花邑の帯あそび
1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…
 




presented by hanamura ginza


まもなく小雪を迎え、
気がつけばどっぷりと日が暮れているということも多くなりました。
銀座では、クリスマスのイルミネーションがあちらこちらで瞬きはじめ、
初冬の夜を彩っています。

クリスマスの飾りものといえば、
やはりクリスマスツリーですね。
最近では、プラスティックで作られたものも多く、
卓上用の小さなものや、青や白い色の葉をしたものなど、
さまざまな種類があります。

それでも、やはり本物の木を用いたツリーにはあたたかみがあり、
ほっこりと和みますね。

このクリスマスツリーには、
長い冬にも枯れることのない
常緑の針葉樹が用いられています。

本来クリスマスツリーに用いる木は、
ドイツトウヒやモミなどで、
これらの樹木はマツの一種になります。

クリスマスツリーは、
エデンの園にあった「知恵の樹」の象徴とされ、
大切にされています。

日本でもマツは、
一年中枯れることがないことから、
生命力の象徴とされて
たいへん縁起が良いといわれているので、
同じようなとらえ方をされているのですね。

そのため日本では、松文様は吉祥文様といわれ、
古来よりさまざまな意匠に用いられてきました。
今日は、その松文様の中でも、マツの葉を意匠化した松葉文様についてお話ししましょう。

松葉文様は、その名前の通りに松の葉をモチーフにした文様です。

マツの葉は、針のように細いふたつの葉が付け根で一緒になり、
V字型のようなかたちをしていますね。

このV字型の葉をつけるマツは「二葉松(にようまつ)」と呼ばれていて、
日本でよく見かけられるマツのほとんどがこの「二葉松」になります。

ちなみに、三つが一緒になったものは「三葉松(さんようまつ)」、五つの葉が一緒になったものは「五葉松(ごようまつ)」とよばれ、とくに三葉松は、めずらしく縁起がよいとして祀られているところもあります。

針のように細い形をした松葉は、
料理の際に串の替りに用いられることがあります。

また、ほんの少しの気持ちという意味合いで、
贈り物などの上書きに「松葉」と書くこともあるようです。

松葉は、必ず二本で一対となっていることから、
民謡のなかでは「枯れて落ちても二人連れ」と唄われるなど、
たいへん縁起が良いとされ、さまざまな意匠に用いられてきました。

江戸時代には、この松葉をたくさん散した
「松葉小紋」とよばれる小紋が、
五代将軍の徳川綱吉の定め紋ともなりました。



上の写真は
大正から昭和初期ごろにつくられた絹縮緬からお仕立て替えした名古屋帯です。
アンティークならではの深みのある色合いで、松葉と山茶花(さざんか)があらわされています。
地面に散されたような松葉の意匠がかわいらしく、和の風情が感じられます。

一年中葉をつける松葉の文様は、
松文様と同様に、季節を問わず着用できるので重宝しますね。
また、シンプルなわりにどこか幾何学的な文様にも見えておもしろみがあるので、
粋な雰囲気も感じられます。

新しい年を「待つ」気持ちで、
年末年始のお出かけに吉祥の柄をさりげなく身につけるのも素敵ではないでしょうか。

上の写真の「松葉散らしに山茶花(さざんか)文様 型染め 名古屋帯 」は花邑 銀座店でご紹介中の商品です。

●花邑 銀座店のブログ、「花邑の帯あそび」次回の更新は 12 月 5 日(木)予定です。
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立冬を迎え、朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。
それでも、晴れた日にはその寒さも和らぎ、
小春日和の穏やかな天気となっています。

都心では道を歩いていると、
街路樹に植えられた銀杏の葉が風に吹かれ、
ひらひらと地面に落ちる光景が見られるようになりました。
黄色に染まった銀杏の葉のかわいらしさに、
気持ちもほんわり温かな心持ちになり、
いつもの道も新鮮に感じられます。

銀杏の葉ひとつとっても、
まだ緑色がかっているものや茶色がかっているもの、
赤味があるものなど、さまざまな「黄色」を発見することができますね。

考えてみると、日本では秋の紅葉だけではなく、
黄色系統の花や実をつける植物を1年中見ることができます。

春にはたんぽぽや山吹などの黄色、
夏にはひまわりや紅花などの黄色、
秋には菊や女郎花などの黄色、
冬には紅葉や柚子や蜜柑などの黄色と、
さまざまな「黄色」が風景を彩ります。

