について」

みなさんお馴染みの「名古屋帯」の織りの種類に
「綴れ帯(つづれおび)」と呼ばれるものがあるのをご存知ですか?
知っている人はよく知っている帯ですが、
独特な技法でつくられる結構高価なものなので、
なかなか目にする機会も少ないのではないでしょうか。

今回は、その変わった技法でつくられる
「綴れ帯(つづれおび)」についてお話ししましょう。

「綴れ帯(つづれおび)」は、
ふだん用にも礼装用にも用いることができる帯です。
「綴れ(つづれ)帯」の「綴れ」とは、「綴れ織り」のことを指します。
「綴れ織り」の布は、エジプト、中国、フランスなど、
世界各地の国々で古くからつくられてきました。
「綴れ織り」の布が日本に伝えられた時期は6世紀頃といわれ、
正倉院や法隆寺には、この時代につくられた「綴れ織り」の布が
いくつか残されています。

「綴れ織り」の作業では、はじめに枠、または機(はた)に
必要な長さの経糸(たていと)を張ります。
そして、経糸に緯糸(よこいと)を通して組み込みます。
この経糸に緯糸を組み込むときに、
筬(おさ)で打ち込むのが一般的には多いのですが、
「綴れ織り」では、爪で緯糸をかき寄せて組み込みます。



そのため、「綴れ織り」を行う職人の爪は、
のこぎりの刃のようにギザギザになっています。
「綴れ織り」は、職人の爪そのものを道具として用いて
つくられているのです。
このことから「綴れ織り」は「爪掻つづれ」とも呼ばれます。

爪でかき寄せられ、緯糸だけで表現される「綴れ織り」の文様は
たいへん緻密なものです。
また、他の織物の2倍以上の緯糸を用いるので、
その生地は張りが強く、とても丈夫なものになります。
そのため、仕立てのときには「八寸名古屋帯」のように、
帯芯を入れずに両端をかがり縫いします。

杉江ぎん(※1)が開業した杉本屋独自のかがり方に、
「本かがり」と呼ばれるものがあります。

「八寸名古屋帯」では、かがるための糸に
手縫い用の絹糸を用いますが、
「本かがり」では縫い合わせる糸に
織られた生地(帯反)から抜いた絹糸を用います。
手縫い用の絹糸では弱く、ほどけやすいからです。
「綴れ織り」の布から直接抜いた糸は、太くて丈夫なのです。

「本かがり」では、
かがり縫いする前に生地(反物)の下端から必要な量の緯糸を抜きとっておき、
それを用います。
「綴れ帯」の反物は仕立て上がりより長くつくられているため、
かがり縫いに必要な分の糸をとっても
仕立て上がりが短くなることはないのです。



まず、反物から抜きとった糸は3つに分けておきます。
そして1つめはかがりに必要な長さを紙などに巻きつけます。
あとの2つは鉛のついた小片に巻きつけます。

この小片に巻いた2つは、かがり縫いをする部分の両端につけます。
そして、両端を合わせて1つめの糸をかがっていきます。
このとき、糸を通すごとに小片に巻いた糸を絡ませます。
仕立てというより、糸を絡めながら織っていくような作業です。
糸を3つに分けて使うため、「本かがり」は
「三つかがり」と呼ばれることもあります。

「綴れ帯」を「本かがり」すると、
生地から直接抜いた糸を使うために
色に差がなく、ほどけにくい縫い目の
きれいな帯に仕立てあげることができます。

しかし「本かがり」はたいへんな手間がかかるため
その注文を受けることはほとんどなくなってしまいました。
また、「綴れ織り」自体も
そのつくり手の数は少なくなってきています。

「綴れ帯」は手間をかけることによって
より芸術性のある、格調の高い帯になります。
いつまでも「憧れの帯」として、
なくなることがないようにと祈るばかりです。

(※1)2007年12月14日更新のブログ「名古屋帯の創案者、杉江ぎんについて」を参照してください。

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「八寸名古屋帯について」

「名古屋帯」や「腹合わせ帯」など、多くの帯には「帯芯」が入っています。
帯芯を入れることによって、
帯を着けたときにお太鼓の形を保つことができます。

しかし、今回お話しする「八寸名古屋帯」は、帯芯が入っていない帯です。
「八寸名古屋帯」は、帯芯は入れずに帯反のはしを合わせ、
かがり縫いをして仕立てます。
「八寸名古屋帯」の帯反は織りのものが多く、
生地がとてもしっかりとしているので、
帯反をかがり合わせるだけで
お太鼓の形を保つことができるのです。

このかがり縫いには、「全かがり」と「半かがり」があります。
「全かがり」のときには、お太鼓部分を全てかがります。
一方、「半かがり」のときには、たれから8寸までをかがり、
お太鼓の山からたれのほうに3寸だけかがります。
両方とも手先部分は半分に折り合わせてかがります。

