花邑の帯あそび
1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…
 




presented by hanamura


「花邑日記」

みなさんは、「古渡更紗(こわたりさらさ)」とよばれる「更紗」をご存知でしょうか。
「古渡更紗」とは、17世紀から18世紀までに印度から日本へもたらされた「更紗」です。
江戸時代の日本では、この「古渡更紗」がとても珍重され、
とくに大名や茶人などの間で好まれていました。

この「古渡更紗」の名品が展示された「古渡更紗展」が、
いま「五島美術館」で開催されています。
この機会を逃さずとばかり、
先週の水曜日に世田谷区の上野毛まで足を運びました。

「五島美術館」は、緑の多い閑静な住宅街の中にある美術館です。
美術館の敷地内にはとても広い庭園もあって、
庭園を散策することもできます。
館内に入り、窓から見えるその美しい庭園を眺めながら、
さっそく展示会場に向かいました。

展示会場では、彦根藩・井伊家のコレクションである「彦根更紗」をはじめ、
「ヨーロッパ更紗」、「和更紗」など更紗の名品が数多く展示されていました。
「金色」が施された「金更紗」のまばゆい色彩、
草花や人形などの魅力的な文様。
そのどれもが素晴らしく、ひとつひとつに見入ってしまいました。



「古渡更紗」はその文様も、もちろん素晴らしいのですが、
印象に残ったのは、「印度茜」のまるで血のように深い「赤」です。

その「赤」は、「古渡更紗」がもたらされた当時の日本では
見ることができない「赤」でした。
「古渡更紗」では、その「赤」が美しく、
とても効果的に用いられています。
また、その鮮烈な色彩感覚は現在でも褪せることなく、
人々を魅了しています。
その「赤」は、帰宅してからも私の目に焼き付いて
離れなかったほど美しいものでした。

偶然にも、この日から仕立てはじめた帯の生地は、
五島美術館でみた「古渡更紗」のような文様の和更紗でした。
この「和更紗」の文様は、
「彦根更紗」などの「古渡更紗」を写したもののようです。



当時の人々が「更紗」に対して持っていた憧れと、
その文様を和更紗に写し取り入れた職人さんの創作力に
感慨を深くしつつ、仕立てを進めています。

ちなみに、この「古渡更紗展」は11月30日(日)まで、
開催されています。
まだ訪れていないという方はぜひ一度。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は12月2日(火)予定です。


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「花邑日記」

空に灰色の雨雲が広がった日、
作業所の中で先日仕入れた更紗の布を広げました。
長さ260cm、巾95cmもある広巾の更紗には
この日のどんよりとした天気とは対照的な明るい柄が染められていました。

その柄は草花や果実に虎や豹や鳥など、南国の雰囲気たっぷりのものです。
手染めのあたたかなタッチと、
動物たちの生き生きとした仕草や表情がこの更紗をより味わい深くしています。



この更紗は明治時代~大正時代に、西洋で染められたものでしょう。
歳月を経たので色が褪せていますが、
つくられた当時はとても鮮やかな色だったのでしょう。

その自由な感性と、遊びこころが溢れる柄行きに「はっ」としてしまいました。

この更紗の柄を最大限に生かしながら、
帯へと仕立て替えるのには、
どの柄をどのようにだして仕立てるのが良いのか、考えてしまいます。

しかし帯にすると、布を広げて見たときとではまた違った素敵なものになりそうで、
仕立て上げるのが楽しみでもあります。

ちなみに新しい花邑のショップカードの写真には、
この更紗の柄を用いました。

さて、この日は桃色の地に唐花文様の
可愛らしい和更紗の布を帯に仕立て替えることにしました。

しかし、帯へと仕立て替えるためには
この和更紗布だけでは長さが足りません。
そこで今回は、この和更紗布と色合いがぴったりな縦縞柄の紬を
つなぎ合わせることにしました。

帯を結んだときに、和更紗布がお太鼓にでるようにして、
たれの部分にこの縦縞柄紬を用いると、
お太鼓の和更紗の柄が引き立ち、とてもお洒落な帯ができそうです。

さて、さっそく和更紗の柄行きを見て、
お太鼓の柄や前の柄などを決め、
鯨尺で何回も測りながら位置を確認します。

そして、和更紗布と縦縞柄紬を交互につなぎ合わせていきます。
しかし違う柄行きの布を交互に合わせると、帯を仕立て上げたときに
その柄行きがちぐはぐになってしまうことがあります。



