presented by hanamura
梅雨本番ですね。
ここ東京では、毎日雨雲が広がっています。
お着物でのお出かけには少しためらいがありますね。
梅雨明けが待ち遠しいですね。
梅雨があけるとまもなく、
夏の大きなイベントといえる
花火大会が各地で開催されますね。
川沿いや海辺での花火大会のときには、
船から花火を眺める方も多いようで、
屋形船は大忙しのようです。
さて、今回は前回に引き続き、
船文様についてお話ししましょう。
船は、昔の人々にとって大切な交通手段であったと同時に、
漁業などの生活を糧を得るためにも
欠かせない乗り物でした。
また、川や湖の多い日本では、
船は日常的な交通手段でもあり、
日用品を運ぶ乗り物でもありました。
もちろん、自然の風景を眺めるなどの
遊興にも用いられていました。
そのためか、
船文様の中には、船とともに、
人々の生活までも垣間見えるようなものが多くあります。
柴舟(しばふね)文様もその中のひとつです。
「柴舟」とは、薪(たきぎ)になる柴をのせる舟のことです。
現代のように、科学技術がすすんでいなかった昔は、
「火」をおこすための柴は必要不可欠の日常品です。
野山で刈り取った柴は、
舟に乗せられ、川を通り人々が住む里山に運ばれます。
柴舟文様は、そういった日常の光景をあらわした文様なのです。
また、葦と舟を組み合わせて意匠化した
「葦舟(あしふね)文様」もあります。
葦は、古くから日本の川や沼などに自生している背の高い植物で、
日本神話には、この葦でつくった舟が登場します。
葦舟文様は岸辺に居る人間が生い茂る葦の間から、
舟を覗いた様子があらわされています。
港や船着場など舟がつなぎとめられている様子を
「舫(もや)われている」といいます。
そのような舟がつながれて休んでいる情景をあらわした文様に
にで、舟と舟とが繋がれている様子は
舫船(もやいぶね)文様があります。
また、綱を付けて陸に舟を引き揚げている様子をあらわした
「曳舟(ひきぶね)文様」というものもあります。
船に四季折々の花をのせて意匠化した
「花舟(はなふね)文様」では、
流水に浮かぶ船に美しい花々が乗せられ
その組み合わせはたいへん華麗で、
情緒豊かなものです。
昔は、ゆっくりと海や川を過ぎ行く舟がそこかしこで見られたことでしょう。
舟文様は、そうしたおだやかに流れていた
昔の時間までもあらわしているようです。
※写真の名古屋帯は花邑銀座店にて取り扱っています。
花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は7月6日(火)予定です。
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