このかがり縫いの作業では「仕立て台」を用いることはありません。
「くけ台」と呼ばれる、かがり縫い用の道具を用います。



「くけ台」はL字型のかたちをしていて
高さは50~60cmぐらいのものです。
そしてその上部には紐がついています。

かがり縫いのときには、
この「くけ台」を向かい合わせるように置き、
両方の下板の上にからだをのせて「くけ台」が動かないように固定します。
そして、帯反のかがる部分の両端に針を刺し、
その針に「くけ台」上部についた紐をひっかけます。
このときに、帯反がたるむことがないように「くけ台」の位置を調節します。
そして、帯反がまっすぐに張られていることを確認しながらかがり、
縫い合わせていきます。

帯反そのものをかがり縫い合わせる「八寸名古屋帯」は、
仕立て上がりと同じ8寸~8寸2分の巾でつくられます。
この「8寸」という帯反の巾の寸法から
「八寸名古屋帯」という名がつけられたようです。

一方、帯芯を入れて仕立てる帯は、「九寸名古屋帯」と呼ばれることがあります。
これは、帯反へ帯芯を入れるために
仕立て上がりより1寸多い9寸でつくられているからなのです。

もともと「八寸名古屋帯」という名は、
この「九寸名古屋帯」と区別するためにつけられたものだったようです。
ちなみに、夏用の絽つづれや紗などは「単名古屋帯」とよばれています。





「八寸名古屋帯」は、帯芯を必要とせず、仕立ての手間も少ないため
一時は「九寸名古屋帯」より多くつくられ、用いられていました。
しかし、現在では以前に比べて着用する人は減ってきています。
それでも八寸名古屋帯ならではのしっかりとした織りの素材感に魅せられ、
愛用している人も数多くいます。
また、織りの素材感だけでなく、
素材自体も絹、綿、さらに紬織りなどさまざまで、
バリエーションが豊富なことも八寸名古屋帯の魅力です。

通気性がよい八寸名古屋帯は暑い季節にとても重宝する帯です。
とくに、これからの季節に向けて1本はもっていたい帯ですね。

● 写真の八寸名古屋帯は「帯のアトリエ 花邑hanamura」にて取り扱っております。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は5月20日(火)予定です。


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ただいま「花邑」では、「手織りの帯展」を催しています。
今回の「花邑の帯あそび」では、この企画展の中から
「手織りの木綿」についておはなしをします。

手織りされた木綿の帯は、季節を問わず1年中着けることができます。
また、歳月を重ねるごとに味わいが深くなっていきます。



上の写真は、江戸時代後期に手織りされた木綿布です。
歳月を経て褪せた藍色と、風合いが美しい木綿布です。

この木綿布がつくられた江戸時代後期は、
日本の各地で綿花が栽培され、木綿布が織られていました。
そして、手織りされた木綿布の多くは
庶民の衣服や風呂敷などに用いられ、生活の中で愛用されていました。

しかし、木綿が庶民の生活の中で用いられるようになったのは、
江戸時代にはいってからです。
日本で綿花の栽培がはじまったのは、15世紀中頃なんです。(※1)
それまで庶民の日常着には、おもに麻が用いられていました。
木綿は、海外から輸入した高価な布で、
庶民には手の届かないものだったのです。

そのため、日本で綿花が栽培できるようになったのを
一番喜んだのは庶民だったのではないでしょうか。
あたたかで、肌ざわりがよく丈夫な木綿は、
いままで麻しか用いることができなかった庶民が求めていた布でした。

また、武士が袴や幕に木綿を
用いたこともあり、木綿の需要は瞬く間にひろがっていきました。

しかし、明治、大正時代を経て、戦争がはじまると
日本では綿花の栽培がだんだん行われなくなっていきました。
それでも昭和のはじめごろまでは、地方の農村などで
綿花の栽培が細々と行われ、木綿が織られていました。





上の写真は昭和のはじめに織られた木綿布です。
木綿の素材そのものがとてもしっかりとしていて、
丹念に手織りされた風合いも、とても美しいものです。

現在では日本で栽培した綿花を紡ぎ、
手作業で織った木綿を手に入れるのも困難になってしまいました。
そのため、この昭和のはじめに織られた木綿布は
その風合いを今に伝える貴重なものです。

さて手織りの木綿の魅力はその味わい深い風合いと、
縞や格子縞などの素朴で、飽きのこない柄行きです。

この「縞」や「格子縞」は、むかしは「織筋(おりすじ)」と呼ばれていました。
「織筋」の布は異国からもたらされ、珍重な布として扱われていました。
そして貴族にしか用いることができないとても高価なものだったようです。

やがて、江戸時代にはいるとこの「織筋」入りの木綿布は
数多く日本にもたらされるようになりました。
そして「織筋」は庶民のあいだにもひろまり「嶋もの」と呼ばれるようになります。
現在用いられている「縞」という呼び名は、この「嶋」の当て字なんです。
また、木綿の栽培が定着するにしたがって
全国各地にさまざまな縞柄の織物がつくられるようになったのです。

縞は最も基礎的な文様です。
しかし、縞柄は用いる色の合わせ方によって
無限の表現を生み出すことができるものです。
手織りされた縞柄の木綿布をみると、
織り手たちがその表現を楽しんでいるように思えます。


● 写真の手織りの木綿布の帯は「帯のアトリエ 花邑hanamura」にて取り扱っております。

(※1)1月22日更新のブログ「三河の味」を参照してください。

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次回の更新は5月13日(火)予定です。


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