そのため、和更紗布と縦縞紬の巾を測り、和更紗の中心には糸で印を付けます。
それから、その印と縦縞紬の中心を合わせるようにつなぎます。

和更紗布の中心と縦縞柄紬の中心を合わせることで、
布を交互につないでもちぐはぐになることがないようにするのです。

とくに、縦縞柄は線がすこしでもずれていると目立ってしまうので、
縦縞の線がずれないように気を配りながら、
布をつないでいきます。

こちらの帯は、もうすぐ花邑のウェブショップにてご紹介予定ですので、
ぜひ、お楽しみにお待ちください。

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次回の更新は11月25日(火)予定です。


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「花邑日記」

立冬を迎えて、冷たくなった風に冬の訪れを感じます。
日が暮れるのも早くなり、気がつくと空には星が輝いています。
この季節は星がきれいに見えますね。
寒さに震えながら夜空を見上げると、星の光がいっそうきれいに思えます。



さて今日は、ようやく帯芯を綴じ終えて、
その「星」が名前につく「星どめ」と呼ばれる作業を行いました。

「星どめ」とは、「運針」や「かがり縫い」のように、
布を縫い合わせるときの技法の名前です。

帯の仕立てだけではなく、洋裁などでもつかわれるので、
ご存知の方も多いのではないでしょうか。

「星どめ」は裏側になる生地の方から針を入れて、
表側に針を出さないように、
裏側と、芯のみを止めてすくい縫いします。

芯と裏側の生地を固定することで、
裏側の生地が表側にでてこないようにするのです。

帯芯を綴じておもてにひっくり返した後は、
帯のはしをまっすぐに整えます。
そして、表側と裏側は「毛抜き合わせ」にしながらアイロンをかけます。
この「毛抜き合わせ」という呼び名は、
「星どめ」という呼び名のようにユニークな名前ですね。
その名前には「毛抜き」のように、
「両側の長さをぴったりと揃える」という意味があります。

しかし、せっかく「毛抜き合わせ」にした帯のはしも、
絹のように滑らかな生地を用いた場合には、
裏側の生地が表側にででしまうことがあります。
帯を結んでいるうちに、裏側の生地が下に滑ってしまうのです。
そうして、帯のはしが揃わなくなってしまいます。



そうなることを防ぐために「星どめ」をする必要があります。
はしを「毛抜き合わせ」にして整えたあとは、
はしから3尺(約11cm)の部分に
裏側の生地と帯芯を縦に「星どめ」で押さえていきます。
そうすることで裏側の生地が表側に出ないように固定するのです。

「星どめ」の作業では、縫うときにもはしを見ながら
裏側が表側に出ることがないように、押さえなければいけません。
もちろん、表側に針をださないようすることも大切です。

しかし、「星どめ」をすると裏側には糸がどうしても残ってしまいます。
そのため、その糸が目立たないように
裏側の生地と同色の糸を用いて、裏側にでる糸の面積をとても小さくします。
大きな空に瞬く星のように小さく縫うことがポイントなんです。
「星どめ」という名前はその小さな姿からついたのでしょう。

この「星どめ」が終わると、帯が仕立て上がるのも、もうすぐです。

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次回の更新は11月18日(火)予定です。


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「花邑日記」

冷たい北風に吹かれて、おもわず顔がこわばってしまう日が多くなってきましたね。
「木枯らし1号」も吹き、いよいよ冬も間近です。
庭に生えた苔の上には、北風に吹かれて枯葉が落ちていました。
この日、その枯葉にまぎれて一枚の鳥の羽を見つけました。



作業場では、これから訪れる冬に備え、
ホットカーペットをひきました。
早速そのホッとカーペットに電源を入れて、
帯へと仕立てるために布をつなぐ作業をはじめます。

今回、帯に仕立て替えるのは、
流水に花や扇が散らされた図案のきれいな布です。
その詩情ある美しい文様に惹かれて、仕入れました。

実はこの布は、着物の袖の部分をほどいたものなんです。
今回はその袖の部分を2枚用いて帯に仕立て替えます。
しかし、この布2枚をつなぐだけでは
帯へと仕立てるための長さが足りません。
そのため、別の布もつなぎ合わせる必要があります。

今回は、上品な柄行きを生かすように、
別の布も上品な花柄の地紋が入ったものを用いることにしました。
布地の色や素材感もぴったりです。
しかし、布の表側だと光沢がありすぎて、
美しい柄行きが目立たなくなってしまいます。
そのため、裏側の光沢がない方を用いることにしました。



さて、布をつなぎ合わせるときには、
はじめに帯を結んだときに
「お太鼓」や「前」になる部分の柄行きを決める必要があります。
そのため、花に扇が散らされた柄行きがきれいに見えるような配置を考えます。

このときに決めた柄行きによって
帯を結んだときの印象が変わります。
そのため、
「少しずらした方がいいかな。」
「たれの柄はどうだろう。」
と気を配りながら、慎重に鯨尺を使って何度もはかります。

柄行きが決まったらつなぐ部分に針で目を通して、
布と布をつなぎ合わせます。

ようやく、帯に仕立てられる分の長い布地ができて、
仕立ての作業に取りかかります。

さて、今回お話しした帯はもうすぐお目にかかれると思います。
お楽しみしてください。

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次回の更新は11月11日(火)予定です。


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