花邑の帯あそび
1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…
 




presented by hanamura


長く降った雨で、草木がよりうっそうと繁ってきました。
先日、明け方近くに窓から外をみると、
霧が薄くかかっていて、見慣れた景色も幻想的に感じられました。
この季節は霧の発生が多く、ここ東京でも朝方には時々みられます。

ところで、霧がかかったような、ぼんやりとした様子のことを
「紗がかかったような」と表現しますよね。
みなさんもご存じのように、
この「紗」は、夏の帯や着物に用いる生地のことを指します。
そこで、今回はこの「紗」についてのお話しをします。

「紗」は、前回の「花邑の帯あそび」でお話しした「」のように、
薄く透き通る生地が特徴的な絹織物です。

「紗」も「絽」と同じく、
捩り織り(もじりおり)」という技法により
織り上げられます。
捩り織りは隣合った経糸(たていと)を鎖のように交互に絡ませて、
その間に緯糸(よこいと)を通していきます。



「絽」の場合は、この捩り織りと平織りとを
交互に組み合わせて織っていきますが、
「紗」では、捩り織りのみで織り上げます。
そのため「紗」は「絽」以上に隙間があり、
そこから白い襦袢や白い帯芯が透けてみえます。
このいわゆる「透け感」ともいわれる
透けている様がとても涼しげなんですね。

また「紗」の糸には強い撚りがかかった「駒糸」を使うので、
生地に張りがあり、シャリ感が生まれます。

「紗」の歴史はとても古く、
漢の時代(紀元前)に中国で誕生し、
唐の時代から宋の時代(平安時代から鎌倉時代)に大流行しました。
その流行が日本にも伝わり、
貴族用の夏衣装や雅楽の装束として用いられたようです。

その涼やかな「紗」の生地は、
現代においても夏の着物や帯に用いられていますが、
その中でも「下地が透ける」という生地の効果が断然あるのは、
「紗袷(しゃあわせ)」でしょう。

この「紗袷」とは、模様の入った軽めの紗を二枚重ねにして、
単衣に仕立てたものです。
2枚の模様は、重なったときにつながりのある柄行きになっていて、
その意匠はとても風流なものです。

「紗」は「透ける」ことこそを楽しむ着物といえるでしょう。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は6月9日(火)予定です。


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