「黄色」は、こういった身近で親しみやすい色という反面、
遠い昔には、古代中国で生まれたとされる五行思想からの影響を受けて、
高貴な色ともされていました。
五行思想では、「木、火、土、金、水」があり、
それぞれに赤や青などの色がつけられていますが、
黄は「土」の色とされています。

日本でも、聖徳太子が定めたとされる冠位十二階の中で、
黄色は七位、八位にの色に用いられています。
また、琉球王朝では一般の人々が着ることができない色でした。

現代では「こうよう」という言葉を「紅葉」と書きますが、
当時の日本では「黄葉」と書いたようです。

こういった「黄色」を染め上げるための染料には、
主に刈安(かりやす)というイネ科の草や
黄檗(きはだ)とよばれるミカン科の樹の皮が用いられていました。

法隆寺や正倉院には、
黄色に染められた染織品が多く伝えられていますが、
そのほとんどに刈安もしくは黄檗が用いられています。
「和の伝統色」として、刈安と黄檗は、
現代でも染織に欠かせない染料です。

奈良時代にあらわされた「正倉院文書」には、
現在でも刈安の産地として知られている
琵琶湖近くにある伊吹山のことが記されています。

刈安といえば、伊豆諸島の八丈島で織られている黄八丈が有名ですね。
黄八丈は、八丈島に自生する「八丈刈安」という名前の刈安で染められた
紡ぎ糸が用いられています。



上の写真は
細かな格子縞が織り出された黄八丈のお着物です。
深く渋みを帯びた刈安色が上品で、艶が感じられます。
この黄八丈は、歌舞伎の衣装にも用いられ、江戸時代の頃に大流行しました。

黄檗(きはだ)には防虫効果があるといわれています。
そのため、古代の日本では仏教で用いる写経のための和紙は、
ほぼ全て黄檗(きはだ)で染められています。

ちなみに、同じ黄色系の染料である鬱金(うこん)にも
同様の効果があるといわれ、
現在でも呉服を包む風呂敷として、重宝されています。

平安時代になると、
黄色系統の色合いには、
山吹色や女郎花色、黄朽葉(きくちば)色、
柑子色や菜の花色、芥子色など
四季折々の草花や果物の名前が付けられるようになりました。



上の写真は
芥子色の地に、芋版染めで異国風の花が染めあらわされた名古屋帯です。
芥子色の深くコクのある色合いと、真綿紬の風合いが、
シンプルで素朴な花文様を引き立てています。
芥子色は、黄色系統のなかでも、
少しスパイスのきいた色という印象で、
異国風の意匠にとてもよく合いますね。

平安時代に書かれた源氏物語では、
その場面を象徴するような「色」が表現に用いられていますが、
黄色系統の色が登場するのは、
光源氏が最も愛したとされる紫の上との出会いの場面です。
光源氏と紫の上は晩春の鞍馬寺ではじめて出会うのですが、
まだ幼い紫の上は、そのとき、山吹の襲(かさね)を身にまとっていました。



上の写真は
やや沈んだ山吹色の地に、唐花文様が木版染めであらわされた名古屋帯です。
上品な華やかさをもつ地色の美しさが、
素朴でかわいらしい花文様を引き立てています。

黄色系統の着物や帯は、装いにさりげない華やかさと明るさを添えてくれます。
また、紺や茶、紫などさまざまな色と相性が良く、
帯揚げや帯締めなどの小物を変えることで、
四季を通して用いることができ、とても重宝する色合いです。

本格的な冬へと向かうこれからの季節には、
初冬のやわらかな陽射しに照らされた銀杏の「黄色」を
装いに取り入れてお出かけするのも素敵ですね。

上の写真の「本場黄八丈紬 格子文 袷」
「花文様 型染め 名古屋帯」
「真綿紬に唐花文様 芋版染め 名古屋帯」
は 全て花邑 銀座店でご紹介中の商品です。

●花邑 銀座店のブログ、「花邑の帯あそび」次回の更新は 11 月 21 日(木)予定です。
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